戦国ラブライブ! 〜みんなで作る戦国時代〜   作:pocky@

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やっぱり、1話が短いと楽でいいですね。集中しやすくて素晴らしいです。

《注意》
今回も謙信回です。本当に申し訳ありません。
どうしても必要な回なんです。認めて下さい。

基本、展開とかは思いついたまま適当にやっているので、何かおかしい部分がありましたら教えていただけると幸いです。


それでは、どうぞ。






第12幕 理想

 

 

 

 

 

「謙信様…。お久しぶりでございます」

 

 

「お前…!!」

 

 

「覚えておいでですか?」

 

 

「それは…」

 

 

 

 

戦国ラブライブ! 第12幕 理想

 

 

 

 

「謙信様のかつての側近…。鬼小島弥太郎にございます」

 

 

「…何故お前がここにいる?」

 

「拙者は高坂の領地にて稲作をしております故」

 

 

弥太郎は謙信に捨てられた後、高坂に拾ってもらい、その領地で農業に勤しんでいるという。

 

 

「…お主も落ちぶれたな」

 

 

「謙信様に言われたくはありませぬ」

 

 

「…っ!?」

 

弥太郎はしてやったりという様な笑みを浮かべる。謙信にこういう口がきけるのも長年側近を勤め上げたからなのであろう。

 

 

「謙信様…どうかされたのですか?」

 

「…どうもせぬわ」

 

「しかし、謙信様のその顔は何かに追い詰められている時の顔にございます」

 

「…全てを見透かしたように言いおって」

 

「何年貴方の側にいたと思っているのです?」

 

 

 

「そこをどけ」

 

 

「嫌です」

 

 

「…どけ。命令だ」

 

 

「私には謙信様の命令に従う義務はありません故」

 

「…斬るぞ?」

 

「いくらでも。貴方様のお気に召すまで」

 

 

弥太郎は断固として謙信の前から動こうとしない。その巨体で仁王立ちをし、謙信が通る道を完全に塞いでいた。

 

 

「…何故私に関わる?お主にはもう関係なかろう」

 

「関係ありますぞ」

 

「…ないだろう」

 

「謙信様は高坂を攻めるおつもりでしょう?さすれば、私達農民にも被害が及びます。関係大ありにございます」

 

「何故そう思う?」

 

「何故って…。全て顔に書いてあります」

 

そう言って弥太郎は豪快に笑う。その笑いは全てを吹っ飛ばすかのような勢いがあった。

 

 

「そうか…。なら私の計画を全て当ててもらおうかの?顔に書いてあるなら分かるであろう?」

 

「容易いことです」

 

「…ただし、外したらもう私に関わるな。そして今すぐ目の前から立ち去れ。良いか?」

 

「なら拙者からも。謙信様の計画を当てることが出来たなら、拙者の話を聞いて下さいますか?」

 

「勿論。…当てられたらの話だかな」

 

 

すると、弥太郎は謙信の顔をまじまじと見始めた。穴が空いてしまうのではないかと思うくらいのものだった。

 

 

それから30秒経ったであろうか。

 

 

「分かりましたぞ、謙信様」

 

「…。ただ顔を見ただけで分かるならそんな楽なことはなかろう?」

 

 

「それでは話していきますが…。覚悟はいいですか?」

 

 

「…あぁ」

 

 

弥太郎はその大きな手から人差し指を1つ立て、語り始めた。

 

 

「まず、貴方様が高坂領に来たわけから」

 

「謙信様は穂乃果様に同盟を結びに来ましたね。わざわざ自ら出向いて」

 

「自ら出向いたのは、確実に同盟を結ばせるため。軍神、毘沙門天と恐れられたその名を後ろだてにして」

 

「確実に高坂と同盟を結ばなければならない訳…。それは高坂討伐の策にございましょう?…大方、宇佐美殿が考えた策なのでは?」

 

「その策には、伊達も絡んでいるはずです」

 

「まず、伊達が高坂に攻め入る。戦が起こりますね。その戦に援軍という名で上杉が高坂側として参戦」

 

「しかし、その援軍というのは大きな罠で、実際には後ろから攻めるおつもりでしょう?伊達をおとりにして」

 

「高坂は味方である筈の上杉が寝返ったとなれば動揺などで総崩れ。これで上杉側の勝利。それと共に関東も手に入るわけです」

 

「どうです?ここまであっていますか?」

 

「…さあな」

 

その謙信の顔を見た弥太郎は再びニヤリと笑う。

 

「この戦…。拙者の勝ちのようにございます」

 

「…何だと?」

 

「謙信様は先程説明した策を実行する為、高坂に同盟を結びに来た。…穂乃果様が戦嫌いなのも知った上で。同盟は必ず結ぶとお思いになられたのでしょう?」

 

「…」

 

「しかし、穂乃果様は意外と強かった…。まずそこが第一の誤算でしょう?志の違う人とは同盟を結びたくないとか何とかおっしゃったのでは?」

 

「そこで、第二の誤算が起きます。穂乃果様が夢を語る姿を見て、記憶の奥底に封印した謙信様自身の夢が再び湧き出てくる」

 

「違う」

 

「…その感情を謙信様は必死になって抑えようとしている。それが今でございましょう?」

 

「違う」

 

「何が違うのです?…残念ですが、謙信様の考えていることなどお見通しなのですよ?」

 

「…違う」

 

「…謙信様、いい加減自分に素直になったらどうですか?今のままでは辛いでしょう?」

 

「………!!!」

 

今の弥太郎の言葉が謙信の逆鱗に触れたのであろう、謙信は激昂し始める。

 

「何が分かる…!!お前に何が分かるというのだ!!」

 

「謙信様…」

 

「私だってな…!夢や理想を追いたかった!!何も考えずに、ただひたすらそれに向かって…!!」

 

「だがな。現実はそうはいかぬのだ。私は上杉家の当主だ!!家臣達を守る義務が私にはある!!」

 

「そんな夢や理想の為だけに…。家臣達や農民達を危険に晒すわけにはいかぬのだ!!」

 

「ましてや家臣達は皆、昔の私にはついてこなかった…!それはお前も見ていたであろう!?」

 

「それは…」

 

「私は軍神として…!!毘沙門天として!!上杉を守っていかなければならぬのだ!!」

 

「そんな簡単に夢や理想を語れる身分じゃないんだよ!!」

 

 

そう言った謙信の目からは溢れるものがあった。

 

 

 

ソレは夢破れた謙信の無念さや、悲しみが全て詰まったものであった—————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お疲れ様でした。
今回も謙信様ということで…。次回も謙信様かな?でもμ'sのみんなも出せると思いますので、お楽しみに。

基本毎日更新を心がけておりますが、明日は少し忙しいので多分休みます。ご了承ください。

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