マーレひとりでできるかな   作:桃色は赤と白で出来ている

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●前回のあらすじ

 マーレは巨大爆発の跡地を綿密に調査(七月下旬)
 蜥蜴人(リザードマン)の未来は明るい!(マーレのおかげ)
 蜥蜴人(リザードマン)の明日は共食い?(エンリのおかげ?)

●時系列

 第二十話の数日後に遡る(七月前半頃)












第七章 漆黒と蒼の薔薇
二八 その闇妖精は私の見立てでは二流だ


――例年の戦争のことを考えねばならないこの時期に、国家存亡の危機と来たか。

 

 エ・ランテル都市長パナソレイ・グルーゼ・デイ・レッテンマイアからの書状を読み終えたエリアス・ブラント・デイル・レエブン――レエブン侯は、開いておいた机の引き出しをそのまま閉じ、書状を二つに分けて懐へ隠した。防諜対策の尽くされた執務室の鍵のかかる引き出しには今年の戦争に備えて集めた様々な資料が収められているが、これを収めるのに相応しくないということだ。

 

 レエブン侯は王宮の諸日程を確認し、王国戦士長ガゼフ・ストロノーフを呼んで行われるであろう宮廷会議の時期を逆算する。あらゆる予定を後倒しにしても、必要な情報を手元に確保し整理するには時間が少し足りない。

 

「しかし――冒険者か、どうする?」

 

 答える者は無い。苛立って机を叩く音さえ漏らさないこの執務室は、レエブン侯が普段薄い笑いの下に隠している怒りや焦りといった感情を出すことが許される唯一の場所だ。

 

――充分に王子と話をしておけば良かったのだが。

 

 第二王子はいくらか物分りが良い程度の凡庸な男だが、それなりに話をできる関係にはなっている。本来なら積極的に関係を築くほどの存在では無く、王位を継ぐことがあった場合にそれから関係を構築しても充分かもしれない程度の存在だが、王国の国力は既に衰えすぎていた。物分りの悪い第一王子が王位を継げばこの国はもたないため、レエブン侯は少し前から第二王子に接近していた。

 しかし、何らかの危機が目に見える形で訪れたならともかく、今の段階で第二王子を巻き込む前提のみで行動するのは性急に過ぎる。数年かけて取り組まなければならない国力衰退の危機に対しじっくり準備しているところへ、別の危機をいきなり突き付けられても困るのだ。かといって、他派閥にこうした事態を相談できる者が居るわけではない。優秀な者は全て自らの派閥に取り込んでしまっており、数年かければ様々な事態に対処できるものの、逆に今すぐとなると出涸らし同然の他派閥の存在が重荷になってしまう。

 あとは王宮に――未知数な部分も多いものの――ただ一人いるにはいるが、第二王子を巻き込まずに接点を作る場合も想定すれば色々と面倒が――。

 

「王子とも時間を作らねばなるまいが、とりあえずは……あの馬鹿でいいか」

 

 レエブン侯は机から便箋を出し、王国六大貴族の末席とされているリットン伯に宛てて適当に書状をしたためる。近年、王家の血を引き込むことを狙っている彼は、独身の貴族としては最も家柄が良いだけのつまらない男だ。

 

――土産も用意しなければな。今の時期で奴の領地だと……あれか、あれだな。

 

 部屋を半歩出て鈴を鳴らし従者を呼び出すと、すぐに用意するべきものを指示し、比較的最近部下になった者たちを呼ぶように伝える。

 

「戦士長の方はそれでいいとして、あとは……」

 

「レエブン侯、屋敷に留めてある冒険者たちはいかが致しましょうか」

 

「冒――ああ、あれだったら彼らに任せてある。客人としてそれなりの部屋と、そうだな、食事は彼らと同じものを提供してやってくれ」

 

 

 

 

 

 レエブン侯に手紙を届けた『漆黒の剣』の四人は、その屋敷を出ることを許されなかった。

 

「先に言っておくが、俺たちはお前たちを監視する以外の命令は受けていない」

「大人しくしていれば大丈夫ってことだ」

 

 『漆黒の剣』を屋敷内に押しとどめたレエブン侯の部下だという五人は、そこそこ歳はいっているようだが、鋭い眼光と引き締まった身体つきは現役の冒険者とくらべても遜色の無いものを持っている。鎧までは着ていないが思い思いの武器を身につけ、暴力を生業とする者特有の雰囲気を纏っていた。武装を預けることなく屋敷に入ることができたのは、『漆黒の剣』ではこの五人に遠く及ばないと見做されたからなのかもしれない。

 

「パナソレイ様は清廉な方と聞いている。手紙の内容にもよるが、運び屋を消さねばならないような事態にはなるまいよ」

 

「清廉……であるか」

「手紙の内容なんかで対応が変わるんですか?」

「ニニャ!」

「ペテル、ここまで来て遠慮しても仕方ねーと思うぜ。で、あの手紙は俺達を追放する口実だと思ってたんだけど、どうなんでしょうね」

 

 レエブン侯の部下の言葉を、素直に受け取る者は居ない。都市長に裏切られ、冒険者組合に切り捨てられた身だ。手紙を届けた先で軟禁されるとなれば、全てが繋がっていると考えてしまうのも無理は無い。

 

「お前ら、銀級程度でちょっと自意識過剰じゃねぇか?」

「ってか、落ち着けよ。そんなのここで聞かれてもわかるわけないだろ」

 

「……それでは、帰してもらえるんですか?」 

 

「数日は無理。……見ればわかるだろう。俺たちも仕事なんだ」

「俺らも歳をとったってことだな。仕事でも後に続く若いのを潰したくはない。穏便に行こうぜ」

 

 その男たちのうち、特徴的な装備を持つ者に気付いたニニャが顔を上げる。同程度の剣を四本というのは珍しく、チーム全員の武器の質の良さや見た目の年齢をあわせれば候補は絞られる。

 

「あなたたちは、もしかして平民の希望の星と言われたオリハルコン級の――――」

 

 ニニャが挙げたのは、かつて王都で人気があった、全員が平民出身のチームとして最高位にあった者たちの名だ。

 

「ああ、昔はそんな風に呼ばれていたな。平民の希望なんていっても、金になれば貴族の依頼も大歓迎だ」

「もちろん、相手は選ぶ」

「今の依頼主は、ああ見えて人相以外は悪くないお方だ」

 

 監視役は、かつて王都で活躍していたオリハルコン級冒険者チームだった。全員が平民出身者のチームとしては王国内で最高位だったことで知られており、貴族嫌いのニニャは聞きかじったその噂話を日記に残していたほどだ。

 遥か格上の存在を前にして銀級の『漆黒の剣』は抵抗を諦め、話をしていくうちに若干の好意と共感を覚えるようになっていく。そのまま、追放されたと考える理由まで口を滑らせてしまったのは、かつて王都で平民の希望の星とまで謳われた彼らの名声や、人当たりの良い話術のせいばかりではない。『漆黒の剣』は、極度の緊張状態から解放されたばかりで、心が緩みやすくなっていたのかもしれない。

 

 彼らはエ・ランテルから王都までの長い旅路において、ずっと疑心暗鬼の中にあった。幸いザックという男を八本指の暗殺者から守るという仕事を与えられていたため、常に武器を携行し、王国戦士長の動向を窺い、いつでも逃げられるように神経を張り詰め身構えて過ごしていた。先輩冒険者チーム『クラルグラ』からは口止めの可能性を否定されていたが、王国最強の戦士長の存在をひとたび敵かもしれないと認識してしまうと、それからの旅路は悪夢のようなものとなった。

 戦士長のみならず戦士たちの存在全てに大きな圧力を感じるようになると、逆に犯罪者であるザックと接している方が気持ちが安らぐほどだった。妹を探していたというザックと姉を探すニニャは、ザックが罪を着せられたペンダントの件でのニニャの負い目もあって、ザックに余罪があることも忘れて話し込むこともあった。

 

 レエブン侯の屋敷に軟禁されながらも、『漆黒の剣』の四人は久しぶりによく食べ、よく飲み、よく話し、そしてよく眠った。心配していた食事も、監視役の者たちと同じ鍋のものだったので安心して食べることができた。そもそも、ここはエ・ランテルから遠く離れた王都リ・エスティーゼであって、『血塗れの魔女』の息の掛かった者は居ない。監視役の五人は元オリハルコン級冒険者で、殺すつもりならとっくに殺されているところだ。手紙に関連する会議まで屋敷から出せないと伝えられているのも、単に貴族間の関係を秘匿しなければならない事情なのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガゼフは宮廷で行われた会議を振り返る。

 その場における『カルネ村の協力者』に対する貴族たちの態度は、やはり――いや、予想を超えて危険極まりないものだった。マーレのことをそのまま伝えていれば大変なことになったかもしれない。

 

 曰く、胡散臭い女だ。

 辺境に隠れ爪を研ぐ危険人物。

 魔法学院を出た帝国の手の者かもしれない。

 

 果ては、自分を売り込むために、彼女自身が襲撃をお膳立てした可能性を邪推する者さえあった。

 

――警戒心や敵意の方が、まだわかりやすいだけいい。

 

 『カルネ村の協力者』について、警戒や邪推の声に対し薄い笑いを浮かべながら宥める者がいた。それは、「私欲ならば田舎者のつまらぬ傭兵と思えば良い」「危険ならば他国で存分に暴れさせれば良い」「帝国と法国がぶつかったなら好都合」と、怒りや敵意を皮肉な笑いに置き換えていく人物。

 

 レエブン侯――ガゼフが最も警戒すべき存在と考える大貴族だ。

 金髪を全て後ろに流して固め、切れ長の目に碧く冷たい眼光を光らせるその姿は、王派閥と大貴族派閥の双方に通じて利を求め蝙蝠のように動くこの男の隙のない狡猾さを象徴するものだ。しかし、この日は珍しく後ろ髪に乱れがあり、顔貌にも普段の不健康な白さだけではない疲労感がにじみ出ていた。

 

――法国と組んでいたのがこの男だとすれば、また何か危険な策謀でも巡らしているのだろうか。

 

 貴族の中に裏切り者が居るのは明らかだ。その策謀は誰も予想しえないマーレという存在によって打ち砕かれたが、それさえ無ければガゼフを囚える致死の罠として完璧なものだった。だからこそ、『カルネ村の協力者』に警戒心や敵意を持つ者の中に裏切り者が居るのではないかと思えたのだが――。

 レエブン侯。普段は全く隙のない、冷たい蛇のようなあの男が、人らしい隙や存在感を感じさせるほどに憔悴している。

 そして、会議での対応を見るに、彼は間違いなく何かを掴んでいる。『カルネ村の協力者』についての詮索を抑える方向に話を誘導しているのは有り難くも不思議なことに思えたが、彼こそが法国を動かした裏切り者だとしたら、今の王国が真の協力者(マーレ)と関わることの危険性を理解しているのは当然のことだ。そして、完璧な策謀が失敗したからこそ、その後始末か次なる策謀のためかわからないが、珍しく疲労した姿を見せているのかもしれない。

 さらに、話題が他へ移った時、そこにあったのは安堵だ。これは、彼にとって危険な情報が――裏切り者たちの策謀の手がかりとなるような情報が表へ出なかったことに対する態度だと考えるしかない。詮索を抑えようとしたのも、そのためだろう。

 

――やはり、王国を裏切っているのは奴だ。絶対にこの件に関わらせるわけにはいかない。

 

 ガゼフは冒険者組合への道を急ぐ。『カルネ村の協力者』(エンリ・エモット)という緩衝材を一枚挟んではいるが、やはりこれは王国と接点の少ない冒険者に任せるべき問題だ。

 ガゼフは、エ・ランテルの冒険者組合長アインザックの助言を反芻する。

 

――刺激的な話を控え、不確定な情報を排除して、難度は組合長の分析に従い百三十から百五十。性格的な部分は同行を頼む以上は依頼の肝なのでしっかりと伝える。

 

 あのエンリ一人でいつまでも対処できるとも思えない。『蒼の薔薇』に確実に依頼を請けてもらうためには組合長の助言に従うべきだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 王都で最も格式のある宿の一室では、アダマンタイト級冒険者チーム『蒼の薔薇』のリーダーにして神官戦士のラキュース・アルベイン・デイル・アインドラが冒険者組合で「内密に」請け負ってきた仕事について、仲間たちに説明していた。

 依頼について事前調査も行う組合で「内密に」というのもおかしな話で、普通に依頼をしても秘密はそれなりに守られるのだが、そういう依頼者が依頼内容も口にせず別室で待たされていたのだから仕方がない。

 依頼者と依頼先の双方ともが特別な身分の者でなかったら、そして偶然旧友に会いに組合へ来ていたという元ミスリル級冒険者が親切心でラキュースの所在を探し出して困り果てた職員を連れて来なければ、依頼者は相手にされずに帰されていたかもしれない。もちろん、他人の親切心を疑おうとしない依頼者の真っ直ぐな性格もあってのことだ。

 

 依頼者は、王国戦士長ガゼフ・ストロノーフ。その仕事の内容は、曖昧で、厄介で、依頼としての要件が色々と足りないもの。アダマンタイト級でも敵わないような強力な存在と同行し、可能な限り懐柔し、味方とならないまでも王国の敵に回らないように務めることだというが、終わりが定義されていないのも組合での依頼にはそぐわないものだ。敵に回らないようにと言いながら、最終的には友人か仲間にするような形を想定しているのかもしれない。

 

 その者――マーレという名の闇妖精(ダークエルフ)の少女は、王国の味方とも言い切れない態度を見せ、また公然と死者を道具のように扱うなど性格に大きな問題があるようだが、王国戦士長とその戦士団が危うく全滅するところだった恐るべき敵を一人で倒したという。その敵が、かつて『蒼の薔薇』が戦い痛み分けに終わったスレイン法国の特殊部隊『陽光聖典』となれば、敵対することは非常に危険なのは間違いない。

 ただ、その者は現在、エンリ・エモットという少女と行動を共にしている。そのエンリこそ、ガゼフが宮廷会議で『カルネ村の協力者』と呼び、マーレの存在を隠蔽することに協力している存在だ。

 エンリの正体は「よくわからない」という。ガゼフも当初は「ただの村娘だと思っていたのだが」、元々彼女がマーレを村へ連れてきていたこと、マーレとともに冒険者となることを勧めたところ気を遣ったのか自信があるのか自分一人で冒険者登録を行ったこと、そして何より冒険者組合長の評価が高くガゼフの知らない間に実力者と見做されていたことから、ガゼフもその評価を改めたらしい。

 とはいえ、そのエンリもマーレとの同行を渋っていたのをガゼフが無理に頼み込んだに過ぎない一時的な関係で、その立場を引き継ぐことが『蒼の薔薇』への依頼だった。

 

 なお、依頼に際しては組合が絡んでしまったので、情報を伏せたいガゼフの意思も尊重しつつ、組合を通すのはその一部――『カルネ村の協力者』の素行調査のみということにして、それ以外の部分は組合を通さずに請けるという形を取ることになった。

 

 

「大変な仕事だけど、今の王都では……いえ、王国全体で考えても、私たちの他にできる人が居ないの」

 

 仲間たちを前に、ラキュースは熱っぽく語る。こうなっては、他のメンバーではなかなか止められるものではない。

 

「……ふん、ラキュースは英雄譚が大好きだからな。さぞ楽しかったろう」

「確かに、鼻息は少し荒いけど」

「乙女の荒い吐息……悪くない」

 

 呆れ顔の小柄な少女は魔法詠唱者(マジック・キャスター)のイビルアイ。茶化すティナと匂いを吸い込むような動作をするティアは双子の暗殺者だ。

 

「おいおい、そんな呑気な話じゃないだろ」

「そうよ。陽光聖典とは私たちも戦ったけど、あの時は追い払うのが精一杯だったじゃない」

 

 緩む空気を咎めるのはガガーラン。身体の全てが巨岩のような、顔つきから逞しい筋骨隆々の女戦士だ。ラキュースも過去の戦いを挙げて慢心を諌める。

 

「状況が違うな。その闇妖精(ダークエルフ)は、私の見立てでは二流だ。そう買い被るものではない」

 

「さすが、自信と態度は超一流のイビルアイ」

「強い子供って所が被ってるから気に入らない?」

 

 小ぶりなソファを大きく使ってふんぞり返るイビルアイ。少女のような外見と異なり、その態度は『蒼の薔薇』で最も大きい。

 

「でも、人間がひしゃげるほどの打撃ってことは、魔法も使えて直接攻撃もできるってことで相当なものじゃないのか」

 

「私も使うが、近接戦闘用にも使える攻撃魔法もある」

 

 ガガーランの疑問に答えるイビルアイ。得意な水晶を扱う魔法の中には、槍や短剣の形でそれを撃ち出すものもある。

 

「でも、陽光聖典を一人で倒したことには変わりないんじゃない?」

 

「ふん、ストロノーフとその部隊を死ぬ寸前まで囮扱いしていいなら、私でもできるぞ。戦士団はゆっくりと傷を治してからの帰還だったそうじゃないか」

 

「確かに危うく全滅するところだったって言ってたけど……」

 

「そこが問題なのだ。その状況であれば、魔法詠唱者(マジック・キャスター)としての王道は、戦士たちの支援を再優先にした戦い方だ。隙を見て天使や召喚者に仕掛ける場合も前衛が瓦解しないように細心の注意を払わねばならない。それに対し、闇妖精(ダークエルフ)がいきなり敵の隊長を狙ったのは、戦士たちを踏み台とする問題の多いやり方だ」

 

 イビルアイが語るのは、冒険者としての魔法詠唱者(マジック・キャスター)の戦い方だ。

 

「仲間の信頼が得られないやり方では二流だってこと?」

「……言うと思った」

「リーダーの中ではそれでいい」

「よくわからんけど俺が仲間なら終わったあとでぶん殴る」

 

「それは殴ってもいいとは思うが……ティアとティナだけはわかってるようだな」

 

「当然。私たちの世界でも想定外に備えないのは二流」

「前衛を盾として使い潰した後で敵の増援が現れたら対処できない」

 

「その通りだ。自分を強く見せる方法をわきまえているだけで、我々の脅威とも言えないな」

 

 ティアとティナ、そしてイビルアイが胸を張る。それを見て、ガガーランが悪戯っぽい笑みを浮かべ口を開く。

 

「つまりあれか、負けたら蒼の薔薇に入れ、とか言えば自信満々で戦いに応じるタイプってところか」

 

「なっ、一緒にするな! 私なら戦士団の支援に回るさ。それでも私の強さは肌で感じられるだろうからな」

 

 古傷を突かれて顔をしかめながらも、イビルアイの態度は大きいままだ。

 

「強さは見せつけたいんだ」

 

「うるさい。……それから、奇襲で隊長を失って浮足立つ相手を範囲魔法で刈り取って全滅させたのも同じことだな。その状態でも戦士団の支援だけで充分で、魔力も温存できる。やはり攻撃魔法ばかりに頼るのは二流ということだ」

 

「いつも見せ場を譲ってくれてるわけじゃなかったんだな」

「そうだ、私たちも温存しよう」

「賛成」

 

「それには反対ね」

 

「……鬼リーダー」

「温存、鬼ボスにこそ必要な言葉」

 

「……回復魔法を温存しようかしら」

 

「ふぅ……つまりだ、そこで盾役の戦士団を総崩れにしてでも自分を強く見せようとした闇妖精(ダークエルフ)は、実際のところは――」

 

「たいしたこと、ない?」

 

「そうだ。そのマーレとやらは、ストロノーフには手に負えないかもしれないが、私より弱い。魔法に無知なストロノーフは騙せても、私は騙せんぞ」

 

 ラキュースから依頼の概要を聞いていた時は緊張感に包まれていた『蒼の薔薇』の面々だったが、イビルアイが言葉を重ねるごとに場の雰囲気は和らぎ、今は当初の緊張感は完全に霧散してしまった。

 

「まあ、参考程度とは言ってたけど、エ・ランテルの組合長判断での想定難度は百三十から百五十らしいし、そんなところかもしれないね」

 

「組合長が想定難度で表現したくなるほど警戒されてるのか」

 

 ラキュースの示した普通のアダマンタイト級冒険者では困難な数値とは違う部分に引っかかりを感じ、ガガーランが顔をしかめる。

 

「直接見てもいない人間が出す数字は眉唾」

「エ・ランテルくらいなら難度で百も超えたら大騒ぎ」

 

「たとえ実際には百程度だったとしても、それを警戒しすぎるのは悪いことじゃない。性格に問題があるようだし、広範囲魔法の使い手を王城に呼び込むリスクを考えたらストロノーフが慎重になるのもわかるしな」

 

 ティアとティナは否定的だが、イビルアイは弱者が弱者なりに警戒心を持つことは大切なことだと考えている。魔法詠唱者を下に見て、ろくな対策もせずに情報がダダ漏れになっているこの王国にあっては、特にそれは必要なことだ。その結果、自分がラキュースと共に王城に出入りできなくとも――いや、出来ない方があるべき姿だとさえ思う。

 

「根性が曲がってる。たたき直す?」

「子供だし、やっぱり泣くかな」

 

 わざとらしくちらちらとイビルアイの方を見るティアとティナを、イビルアイは口をへの字に結んで無視する。

 

「そういえば、戦士長と陽光聖典を天秤にかけている様子もあったっていうけど、陽光聖典に味方しようとする存在なら仲良くできるとは思えない。最悪、戦いになるかもしれない」

 

 かつて『蒼の薔薇』が陽光聖典と遭遇して戦いになったのは、敵種族だからといって平和に暮らしている村を丸ごと殲滅しようとする彼らのやり方が許せなかったからだ。ラキュースは、その陽光聖典に味方するような存在ならば仲良くできるとは思わない。

 

「いや、本当に天秤にかけていたらストロノーフは生きて帰れなかっただろう。そうやって相手を油断させて奇襲を成功させたと考えるべきだな。そのために自分も部下もボロボロになって囮を務めさせられたストロノーフは気に入らないだろうよ」

 

「なるほど」

「寝返るフリしてやっちゃったのね」

 

「そもそも常識で考えてみろ。闇妖精(ダークエルフ)があいつらに味方したがると思うか?」

 

「まず、無い」

「寝返ると思う方が馬鹿」

 

 陽光聖典の属するスレイン法国は人間至上主義の国で、森妖精(エルフ)の国とは戦争が続いている。その国民感情は、闇妖精(ダークエルフ)など近い種に対しても相当に悪い。人間以外の種族の者が、かの国の特殊部隊に味方する理由は乏しい。

 

「だから、騙し討ちをしなければ勝てないと考えたのか、あるいは――」

 

「そういえば、陽光聖典は全員殺されてしまって、捕虜が取れなかったって……」

 

「それだ。騙し討ちにしてでも皆殺しにしたかったと考えることもできるし、その両方かもしれん。ストロノーフは甘いから、殺すのを止められないように盾代わりにしたのかもしれないな」

 

 ここで、ようやく陽光聖典の壊滅という結果に繋がる。数十人の部隊を、一人の捕虜も取らずに皆殺しというのは尋常ではない。

 

「まさか、そんなことのために……」

「リーダーも甘いからわからない」

「法国では森妖精(エルフ)は奴隷。闇妖精(ダークエルフ)も迷い込めば似たようなことになる」

 

「でもよ、一緒にいる協力者ってのは、強いのか弱いのかわからんといっても襲われた村かそのあたりの人間なんだろ。そいつの立場なら復讐を頼んでも仕方なくねえか?」

 

「そうよね。陽光聖典の別働隊は実際に幾つかの村を襲っているし、こんな役目を引き受けてくれるのだからそういうこともあるかもしれない」

 

 ガゼフは協力者に「申し訳ないことをしている」とは言ったが、さすがにどういう頼み方をしたかまではラキュースに説明できなかった。

 

「――ともかく、戦いの可能性もあるけど、できれば平和的に関係を築く。難度は絞りきれてないけど、依頼者から出たのは百三十から百五十で、この場の予想は百から百五十。今やっているものより緊急性が高いので、皆が良ければ近日中にエ・ランテルに向かうことになるけど、それでいい?」

 

 異論は出なかった。この時期、『蒼の薔薇』は王国をゆっくり蝕みつつある病巣との静かな戦いに取り組んでいたが、それを後に回してでも目の前の危機をどうにかしなければならない。但し、マーレの難度が低い方に振れるか、とりあえずの安全が確保できた場合、ティアとティナはすぐに王都に引き返して元の戦い――王国を蝕む病巣の調査に戻ることになった。二人が「鬼リーダー」「鬼ボス」とぼやく姿は『蒼の薔薇』では通常営業だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『蒼の薔薇』が今取り組んでいる仕事を後に繰り延べるため、ラキュースとティア、ティナの三人はその依頼主でありラキュースの友人でもある第三王女ラナーのもとを訪れていた。もともと、調査でそれなりのものを得るにはあとひと月以上かかると見込んでいたものだが、王都を離れるとなればきっちりと話をしておかねばならない。ガガーランとイビルアイは、王宮のような堅苦しい場は苦手だとして宿に残っている。

 調査対象は、王国に流通する麻薬の製造拠点だ。聡明な王女ラナーは麻薬をはじめとする王国を蝕む様々な病巣を憂いていたが、第三王女ともなると王家においてその存在は政略結婚の道具にすぎず、政治力などを持たない。そのため、貴族の出で友人のラキュースを頼り、自らが自由に出来る金銭によって冒険者を雇う形でしかそういう問題に対処できなかった。

 

「私は、戦士長様が帰ってくることはまず無いと思っていたのだけれど」

 

 宮廷会議には参加もできないはずのラナーの言葉に、ラキュースは目を丸くした。彼女はいつでも、狭い王宮の中で得られる乏しい情報だけで正解に近づいている。

 そして、話題は王国戦士長の件に絡めつつ、八本指――麻薬だけでなく王国内の様々な犯罪に関わる巨大犯罪組織――へと移る。仕事を放り出して王都を出るのだから、ラナーのもとで情報くらいは整理しておかねばならない。『蒼の薔薇』における情報収集の主役であるティアとティナが現状を報告していく。それは自らの調査経過に留まらず、衛士たちが取り締まる犯罪の動向から市井に溢れる様々な噂話にまで多岐に及ぶものだ。

 こうした情報の瓦礫の中からも、時にラナーは宝石のような価値あるものを拾い上げる。

 

「気になるのが、エ・ランテルから護送されてきたという、八本指の末端かもしれない情報を持った者です。暗殺のおそれもあったと思うのですが、戦士団だけで守れるものなのでしょうか?」

 

「相手が本気なら無理」

「そこは護送のために冒険者が付いてたって話」

 

「それで、実際に襲撃はあったのですか?」

 

「特に問題も無く戦士団は到着したらしいけど……」

 

 法国よる追撃を心配したラキュースは、王都に着くまでの間に敵の気配が無かったことを既にガゼフから聞いている。

 

「であれば、考えられる可能性は三つです。一つ目は、冒険者が八本指と繋がっていて、睨みが利いて末端の者は王都に連れてきても情報を吐き出すことができないか、既に身代わりとすり替わるなどしている場合」

 

「……手引きした冒険者を揺さぶるしかない」

 

 情報を持ってきたティアは、すぐにすり替わりの方を考えた。護送されてきたのは誰から見ても小物と思われる男だったらしい。

 

「はい。そして二つ目は、八本指と関係は無いが、関係があるものと誤認したため護送した場合。もちろん冒険者は八本指と繋がる者で、疑いを解かせないよう誘導するのが目的でしょう」

 

「これも対処は同じね。でも、冒険者は指名で選ばれたみたいだけれど……」

 

 指名依頼とは信頼関係によるものだ。少なくとも、ラキュースはそう考える。

 

「指名でも、実際には部下や冒険者組合が話し合って決めるものです。八本指の側に必要性があれば、押し込むための手段はいくらでもあるでしょう。逆に、押し込むことに失敗していれば、本当の繋がりであれカモフラージュであれ、襲撃はあったはずです」

 

「うーん、なるほどね……」

 

「最後に三つ目ですが、八本指とは関係が無く、関係があると誤認させるものでさえなかった場合。これについては、護送自体は現地の犯罪組織について情報を吐き出させる条件と考えるにしても、冒険者をつけたのが不可解になります。……この場合、冒険者は何らかの理由で疎まれていたとかそんな感じでしょうが、国王直轄領のエ・ランテルではそういうトラブルはあまり――」

 

「今頃エ・ランテルの組合は大騒ぎ」

 

「その場合はエ・ランテルで何かあったってことだから、私たちにとって価値のある情報を持っているかもしれない」

 

 ティナの呟きに、ラキュースが反応する。この場合はエ・ランテルでの仕事に関わってくる。

 

「では、王都を出る前にその冒険者について調べてもらえますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同行した戦士団の人間を探して聞いたところ、護送を担当した冒険者たちは銀級の『漆黒の剣』というチームだった。特徴をおさえて聞き込みをするも、その足取りは貴族の館が立ち並ぶあたりで途絶えてしまう。

 そうして途方に暮れていたところで、当初何も知らなかった情報屋が不自然に情報を売り込みに来た。冒険者がレエブン侯の屋敷に入っていくのを見たという情報だが、その情報屋が同時期に調査を始めてティアやティナよりも高い結果を出せる能力を持っているはずがない。念のため情報屋を調べても新たな情報源を開拓した様子も無く、そのような挑発的な形で情報を流したのは、部下に多くの有力な元冒険者を抱える大貴族のレエブン侯の手の者と考えて間違いないだろう。

 

 

 数日ぶりのラナーの部屋には、いつもの紅茶に加えて果物の爽やかな甘い香りが漂っていた。

 

「残念だけど、悪い方の話みたい。既に冒険者はレエブン侯の屋敷に確保されているらしく、手を出せるものなら出してみろって意味なのかしら……わざわざ情報屋を使って知らせてきたわ」

「あれは王派閥と貴族派閥の間を彷徨う蝙蝠のような男」

「八本指との関わりもありそう」

 

「やはり、そういうことですか。……レエブン侯なら大丈夫です。せっかくなので、ここへ呼んでみましょうか」

 

「ええっ? ちょ……何か知ってるの? それに、レエブン侯って良いイメージが無いんだけど……」

「虚偽情報でも流して冒険者を引き離す?」

「化かし合いなら先に意図が知りたい」

 

「違うわ、ティナさんにティアさん。彼は八本指から見返りは貰っているけど、協力する側では無い……と私は見ています。また、もし八本指のために冒険者を確保するなら自ら動かず子飼いの貴族を使うはずですから、冒険者が八本指絡みという線はもう無いものと考えていいでしょう」

 

「……それはわかったけど、さっきのあれ、やはりっていうのはどういうこと?」

 

「ちょうどレエブン侯にお返事をしなければならない件があるのです。それはとても、とてもくだらない件なのですが、彼はその際、エ・ランテルからの客人に私の部屋の薔薇を見せたい、と言っていたのです」

 

 くだらない件というのは、ラナーとの結婚を望む貴族の売り込みのような話だ。今テーブルの上に供されてティアとティナが食べている赤い果肉の果物がその貴族の領地の特産物として知られるもので、その時の土産物だというが――。

 

「ん、それはおかしい。種が多い」

「これは値段だけ高くて食べにくい王都産」

 

「でしょうね。おそらく、レエブン侯御自身が急ぎで用意させたものと思います」

 

「……私たちが目当てで、わざわざあのリットン伯なんかとの縁談を後押ししたわけ? ラナーもいい迷惑じゃない」

「正確には、王女様の前にいる私たちが目当て」

「国のために働くのは冒険者としては例外」

「だからって……」

 

「私の提案する政策が貴族に不利なものが多いこともあって、色々な派閥から勘ぐられないよう必要な手間なのだとは思います。だったらお兄様でも連れてくれば早いのですが……。ともかく、これ以上要らない後押しをされないよう、直接お会いして文句を言わなければ収まりません。協力してくれますか?」

 

「もちろん。……ラナーがあんなのと一緒になるなんて想像したくもないし」

 

「ではクライム、レエブン侯を呼んで下さい。昨日の返事と言えば、程なく来るでしょう」

 

 側に控えていたクライムという王女付きの戦士が、レエブン侯を呼びに走る。

 

 

 

 

 

 ラナーとレエブン侯――王国の未来を憂う二人は、この場で胸襟を開くことはなかった。この時点ではそうする必要が無かったからだ。ラナーは時候の挨拶のようにあっさりと縁談の売り込みを退け、レエブン侯は幾分申し訳なさそうにそれを受け入れる。

 その後、レエブン侯は悪びれもせず、部下にガゼフを尾行させていたことを明かす。もちろん、『蒼の薔薇』のラキュースのもとへ冒険者組合の職員を連れてきた元ミスリル級冒険者も部下の一人だと認める。ラキュースは目を丸くするが、その仲間で盗賊系の雰囲気を持つ冒険者二人は納得の表情だ。

 そして、ラキュースの顔色を窺いながら、エ・ランテル都市長パナソレイから連絡を受けたという件についてゆっくりと説明していく。それは、パナソレイから伝わった中で、ガゼフが依頼の際にラキュースに伝えたであろう最低限の部分だ。勿論、目新しい部分がまるで無いのもおかしいので、エ・ランテル上層部の危機感についてはしっかりと伝える。そして――。

 

「法国の件について、この他に何かご存知ですか?」

 

「依頼についてはお話しできませんが……」

 

 拒絶感が薄く、少しの興味を見せるラキュースの反応に、レエブン侯は目を細める。

 

「では、念のためお教えしておきましょう。過日の法国における大災害は神殿勢力を直撃したことが確認されており、陽光聖典の件の意趣返しは心配しなくて良いと思われます」

 

「……そうなんですか」

 

 視界の端でラナーだけが怪訝な顔をしている。当たり前だ。こちらはパナソレイから得た情報を基に話をしているのだから、「法国の件」もその情報によるものに決まっている。

 そこで情報源の違う話にすり替えたのは、ガゼフがあえて伝えなかったであろう部分に触れることを避けるためだ。ラキュースの反応を見るに、法国大災害との関連性は伝わっていない。

 

「そういうわけで、私も安心して部下を送り出せる状況です。ストロ……いや、理由はどうあれエ・ランテルに向かう可能性のある貴方がたに、戦力の追加が必要か聞きたいと思いまして」

 

「何をご存知かは知りませんが、私たちは実力に見合う仕事しか請けません。ご厚意だけいただいておきます」

「連携が無い戦力に意味は無い」

「都市長に恩を売りたければ勝手に部下を送ればいい」

 

 受け入れられても困るので、想定通りの答えで助かる部分だ。

 

「……状況が知りたいので送りますが、何の対処もできないでしょう。ただ、情報源としてエ・ランテルから来た冒険者を確保してあります。折角なので、貴方がたにも彼らと話をする場を提供しようかと」

 

「ムシのいい話」

「……そのことに、レエブン侯のメリットはあるのでしょうか?」

 

「あちらへ送る私の手の者に、そちらが出して構わないと思える情報を随時頂きたい。それだけで、こちらも勝手に動く必要も、リスクを取らせる必要もなくなりますので」

 

「部下の方々を無断で対象に接触させないとお約束いただけるのなら、それで良いでしょう」

 

 ラキュースの条件も想定内のものだ。レエブン侯の持つ戦力は、元オリハルコン級冒険者まで含まれる。対象の難度を考えればどうにもならない実力ではあるが、その気になれば『蒼の薔薇』の足を引っ張ることは充分に可能となる。

 ラキュースは仲間が頷くのを確認し、レエブン侯の提案を受け入れた。エ・ランテルから来た冒険者との会見の場は、レエブン侯の屋敷だ。

 

 

 

 ラキュースらはラナーの友人としてここに来ている。レエブン侯の屋敷へ向かうにしても当然ながら王城から同行するわけにはいかない。レエブン侯が「何かあれば、今後は迂遠な手を使わずいつでもクライムに手紙を」というラナーの言葉に申し訳なさそうに一礼して去り、『蒼の薔薇』はしばらく紅茶を楽しんで時間差を付けてから出ることになる。

 

「ラナー。ここから、しばらくは別の仕事になってしまうけど……」

 

「元はといえばその冒険者との接触も私が頼んだことですし、緊急性が違います」

 

「……ありがとう」

 

「くれぐれも、無茶だけはしないでくださいね」

 

 











原作では9月の段階でザナックと王宮をウロウロしてはいたものの、結局はラナーの側から呼ばれてザナックのお供のような形で訪問した際の様子から、レエブン侯から直接ラナーへアクセスするのは面倒であることが窺えます。
(レエブン侯はザナック経由でアクセスしたくても、ラナーが、ザナックによってクライムに変なことを吹き込まれるのを嫌っているため)

この話はまだ7月前半(マーレたちは7月下旬)ということとレエブン侯の側からも動かねばならないという事で、ザナックを使わない方法になりました。
更新が急に止まったら苛立ったラナーに何かされたと思ってください

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