魔物使いのハンドレッドクエスト   作:小狗丸

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第四十一話

「はい。操作終わりましたよ」

 

「おお……本当にステータスが強化されている」

 

「………」

 

「うん。ルルの、ステー、タス、数値、あがっ、てる。これで、ルル、強く、なった?」

 

 馬車の中でアルハレム、レイア、ルルはリリアによって操作されて能力値が底上げされたステータスを見てそれぞれ感想を漏らした。

 

 

【名前】 アルハレム・マスタノート

【種族】 ヒューマン

【性別】 男

【才能】 4/20

【生命】 1260/1260

【輝力】 0/0

【筋力】 29

【耐久】 30

【敏捷】 34

【器用】 32

【精神】 33

【特性】 冒険者の資質、超人的体力

【技能】 ★中級剣術、★中級弓術、★中級馬術、★初級泳術、★契約の儀式、★初級鞭術

【称号】 家族に愛された貴族、冒険者(魔物使い)、サキュバスの主、ラミアの主、グールの主

 

 

【名前】 レイア

【種族】 ラミア

【性別】 女

【才能】 3/44

【生命】 390/390

【輝力】 310/310

【筋力】 45

【耐久】 40

【敏捷】 37

【器用】 45

【精神】 42

【特性】 魔女の血統、人と化す蛇、魔眼貸与

【技能】 ☆身体能力強化、☆爪操作、☆尻尾操作、☆魔眼(眠り)、☆魔眼(麻痺)、☆魔眼(幻覚)

【称号】 酒を愛するラミア、アルハレムの従魔

 

 

【名前】 ルル

【種族】 グール

【性別】 女

【才能】 4/51

【生命】 410/410

【輝力】 440/440

【筋力】 39

【耐久】 42

【敏捷】 42

【器用】 41

【精神】 37

【特性】 魔女の血統、知識の遺産、教授の才能

【技能】 ☆身体能力強化、☆疾風斬、☆轟風剣、★中級剣術

【称号】 律儀な墓荒らし、アルハレムの従魔

 

 

 アルハレムは一回しかステータス強化をできなかったが、レイアとルルは今までの経験点が貯まっていたらしく、レイアは三回、ルルは四回とステータス強化ができて能力値も大きく底上げされていた。

 

「……まあ、何だ? 知ってはいけないことを知ってしまった気もするが良かったじゃないか、アル?」

 

「……そ、そうだな。ありがとうリリア」

 

 教会の最大の秘密である強化の儀式の秘密を目の前で明らかにされて複雑な表情を浮かべながらライブが言うと、同じく複雑な表情を浮かべたアルハレムは友人に頷いてからリリアに礼を言う。

 

「いえいえ♪ アルハレム様のお力になれて私も嬉しいです♪ ……それよりもアルハレム様に前から聞きたいことがあるのですが聞いてもよろしいですか?」

 

「聞きたいこと? 何だ?」

 

「はい。それは……」

 

 リリアはそこで一旦言葉を切ると笑顔から一転して人形のような無表情となり、光が点っていない無機質な瞳をアルハレムに向けた。

 

「三日ほど前からアルハレム様とライブ様が口にしている『ツクモさん』のことです」

 

「……………え?」

 

 無表情となったリリアに見つめられたアルハレムは、馬車の中の温度が一気に下がったような気がした。思わず身じろぎしそうになったが、両腕がレイアとルルによって拘束されて動きをとることができなかった。

 

「今までのアルハレム様とライブ様の会話から察するにツクモさんって女の方ですよね? 随分とアルハレム様に親しいように思われますが、一体どのような方なのですか? アルハレム様とはどのような関係なのですか?」

 

「………」

 

「我が夫、話、して。ルル、達、興味、ある」

 

「え、え~と……」

 

 サキュバス、ラミア、グールの視線にさらされて三人の魔女の主であるはずの魔物使いは蛇ににらまれた蛙のように固まり額に一筋の汗を垂らす。

 

(ちょ、ちょっと待て。何で俺、リリア達に責められるような目で見られているんだ? ら、ライブ、お前からもコイツらに説明を……)

 

「………」

 

 目線でライブに助けを求めようとするアルハレムだったが、肝心の幼馴染みの貴族はというと巻き込まれるのを避けるためか馬車の外の景色を眺めていて視線を合わそうとしなかった。薄情かもしれないが、この場においてはそれが一番賢明な判断だろう。

 

(こ、この野郎……!)

 

 無視されたアルハレムは一瞬ライブに怒鳴りそうになったが、すぐに気持ちを落ち着けると今も自分を見つめている三人の魔女達に正直に答えようとした。その時、

 

 

「むむっ? そこの魔女達はこのツクモさんに興味津々のようでござるな? いつの間にかツクモさんってば人気者なったみたいでござる♪」

 

 

 いつの間にかライブのすぐ隣に座っていた女性が、奇妙な語尾で話してからふざけた風に笑ったのだった。


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