魔物使いのハンドレッドクエスト   作:小狗丸

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第百八十一話

「それにしても今連れている美人さんはそこの三人だけか? さっき会った時はもっと大勢侍らせていたじゃねぇか?」

 

「他の皆はレムの所……今日泊まる所に帰らせましたよ。あの大人数だと人目がつきすぎてろくに歩けませんからね」

 

「はははっ! 確かにな。というかろくに歩けないどころか、妬んだ男どもに刺されるかもしれないな」

 

 バドラックはアルハレムの側にいる三人の魔女達を見ながら訊ね、それに魔物使いの青年が答えるとエルージョの騎士は機嫌よく笑った。

 

「まあ、立ち話もなんだし折角だから一緒に飲まないか? 同じダンジョンを攻略するライバル同士でも今くらいならいいだろ?」

 

「そうですね」

 

 バドラックの申し出にアルハレムは頷き、魔物使いの青年と魔女達はエルージョの騎士と同じテーブルにつくとこにした。

 

 その後アルハレム達とバドラックは同じ席で酒を飲みながら会話をしたのだが、そこでエルージョの騎士の口から出てくる話題はとても騎士らしくなく、どちらかといえば傭兵のような感じであった。しかしそれは「ギルシュの蛮族」と呼ばれるマスタノート家出身の魔物使いの青年も同じであるため、酒の席での会話は思いのほか盛り上った。

 

「アルハレム。お前、貴族様とは思えないほど話せるじゃねぇか?」

 

 会話をしている内に打ち解けたバドラックがアルハレムに元々砕けた口調を更に親しくして話しかける。そしてそれは魔物使いの青年も同様であった。

 

「まあ、俺の実家のマスタノート家は色々と特殊だからね。でもそれを言ったらバドラックさんこそ、こう言っては悪いけど騎士って感じがしないけど?」

 

 アルハレムの、聞きようによっては気を悪くしそうな言葉にバドラックは機嫌を損ねずに当たり前のように答える。

 

「まあな。俺は元々騎士じゃなくて探検家……と言えば聞こえはいいが、要は遺跡や秘境から高く売れそうな物をかっぱらって売り払う盗掘屋だったんだよ」

 

「探検家だった? それがどうして今はエルージョの騎士になったの?」

 

「あ~、それはだな……」

 

 バドラックはシレーナに聞かれると目をそらすが、やがて言い辛そうに答える。

 

「……実はな、今から何年か前にこことは別のダンジョンを一人で攻略したことがあってな。それでその時に手に入れたエリクサーをエルージョの大商人に高値で売りつけたら、その噂を聞いた貴族やら王族やらがやって来て、気がつけば騎士にスカウトされてたんだよ」

 

『………!?』

 

 バドラックから聞かされたダンジョンを攻略した事があるという昔話に、アルハレム達は思わず絶句した。


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