「そういえば自己紹介がまだだったな。俺の名前はバドラック。本職はエルージョの騎士なんだが、今は何の因果かこのワガママ娘のお守りをしている」
「僕の名前はマルコ。マルコ・ゾビン。バドラックさんと同じくエルージョの騎士で、アニーさんの護衛だよ」
黒髪の三十代の男、バドラックがアルハレム達に挨拶をすると茶髪の青年、マルコも挨拶をする。
「俺の名前はアルハレム・マスタノート。魔物使いの冒険者だ」
アルハレムがバドラックとマルコに自己紹介をすると、魔物使いの青年についてきた魔女と戦乙女の仲間達も続いて自己紹介をする。
「私はリリアと申しまして、アルハレム様の最初の魔女で種族はサキュバスです。そしてこちらの無口無表情なのがレイアで種族はラミアです」
「………」
「私、ルル。我が夫、に、従う、グールの、魔女」
「ツクモさんでござる。猫又の魔女でござるよ」
「私はアリスン・マスタノート。お兄様の妹で、私は魔女じゃないからね」
「私はヒスイと言います。私も魔女で、種族はその……霊亀です」
「アタシはシレーナ。貴方達がセイレーンと呼ぶ魔女だよ」
「ウィンさ。ワイバーンのドラゴンメイド、覚えておきな」
「ここにはいないけどあと二人、魔女の仲間がいる」
リリア達の自己紹介が終わってからアルハレムがアニー達三人に言う。ここにはいないあと二人というのはアルマとレムのことである。
本当の事を言うとアルマはロッドの姿でアルハレムの腰に差してあるのだが、何らかのトラブルが起きたときに備えて魔物使いの青年はインテリジェンスウェポンの魔女の存在を隠していた。ちなみにレムの方は飛行船で本当に待機している。
「前にあった時は仲間の魔女は一人だけだったのにこんなに大勢……しかも全員女性」
「へぇ……魔女だなんて滅多に見れないがこうして見ると全員、驚くくらいの美人ばかりだな。これは男としては本当に羨ましいな。ハーレムじゃねぇか」
「こんなに大勢の魔女を仲間にするだなんて本当に凄いですね」
アルハレム達の自己紹介を聞いてアニー、バドラック、マルコが驚きと羨望と呆れが入り交じった表情となる。それは遠巻きにアルハレム達を見ていた通行人達も同様であった。
「そして……」
そこまで言ってアルハレムは自分の懐から一枚のメダルを、ギルシュの勇者の証を取り出して見せた。
「俺もまた勇者なんだ。……ギルシュのな」
「………な、何ですってぇ!?」
アルハレムの言葉に今度はアニーが驚く番であった。