魔物使いのハンドレッドクエスト   作:小狗丸

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第百二十一話

 女神イアスから特別報酬としてインテリジェンスウェポンのアルマを与えられた次の日。アルハレムとローレンの一行は、アンジェラを引き取りに王都から来たライザック皇子が率いる騎士団と合流して、王都に帰る途中であった。

 

 そしてアルハレムと彼に従う魔女達が乗っている馬車の中では、リリアが二枚の光の板、ステータス画面を見ていてその内の片方のステータス画面を操作していた。

 

「ここをこうして、と。……うん。ヒスイさん、才能が二つ上がりましたよ」

 

「本当ですか?」

 

「やっぱりか、ちょっと見せてくれ」

 

 リリアが操作していたのはヒスイのステータス画面で、サキュバスの言葉に当人である霊亀の魔女とアルハレムがステータス画面を覗き込む。

 

 

【名前】 ヒスイ

【種族】 霊亀

【性別】 女

【才能】 2/42

【生命】 240/320

【輝力】 280/340

【筋力】 33

【耐久】 31

【敏捷】 34

【器用】 30

【精神】 36

【特性】 魔女の血統、拒絶の家と束縛の庭、不屈の魂

【技能】 ☆身体能力強化

【称号】 森の迷宮の核、復讐者、解放された魔女、アルハレムの従魔

 

 

「本当に上がっています。……でもどうしてでしょうか? この間の戦いでもあまり活躍できなかったのに?」

 

 ヒスイの言うこの間の戦いというのは、アンジェラとの戦いのことであり、アルハレムは霊亀の魔女の言葉を首を横に振って否定する。

 

「そんなことはないって。あの時はヒスイの特性のお陰で被害も出なかったんだから、その時に才能が上がるくらいの経験点が入ったんだって」

 

 才能を強化するには一定の経験点が必要なのだが、この経験点は敵と戦って倒す以外にも激しい訓練や得難い体験からでも得ることができる。ヒスイの場合はこの間の戦いで、アンジェラに操られた百人以上の女性を食い止めたことから才能を二回強化できる程の経験点を得たのだろう。

 

「それでアルマのステータス画面も操作してみたのですけど、アルマのは私の知っているやり方では才能強化ができないみたいです」

 

 そう言ってリリアはもう一枚の光の板、アルマのステータス画面をアルハレム達に渡した。

 

 リリアがヒスイとアルマのステータス画面を操作していたのはアルハレムの指示によるものだった。

 

 アルマのステータス画面を確認していたアルハレムは、このインテリジェンスウェポンも自分達と同じようにリリアの手で才能強化ができるのか気になり、あとついでにヒスイもそろそろ一回くらいなら才能強化ができるような気がして、リリアに二人のステータス画面の操作を頼んだのだ。

 

「こっちも予想通りか。ありがとう、リリア」

 

 アルハレムはリリアに礼を言うとアルマのステータス画面に目を通した。

 

 

【名前】 アルマ

【種族】 インテリジェンスウェポン「硬鞭型」

【性別】 女

【才能】 0/0

【生命】 300/300

【輝力】 300/300

【筋力】 22

【耐久】 500

【敏捷】 27

【器用】 28

【精神】 31

【特性】 魔女の血統、主従同時成長、自己再生機能、思考受信

【技能】 ☆身体能力強化、☆変型「魔女」、☆変型「軟鞭」、☆変型「長剣」、☆変型「槍」、☆変型「斧」、☆変型「弓」、☆変型「手甲」

【称号】 女神に創られた武器、アルハレムの従魔

 

 

「なあ、アルマ。この『主従同時成長』って特性は、俺が才能強化をしたり神力石を飲んでステータスを上げたら、お前もステータスが上がるってことか?」

 

「その認識で合っています。マスターのステータスが上昇すれば、自動的に私もマスターと同じステータスが同じ数値で上昇します。そして私はこの特性でしかステータスを強化することができません」

 

 アルハレムが自分の腰に差しているロッド、アルマに話しかけると柄尻の宝石から聞こえてくる女性の声が肯定する。

 

「そうか。うまくいけば効率よくお前を強化できると思ったんだけどな」

 

「申し訳ありません。マスター」

 

「いや、それは仕方がないと思うでござるよ? ……それよりもアルハレム殿? 王都に戻った後、ライザック皇子には気をつけた方がいいでござるよ」

 

 アルハレムとアルマの会話にツクモが口を挟むと、猫又の魔女は真剣な表情になって己の主人に忠告をしてレイアとルルもそれに頷く。

 

「………」

 

「ツクモ、の、言う、通り。あの、王子、我が夫、の、こと、凄く、気にして、た」

 

「……分かっているよ。ライザック皇子。あの人はちょっと危険だな」

 

 自分に従う魔女達の忠告に、アルハレムは昨日初めて顔を会わせたライザック皇子の姿と、昨日の彼の行動を思い出しながら答えた。


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