箱庭物語「バグだらけの世界で…」   作:青空 優成

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本当に遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
遅くなった要因としては、
僕はこのシリーズを書くにあたりシナリオ帳というのを作り、そこに伏線や、物語のシナリオを書き記していたのですが…、
それだけでは満足出来なくなってしまい、新たなネタを探していました。
そして、遂に良い感じのシナリオを思いついたので、再開した経緯でございます。
(とはいえ勿論、一度書いたシナリオを0にして新たなシナリオを展開する…ということではなく、どちらも踏まえた上でのシナリオに沿って展開します)





という訳で本章です。この本章から読むという方は初めまして、
多分本章からでも内容は分かると言えば分かる内容になっていると思います。
が___僕的にはやはり序章を読んだ上で、この本章を読むと、一段と本章の内容が分かりやすいし楽しめるのでは無いのかな?と思います。


という訳で、貯めに貯めたシナリオを放出する時が来ました。
ラストまで駆け抜けます!


本章__現実と箱庭の世界で!
本当の物語『新たなる目覚めと獅子』


「ん…ぁ?」

 

 

「起きたか…おはよう…スティーブ」

 

 

ハイラルの道端に突っ伏した形で寝ていたらしい俺は、目をゴシゴシと擦りながら身体を起こす。

その時、手が、四角くなく、しっかりと五本の指がある事に、

つまり現実の手だと言うことに気がつく。

 

 

「___っ!?」

 

 

目の前の髭の長いオジサンを失礼ながらもまじまじと見てしまう。

いや、何処かで見たような…

 

 

「ん?どうしたんじゃスティーブ…?ワシの顔になにかついてるかの?」

 

 

「え、そ、村長…?」

 

 

「ああ…そうじゃよ…」

 

 

ボヤけが収まり始めた目を凝らすと、

目に飛び込んできた光景に絶句してしまう。

 

 

「っ…あ…ああ…え…」

 

 

自分が居るのはマイクラなのか?と疑いたくなるほどにその光景は現実味を帯びていた。先程見ていた建物は真四角ではなくなり、現実的な見た目をしている、それは隣に寝ているアレックスも同様、真四角だった顔は、丸みを帯び、高い鼻、くりくりの目がそのまま反映されていた。

 

 

(な、なんか知らんが現実に戻ってこれ)

 

 

たのか。と言おうとして、言葉に詰まった。

隣にイケメンが寝ていたからだ。

 

 

「コイツって…タイガ…?」

 

 

そういえば、不可解な点が幾つかある。

それは、ここが現実だと仮定するならば、ここは1体何処なのか。

それと、何故村長が現実に居るのか。

それに装備品を見ると、アイテムもしっかりと残っている。

 

 

「ここは本当に現実なのか…」

 

 

「スティーブ…ここは現実であって現実じゃないんじゃ…」

 

 

村長が意味がよく分からない事を言ってきた。

 

 

「遂に。遂にボブの野郎…やりやがったの…」

 

 

その声は落胆と怒りが混じった一言だった。

はあ…とため息をひとつつくと、

 

 

「そこのアレックスとタイガも起こしてくれぃ…そしたら話そう」

 

 

俺はアレックスとタイガのほっぺをペチペチと叩いて起こす。

 

 

「んう?」

 

 

こほん、と村長が咳払いをして、話し始める。

「ふむ、お主らには説明せんといかんの…、

 

 

 

実は、この世界はもう既にマインクラフトではない。ボブの奴が現実と融合させてしまったからの…、そうじゃな、いうなればこの世界は異世界じゃの。それで現実と融合と言ったが文字通りじゃ、現実の人たちは全員こちらに転生されてしまったのじゃよ。そしてこの世界は多分、じゃが一応マインクラフト要素も残っているはずじゃ…が、現実と融合してしまったのじゃ、ガッツリは残ってないじゃろうな…。」

 

 

「現実と融合か…」

 

そういえばそんなような事をおばちゃんが話してた気が…

 

 

「なら僕の母ちゃんと父ちゃんは…!」

 

 

少し涙目のアレックスが村長に問いただす

しゃり、と髭を撫でて、村長は考える。

 

 

「ふむ、多分、居るじゃろうな…」

 

 

「おおおっ!ならまた逢えるんだね!父ちゃんと母ちゃんに!スティーブも会えるんだよ!タイガは…父さんと母さんは?」

 

 

うわあああんと喜ぶアレックスに対し、俺もそれを見て微笑ましいと同時に父と母に会えるのは嬉しい…が、タイガはあまり嬉しそうじゃない

 

 

「タイガ?」

 

 

「いや、気にすんな…良かったじゃねえかアレックス、スティーブ」

 

 

「あ、ああ…」

 

 

タイガの顔は何処か寂しげで、俺はもうその後に言葉を続けられなかった。

 

 

その時…

ジリンジリンジリーーーンと大きな鐘の音が鳴る。

 

 

「な、なんだ!?」

 

『敵に人間が、家族が…攫われたぁぁぁぁぁ』

 

スピーカーからそんな声が。

 

 

「人間が…攫われた………」

 

 

俺とアレックス、タイガ、村長が固まる。

 

 

「な……、てことはアレックスとスティーブの家族も…もしかして」

 

 

「「っ!!」」

 

 

「ちょっと落ち着くんじゃスティーブ!アレックスッ!」

 

 

村長の声を振り切って俺とアレックスは走り出す。

スピーカーの声の主が何処に居るのかは分かってる。

広場だ!

 

 

「くっ、俺も追いかける!村長はここに居てくれ!」

 

 

タイガはスティーブとアレックスの後を追いかけ走る。

 

 

「き、気を付けるんじゃぞぉ!」

 

 

村長の言葉はタイガは勿論、スティーブにもアレックスにも届いてはいなかった。

 

 

「はぁっ、はぁ…あ、居た!」

 

 

俺はスピーカーをもって「わあわあ」と騒いでる眼鏡をしたハゲのおっさんに走り寄る。

 

 

「?……だ、だr」

「何処だッ!!攫った奴らは何処だァッ!!」

 

 

いきなり胸ぐらを掴み、問い詰める。

「わあわあ」とまた違う意味で叫びながらも、俺が真剣で敵意は無いと分かると、少し落ち着き、ふるふるとハイラル街の外を指差す。

 

 

「あ、あっち逃げていった…、き、君はいったい…?」

 

 

「チィ…もう既に外へ去られたか…俺か…俺は…ゆう…いや、なんなんだろうな」

 

 

勇者と言おうとして、声が出なかった。家族を救えないで何が勇者だ…

 

 

「すていいいいいいいいいいいいいい」

 

 

「!?」

 

 

振り返ると何やら全力で近付いてくるタイガ。

 

 

「はあ…っ、はあ、おい、喜べ…お前ら家族…攫われてねえぞ!」

 

 

「!?は?!」

 

 

俺はすぐさまタイガの肩に手を置いて、

 

 

「どど、どういうことだ!」

 

 

「皆がゾンビみたいなの…多分ゾンビに攫われていくのを見て、すぐにそこの倉庫に隠れたんだって!今は村長の所に居る!」

 

「ほ、本当か!アレックス!」

「うん、戻ろう!」

 

 

先程とは違い、剣幕に満ちた顔ではなく、笑って走り出す。

半年ぶりくらいだろうか…。

家族に会うのは。

 

 

 

さあ、そこの角を曲がれば久々の家族!

 

 

「皆久しぶ___」

 

 

角を曲がって、飛び込んできた光景は、ライオンの仮面をしたムキムキの人間が、俺達の家族と村長を拘束している光景だった___

 

 

「な……父…さん、母…さ…」

 

 

「来ちゃダメェ!!」

 

1歩、恐る恐る近づこうとしたら、母親からのストップが入り、足が止まる。

 

 

「ぁー?てめぇら…勇者とか言われてる奴らガオ?」

「「勇者?」」

 

 

ライオン仮面が俺達を指差して勇者という単語を出すと拘束されている俺の家族とアレックスの家族から「は?」みたいな雰囲気が漂いだす。

 

 

「まぁ、んなこどうでもいいガオ、てめぇら、目障りなんだガオ、村人達に強制召喚された上世界を託された哀れな勇者共ォッ!」

「「は?」」

 

 

「ッせぇよどら猫風情がァ!家族の拘束を解けッ!」

 

 

家族拘束されている事と、小馬鹿にされたような発言で一気に俺の脳内は怒りで埋もれた。

 

 

「どら猫ォ?このライオンマスクがァ?じゃあ___」

 

 

「これはどうガオォッ」

 

「!?」

 

 

バババァン!!

とライオンマスクが振りかざした右手が地面に突き刺さり、地面が割れ、グラグラと地面が揺れる。

な、なんちゅう馬鹿力…なんてレベルじゃねぇぞコレ!

 

「で、デタラメかよ…」

「くっ!」

「何しやがったんだコイツ」

3人共、そのデタラメな力に圧倒され、怒りどころではなくなる。

 

 

「何が目的だ!」

 

 

アレックスがそう問うと、

 

 

「NPC、つまりそこの村人共ではなく、転送された人間共を生贄にする為に回収しに来たんガオ」

 

 

そして、仮面をしているので表情は分からないが、明らかに嘲笑うかのように、

 

 

「勇者様とやら、最終ステージで、待ってるガオォ」

 

 

「ま、待て!!!!!」

 

 

「待たないガオ」

 

 

ライオンマスクがパチン、と指パッチンをすると、ゾロゾロとリアルになったゾンビ達が湧いてきて、家族達を攫っていく。

 

 

「………黙って攫わせると思ってんのかァァァッッ!」

 

 

咆哮しながら、家族を攫うゾンビ共に無鉄砲にも突っ込もうと__

 

 

「じゃ★ま☆ガオ★」

 

 

___した瞬間、俺は宙を舞っていた。

 

 

(は?)

 

 

身体が宙を漫画みたいに婉曲を描きながら舞う…

何をされたのかも分からないが、口からは血反吐が飛び散る。

 

 

「ぐぼぁ」

 

 

ドンッ!と地面に思いっきり叩きつけられる着地をして、

もう1度吐血

 

 

「ゔっ」

 

 

横向けに倒れ込むと、そこには同じように横たわるアレックスの姿が___

 

 

(アレックス……)

 

 

「どら猫風情にやられるなんて、人間…って…なんなん?ほら、言ってみろよ、もう1度どら猫風情って言ってみろガオォオオ!」

 

 

(く…そが…)

 

 

どんどんと暗くなっていく視界の端には、ゾンビ達に攫われる家族の姿が映っていた____




やはり楽しい!この作品は処女作なのですが楽しい!
本章になってから少し、作風と言いますか、「」ばかりだった序章に比べて「」以外の部分を増やすようにしてみました。
もし「」中心の方が良い!という意見がある場合は遠慮なく申し付けください。
それではノンストップで書いてきます!
お疲れ様でした!

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