寄生少年の学園生活日誌   作:生まれ変わった人

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今回は宇田さんがなぜ、伊豆から来てるーちゃんを救出したのかの説明になります。

現在、大学のテスト中で書いてる場合じゃないというのに……

別作業中の片手間執筆でしたから、今回は割とダイジェストに、簡単な説明ぐらいしかないのであまり期待しないでください。

ただでさえ、日刊ランキングベストで3位とかいう予想さえしてなかった状況でプレッシャーががががが……

とりあえず、今回は暇つぶし的に見てください。


宇田とジョーの成り行き

伊豆から出たのはいつぶりだろうか。

新一くんに助けを求められ、それに応じたのが最後だったっけ。

 

あの時の探偵騒動から色々あったらしいけど、ぼくたちの方は至って普通に過ごしていた。

最後に電話した内容は新一くんが今住んでいる場所から引っ越して、新しい場所でやり直すことの報告だった。

 

その報告を聞いたとき、思い切ったことをしたと驚きはした。

 

でも、彼の事情を知っていたからこそ、その決定は僕にとっても喜ばしいことだった。

 

彼は高校生にして色んなことを経験した。

それも必要以上に、大人でさえしないような危険なことも、一生を左右しかねないほどに過酷なことも。

彼は経験し過ぎたのだ。

 

彼の周りで起こった事件は全て彼の住んでいる場所付近で起こったのも知っている。

だから、引っ越せば新一くんもやっと安心して暮らせるんじゃないかと思った。

 

パラサイトはどこにでもいるようだけど、最近は数もめっきり減ったようだし、そんなに警戒しなくてもいいだろう。

 

「運転中にニヤつくな。変人だと思われるぞー」

「気にするならお前も急に出てくるの止めろよ。今の職場でも結構ヤバいんだぞ」

 

だから、今のように運転してる最中に出てくるのは止めてもらいたい。

 

気紛れな同居人に呆れながら、レンタカーで高速道路を走る。

 

 

 

ぼくは宇田守。

 

数ある偶然が重なり、顎にパラサイトを宿した幸か不幸か分からない男。

 

僕は今、勤め先のホテルに有休を取ってもらって新一くんの元へ向かっている。

 

引っ越し祝いも兼ねてるけど、もっと大事な用がある。

 

だから僕は来た。

 

 

僕は、新一くんの復讐に関わった責任を果たすために。

 

 

 

 

 

 

 

伊豆から船に乗り、降りた後は予約していたレンタカーを借りて走らせること数時間。

あまり変わり映えしない周りの景色にジョーは飽きたのか偶に出てきては愚痴っていく。

 

鬱陶しいながらも退屈しないし、眠気覚ましにもなってたから、それほど注意はしなかった。

ただ、フロントガラスからはあまり見えないよう窘める。

 

後は、カーナビを勝手に動かしてテレビを見るくらいだ。

 

「くそっ、電波が不安定でノイズばっかだぜ」

「ここ、山間部だからな。街に出るまで我慢するか寝るかだな」

 

今、走っている場所は幾重にもトンネルが続く山間部。

一度は探偵の件で新一くんの所へ行ったけど、今回の訪問はそれよりも長い旅路となっている。

 

あまりの退屈さにカーナビでテレビを見ようとしたジョーは諦めて、後部座席にまで体を伸ばし、目玉を増やしてぼくのリュックをマジマジと見る。

 

「これを送るくらい宅配でいいだろ。何でおれたちが届んだよ面倒だぜ」

「宅配で送っていいものじゃないし、宅配で済ませるだけっていうのは不謹慎なんだよ。それに、これは新一くんにとっても大切な物なんだ」

「じゃあ新一に来させろ。前はオレたちが行ってやったんだから」

 

不満タラタラで体を元に戻し、ぼくの胸を手で付く。

それでも器用に目玉を車の先の方向へ、口をぼくの方へ向けてくる。

 

だけど、今回は譲らない。

いや、譲れない。

 

「今回は僕が行かないとダメなんだ。僕には新一くんの復讐に携わった者として、そして手を下した者としての責任がある。これは僕にしかできないことだ」

 

この言葉にジョーはマジマジと見ながら不思議そうに答える。

 

「人間の言う責任も分からねえな。誰からも押し付けられたわけでもないことをやろうなんざな」

「そういうものなんだよ。分かったらそろそろ引っ込め。街に出るぞ」

「おっ」

 

すっかり暗くなった高速道路で見つけた標識に僕が言うとジョーもいつものように平坦な返事も少し弾んでいた。

素直にあごの中に戻って行く相棒に苦笑しながら高速道路を降りた。

 

 

 

その日は夜も遅く、ジョーも不満ばっか言うから新一くんの住む街とは別の所のビジネスを取った。

ちなみに、予約電話はぼくが行っている時に運転はジョーに任せていた。

本当は色んな点で注意されるところだけど、色々と予定が押していたからその時だけ分担してもらっていた。

 

実を言うと、今回の件は急遽決まったことで新一くんには禄に連絡できぬままの出発になってしまった。

近くの街に行ったらホテルを取って連絡するつもりだった。

 

そのつもりだったけど、いざ、ホテルの部屋に入ると朝から休む間もなく移動した疲れがどっと出てしまい、意識が虚ろになりかける。

新一くんへの荷物を丁重に置き、シャワーを浴びて歯を磨く。

 

簡単に済ませるころには眠気がピークに達し、ベッドの上に倒れこむ。

もはや死んだような僕に対し、ジョーは姿を現してテレビのリモコンを取る。

 

「あまり遅くなるなよ……」

 

注意して返事が返ってこないのはいつものことだ。

 

でも、ジョーはいつも寝る時にはテレビも消すし、電気も消してくれる。

こういう細かな所は守ってくれるから案外上手くいけてると思っている。

 

目玉を出してテレビを見るジョーの姿を最後に僕の意識は闇に沈んだ。

 

 

 

 

朝の目覚めは中々にいい気分だった。

 

元から整備されたベッドと心地いいホテルの環境は疲れた僕を癒してくれた。

ジョーもいつの間にか寝ていたのかテレビも電気も消えてた。

ただ、リモコンくらい片付けろ。

 

眠ってるのか隠れてるのか分からない同居人は何も答えない。

 

いつもより反応が違うな……そんな遅くまでテレビでも見てたのか?

 

でも、寝てるならそれで好都合だ。

こいつが気紛れを起こす前に朝のバイキングでも食べよう。

 

一度だけ背伸びして寝間着姿のままその部屋を出た。

 

 

 

何だか、凄く静かだな。

廊下を渡ってエレベータに来るまで誰にもすれ違うことなかった。

 

こういう時ってホテルの従業員も起きてるんじゃないか?

 

そんなことを思っていると外からサイレンの音で溢れていることに気付いた。

この近くで事故でも起きたのかな?

 

そんなことを思いながら、少し寝過ごした朝ご飯を食べるために下に降りた。

 

 

 

 

 

下の階に降りてみたけど、誰一人として会うことは無かった。

何だか、この静けさはどこか不気味に感じるな。

 

平日なんてこんなものかな。

 

僕はそう思いながら朝ご飯を食べる場所まで歩いて行った。

 

そして、その食堂に入ったときから違和感を覚えた。

 

 

誰もいない。

 

 

不自然なほどに。

 

 

幾ら自分が相当に寝過ごし、朝食バイキング終了ギリギリに来たとはいえ、おかしい。

 

食堂に誰一人、影も形もないなんておかしい。

 

 

何だか異様な雰囲気に僕は寒気がした。

 

 

広い食事処もまるで時間が止まったように静かで、誰もいなくて。

 

 

き、きっと気のせいだよね。

平日は大体は仕事に行ってるはずだし、長期休業の時期じゃないよね、うん!

出しっぱなしにされた料理も手付かずなのはきっと従業員の人が補充した後に何か用があったからだ。

なら、時間も間に合ってるし、誰か来ても寝る前に渡された券を見せればいいか。

 

僕が料理を皿に盛って、適当な席について食べる。

その直前、横目で何かが通り過ぎるのを見た気がした。

 

(ん?)

 

只でさえ少し不気味だった所に人が来たという安心感から何かを見た方向に首を向けても誰もいない。

かなり遠くだったから見間違いだったかもしれない。

僕が見るころには誰もいなかった。

 

でも、誰かがいたような気配を確かに感じた僕は少し安心して目の前の料理に舌鼓を打とうとしたその時。

 

「おい」

「うわ!」

 

今まで寝ていたように静かだったジョーが唐突に出てきた。

 

普段は人が良く集まりやすい場所でも顔を出さないジョーだっただけに、突然の行動に肝が冷えた。

 

「おい! 何勝手に出てきてるんだよ!」

 

今は誰もいなかったからよかったものの見つかったら大騒ぎなんてものじゃない。

ぼくは反射的にテーブルの下に屈んでジョーを隠す。

 

「お前、何やってんだよ! こんなとこ人に見られたら―――」

「様子がおかしいぜ」

 

ジョーは神妙に、探るように言った。

急に何を言ってるんだか……そう思っていた時だった。

 

 

 

 

 

突然、外から爆音が鳴り響いた。

 

 

「っ!?」

 

突然の爆音と地響き、そして人々の悲鳴……その全てがホテルの近くで起きたことを肌で、耳で、全感覚で感じた。

 

今のフロアの窓からはホテルの庭園と囲いしか見えず外の景色を窺い知ることはできない。

ただ、今、外でとんでもないことが起こっていることだけは分かった。

 

「じ、事故か何かかな……」

 

急に、ぼくの生活に何の前触れもなく入り込んだ異常事態にジョーに聞く。

 

この時、ぼくはただジョーに否定してほしかっただけかもしれない。

「ただの事故だろ。ニュースでやってることが目の前で起きただけだ」って。

 

でも、ぼくの予感はそんな甘い言葉を否定した。

自分の中で否定と羨望がせめぎ合っているのを感じる。

 

この予感は何なのか。

ぼくが元々持っていた生物としての危機管理能力なのか。

 

それとも人生で積み重ねた経験則からなのかは分からない。

 

「おい、何か来るぞ」

 

そんな予感を押し出すようにジョーが何かに警戒し始めた。

ジョーが警戒する様子にぼくは当たってほしくなかった予感に肝が冷えた。

 

「な、何が……」

「黙って呼吸整えろ。慌てずに鼻で呼吸することに集中だ」

 

状況も飲み込めないぼくとは対照的にジョーは既に刃を出して臨戦態勢に入っている。

大きい目の先にはフロアの出口。

 

そして、曲がり角から微かに見える動く影。

 

「ひ、ぐ……っ!」

「落ち着け。こっちまで落ち着かなくなる」

 

自分の鼓動がジョーに伝わって文句を言われた。

 

でも、こんな状況で落ち着けだなんて無茶な話だ。

 

今、外の世界で自分たちの知らない惨状が起こっているのに。

外から絶えず聞こえてくる人々の悲鳴や泣く声。

 

不定期で聞こえてくる何か大きいものがぶつかる音。

 

明らかに外は異常だ。

窓と囲いの二つを挟んだ先で何かが起こっている。

 

パラサイトはともかく普通の人間なら不安にもなる。

 

ドキドキが止まらない中、動く影が少しずつ大きくなっているのが分かる。

 

こっちに近づいて来てる……っ!

 

 

外では何が起こっているか分からない。

こっちに向かってくる正体も分からない。

 

何もかも分からない状況の中でぼくたちは待ち構えることしかできない。

 

相手がパラサイトではぼくらに残された道は逃げることしかできない。

何故、襲ってくるかは分からないが、今は逃げるための心構えで精一杯だ。

 

そして、不定期な足音が聞こえた時、ぼくの緊張はピークに達し―――霧散した。

 

「え?」

 

曲がり角から現れたのは普通の人だった。

 

よく見かけるTシャツにジーパンを履いた男の人だ。

 

ただ、その人が普通でないことはすぐに分かった。

猫背で俯く人の顔辺りからポタポタと赤い液体が垂れていた。

 

外で起こっている悲鳴、連発する交通事故らしき爆音

 

この二つの状況と目の前の俯いて今にも倒れそうな人とを関連付けるのに時間は必要なかった。

 

この時、僕の中から緊張は消えていた。

 

その代わりに、目の前の怪我しているであろう人に対する心配にすり替わっていた。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

ぼくはその人の元へ駆け寄ろうと走った。

距離が空いていたからすぐには行けない。

 

そして、ぼくの手が届く距離にまでその人と近づいた時だった。

 

(止まれ)

 

ぼくにしか聞こえないよう耳元で小さい口を作って止まるよう言ってくる。

 

急なことで思わずぼくはジョーの言うとおりに止まってしまった。

でも、ジョーの行動は間違いなく迂闊なことであり、ぼくもそれにはあまり感心できなかった。

 

(何言ってんだよ! 目の前で人が怪我してるんだぞ!?)

(……確かにそうなんだけど、何か妙なんだよなぁ……)

 

目の前の人にばれないよう小声で話す。

 

ジョーがここまで警戒するのも、ぼくには少し分かる。

 

 

今日は朝から妙なことが起こりすぎているからだ。

 

人が消えたホテル

 

外から聞こえる人々の悲鳴に交通事故の爆音

 

 

そして、目の前の様子がおかしい人

 

 

正直、ジョーでなくても今の状況に警戒するのは当然かもしれない。

普通の人でも警戒するのは当然だろう。

 

 

でも、目の前で怪我している人を見過ごすのもぼくはしたくない。

 

 

迷っている思いが伝わったのか、ジョーが言ってきた。

 

(おれに代われ)

 

そうとだけ言うとぼくの了承も待たずにぼくの口の支配権を奪った。

あまりにも身勝手な行動に腹立たしく思う反面、いつもと変わらないペースのジョーにどこか救われる。

こんな異常事態の中だとジョーの行動でぼくもいつもの調子に戻れるから。

 

しみじみ思っていると、ぼくに扮したジョーが口を動かして男の人に話しかける。

 

「おいお前、外で何があった? その怪我はどうした?」

 

口調が乱暴だけど、無難だからセーフにしよう。

とりあえず、口調と少し大口になったり牙を生やしてること以外はバレる要素が無いから大丈夫だよな?

 

ジョーの問いに男は反応しない。

 

「怪我してるようだからおれが救急車を呼んどいてやる。そこらのソファーで横になってろ。ただし、絶対に動くな。おれが救援を呼んだら、そこから一歩も動かずに状況を説明しろ」

 

かなり警戒心を露わにして問いかける。

 

だけど、ジョーの要求に男は従うどころか反応すらしない。

 

ここまでくると不気味だ。

男に対して言い知れぬ気味の悪さを感じる。

 

それどころか、男はこっちに向かって歩いてきた。

 

「てめえ、人の話聞かなかったのか? こっちに来るんじゃねえ!」

 

ジョーが突き放すような警告を飛ばすが、歩みを止める気配はない。

不自然に足をもつれさせながら一心不乱にこっちに向かってくる姿に狂気すら覚える。

 

言い知れぬ恐怖に僕が後ろに一歩下がるも、男の前進の方が速い。

 

一歩

 

また一歩

 

 

ゆっくりと近づき、僕の手が届く距離にまで近寄ってきた。

 

男の呼吸は荒く、まるで獣のようだ。

それに、こっちに向けて手を伸ばしてくる。

 

 

意味が分からない。

 

だけど、それがよくないことだと分かる。

 

 

それでも動けない。

状況を受け止めるためにそれ以外の思考が止まったかのように。

 

 

いつの間にか外の喧騒が耳に入らず、動けないぼくの肩を掴んだ。

 

そんなぼくに男は―――血に濡れた歯を僕に突き立てて近づいてきた。

 

 

「あっ」

 

 

自分で思うほど間抜けな声だった。

 

何もかもが遅く、男の歯がぼくの首に触れるか触れないか、切迫した所まで近づいた時だった。

 

 

 

 

ジョーの刃が男の首を寸断した。

 

そこでぼくの世界は早さを取り戻し、ぼくもその場にへたりこんだ。

 

「ジョ、ジョー……」

 

呆然と、ぼくを助けてくれた相棒に声をかける。

 

目の前に転がる首と首のない身体からゆっくりと漏れるように滲み出る血液。

むせかえるような匂いがする中で、ジョーだけはいつもと変わらずの乱暴口調を続けながら刃を閉まった。

 

「こいつ、おれたちを食おうとしたのか……」

 

どこか不思議な物を見たかのように感心しているようだけど、ぼくにはそんな言葉も耳には入らなかった。

呆然とするぼくを放ってジョーは首を刎ねた男を冷静に観察する。

 

「こいつからは信号も感じられなかったからパラサイトじゃないんだろうけど、かと言って人間って感じでもねえ。まるで飢えた獣そのものだ」

 

「しかも、首を刎ねたってのに血の噴射が無かった……こんな出血のしかたからして心臓は既に止まっていたんだろうよ」

 

「それだけじゃねえ、見ろよ。こいつ、体の至る所に肉を抉り取られたような傷があらあ。一つや二つじゃねえ。これを見るに、歯型……か? まるで数人の人間から捕食されたかのようだ」

 

 

ジョーが首のない死体を動かしたり服を斬って身体を調べたりと冷静に、情の欠片も見せずに分析していく。

 

 

着々と現実を理解しつつあるジョーと違い、ぼくは心底恐怖していた。

 

 

「~っ!?」

 

そして、それは遅れたころに一気に心の中で噴きだした。

 

ぼくはさっきまで“死”という死神に連れていかれそうだった、という恐怖だ。

 

 

さっきまで見たのは、血に濡れた歯を見せてぼくに近寄ってくる至近距離からの光景。

死を間近に経験し、思い出し、呼吸も荒くなって足が笑い始めた。

 

寒気すら感じ始めた身体を両手で抱いて倒れないようにするのが精いっぱいだった。

 

 

怖い

 

 

恐ろしい

 

 

 

何が、どうなって……

 

 

誰も予想できない異常事態が現実となって牙を剥いたのだ。

こんな恐怖にぼくのような平凡な奴が耐えられる訳が無かった

 

呼吸をしていないと苦しくなる。

 

追い詰められ、胸の中で早まる鼓動と自分の早まっていく呼吸に意識がぶっ飛ぶ。

 

 

 

その直後、僕の顔が冷たい何かを浴びて意識を戻された。

そして、ぼくの前には伸ばした手で水が垂れているコップを持ったジョーだった。

 

「さっきから過呼吸になりかけてたぞ。少し落ち着け」

 

コップから垂れている水と、ぼくの上着が濡れていることからジョーに水をかけられたことなどすぐに分かった。

おかげでぼくは少し落ち着きを取り戻し、呼吸が整っていくのが分かる。

 

それと同時に、自分がさっきまで目の前で倒れている人に噛まれそうになったのを思い出した。

 

「この人、一体なんなんだ……」

「さあな。急に湧いて出てきた奴のことなんか分からねえが、一つだけ分かったことがある」

 

ぼくの胸に手を付きながら目玉をこっちに向ける。

 

「こいつはおれたちの敵だった。そして、殺らなきゃ殺られる。それだけだ」

 

淡々とありのまま起こったことを踏まえて何事もないかのように言うジョーの声には感情は無いものの冷酷さが滲み出ていた。

 

だけど、そんな彼に助けられたのは事実だった。

そして、外では得体のしれないことが起こっていることも。

 

「さっさとここからずらかろうぜ。ここにいても何もできねえからな」

「い、今からかい?」

「出来るだけ早くだ。これから飯食ってテレビで何かやってないか確認しなきゃならねえからな」

「はぁ!? お前っ、こんな時にご飯だなんて!」

 

いつもと変わらなさ過ぎて、少し緊張感が抜けてしまった。

 

相変わらずジョーは人間の何たるかを分かってない!

今、目の前で人の首を斬ったのを見せられて気持ちよくご飯なんて食べられる訳が無い!

 

そう思っていると、ジョーはぼくに目玉を伸ばしてきた。

 

「外では何が起こってるか分からねえが、災害かそれに似た何かが起こってるのは分かってんだろ? そこで飯が普通にある確証なんてねえ。今だからこそ食える時に食って行け。餓死寸前になってからじゃおせえぞ?」

「うっ……」

 

先を見据えたジョーの言葉にぼくも言葉が詰まった。

 

確かにそうだ。

外の悲鳴とか、何かがバンバンと囲いを叩く音は絶対にただ事じゃない。

 

それに、今さっきぼくはこいつに助けられたじゃないか。

 

ぼくを助けたジョーを信じずして誰が信じるんだよ。

 

「分かったよ……ちゃんと食べればいいんだろ……」

 

意を決して、ぼくは目の前の死体から臭う血の臭いに吐き気を覚えながら、それを押さえて食堂に向かった。

 

 

 

「肉ばっか取ってんな。炭水化物とミネラル、栄養を考えて食いやがれ。水分も適度にな」

「お前、こうしてるとなんか母さんみたいだな」

 

ジョーの母親気質のおかげで、ぼくはさっきまでの惨状と死体のことを忘れることができ、ぼくの心を落ち着かせてくれた。

 

 

 

 

「な、なんで……これは……っ!」

「こりゃ……驚いたぜ」

 

それから数時間後、全ての準備を終えたぼくたちが外に出たぼくたちを待ち構えている世界が、地獄に塗り替えられているとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

朝ご飯を食べた後、荷物を取りに行ってできる限りの食べ物を持って外に出ると、ぼくは外の地獄絵図に息を呑んだ。

 

街の至る場所から煙が噴き上がり、車も衝突した後に放置されているものばかりだった。

 

そして、人が人を食う異常事態。

 

 

パラサイトの件が無かったらぼくは正気を保てずに発狂していたかもしれない。

いや、もしかしたらホテルの時にぼくは死んでいただろう。

 

こうして、何とか正気を保っていられるのもある意味ではジョーのおかげなのかもしれない。

 

 

 

そして、ぼくらは今、荒廃した街の中を車で進んでいる。

 

 

 

 

 

「へー、すげえな。こりゃあ世紀末ってやつか」

「感心するなよ……ぼくだって何が起こっているのか……」

 

窓に手を置いて感心するジョーにぼくは強く言えなかった。

というより、凄く疲れたっていうのが本音だ。

 

だって、車を動かす限り、ぼくら以外に生存者はおろか、綺麗な外観を保った建物は存在しない。

どこの建物も、車がぶつかって壁が壊れていたリ、割れた窓には血がこびりついている。

 

そして、ぼくの気を滅入らせる大きな原因が……外にいた人々だった。

 

 

いや、正確には『ゾンビ』だ。

 

街の中を車で走る中、ぼくたちの車に向かって来ようとするのがいた。

 

ホテルで出会った、ぼくを食べようとした奴とまるっきり同じだった。

外に出たら、案の定、そんな奴らがウヨウヨと街中に溢れ返っていた。

 

 

たった一晩、しかも自分の知らない所で起こった惨劇の正体も原因も分からない。

ジョーがラジオを回してもどこの曲も電波が届いていない。

昨晩まで見ていたテレビは繋がっていたとジョーも言ってたから、事が起こったのは今朝がたなんだろう。

 

「なんで……ホテルにいたぼく達だけが気付けなかったんだろう」

「それだけ疲れが溜まってたってとこだろ。お前は昨日は一日中運転ばっかで座ってたからな、血流が悪くなっておれも疲労が溜まってたんだよ」

 

つまり、ぼくたち二人は疲れが溜まって、外の異変に気付かないほど熟睡してたってことか。

 

「でも、何でホテルの人たちまで……あんな……」

「近くで色々起こってたから野次馬根性で見に行って、巻き込まれたんじゃねえの? 人間てのは人の生き死に関わることを口で否定する割には、そういった事件を見たがったり聞きたがったりする生き物だからな」

 

呆れか関心か分からない口調を続けながら窓から見える、ゾンビを見つめる。

あの後、ホテルを出たぼくたちを待ち構えていたのは、地獄絵図だけでなく、ホテルマンの制服を着たゾンビの群れだった。

その制服は昨晩にぼくがフロントで見た物だったからよく分かった。

つまり、ホテルから消えた人たちはもう……

 

襲い掛かってくるゾンビたちは動きがのろく、ジョーだけで全て片付けることができた。

 

ちなみに、ゾンビの名称はジョーが付けた。

パラサイトでも人間でもない正体不明の相手を分別するためらしい。

名前に関して無頓着でいい加減なパラサイトでもこういう事態では臨機応変に行動する。

普段が普段のジョーでも、今回の事件でかなり働いている。

 

 

そう思いながら既に人気もない、交通事故や玉突き事故で塞がれた道をゆっくりと進めていく。

そのおかげで、目標の巡ヶ丘市まで後、数時間のところをかなり遅れている。

ボロボロになった車で塞がれた道路とゾンビの群れを避けながらの運転は大幅なタイムロスなのは間違いない。

 

そのため、目的地へ向かうにしても、街が荒廃しているためにこのままのペースでは十数時間、いや、下手したら数日はかかってしまいそうだ。

後部座席にあるホテルから調達したクーラーボックスの中の食べ物が無かったらやばかったかもしれない。

 

今、ぼくらは当初の目標通りに新一くんの元へ向かっている。

これもジョーの提案であり、ぼくも賛成だった。

彼曰く、こんな訳の分からない状況下における味方ほど頼もしいものは無い、とのこと。

 

 

こういう状況であれだけど、本当にジョーさまさまだと思った。

 

 

自分が如何に運が良かったのかを噛みしめていると、外でうろついているゾンビを見つけた。

既に街中で幾つも見てきてはいるが、どうしても慣れない。

 

その中に、年端もいかない子供がいるなら尚更だった。

 

子供のゾンビと、母親か父親かもしれない大人のゾンビが並んで歩いている姿にぼくは胸が痛くなり、鼻もツーンと痛くなって視界がブレた。

 

「なんだ? また泣いてんのか?」

 

ジョーが鼻をすする音に気付いてぼくのほうに目を合わせてきた。

 

「いや……あのゾンビ、まるで親子みたいで……こんな、こんな状況になって、可哀想で……っ!」

「ふーん」

 

ジョーにはぼくの気持ちは分からないだろう。

パラサイトにはこういった友愛とか思いやりというものがまるで無い。

 

いつも見るドラマでもジョーは冷静に見ては人の愛について理解できてない節がよく見られる。

そこはもうパラサイトだから、てことで納得した。

前に新一くんと連絡した時も、彼も既に諦めていた様子だったし。

 

 

でも、あの親子はあんな姿になるまでどんな気持ちだったんだろう?

 

子供を必死に逃がそうとしたのかな?

 

子供を守ろうと体を張ったのかな?

 

お母さんとお父さんがゾンビになって、悲しくなかったのかな?

 

 

 

考えれば考えるほど無念さが胸の中を掻きまわす。

 

もし、もしぼくがいたのなら彼らを救えただろうか。

たとえジョーが乗り気でなくても、ぼくが強行すればぼくの命を護るためにゾンビをやっつけて、あの親子だって救えたんじゃないだろうか?

 

いや、あの親子だけじゃない。

そこらに溢れるゾンビだって元は普通の人だったんだ。

もっと生きたかったはずだ。

 

 

ぼく、いや、ぼくたちには間違いなく彼らを救える手だてがあった。

ただ、間に合わなかった。

 

ぼくたちが眠りこけている間に彼らは命を落とし、ゾンビになってしまった。

 

 

 

こんなの、理不尽と言わなくて何なんだよ……

 

 

考えれば考えるほどどうしようもできなかった過去への後悔が頭の中で渦巻く中、ジョーが唐突に言った。

 

「お前が気にしても仕方ねえ。外の奴らは運が悪かった。それだけだ」

 

ある程度の気持ちは共有できるからジョーにはぼくの考えてることが伝わったのだろう。

だけど、簡単に済ませるジョーにやるせなさを感じた。

 

「分かってる、分かってるけど……」

 

分かっている。

 

ジョーが言いたいことは分かるし、事実、その通りなのだ。

だからこそ、ぼくはまた泣いてしまった。

 

 

 

 

言い返すことも肯定することもできない……どうしようもない事実に口を開けなくなっても運転は続けた。

 

「ん?」

 

しばらく進みながら、泣いていると、車の周りを見張っていたジョーが大きく目を見開いてとある一点を凝視し始めた。

何事かと思って聞こうとした時、ジョーの方から先に言った。

 

「今、あっちの方で人間が奴らに追われてたぜ」

「なっ!?」

 

急なことに車を揺らして急停止させ、ジョーの目と向き合う。

 

「まさか、生存者!?」

「十中八九そうだろうよ。まあ、かなりの数に追われてたから物量差でいずれは捕まって仲間入りだな」

「冷静に言ってる場合か! 助けないと!!」

 

こんな時まで呑気な口調のジョーに対して少しの苛立ちを抱くが、それよりも生存者を助けに行こうという気持ちが先行して車のドアに手をかける。

その瞬間、ジョーがぼくの手を押さえた。

 

「何するんだよ!? 早く行かないと殺されてしまう!!」

「熱くなり過ぎだ。お前、今の状況分かってんのか?」

「何がだよ!!」

 

抑えきれない気持ちが苛立ちとなってジョーにぶつける。

 

こうしている間にも生きている人が危険に晒されているんだぞ!

そう熱くなっているぼくにジョーが言う。

 

「仮に生存者を助けるにしても、奴らを撃退できるのはおれだけだ。つまり、おれたちの正体を見せることになるんだぞ」

「!?」

 

その言葉にぼくの熱が一気に冷めたのを感じた。

 

そうだ、ぼくは普通の人間じゃない。

脳を奪われていないとはいえ、ジョーというパラサイトと共生している変わり種だ。

そして、大量のゾンビを倒すにはジョーの協力が必要不可欠。

 

それを見られるということはつまり、ぼくたちがパラサイトだということを教えるようなものだ。

 

ぼく達の存在がバレる……その危険性は重々承知している。

それはつまり、軍隊によって処理されるか、捕まって実験材料にされるか。

 

 

もしかしたら、この騒動の元凶として見られる恐れもある。

 

確かに、危険は大きいし、恩を仇で返される可能性だってある。

 

 

 

でも、ぼくは簡単に諦めたくない。

 

それに、もう嫌なんだ。

 

 

目の前で助けられる命を見殺すようなことは。

 

「いや、ここはやっぱり助けた方がいいよ」

 

だから、ここは冷静に考えてジョーを納得させる言い訳を考える。

咄嗟に考えることだから気にいるかどうかは分からないけど。

 

「この状況下で生存者の話はとても貴重だ。この原因が分からなくても、少なくともぼくたちよりは情報を持っていると思う」

「……」

「ぼくたちはまず、少しでもこの状況を理解しないとダメなんだ。ここで生存者が死んでしまったら情報も聞き出せないよ」

 

多少の冒険は必要だ。

 

それに、こんな状況になった以上はパラサイトだの言ってられないはず。

ある意味、この状況下ではぼくらにあまり構っていられないはずだとも思う。

 

あまり感情論で攻めるんじゃなくて利点攻めでジョーに伝える。

 

「それに、もしぼくたちのことをバラしてもこんな状況では気が狂ったと思われるだけだよ。髪の毛を抜かせてもらった後はしらばっくれればそれでいい」

 

どうだ……っ!?

 

ジョーだってこの状況を少しでも理解したいと思っているはずだ。

それに、こんな時だからこそジョーもぼくの意見に思う所はあっても相当なことが無い限り協力するだろう。

いや、せざる得ないと言っていい。

 

これはぼくでも考えればすぐ分かること。

ジョーだって考えればこの考えに賛同する……はずっ!

 

内心は色々と不安で、思い付きに近い内容だけど。

 

 

「……」

 

 

ジョーは少し思案した後、ぼくの手を離した。

 

「速く走れ。死んでからじゃあ情報も何もねえぞ」

「お前のせいだよ!!」

 

素直に認めない辺り、こいつは本当にマイペースだ。

おまけにまるでぼくが悪いというかの口調に強めに返す。

 

 

だからこそ、こういう時ほどこいつが頼もしいと思うことは無い。

 

ジョーが100%の善意で人を助けるということは無い。

 

 

だけど、そのジョーが力を使って人を助ける、という事実にぼくは凄く頼もしくもあり、誇らしくもあった。

 

かと言って、感傷に浸っているわけにもいかない。

ぼくは車を降りてジョーの指さす方向へ全力で走る。

 

周りからは既にゾンビが湧き出し始めている。

まるで何かに呼び寄せられたようにぼくの元へ集ってくるゾンビの数は文字通り、数え切れないほどだ。

 

でも、恐れはない。

ぼくは今、逃げているために走っているわけではない―――生きている人を助けるために走っているのだ。

 

 

確かに恐怖はある。

 

尊い命を失ってしまうかもしれない、という恐怖が。

 

 

そして、そんなぼくの恐怖なんて―――

 

 

 

「そのまま走れ! 何があろうと、真っすぐにだ!」

 

 

相棒が斬り拓いてくれる!

 

ぼくを食べようとするゾンビの群れもジョーの刃に反応できていない。

ジョーの動きに比べればゾンビの動きなどハエが止まっているようだ。

 

多数で襲い掛かられようと、それよりも先にジョーの刃が目に映らない速度でぼくの周りを一回転

 

 

ゾンビたちの胴は真っ二つに切れてその場に倒れる。

 

 

そして、言われたとおりに真っすぐ突き進む。

 

 

この時、ぼくたちは二人で一つの存在だと強く認識した。

 

 

ジョーが切り拓き、ぼくが進む。

 

 

ゾンビなどまるで相手にしない動きを続けながらジョーは生存者の方向を見据える。

 

息切れと疲労感で体が重くなるのを感じるが、そんなものを気にしている余裕はない。

ぼくは力の限り、走って、走って、走っていると遠くから悲鳴が聞こえた。

 

 

女の子の悲痛な叫びが

 

 

 

年端もいかない、小さい女の子だと分かる幼く、舌足らずな声。

 

この瞬間、ぼくの頭の中から冷静さが消えた。

 

生存者はまだ生きていた。

 

そして、それがまだ小さな、さっきまで平和な日々を過ごしていた女の子だったのだ。

 

見ると、ゾンビたちが小さな泣き叫ぶ子供の髪を掴み、集団で囲っている。

ゾンビに理性が無いのは分かっている。

 

分かっているけど、こんなのを見て許せるわけがない。

 

断じて、許すわけにはいかないっ!!

 

 

何の罪もない無垢な子供を数の暴力で嬲る。

 

それがジョーの言う生物として妥当なやり方だとしてもだっ!

 

 

 

なら、どうする?

 

 

答えは決まっている。

 

 

 

 

 

 

助けを呼ぶ小さい子供を、大人のぼくが助けなくて誰がやるんだっ!!

 

 

「止めろおおぉぉ!!」

 

 

歯を立てて少女に噛みつこうとするゾンビに向けて、力の限り叫ぶ。

 

こんな時こそ思う。

ぼくの体力のなさが恨めしい。

 

少女を助けようと息が上がる身体に鞭を当てて、許せない敵へ走る。

それでも、距離が遠い。

 

たった数十メートル先が、長い、長い地平線に思える。

 

 

あぁ、歯痒い

 

 

手を伸ばしても、どんなに走っても

 

 

 

助けたい命に届くことができない

 

 

 

 

歯を突き立てられ、奴らに食われようとするまさにその時、

 

 

ぼくの伸ばす手を悠々と追い越していくものがあった。

 

「先に行くぜ」

 

 

ジョーが、相棒がぼくの届かない先の場所まで体を伸ばしていき、少女の元へ向かう。

 

人間の目に留まらず、まるで閃光のように少女の元へ馳せ参じて血路を拓く。

 

 

少女を殺そうとしたゾンビの尽くを一瞬で切り伏せ、掴まれて落下する少女を優しく包んで地面に降ろす。

 

やった、ジョー……っ!!

 

 

 

ぼくは口が塞がれながらも思いつく限りの心の昂揚をジョーに捧げた。

その瞬間、少女を間一髪で助けたことへの安心感で身体がまた重くなった。

走るのを止め、息絶え絶えになりながら歩みは止めない。

小休止を兼ねた歩みで既に何か話しているであろうジョーたちの元へ向かう。

 

呼吸を整えながら、あふれ出る汗をぬぐいながら。

 

 

訳も分からず、狂った世界の、地獄の中でぼくは進み続ける。

 

 

その先に待つ、助けられたたった一つの命の灯を目指して。

 

 

いつものように、憎まれ口を叩くであろう相棒とたった一人残された護り切った少女の元へ。




今回は前話までに起こっていたもう一つの話ということになってます。
このようにして、るーちゃんは危機を逃れました! 的な。

それと、少し宇田さんとジョーを美化して書いた部分があったと思いますが、違和感はできれば流してください。
宇田さん、めっちゃいい人。

そして、幼女とジョーがキャッキャウフフする微笑ましい絡みシーンを書きたいと思った私はもう既に末期です。

次回、舞台は新一サイドに戻ります。
宇田さんは話の途中で旅の経過を見せるくらいには登場します。

それでは、また次回お会いしましょう!

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