油断したら艦娘に拉致されました   作:断空我

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超絶、短い話です。

明日は長い話…そろそろ状況が動けるかも?しれません。

主人公、喰われた方がいいか?





4.二人

拉致されて三日くらい経過した。

 

あれから黒崎が話をしたのは吹雪と電、毎日のように遊びに来る金剛四姉妹達。

 

紅茶を飲んだり、外の世界について聞かれたりする。

 

世界についてといわれるとあまり知らないので黒崎は濁しながら色々と話す。

 

「そういえば」

 

隣へ腰かける吹雪へ黒崎は気になっていたことを尋ねる。

 

「バインダーを見る限りかなり多くの艦娘がいるみたいだけど、他の奴らは俺の所へ押しかけに来ないんだな」

 

「…まぁ、色々とあります、から」

 

「色々?」

 

「に、任務とかですよ。深海棲艦を倒すとか、資材を集めるとかいろいろなことがあるんです」

 

この時、吹雪は何かをごまかしているような感じがした。

 

けれど、それを追及する気分になれなかった。

 

さらにいえば、地雷を踏み抜いて厄介なことにならないかという恐怖がある。

 

まずは味方を作りある程度の状況把握に努めることだ。

 

金剛たちのおかげである程度の構造は理解できる。

 

後は海岸か出口さえわかればなんとかなるだろう。

 

そんなことを考えていると吹雪がジッとみていた。

 

「黒崎さん」

 

「な、なんだ?」

 

「いえ、何でもありません。そうそう、昼から黒崎さんに会いに来る方たちがいますけど………頑張ってくださいね」

 

「え、あ、あぁ」

 

この時、深く吹雪を問い詰めていたら。

 

あんな面倒な連中の対策位、立てられただろう。

 

 

 

 

 

 

 

昼頃、食堂へ迎えに来る艦娘がやってくる。

 

今回は全く知らない二人だった。

 

一人は黒髪に三つ編みの少女。もう一人は腰にまで届きそうな朱交じりの茶髪。二人とも同じ制服を着ている。

 

「雷装巡洋艦北上様だよ~」

 

「同じく大井です。よろしく」

 

のんびりした口調の北上とどこかきつい態度の大井。

 

この二人が迎えのようだ。

 

「そういうわけだからいこっかー、れんっち」

 

「…それ、俺の呼び名か?」

 

「そうだよ~。可愛いでしょ?」

 

「男に可愛さを求められてもなぁ」

 

「アンタ!北上さんが可愛いっていっているんだから感謝しなさいよ!」

 

急に大井が絡んできた。

 

面倒だと思いながら黒崎は立ち上がる。

 

「昼食、いくか」

 

「そだね~、鳳翔さんや間宮さんの料理、れんっちのおかげでおいしくなったよ~」

 

「そうですね、おいしいです」

 

あれから黒崎が作成したレシピを見た補給艦間宮達によって艦娘達は普通の食事ができるようになったらしい。

 

「あのドロドロを食べる必要がなくなって安心したよ~」

 

「そうですね、今はもうあんなもの食べたくありません」

 

「普通はそうだよな」

 

二人の女性に左右を拘束されている形で黒崎は食堂へ足を踏み入れる。

 

「あ、黒崎さん」

 

「間宮さん、うどん定食で」

 

「はい!腕によりをかけているので味わってくださいね」

 

微笑む間宮から定食を受け取り黒崎は椅子へ座る。

 

左右に北上と大井が腰かけた。

 

「何で俺の左右なの?」

 

「いいじゃんいいじゃん、両手に花だよ!」

 

「……まぁ、いいけどさ」

 

「北上さんの隣に座れるなんて光栄なのよ!喜びなさい!」

 

やけに絡んでくる大井とフレンドリーな北上。

 

間に黒崎がいることで今の関係だが、おそらく二人は仲良しなのだろう。

 

そんなことを思いながらうどんを味わった。

 

美味でした。

 

 

 

 

部屋へ戻るのだろうなと黒崎は思っていたのだが北上と大井の二人はどういうわけか風呂に入りたいと言い出したことによって浴場へ連行されていた。

 

「いや!俺はいいから!」

 

「…断るの?」

 

北上の提案に黒崎は断ろうとした時、動きを止める。

 

「れんっちは恥ずかしがりやなだけなんだよね?大丈夫。恥ずかしいのは最初だけだよ。北上さんも恥ずかしいからさ~」

 

「そうですよ。北上さんと入れるなんてすばらしいことなんですよ?おかしなことを考えずについてきなさい」

 

有無を言わせぬ空気。

 

黒崎は完全に油断していた。

 

抵抗できず服を脱がされて風呂へ入る。

 

二人とも体の成長は様々だが美人という事に違いない。

 

最初は戸惑っていた黒崎だが、今は諦めに近い受け入れで湯の中にいる。

 

左右にいる北上と大井は文字通り肌と肌が触れ合う距離だった。

 

腕に柔らかいモノを感じるが黒崎は無表情を貫く。

 

ここで反応をみせれば付け込まれる。そんな予感があった。

 

「いやぁ、まさかれんっちと入れるなんて予想外だったよ」

 

「全力で抵抗しても連れて行きましたけどね。北上さん」

 

「うーん、北上さんとしてはこういうことは少なめの方がいいんだけど、まずは色々と優位に立ちたいから仕方ないよね」

 

左右から物騒な会話が行われている。

 

黒崎は沈黙を貫く。

 

速く時間よ過ぎろ。

 

それだけの気持ちでいっぱいいっぱいだった。

 

しばらくして、北上が唐突に尋ねてくる。

 

「そういえば、れんっちってさぁ、彼女とかいたの?」

 

「唐突な質問だな」

 

「え~、教えてよ~」

 

「…いねぇよ。正確に言えば、いた、かな」

 

「いた?」

 

「高校に入ったくらいに女の子から告白された…いや、あれは告白というか脅迫だったな」

 

「脅迫?」

 

黒崎は話す。

 

嘗て、高校時代に黒崎へ告白してきた少女は地方の議員の娘で奴隷のようにこき使える男を探していた。そこに運悪く黒崎に白羽の矢がたった。

 

断ろうものならあることないことを吹き込んで学校を退学に追い込まれて家族も職を失う。

 

それだけは避けないといけない。

 

黒崎は大人しく彼女の奴隷になった。

 

それからは非道な命令に従うだけの人形。

 

暴力もしたし、犯罪まがいの事に手を出した気がする。

 

どこか自暴自棄になりかけた時に。

 

「(あの人に、出会ったんだよな)」

 

あんなことがあったからこそ、今の自分がある。

 

黒崎はそこだけが救いかと思っていた。

 

そんな話を聞いた二人の目から光が失われていた。

 

「へぇ」

 

「そんなことをした奴がいるんですねぇ」

 

「「それは許せない」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、テレビのニュース。

 

○○にお住いの女性(25歳)の死体が近くの海岸から発見されました。発見者が言うにはみるも無残な姿で発見されたことから警察は犯人逮捕により一層力を入れるといっており――。

 

 

 




さて、次はだれを出そう。

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