油断したら艦娘に拉致されました   作:断空我

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12.沢芽市へ

 

ボートを運転して侵入する。

 

本来なら自衛隊に封鎖されているのだが、シークレットルートというものがあった。

 

ユグドラシルが万が一に備えて残していたルートであり、街の端に出る。

 

侵入するときに使うことになるとは思わなかったと黒崎は思う。

 

「これからどうされるつもりですか?二人でユグドラシルタワーへ突撃するなんていいませんよね?」

 

「勿論、そんなことはいわないとも…そうだね。彼らの手を借りるとしよう」

 

「彼ら?」

 

「この街を守っている正義の味方達だよ」

 

「…ビートライダーズの連中ですか」

 

「嫌かい?」

 

「いえ…そういえば」

 

黒崎は気になっていたことを尋ねる。

 

「呉島主任はどうされたんです?こんな事態なら陣頭指揮をとっておられるかと」

 

「あぁ、彼は行方不明だ」

 

「行方不明!?」

 

「どこにいったのやら、困った話だ」

 

「…そうですか」

 

呉島貴虎なら…相談できたかもしれない。

 

溜息を零しながら戦極凌馬へ訊ねる。

 

「どうしますか?」

 

「彼らがいるガレージへ向かおう。おそらくこの街で今も救助活動を行っているはずだ」

 

「わかりました」

 

彼に同意すると目の前にインベスが現れる。

 

「おやおや」

 

「プロフェッサーは下がってください。ここは俺が処理します」

 

装着したままのゲネシスドライバーへドラゴンフルーツエナジーロックシードをはめ込んでタイラントへ変身。

 

ソニックアローでインベスを薙ぎ払う。

 

上空から上級インベスが襲い来るがソニックアローで撃ち落とす。

 

「とっと消えろ」

 

ゲネシスドライバーのハンドルを動かし、ソニックアローでインベス達を一掃する。

 

「流石だね。完成品とはいわないけれど…エナジーロックシードの性能を引き出している」

 

「どうも」

 

変身を解除して歩き出す。

 

「ガレージへ行きましょう」

 

「そうするとしようか」

 

 

 

道中、インベスの邪魔が入ったが全て黒崎が処理をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に嫌な空気だ。

 

黒崎廉太郎は揺れる車の中でしみじみと思う。

 

戦極凌馬は鎧武こと葛葉紘汰率いるアーマードライダーチームと共にユグドラシルタワーへ突入することを提案した。

 

決定したはいいが空気が悪かった。

 

何を隠そうその原因は協力を持ち掛けた戦極凌馬である。

 

彼はことあるごとにアーマードライダー達を逆なでするような発言ばかりをとっていた。

 

そのため、協力関係…というよりかは目的のために行動しているだけという空気になっている。

 

「それにしても、幽霊に会うなんて思わなかったな」

 

「いつの間に俺は死んだことになっているんだ?」

 

湊の言葉に黒崎は返す。

 

「貴方、何も知らないの?」

 

「どういうことだ」

 

そこからは衝撃の事実だった。

 

黒崎廉太郎は既に数か月前に命を落としているという事。

 

驚くことに歯型が一致しているとまできた。

 

「……そこまでやったのかよ」

 

「ちなみにやったのはプロフェッサーよ。理由も聞く?」

 

「なんとなく想像がつくからいい」

 

艦娘達が手にした資材で研究をしたかったのだろう。研究者という人間がますます嫌いになりそうだった。

 

「…なぁ、アンタ」

 

「黒崎廉太郎だ…葛葉紘汰だったな。何だ?」

 

「その、どうして戦極凌馬と一緒に行動しているんだ」

 

車に乗り込む前から葛葉と黒崎は会話をした。

 

どこか似ていたからだろう。

 

データでしか彼を見たことがなかった黒崎だったが、話をしてみて良い青年だという事は理解した。

 

さらにいえば、似ていた。

 

呉島貴虎とどこか似ている所があった。

 

葛葉紘汰も黒崎廉太郎の事が気になっていた。

 

湊やシド、戦極凌馬と違って他人を守る為に戦っている気がした。

 

彼らも戦うがどこか自分の目的のためという節があった。

 

故に彼が戦極凌馬と行動していることに強い疑問があるのだ。

 

「利害の一致だよ」

 

「え?」

 

「とある場所にいて、そこから逃げる為にこれの力が必要だった。ほしかったら協力しろと持ち掛けられそれに応じた」

 

「飼い犬だな」

 

離れたところで話を聞いていた駆紋戒斗が小さく笑う。

 

「なんといわれようとかまわないさ。今回は仕方ないが信念がある奴の下ならなんだって従うさ…俺にできることをする」

 

「フン」

 

「葛葉紘汰」

 

「な、なんだ」

 

「お前は人を守る為に戦うといっていたな」

 

「あぁ」

 

「そうか」

 

「な、なんだよ」

 

「なに、少し興味が出てきただけだ…さて」

 

車が急停車する。

 

黒崎は事態を理解して叫ぶ。

 

「敵襲だ。お前達はここからでるな」

 

「え!?」

 

「無駄な体力を使う必要はないってことだ。俺が追い払ってくる」

 

「貴様一人でできるのか?」

 

戒斗の問いに黒崎は笑う。

 

その笑みは肉食の獣が相手を狙う者と同じ瞳だった。

 

「あの程度の雑魚なら俺一人で問題ない」

 

ゲネシスドライバーを腰に巻いて黒崎廉太郎は外に降りる。

 

そこには下級インベスと上級が三十体以上いた。

 

「…いけるか」

 

ドラゴンフルーツエナジーロックシードをベルトにはめ込んで変身する。

 

地面を蹴り、下級インベスをソニックアローの刃で切り伏せていく。

 

上空から敵が迫るのを見ながらエネルギー矢で撃ち落とす。

 

後ろから迫る敵に対して振り返らずにソニックアローを撃つ。

 

十五分足らずで三十体以上の敵が消え去る。

 

「…嘘だろぉ」

 

「プロフェッショナルね…メロンの君に及ばないけれど」

 

「おいおい…あんな奴がユグドラシルにいたのかよ」

 

「すげぇ」

 

「ドライバーの性能を百パーセント引き出している…流石だよ」

 

全員がタイラントリペアの実力に驚く中、葛葉紘汰と駆紋戒斗の二人は沈黙を保っていた。

 

敵がいないことを確認してタイラントリペアは車へ戻る。

 

変身を解除した際、小さな電撃が起こるが、彼は気づかなかった。

 

「すっげぇな!アンタ!」

 

ザックが黒崎へ駆け寄る。

 

「本番はこれからだからな、無駄な体力消費は抑えないと」

 

「腕は衰えていないようね」

 

「あぁ」

 

「口だけの男ではないようだな」

 

「…どうも」

 

戒斗の言葉に黒崎は短く返す。

 

「てか、アンタみたいな即戦力がいながらなんでユグドラシルタワーが占拠されるんだよ」

 

「色々あった」

 

「まぁ、女の子に拉致されていたら仕方ないよね」

 

「は?」

 

首を傾げる城之内。

 

「とにかく!先を急ぐわよ」

 

車は再び走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走り出して数十分後、車は派手に横転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、大丈夫か!?」

 

「な、なんとかぁ」

 

紘汰はみんなの無事を確認してから周りを見る。

 

そこには無数のインベスが現れていた。

 

「流石に数が多いな」

 

「こりゃ、俺達もやらないといけないな」

 

数を見た黒崎にザックがドライバーを取り出す。

 

「よし、行こう!」

 

紘汰の叫びに全員がドライバーを装着する。

 

『オレンジ』

 

『バナナ』

 

『クルミ』

 

『ドングリ』

 

『ドリアン』

 

『ピーチエナジー』

 

『ドラゴンフルーツエナジー』

 

それぞれが変身と叫んでドライバーにはめ込む。

 

『オレンジアームズ!花道オンステージ』

 

『バナナアームズ!ナイトオブスーピア』

 

『クルミアームズ!ミスターナックルマァァァン』

 

『ドングリアームズ!ネバーギブアップ』

 

『ドリアンアームズ!ミスターデンジャラァァァス!』

 

『ピーチエナジーアームズ』

 

『ドラゴンフルーツエナジーアームズ』

 

音声が響きながらそれぞれが変身したアーマードライダーは武器を構えてインベスとの戦闘を始める。

 


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