SAO ~ソードアークス・オンライン~外伝 The・Start-前日譚-   作:羽山飛鳥

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大変お待たせいたしました…!!

今回は出会い編ではなく幕間の話です。どうぞ!


章の間 天断アギト ~Sever the heavens~

これは出会いから少し外れた物語…

 

 

章の間 

天断アギト

~Sever the heavens~

 

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惑星ウォパル

海岸エリア

 

「ここが、最近見つかった新惑星のウォパル…本当に見渡す限り海だな…」

 

シンキがチームに加入し、ペルソナはよりにぎやかになった。

 

ミケが暴走し、コマチが倉庫を埋め、シンキがセクハラを行い、オキさんが叱り、俺がツッコむ。

 

ミケはチームメンバーではないけどなんだかんだで協力しているあたり半分メンバーみたいなものだ。

 

あれから俺たちは活動が認められ、ナベリウスの奥地、凍土を越えた先にある遺跡エリアに立ち入ることを許可された。

 

それと同時に新たな惑星、水に覆われた惑星「ウォパル」が発見された。本格的な立ち入りはまだ出来ないが、事前調査のために各クラスから代表として数名アークスが降り立ち、事前調査を行うことになった。

 

「・・・で、アザナミさん。なんでまだ新人の俺が事前調査組の一人になってるんですかね」

 

俺ことハヤマもなぜか、ウォパルの事前調査メンバーの一人として数えられ、ここウォパルの海岸エリアに同じブレイバー代表のアザナミさんと立っている。今回ペルソナでここにいるのは俺だけだ。このことをメンバーに伝えたところ・・・

 

 

以下回想

 

 

「おう、土産楽しみにしてるぞ」オキさん

 

 

「素材言い値で買うぞ」こまっちゃん

 

 

「金目のものを期待してるのだ」みけちゃん

 

 

「水に覆われた惑星なのよね?そして行くのは海岸・・・水着、つまり(ry以下自主規制」シンキ

 

 

とまぁこんな具合だった(シンキはしっかりハリセンでぶったたいといた)

 

 

回想終了

 

 

話は今に戻る。

 

「仕方が無いだろー?ブレイバーがアークスのクラスとして本格運用されたのは君らがアークスになったとほぼ同時なんだから。それ以前、候補生時代からずーっとほぼカタナ一本とはいえブレイバーの武器を扱い続けてる君は十分ブレイバーの代表に選ばれる実力を持っているんだよ」

 

「そうは言いますけどね・・・俺より戦闘経験豊富な人たちの方がいいんじゃ?ブレイバーとしては経験は上かもしれないですけど、全体的な経験は明らかに先輩方の方が上のはずですよ?」

 

新惑星の事前調査なんてそれこそ全てが初見の事ばかりだ。それならやはり場数を踏んだベテランたちに任せたほうがいいはずだと思う。

 

「最近アークスの中でも君たちペルソナのメンバーは高い評価を受けてるんだけど、知らないのかい?」

 

「いや・・・シンキに聞いてましたけど」

 

俺たちとしては正直好き勝手やってただけだから実感が無いんだよな、噂されてるって言われても

 

「今回ブレイバーの代表に推薦したのは私なのさ」

 

「アザナミさんがっ!?」

 

「そ、私が代表として君を選んだのさ、これから先こう言った機会は君たちの実力なら絶対依頼が来るだろうからね、なれておいて損はない。それに聞いた話だけど、どうも最近武器が追いついてないらしいじゃないか?」

 

「・・・良く知ってますね」

 

ここ最近俺は火力が伸び悩んでいる。と言うのもオキさんたちのクラスは長いこと運用されており、すでに多数の武器が開発されている。

 

アークスの武器には幾つかランクがあり、コモン(青星)、アンコモン(緑星)、レア(赤星)、Sレア(金星)、と大体4ランクに分かれて武器が開発されており、それぞれのランクの中で更に3段階の性能分けがされている。数字で表すとコモン1~3、アンコモン4~6、レア7~9、Sレア10となっており、現状星10が最高装備なのだ。

 

最近運用されだしたブレイバーは武器開発が追いついておらず、また今までの武器とも特性が違うため開発が思うように進まない状況が続き、現在赤星ランクまでしか製作されていない。オキさんたちは大体すでに星10ランクの装備を使っているので俺だけ攻撃火力が目に見えておいてかれ始めたのだ。

 

「星10ランクの装備は現状ブレイバーには無いけど、ここウォパルで手に入る資材で武器開発が進むかもしれないだろ?事前調査とはいえ、手に入れた資材なんかは手に入れた人の物になるから、ハヤマ君の武器も星10ランクのものに交換できるかもしれないよ?」

 

「簡単に行くとは思えないですけどね・・・」

 

星10装備は現状素材がかなり希少でめったに入手できない。みんなはかなり全力で素材集めしていたからこそ全員星10装備を持っているが。

 

「なんにせよ来ちゃったんだし、頑張ろう、何とかなるって!」

 

アザナミさんが俺の背中をバンバンたたきながらそう言う。

 

「取りあえず各自散開して探索だから、今から4時間指定された範囲をマッピングしながら進むように、エネミーも出るだろうから注意しなよ?」

 

「分かりました。それじゃあ4時間後に」

 

こうして俺は単独で探索をする事になったのだった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

-----

 

「地面にもぐったり、姿が見えなかったり、めちゃくちゃな敵ばっかだな・・・!新手のダーカーもいるし!」

 

この惑星の原生種と思われるエネミーや、今までに見たことが無い鳥のような見た目のダーカーと戦いながらマッピングを進める。しかし今までとは違い自分で敵の情報を得ながら戦わないといけない為かなり消耗戦になってしまった。攻撃力もかなり高く、何度か武器でガードをしたがかなり悲鳴を上げていた。

 

一息つけたのでちらっと今使っているカタナ<サリザニア>を見る。腕を覆うほどの大きな盾とそのサイズに合わせて作られた剣のセットで作られた抜剣で現状攻撃力防御力共に最高クラスを誇るカタナだ。しかし、ここ最近の戦闘でかなり無茶をさせ過ぎたのか、少し傷や欠けているのが目立つ、剣の方も攻撃力が追い付いていないこともあって少しブレード部分のダメージがひどいようだ、フォトン刃の武器なので多少なら問題ないが、この惑星での戦闘でかなりボロボロになってしまったらしい。

 

「・・・無茶させすぎちゃったな。さて、後持ってる武器は・・・」

 

敵がいない今のうちに武器の整理をしようとしたその時。

 

ザバァン!と海から大きな水しぶきがあがり、海面から巨体が飛び掛かってきた。

 

「っ!?」

 

完全な不意打ちでなんとかとっさにサリザニアでガードできた物の・・・

 

バッキィ!!

「んなっ!?壊れ・・・ぐっはぁああ!」

 

ボロボロだったサリザニアでは受けきれず盾にひびが入って壊れてしまった。当然攻撃を抑えきれず飛び出てきた巨体の繰り出してきた攻撃をもろに受けて吹っ飛ばされ、地面にたたきつけられる。

 

「ちぃ・・・!!」

 

すぐに飛び上がり攻撃してきた巨体を見る。巨体は頭に青い2本の角、背中に青い一本のラインが尻尾まで伸びており、途中には2本の青い背びれがあるそれ以外の部分は基本的に黒で、紫色の模様があるように見える、腕は紫色の甲殻のような物が覆っており、攻撃力が高そうだ。

 

(どうする…主力武器は壊わされて他の武器も出してる余裕がない、一瞬でも隙を作れれば、しまってある武器を取り出せるんだが…)

 

状況を整理するために思考を続けてるがいかんせん打開策がない、そして敵も待つはずがなく容赦なく攻撃を仕掛けてくる、どこから取り出したのやら大岩を持ち上げ投げてくる。かなり弾速が速い

 

「くっそ…!」

 

俺はそれを左側に転がる形で避ける、敵はその巨体では出せるとは思えぬ素早さで飛び上がり回転しながら両腕を地面に叩きつける、回避したばかりで少し動きが遅れた俺はなんとか直撃は避けるも余波で生まれた衝撃波に飲まれて吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐあぁっ!カタナがありゃカウンター仕返してやるってのに…!!」

 

体勢を立て直せてはいるものの完全に押されている。武器も出せない、完全に後手後手の状態が続き、このままじゃ押し切られてやられる。

 

(こうなれば一か八かだ…!あいつの攻撃に合わせて背後に強行突破しながら仕舞ってる装備を引っ張り出す…!)

 

敵に対し一直線に突っ走る、どうやら奴は俺を爪で引っ掻こうと考えているようだ…。

 

(けど、チャンスだ…!)

 

間合いに入る直前に一度後ろに下がり、敵が腕を空振りした隙に大きく迂回する形で背後に回りながら仕舞っていたバレットボウ<アルテイリ>を引っ張り出し装備する、そのまま距離を取りながら背中の矢筒から矢を一本抜き、番え、フォトンを込めながら弓を引き絞り、敵が振り返った瞬間に合わせて、

 

「喰らいやがれっ!!」

 

バレットボウのPA<ペネトレイトアロウ>を放つ、この技は貫通性能を持っており、敵の顔面に直撃したフォトンがそのまま体を貫通していく。敵は顔を両手で覆い、まるで痛がっているようにもがいた。

 

「うっし!オキさんに怒鳴られてほんとに少しだけど弓の練習したかいがあった!!」

 

以前ミケを助けた際に弓をもってすらいなかったことがオキさんたちにばれて、その後正座させられてこっ酷く叱られた。

 

『せっかくそのクラスで使える武器なんだから有効活用しやがれこのアホ!』

 

とすごい勢いで怒られたものだ。

 

それからは念の為に弓を持ち歩いて、たまに射撃訓練も行っていたのだ。

 

「けど、やっぱ弓は向かねーや、いちいち貯めて放たなきゃならんし、ステップからの攻撃は蹴るしかないから隙がでかいし…」

 

そもそも俺がカタナを好んで使う理由は機動力の高さだ。素早く防御に移行でき、ステップからの攻撃も繋げやすく、PAも連撃を意識した構成を組みやすい。大技による一撃のロマンもわからなくはないが、俺は基本的に手数で圧倒する戦い方の方が得意なたちらしい。

 

なんて考えてる間にも俺は手を止めない、矢を番え、今度は拡散するフォトンをイメージし、貯め、放つ。放った矢はフォトンとなり、5つに分かれ、敵の無防備になっている腹に吸い込まれるように向かっていく。PA<マスターシュート>だ。

 

腹を攻撃されて怒ったのか再び大岩を持ち上げ投げてくる。その技はもう見切った。初動の段階で横に移動し、岩を回避。それに合わせて矢を番え、今度は斜め上、空に向かって弓を引き絞り、放つ。敵に向かわず見当違いな方向に飛んでいくがこれでいい。このPAはそういう技だ。

 

敵は先ほどの飛び上がり攻撃をしようとするがその直前に上空から大量の矢が降り注ぐ、これが先ほど撃ったPA<トレンシャルアロウ>だ。

 

背中に無数の矢が刺さる。そして連続して降り注ぐ矢に耐え切れず背びれが壊れる。どうやら案外脆かったようだ。

 

完全にキレたらしい奴は二本足で立ち上がり胸のあたりを叩き出した。どうやら鼓舞しているらしい。が、

 

「んなことやってる暇があったら、攻撃するんだったな…!!」

 

俺はすでに新しい攻撃を貯めていた。宙返りしながら弓を構え、チャージする、自分自身を矢としている感じだ。そして勢いよく頭から、

 

「飛んでいくってなぁ!!」

 

PA<カミカゼアロウ>どんな原理で飛んでるかなんて聞いてはいけない、フォトンは万能なのだ。まっすぐ奴の頭に突撃し、頭突きをお見舞いする、そして思いっきり体を捻り、蹴っ飛ばして離脱する。空中に浮いて無防備だが敵も頭打ち抜かれ仰け反って弱点を晒している状態、そしてこの状況なら、

 

「俺のほうが速いっ!!」

 

地面に落下しながら再びPA<マスターシュート>を腹に撃ち込む、そして地面に着地し、そのまま敵に突っ込んでいって腹を蹴り飛ばす。

 

「くたばりやがれ!!」

 

キレイに腹に蹴りが刺さり、敵は腹を抑え、悶えながら倒れ込んだ。そしてそのままぴくりとも動かなくなった。

 

「…ふぅ、何とかなったか。げっまた暗くなってきやがった」

 

一息つき、安心していると突然辺りが暗くなり夜になる。どうやらこのウォパルという惑星は昼夜が滅茶苦茶で、すごい速さで昼と夜を繰り返しているのだ。敵の動きも昼と夜で変わるので、結構苦戦した理由の一つだ。

 

「くっそ、カタナ壊されたのはきついな…サリザニア、あんまり俺向きのカタナじゃなかったとは言え、現状最高クラスの攻撃力の武器だったってのに…」

 

サリザニアはさっきも説明したが腕を覆うほどの大きな盾とそれに合わせた剣で構成されたカタナだ。大きさゆえに防御もしやすく、一撃もダメージが出やすいのだが、大きい故に機動力が削がれてしまうため、あまり俺が得意とする戦い方ができない武器だった。とはいえ、武器開発が進んでいない現状、贅沢も言っていられず、この武器しか選択肢がなかったのだ。

 

とその時、

 

「うわっ!?」

 

突如今倒した敵の体を貫通しながらレーザーのような水流が襲いかかってきた、軌道がずれていたので奇跡的に俺を貫くことはなかったが、手に持っていたアルテイリを吹き飛ばされてしまい、しかも海上に飛ばされたため取りに行けない。

 

「不意打ち多すぎるだろ…くっそ!武器全部失うとか!!」

 

すぐに敵の死体から飛びのき、攻撃が来た方向を見る。

 

そいつは今戦っていた奴にそっくりだった、ただ青かった部分は全て赤くなっており、角やヒレはより鋭利に発達し、腕の紫色の甲殻も黄色に変色し、よりゴツくなっていた。

 

「まさか、さっきの奴のレア種…!?」

 

時折エネミーとの戦闘に置いて同じ種のエネミーが戦闘終了直後に現れる事がある。探索中などに発生するエマージェンシートライアルといった物ではたまに発生するものだ、それが…

 

「チェンジオーバー、コール、アタック…てか!」

 

今回は正規の調査じゃないからかトライアル発生のアナウンスがないが、とりあえず状況を例えるならこういう事だろう。

 

(後ろは海、横に避けるにしても、武器が完全になくなってさっきの戦闘ダメージも残ってる、まともにやり合えない、積みか…?)

 

新たに現れた敵は余裕なのかゆっくりのしのしと歩きながら接近してくる。対してこちらは主力武器、サブ武器ともに失い完全に戦闘能力がなくなってしまった。

 

「…くそっ」

 

そんな時、脳裏にオキさん達の姿が浮かんできた。

 

声がでかくて、荒々しい時もあるけど、根は優しいこまっちゃん。

 

いつも自由で、ボケまくって、けどしっかり皆の事考えてるミケちゃん

 

下ネタかましたり、セクハラしたりするけど、どこか母性感じるシンキ

 

面白いことが好きで、割とノリで突っ走ったりするけど、頼れるリーダーオキさん

 

皆のことが浮かんでくる、走馬灯…って奴なのだろうか。

 

「…冗談じゃない」

 

冗談じゃない、こんなとこで終わってたまるか、せっかく得た絆を、こんなところで、こんな奴に…

 

「奪われてたまるか…っ!!諦めてたまるか…っ!!まだ始まったばかりなんだ、これからなんだよ…っ!!だから、だからっ!!」

 

心を強く持て、諦めようとした心を捨てろ、強く抗うんだ。足に力を入れて、強く構える。

 

「終わってたまるか、お前なんかに終わらせられて、たまるかぁあああああああああああああああああああ!!」

 

吠える、今に抗うために、皆のところに戻るために!

 

その時、

 

カチャッ…

 

気合を入れるために力を込めた足になにか棒状の物が当たった。どうやら砂の中になにか埋まっているようだ。敵の動きを見逃さないようにしつつ、当たった方の足を振り、物があるあたりの砂を退かす、そこにあったのは、

 

「…刀?」

 

茶色をベースとした趣向を凝らした鞘には紫色の下緒が結んである。目貫や柄巻などがボロボロで柄部分は完全にダメになっているように見えるが、なんで刀が放置されているのだろうか…。

 

なんて思っていたらついに奴が突進してきた、俺を爪で引っ掻こうとしているらしい。

 

「ええい、ままよっ!!」

 

俺は足を刀と砂の間入れ、そのまま蹴り上げる、すると刀は吸い込まれる様に手元に飛んでくる。それを掴み、敵の攻撃に合わせて内側に入り込み、

 

「おおおおおおおおおおっ!!」

シャリンッ!

 

攻撃してきた腕を斬る!!

 

すると奴の腕が切り落された。突然片腕を切り落されたので奴は体勢を崩す。その隙に飛び出て距離を取る。

 

「な、なんだこの切れ味…!?」

 

切った俺がいうのもなんだが、かなりの切れ味だ、俺自身切った時にまったく肉を切った感触も感じなかった。

 

「し、しかも刀身錆びてるのに、芯はしっかりしてるし、刃こぼれもしてない…見たことも聞いたこともないぞ、そんな刀…!妙に手にしっくりくるし、今まで使ってた刀の中で一番手に馴染んでる…」

 

自分でも信じられないくらい手に馴染んでいるこの刀は今まで以上に使いやすい刀だった。刀身になにか刻んである、銘のようだ…

 

「『顎門』…アギト?この刀の名前か…」

 

なんて言っていたらやつが起き上がった。そして地面に潜り、姿を隠す。

 

「なるほど、それがお前らの夜の行動パターンってことか…こっちも散々ひどい目に遭わされたんだ、全力で礼をしてやらねーとな…!!」

 

時折見えるヒレや地面から聞こえる音で奴の位置を把握する、こっちも本気を出すために切り札を使う。とその時アギトの刀身が一瞬光ったかと思うと、脳裏になにか言葉が浮かんでくる。

 

-天断-

 

「天断…お前の潜在能力、なのか?このタイミングで出て来るってことは、つまりこういうことなわけだ…!いいね、最高に俺と相性ぴったりじゃねーか!」

 

まずは飛び出てきた敵の攻撃をカウンターし、カタナのギアを解放する。俺の全身を紫色の闘気が覆う。

 

一部の武器にはギアと呼ばれる武器の性能を最大限に発揮するためのスキルが存在する、タイプは2種類で消費型、経過型、消費型はギアを最大3つまで貯め、PAを放つ際に1つギアを消費することで攻撃威力をあげたり、範囲を拡大したりできる。もう一つ経過型は特定行動や攻撃を当てていくことでギアを貯め、ギアが貯まっている間のみ攻撃スピードや攻撃力を上げることのできる物だ。

 

カタナのギアは経過型だが、普通はただ貯まるだけで、ある行動を起こさないとギアを起動できない。その行動が、攻撃のカウンター。

 

カタナギアの能力はカウンター威力の強化なのだが、ギアを最大限まで貯めておくと追加である効果を発揮する。それがカタナ全体の強化。ギアをどんどん消費していくが、起動中はずっと攻撃能力が全て強化される。

 

ギアを開放したがこれだけじゃない、カタナの真髄はこれからだ…!

 

俺はアギトと自身にフォトンを同時に集中し、解放する、ブレイバーの切り札にして、俺自身が思う最高のスキル、その名は…

 

「刀気開放、20秒…!!」

 

カタナの力の極地、このスキルを使うと敵に素早いスピードで接近し、連続で攻撃し続けることが出来る、さらにスキルを起動した際に脳裏に浮かんだ言葉、これがアギトの潜在能力なのだろう、俺は自然とスキル名と潜在能力を口ずさんでいた。

 

「天を断つ刀、潜在開放!『天断アギト』!<カタナコンバット>、起動!」

 

ドクンッと体が脈打ち、ギアの紫色の闘気とは別に青いフォトンが体の周りを渦巻きながら走る。これこそカタナが最大能力発揮できる状態だ!

 

「終わらせてやらァ!!」

 

出てきたヒレに素早く接近し、連続で斬る、一瞬でヒレは全て壊れた。残り18秒。

 

それに耐え切れず飛び上がってきた敵に対しPA<サクラエンド>で応戦し、弾き返す、敵が吹き飛ばされそのまま背中から倒れる。残り16秒。

 

瞬時に腹に接近し、PA<ツキミサザンカ>で切り上げ、その勢いのままPA<ゲッカザクロ>を放ち刀を振り下ろし、返す刀で切り上げる。残り14秒。

 

今度は顔の部分に回り込み連続で斬り続ける。敵の顔が無残なまでに切り刻まれる。残り10秒。

 

再び腹に接近し、PA<ヒエンツバキ>で刀を回転させながら投げ、戻ってきたところで鞘にしまい、そのままの勢いでPA<サクラエンド>を使って2連撃を叩き込む。残り5秒。体の周囲を渦巻いていた青いフォトンが赤く変化した。

 

このまま切り刻み続けてもいいが、カタナコンバットの真髄はこれだけじゃない。

 

「終わりだ…!<コンバットフィニッシュ>…!」

 

俺は渦巻いていたフォトンを取り込むように一度刀を大きく振る。そして

回しながら刀を鞘に仕舞う、そのタイミングで刀身に溜まったフォトンを、

 

キィンッ!

 

周囲に斬撃として解放する!

 

すると奴は斬撃によって真っ二つになり、そのまま消滅していった。

 

今度こそ、戦闘終了だった。

 

 

 

 

 

 

 

---

 

 

「疲れた…」

 

あれから時間が来て集合場所に向かった俺は、アザナミさんに報告をし、一足先にシップに戻ってくることができた。

 

キャンプシップを降り、ロビーに戻る。

 

そこで待っていたのは、

 

「おう、お帰りはやまん、おつかれさん」

 

「大分お疲れみたいだな、なんにせよ無事でなによりだ」

 

「ハヤマお疲れなのかー?ツッコミがないとボケがいがないのだ!」

 

「ハヤマちゃんおつかれさま、今日のご飯は私が作っといたわよ」

 

オキさん、こまっちゃん、ミケちゃん、シンキの4人だった。

 

「…ああ、ただいま!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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その日の晩

 

「そういえばそのカタナどうしたんだよ?今まで使ってたのは?」

 

「色々あってね、壊れちゃったんだ。これは偶然拾ってすごいしっくりくるから使うようにしたんだ。アギトって名前の刀。今まで使ってたのより切れ味とかすごい良くてさ」

 

「ほー…ま、無事だったならいいさ。誰か一人欠けるだけで色々壊れちまうからな。アザナミさんからはやまんが武器壊れるほどの戦いしてたって聞いたときはヒヤッとしたぜ」

 

「あ、あはは、心配かけてごめんねオキさん」

 

「気にすんな、さっきも言ったが無事ならそれでいい」

 

「…ピンチになった時さ、皆の事が頭の中に出てきたんだ」

 

「ん?」

 

「武器壊れたり、なくなったりして、もうどうしようもなくてさ、諦めようとしてた、その時にみんなが出てきてさ、終わりたくないって思ったんだ、そしたら、この刀を見つけて、窮地を脱することができた」

 

「…」

 

「多分この刀と出会ったのは運命だと思うんだ、だから、大事にしたい。それにこの絆も。」

 

「そうだな、俺たちはもう家族だ。これからいろんな事あるだろうけどよ、俺たちで乗り越えていこうぜ、はやまん」

 

「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

---

 

後に俺は思う、多分この刀と出会ってなければ、俺はずっと刀一本なんてことしてなかったんだろうなって。けど俺はこれでよかったと思ってる。

 

だって、それが俺だから。

 

 




今回の話は実際にアギトを入手した際の話に沿ってお送りさせていただきました。実際に武器壊れたりしてないですけどね。

ギャザリングが始まり、採取の日々が始まりましたね。いやぁ、立ち回り強化系のリングが便利便利。

次回はいよいよEP1最後の出会い。隊長ことアインス編です!お楽しみに!

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