資材は2万で十分か? ー完ー   作:秋津洲かも

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E-2を攻略した新人提督
ついに最終海域E-3へと突入する

設定
難易度丙
最適編成・最適装備ではありません



イベント完結!

 

正式名称 新海域突入作戦(通称:イベント)

 

なんとかE-2海域を突破した提督と艦娘たちは次に待ち構える最難関海域E-3へと進もうとしていた

 

最初は作戦準備のための輸送作戦、前線に近い島に補給物資を運び最終決戦の足掛かりとする

 

その輸送作戦の根幹を担うのがドラム缶、そしてそれを運ぶ駆逐艦たちである

 

数十個に及ぶ燃料・弾薬を満載したドラム缶をロープで結び、その一端を駆逐艦の艤装に巻き付け引っ張る

 

当然のことながら輸送に従事する艦娘の戦闘能力は激減する

 

そこを狙われて深海棲艦に攻撃されたらひとたまりもない、そこで警備する艦娘を周囲に配置し輸送船団を護る

 

そう、E-3はこのイベントで連合艦隊を編成する最初の作戦となる

 

潜水艦による先行偵察はできず確たる情報が少ない

 

この提督にとって通常の6名を超えた12名編成の連合艦隊は未知の領域であった

 

 

 

 

 

提督掲示板Ver1.02

 

 

 

 

『連合艦隊ってどうやって編成するんだ?』

 

1:◆新人提督2016/02/25(木)09:30

E-3まで来たんだが連合艦隊ってどうやるんだ?

 

2:名無しの提督2016/02/25(木)09:31

編成画面で第一艦隊と第二艦隊を合体させる

詳しくは大淀さんに電話で聞いてみろ

 

3:名無しの提督2016/02/25(木)09:33

支援艦隊も忘れるなよ

むしろ支援艦隊の方が重要

 

4:◆新人提督2016/02/25(木)09:34

>>2.3

thx

大淀さんに聞いてみる 

支援艦隊?

聞いたことないんだが

 

5:名無しの提督2016/02/25(木)09:35

第3・4艦隊で直接出撃せずに後方から砲撃支援するんだ

詳しくは大淀さんに聞いてみろ

 

6:名無しの提督2016/02/25(木)09:38

この提督大丈夫か、あと4日だぞ

 

7:名無しの提督2016/02/25(木)09:40

まだ4日あるとも言える

いけるだろ

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラウザを閉じた提督は早速、本部の大淀に電話をすることにした

 

呼び出し音が2回、3回と続き、ようやく受話器の上がる音がした

 

『はいこちら本部、4スロットの夕張です』

 

「あの新人提督と申します。大淀さんはいらっしゃいますでしょうか?」

 

『申し訳ありません。大淀でしたらロケットランチャーを持って集積地棲姫狩りに出ております。どういったご用件でしょうか?』

 

耳を澄ませると向こうの電話口の背後から何か声が聞こえる

 

〈ヤメロー!モエテシマウ!グスッ・・・セッカクアツメタノニィー!〉

 

〈そうはいきません!ロケットランチャー発射!〉

 

〈ウォォォ!ヤメロッテ!モウコッチクンナヨ!・・・ウワァーーーン!!!〉

 

必死に攻撃中止を訴える深海棲艦の泣き声が耳に入るが聞かなかったことにした

 

「・・・ええとE-3海域に行くので連合艦隊の組み方と支援艦隊ついて教えてほしかったのですが」

 

『そうでしたか、もしよろしければ私がお教えしますよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一艦隊にはドラム缶輸送のための駆逐艦4隻を中心とした輸送艦隊

 

第二艦隊には輸送中の彼女たちを守るために歴戦の水雷戦隊を配置

 

加えて別動の支援艦隊が2組、ボスにたどり着くまでの砲撃支援を担当する道中支援艦隊とボスとの決戦に備えた決戦支援艦隊

 

一艦隊が6名、四艦隊、合計24名の艦娘たち

 

一度にこれだけの人数の指揮をとることは並大抵の提督には難しい

 

通常の海域であれば少数精鋭の6名を選び、高練度の艦娘たちは練度相応の結果を残すことができる

 

しかし24名ともなれば練度の高くない艦娘をも前線で戦わせなければならない

 

イベントは少数精鋭ではなく鎮守府の総合力が試される

 

日頃お気に入りの艦娘ばかりを贔屓している鎮守府はここで苦しむこととなる

 

いかに高練度の艦娘が敵に大打撃を与えようとも、一人でも誰かが大破すれば一度鎮守府に帰投せざるを得ない

 

24名、それぞれの役割を明確にし、誰が何が得意で何が苦手なのか、普段の艦娘とのコミュニケーションが重要となってくる

 

 

 

 

 

 

 

「珍しく前線に引っ張り出されたと思ったら、なんであたしがこんなことしなきゃなんないのよ!」

 

第一艦隊に所属する駆逐艦満潮は悪態をつきながらも必死にドラム缶を曳行していた

 

多数のドラム缶は予想以上に重く駆逐艦の小さい体では思うように速度を出せない

 

寒々しい木枯らしが海上をかけるも自然と額に汗がにじむ

 

強力で凶悪な深海棲艦がどこかに潜んでいるという緊張感、そして慣れない連合艦隊での行動に四苦八苦の艦娘たち

 

物資を抱え遅々として進まない低速艦隊は恰好の標的となる

 

その予感は的中した

 

「対潜戦闘用意!!!反航戦!第一警戒序列へ陣形変更!」

 

先行する第二艦隊の旗艦から無線連絡が入るとすぐさま陣形変更の準備を始める艦娘たち

 

しかしいずれの艦娘も敵が潜水艦であることに普段の単横陣をイメージしてしまい初動が遅れた

 

慣れない陣形変更に戸惑う中、敵潜水艦の先制魚雷が迫ってくる

 

運良く全ての魚雷を躱すも隊列は大きく乱れ、対潜装備を一切持たないドラム缶組に敵が迫ってくる

 

混乱した第一艦隊が大した反撃もできないまま、敵魚雷の第2派は満潮たち、ドラム缶組に狙いを定めていた

 

「2時の方向から魚雷第2派接近!回避急いで!」

 

満潮の視線に雷跡が映り、咄嗟に回避運動を始めるも腰に繋がれたドラム缶がそれを邪魔する

 

ドラム缶を投棄しようかと悩むも、この輸送作戦が24名の、そして鎮守府の未来を握っている

 

そう思うと体は動かなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

弾着

 

 

 

 

 

 

 

『提督、敵魚雷により夕立が大破しました。ご指示を』

 

一戦目の戦闘で満潮をかばった夕立が大破、なんとか敵潜水艦をやり過ごすことができた

 

その報告を受けて提督は思いがけず悪魔の誘惑に心を揺さぶられた

 

連合艦隊そして支援艦隊を含めた24名の運用には膨大な資材が必要となる

 

かつてないスピードで減り続ける資材の状況に提督は半ば混乱状態にあった

 

イベントを攻略できなければきっと同期の提督たちに笑いものにされる

 

『提督?聞こえていますか?早くご指示を!』

 

そんな光景が頭を掠め、ふと『進撃』指示のボタンに手が向かおうとする

 

24名の内のたった一人、その一人が再び攻撃を受ける確率は普段よりも遥かに少ない

 

連日の指揮による疲労が確実に判断力を低下させていく

 

進撃しても大丈夫なのでは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『進撃』の二文字が魅力的に輝く

 

 

 

 

 

 

 

 

『E-3の輸送作戦中なんだが一人大破で進撃しても大丈夫だよな?』

 

1:◆新人提督2016/02/25(木)10:38

第二艦隊の駆逐艦が大破してるんだが進撃しても大丈夫かな

 

2:名無しの提督2016/02/25(木)10:38

絶許!!!

 

3:名無しの提督2016/02/25(木)10:39

ふざけんな!てめえそれでも提督か!

 

4:名無しの提督2016/02/25(木)10:39

取り返しのつかないことになるぞ!

今すぐ撤退しろ!

 

5:名無しの提督2016/02/25(木)10:40

艦娘が可哀想だ

お前に提督の資格は無い!

提督辞めちまえ!

 

6:名無しの秋津洲2016/02/25(木)10:40

一度落ち着いて深呼吸するかも!

艦娘は一度轟沈したら二度と復活できないよ!

一時の感情でそんな判断を下すなら今すぐ提督を辞職するかも!!!

 

もし進撃したら私は貴方を絶対に許しません!

 

7:名無しの提督2016/02/25(木)10:40

艦娘を轟沈させた経験のある俺に言う資格は無いのかもしれないが

 

『帰ろう、帰ればまた来られるからな』

 

8:◆新人提督2016/02/25(木)10:40

>>2・3・4・5・6・7

・・・すまない

みんな、そして秋津洲

俺どうにかしていたみたいだ

何よりも艦娘が一番大切だよな

ありがとう、撤退するよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鎮守府に撤退してきた艦娘たち、夕立のぼろぼろになった姿を見て、提督は自分のしようとしていたことの愚かさを改めて自覚した

 

悪魔の誘惑は誰にでも襲い掛かる

 

進まない攻略、練度の低い艦娘、減っていく資材、一向に出現しない新艦娘、極度の疲労、様々な条件が重なり提督は追い詰められていく

 

指揮を行うのは自分一人、責任を負うのも自分一人

 

誰も見ていないし口に出さなければ事実は露見しない

 

けれども『轟沈』があったという事実は決して忘れることはできない

 

その事実は提督、そして艦娘たちの心から消えることは無い

 

覆水は盆に返ることなく永遠に床に染みを残すこととなる

 

もし悪魔の手に肩を叩かれたら、勇気を持って逃げ出すしかない

 

臆病者だと言われようとも、大勢に罵られても、惨めに尻尾を巻いて逃げる勇気が提督の最も重要な資質である

 

 

 

 

 

 

提督は食堂に帰ってきた艦娘を集め、あの時自分が進撃しようとしていたことを正直に話した

 

激昂した長門に思いっきり殴られ、地面に倒れ込み鼻から滴る血を拭いながら恐る恐るも艦娘たちを見上げると

 

予想に反してそこにあったのは軽蔑の視線ではなく、子供の犯したいたずらを寛容するような優しい目線であった

 

「お前だって人間だ!判断を間違うときはある!もっと私達を頼れ!」

 

「些細なことでもいい!相談しろ!そして再び間違いを犯そうとしたらもう一度ぶん殴ってやる!」

 

「自分一人で抱え込まないでください!練度の低い私達だって提督の心の支えにはなれると思います!」

 

「そうデース!あまり考え込まずに疲れたらティータイムにするデース!」

 

「加古を見習って下さい!作戦中だって緊張感無く居眠りしてるんですよ!」

 

「イベントごときで司令官が体調を崩したら本末転倒です!皆悲しみます!」

 

 

 

 

 

 

「みんな・・・ありがとう」

 

それから3日間、出撃は行わず体を休め、思い思いの時間を過ごした

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてイベント最終日

 

「みんな!泣いても笑っても今日で最後だ!無理せず悔いの無いように戦ってくれ!」

 

「勝ち負けなんてどうでもいい!ドロップ艦なんてどうでもいい!存分に楽しんで来い!!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

『E-3の輸送作戦中なんだが一人大破で進撃しても大丈夫だよな?』

 

1:◆新人提督2016/02/11(金)09:38

第二艦隊の駆逐艦が大破してるんだが進撃しても大丈夫かな?

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

657:名無しの重巡棲姫2016/02/29(月)10:57

バカ・・・メ・・・ヤクタタズドモメ・・・マタ・・・シズンデシマエ!

 

658:名無しの長門2016/02/29(月)10:57

これが最後のチャンスだ!

敵の攻撃は私と陸奥が引き受ける!

今の内にボスを叩け!

 

659:名無しの神通2016/02/29(月)10:57

今こそ水雷戦隊の力を、そして日頃の訓練の成果を見せる時です

待ちに待った夜戦です!皆さん行きますよ!

 

660:名無しの時雨2016/02/29(月)10:58

はい!魚雷カットインいきます!

魚雷/魚雷/魚雷

それっ!!!

敵随伴艦を1隻仕留めました!

 

661:名無しの夕立2016/02/29(月)10:58

ここソロモンじゃないっぽい?

でも夕立はパーティするっぽい!

連撃するよ!

ぽい!!!ぽーーい!!!

ダイソンやっつけたっぽい!

 

662:名無しの阿武隈2016/02/29(月)10:59

ええっ?私は大破?私的にはオーケーじゃないです!

 

663:名無しの大井・北上2016/02/29(月)10:59

さあどどめをさすわ!

行くわよ北上さん!

 

うん!大井っち!

 

撃つまで撃たれ撃った後は撃たれない!!!

 

ハイパーズ必殺ファイブオキシジェントーペードアンド連撃ラブボンバーーーー!!!!

 

 

 

 

664:名無しの重巡棲姫2016/02/29(月)10:59

アァァァアアァアー!

憎ラシヤァッ!

・・・・・・

・・・・・・

ムネンダ・・・

イヤ・・・ムシロ・・・

ココロガ・・・カラダガ・・・

コレハ・・・

ソウイウコトナノ?

私・・・本当は・・・

 

 

 

 

 

 

665:名無しの秋津洲2016/02/29(月)11:00

あ、お客さんかも!

皆さんはじめましてかも!

待ってたかもー!

水上機母艦秋津洲かも!

大艇ちゃんと一緒によろしくかも!

 

 

666:◆新人提督2016/02/29(月)11:00

これからよろしくな!秋津洲!

 

そしてよくやった!!!みんな本当にありがとう!

誰も犠牲にすることなく無事E-3を攻略できた!!!

よし鎮守府に帰って祝勝パーティーするぞ!

 

 

667:名無しの提督2016/02/29(月)11:01

おめ!!!

 

 

668:名無しの提督2016/02/29(月)11:01

よくやったな!!!

 

 

669:名無しの提督2016/02/29(月)11:02

時間ぎりぎりじゃねえか!

この野郎!はらはらさせやがって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

997:名無しの大将2016/02/29(月)11:43

ふむ、よくやった!!!

有望な若者がまた一人増えた

儂もうかうかしてられんな

 

 

998:名無しの元帥2016/02/29(月)11:44

そうじゃな

そろそろ儂は潮時かもしれん

未来は若い世代に託すとして

儂は隠居して盆栽いじりでもしようかのう

そうだ大将君、今夜一杯鳳翔さんのところでやらんかね?

 

 

999:名無しのザラ2016/02/29(月)11:45

あ、やっと書き込めた!

 

グラーチェ!提督!

ザラ級重巡ザラです!

よろしくお願いします

あれ?・・・皆さん・・・もういない

 

 

1000:名無しの提督2016/02/29(月)11:45

よし!1000なら資材は2万で十分!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(艦!)

 

 

 

 

 

 




お読み頂きありがとうございました

くぅ~w疲れました
提督さんの方々2週間弱の激闘、
本当にお疲れさまでした

艦娘共々ゆっくり休んで下さい

次回、「菱餅戦争再び?」

頑張ります!

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