やはり俺のゲーム攻略は間違っている。   作:湊眞 弥生

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第7話 比企谷八幡は桐ヶ谷和人と本当の意味で再会する。 sideキリト

 

 

ハチと再会して1週間が経った。俺とハチは再会してから一緒にクエストをこなしたり、レベリングを一緒にやっていたりした。やっていることは昔の時のまんまだ。

相変わらずハチは変わってない。昔のままだ。懐かしいな、小学生の頃が。

そして、俺らは今迷宮区の入口でレベリングをしていた。

俺がモンスターの振ってきた剣に合わせて下から斬りあげる。

 

「ハチ、スイッチ!」

「えっと…取り敢えず斬るか」

 

ハチは戸惑いつつもソードスキルを使ってモンスターを斬る。するとモンスターはポリゴンとなって砕け散った。

 

「なあ、キリト」

「ん?どうしたんだ?」

「あのさ、スイッチって何?」

「えっ…もしかしてハチ、知らないのか?」

「おう、俺はぼっちだぞ。一緒にパーティを組むやつなんていないし、元々ソロでやるつもりだったからパーティ組んだ時の戦い方なんて何も知らん。むしろお前が知ってるのが驚きなんだけど」

「いや、始まりの街でそういう事を教えてくれるNPCいたぞ?」

「…まじで?」

「うん、まじで」

 

ハチのやつ、NPCにろくに話しかけずに今までやってたんだな。NPCは話しかけるとたまに良いものをくれる事があるから積極的に話しかけた方が良いのに。

 

「ハチ、NPCは何か道具くれる事あるから話しかけた方がいいぞ?」

「いや、そんなこと出来たらぼっちしてねーから」

「まあいいや。じゃあ、取り敢えず教えとくな」

 

それから俺はパーティ組んだ時の戦い方をハチに教えていた。覚えるのが早いみたいでハチは1時間ぐらいでだいたい出来るようになっていたところで、俺らは迷宮区に入ってマッピングをしていた。

 

「ハチ、戦い方大分様になってきたな」

「ああ、何処かのお人好しのお陰でな」

「戦い方知らなかったみたいだから教えただけだろ?」

「にしたってお前上手すぎでしょ。お前だってこのゲーム始めた日は俺と変わらないだろうに」

「まあ…これに似たゲーム結構やってたからな。これくらいは出来るよ」

「ああ、そうかよ」

 

これに似たゲームをやっていたのは本当だけど、実は見様見真似でやってるだけなんだよな。そんなことは言えずにいた。

そういえば、ハチに俺のことは言った方がいいのだろうか。いつかは言わないといけないのは知っている。けど、話そうと思ってもなかなか言い出せないでいた。

 

「なあ、ハチ」

「ん?なんだ?」

「あのさ…いや、何でもない」

「なんだよ…変なやつだな」

 

言い出そうと思い話しかけてみたが、いざハチを前にすると、口から声が出なくなる。おそらく許してもらえるか不安なだけだ。別れも告げられずに千葉を去ってしまったことを怒るかもしれない。そう思うと不安でいっぱいになってしまう。

こんな風に思い悩んでいるところで、ハチが口を開いた。

 

「そんなことよりマッピングだ、マッピング。続きやるぞ、キリト」

「あ、ああ、そうだな。じゃあ行くか」

 

そうだ、気にしていたって仕方ない。今は迷宮区をマッピングしよう。きっといつか言える日がくる。そう信じて俺らは今日は迷宮区を攻略して終わった。

 

次の日。今日もハチと迷宮区でマッピングをする約束になっているのだけど、今日はたまたま学校で先生の手伝いをしていて遅れてしまった。お詫びに何か持っていこうかな。それと、今日こそはハチに小学生の頃の事を言おう。許してもらえるか分からないけど、これ以上黙ったままなのは嫌だ。これじゃあハチに再会したとはいえ、本当の意味で再会した事にはならない。だから言おう。大丈夫、ハチならきっと大丈夫だ。

そう決意して俺はナーヴギアを被った。

 

「リンクスタート!」

 

走って待ち合わせの場所に向かうとハチは既に待っていた。もしかしてずっと待っていてくれたんだろうか。こんなに遅れてしまったからもういないとも思っていたので少しびっくりだ。

 

「…よし!行こう!」

 

頬をパンッと叩いて気合いを入れてハチの元に走って向かう。

 

「遅れてごめん、ハチ!待っただろ?」

「いや、俺も今来たとこだし別に気にすんな」

「でもさ…」

「いいんだよ。こういう時は気にすることねーよ。誰だって遅刻することあるしな。俺なんか学校とかしょっちゅう遅刻してるし」

「ハチ、それ威張るほどのことじゃないぞ?」

 

ハチは優しいな。今来たとことは言ったが、きっと待ち合わせの時間からずっと待っててくれたに違いない。今も言ったけど、遅刻をしょっちゅうしてる事は絶対に威張れないと思うぞ、ハチ。

よし、今度こそ言おう。ハチなら大丈夫と言い聞かせて俺はあの事を話そうと口を開いた。

 

「なあ、ハチ」

「あ?なんだよ?」

「信じてもらえないかもしれないけど俺さ、小学生の時千葉に住んでたんだよ」

「いきなりなんだよ。しかもリアルの時の話持ち出すとか、らしくねーな」

 

確かにそうかもしれない。俺は普段からリアルの話はタブーだと、ハチにずっと言ってたからな。

 

「まあ、そうなんだけどさ、言っとかないといけないかなってさ」

「お、おう、そうか。で?千葉に住んでたからどうしたって言うんだ?」

「俺が千葉に住んでた頃、公園で知り合ってから一緒に遊んでたやつがいたんだ」

「あー、俺もそういうヤツいたぞ。よくある話だからな」

「でさ、仲良くなってからゲームして遊んだりもしたんだ。けど、ある日俺の親が急に転勤する事になっちゃって、別れも告げられずに千葉を去ったんだ」

「……そうか」

 

この反応、もう分かったかな。あと少しだ。正直に言って謝ろう。

 

「けど、つい最近再会出来たのはいいんだけど、その時のことをどう謝ればいいかなって思ってな。それに、そいつ謝って許してくれるかな」

「…まあ、許してくれるんじゃねーの?そういう事情があったから別れも言えなかった。そんな小さいこと気にしないだろ、そいつも」

「…そっか。ハチは相変わらずだな」

「うっせえ。そんなこといちいち気にしてたらキリがないっつーの」

「…久しぶり、ハチ」

「…おう、そうだな」

「また、これからよろしく頼むよ」

「…はいよ」

 

やっと言えた。これからはもう後ろめたくなる必要も無い。打ち明けてみて、気持ちは意外とスッキリしていた。

 

「…よし、迷宮区行くか!」

 

こうして俺とハチは本当の意味で再会して、今日も迷宮区を攻略するのだった。

 

 




という訳で、八幡とキリトの出会いの過去編これにて終了です。

結構無理やりな部分があるかもしれませんが、仕事が忙しくて、仕事の合間に書いていたのでそこは目を瞑ってもらいたいです。
次回からはいよいよ本編スタートします!

今後もよろしくお願いします
ではでは、感想引き続き待ってます!

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