運命を覆す伐刀者   作:蒼空の魔導書

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今回は人によっては胸糞悪い話かもしれません。

ですが皆、一人一人が自分の考えを持っている事を理解してください。

ではどうぞ!


風間重勝(序列一位)と東堂刀華(序列二位)の関係

試合を終えた涼花は幸斗と合流して破軍学園の敷地内にある林の休憩所で重勝と待ち合わせをしたので二人は休憩所にあるベンチに座って重勝が来るのを待っていた。

 

「んまんま」

 

幸斗はベンチに座りながら【一本サティスファクションバー】という棒付きアイスを食べていた。

 

このアイスはよくある棒に当たりはずれがあるアイスであり、棒に【まだだっ!俺はまだ満足しちゃあいない!!】と書かれていたら当たりでもう一本もらうことができ【こんなんじゃ全然満足できねぇぜ!!】と書かれていたら大当たりでもう五本もらうことができるというごく普通のサービスだ。

 

「・・・なにも書いてない・・・クソ・・・こんなんじゃ全然満足できねぇぜ・・・」

 

「馬鹿じゃないの」

 

結果はハズレだったようでありガッカリして項垂れる幸斗を見て隣に座っている涼花は呆れた。

 

「ちょっとしたことで落ち込むなよ幸斗、そんなんじゃ先の長い人生やっていけねーぞ?」

 

「シゲ?」

 

「遅いわよ重勝」

 

幸斗が項垂れていると何故か上から声が聞こえてきて二人はそれが重勝の声だと気づき上を見上げた。

 

突然だが同じ【重力】の能力を使う伐刀者である西京寧音と風間重勝の違いについて話をしよう、Aランク伐刀者である寧音はその強大な魔力量で超強力な引力を操ることができ、その効果範囲も規格外であり大気圏外に存在するスペースデブリを重力のチカラで引っ張ってきて第二宇宙速度で敵に叩き付けるという【禁技指定】にされている《覇道天星(はどうてんせい)》という伐刀絶技を使う事が出来る程の規格外な魔導騎士だ。

 

対してBランク伐刀者である重勝の伐刀絶技《零か無限(ゼロ・オア・インフィニティ)》は寧音ほど効果範囲が広いわけではない為、隕石を落とすなんて神技はできないが重勝にできて寧音にはできない事がある、重勝は重力を重くしたり軽くしたりするだけではなく【無重力】にすることができるのだ。

 

この能力の応用法として一つ例を挙げると自分に掛かっている重力を無重力にして身体を浮かせ更に魔力を放出しその時に発生する推進力を利用してそのまま自由自在に三次元移動ができる。

 

つまり、幼稚園児にもわかるように簡単に説明すると風間重勝は【空を飛べる】のだ。

 

今言ったように重勝は空に浮遊して幸斗と涼花を見下ろしていた、そして二人の前に着地して来たが二人の眼はジト目になっていた。

 

「重勝・・・学園内での能力の使用は許可がない限り使用禁止の筈よね?・・・」

 

「シゲ、許可は取ったのか?」

 

ジト目のまま重勝にそう言う二人。

 

「ハハハハ!なに、ばれなきゃいーんだよ」

 

「「やっぱり・・・」」

 

「魔力を感知しずらいエリアから飛んで来たんだ、ばれてはいないはz————」

 

その時、重勝の生徒手帳が鳴った、メールが届いたのである。

 

『三年一組風間重勝、能力の無断使用によりペナルティーとして学園内のトイレ掃除をさせるので、放課後理事長室に来るように。 新宮寺黒乃』

 

届いたメールを見てみるとそう書かれていた・・・。

 

「・・・・・・・」

 

「「バレてんじゃん」」

 

「うるせー!」

 

声をハモらせて指摘する幸斗と涼花になにも言い返せない重勝であった。

 

その時、そんな自業自得な重勝の後方から誰かが近づいて来て声をかけてきた。

 

「・・・相も変わらず責任感がないのですね」

 

「ん?」

 

「誰?」

 

重勝はそれを聞いて後方を振り返る、するとそこには栗色の長い髪を靡かせて眼鏡をかけた女子生徒と銀色の癖毛の髪で幼稚園児にすら見える程小柄な男子生徒が重勝を睨んでいた。

 

女子生徒の方は射貫くような眼光の鋭さで重勝を睨んでいて重勝との険悪な雰囲気が感じられ、男子生徒の方に至ってはまるで親の仇を見るような憎悪が籠った眼で重勝を睨んでいた。

 

「・・・なんか用か?東堂、御祓」

 

「東堂ってまさか!?」

 

「・・・破軍学園【序列二位】にして生徒会長、《雷切(らいきり)》《東堂刀華(とうどう とうか)》、それと副会長、《観測不能(フィフティ/フィフティ)》《御祓泡沫(みそぎ うたかた)》、学園の有名人が何故こんなところに?」

 

重勝の発言で幸斗と涼花が二人の正体に気づき涼花が疑問を言うと、重勝に対して険悪な雰囲気を出していた刀華が急に表情を緩めて幸斗と涼花の前に来て二人に笑顔を向けた。

 

「一年生の真田幸斗君と佐野涼花さんですね?はじめまして、破軍学園の生徒会長を務めています、東堂刀華です、よろしくお願いします」

 

「え?・・・あ、どうも・・・」

 

「よろしく、生徒会長さん」

 

「・・・で?何か用か東堂?」

 

先程の重勝に対する険悪な表情がまるでなかったかのような屈託の無い笑顔で自己紹介をする刀華に戸惑いながら返事をする幸斗と普通に返事をする涼花、しかし重勝が面倒臭そうに刀華に用件を聞くと刀華はまた敵意を向けるような鋭い眼で重勝を睨んで話し出す。

 

「風間さん貴方の無責任な行動が後輩達に悪影響を与えているのがわからないのですか?後輩の前で風紀を乱すような行いは慎んでください」

 

「・・・わざわざそれを言いに来たのか?心配すんな、こいつ等は俺の知り合いだ、だが俺のような半端な奴等じゃねえよ」

 

「彼等だけじゃありません、後輩達の模倣となるべき上級生がそのような無責任な行動をしていては後輩達に示しが付かないから言っているんです!誰かが貴方の真似をしたらどうするんですか!?」

 

「やりたい奴はやらせとけばいいだろ?もう《元服》してんだ、なんかあったらそいつ等の責任だろうが」

 

「!・・・貴方って人は」

 

刀華達は責任感も感じずに校則違反をする重勝を注意しに来たようであり刀華の話を聞いているとどうやら重勝は校則違反の常習犯のようでありいくら注意しても全く聞く耳を持たない重勝に対して刀華は怒りを感じていた。

 

・・・だが、東堂刀華という人物は誰にでも寛大でありそれを考えるとこの程度の事でここまでの険悪は抱かない、一体二人の間に何があったというのか?

 

「いいですよ風間さん、貴方とは選抜戦か七星剣武祭でかはわかりませんが、必ず貴方を倒して更生させてみせます!」

 

「へっ!やってみろよ【序列二位】、楽しみにしてるぜ」

 

刀華は真っ直ぐな眼差しで重勝と目を合わせて見てそう宣言をして重勝は不敵な笑みを浮かべてそう言い返した。

 

「臨むところ!・・・では私達はこれで失礼します、真田君、佐野さん、見苦しいところを見せてすいませんでした・・・うた君、行こう」

 

幸斗と涼花に一礼をしてこの場を跡にする刀華だったが、その後について行こうとしていた泡沫が急に振り向いて重勝を憎悪の眼で睨んだ。

 

「調子に乗るなよ風間重勝、刀華は今度こそお前を倒す!」

 

「へぇ~、それは楽しみだな」

 

「・・・認めない・・・お前みたいな背負う事の重みを蔑ろにする奴が【序列一位(刀華より上)】だなんてボクは認めない!!」

 

泡沫はそう言い放ってから刀華の後を追って去って行った。

 

「・・・なあシゲ?会長さんかなり怒ってたけど何かしたのか?」

 

二人の険悪な雰囲気が気になった幸斗は重勝にそう尋ねるが重勝は目をつぶって昔の出来事を断片的に思い出していた。

 

 

 

 

一年前の七星剣武祭を無断でサボって刀華に抗議された時の事を————

 

『貴方は何をしたかわかっているんですか!?破軍学園の生徒全員を裏切ったんですよ!?何故そんなに何でもないような顔をしているんですか!!』

 

『気が乗らなかったんだから仕方ねーだろ、それに七星剣武祭って個人で戦うものだろ?勝手に学園の期待だとか責任だとかを背負えって言われてもはっきり言って迷惑なんだけど』

 

 

 

 

 

それに対して怒りを抱いた刀華が決闘の名目で摸擬戦を挑んできて、それを無傷で完勝した時に泡沫に憎しみの言葉をぶつけられた時の事を————

 

『なんでだよっ!?なんで大勢の人達の想いを背負った刀華が負けて、何の覚悟も無いお前が勝っているんだ!?答えろよ風間重勝!!』

 

『とんだロマンティストだな御祓、別に難しい事じゃねーだろ?ただ単純に俺が東堂より実力が上だったってだけだろうが、大勢の想いを背負っている奴が勝つとは限らねーんだよ』

 

 

 

 

そして、学園の裏切り者として大勢の生徒達から罵倒の言葉を浴びせられた時の事を———

 

『ふざけんな!この裏切り者めっ!!』

 

『そうだそうだ!東堂会長に謝れっ!!』

 

『私達はお前なんか認めない!!』

 

『いい気になってんじゃねぇよ屑野郎!!』

 

『とっととこの学園から出て行けよ!お前が居るだけで皆が不機嫌になるんだよ!!』

 

 

 

 

 

 

「・・・・・いや、お前等が気にする事じゃねーよ、それよりもさ———」

 

この事に幸斗と涼花を巻き込むわけにはいかないと思った重勝は二人に気にするなと言って無理矢理話題を変えた。

 

「お前等今度の休み空いてるか?」

 

「「?・・・空いてるけれどそれがどうかした?」」

 

「お前等に会わせたい奴がいるんだ、俺と東堂に次ぐ【序列三位】、破軍学園で三番目に強い男にな!」

 

こうして幸斗達の今度の休みの日の予定が決まった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作では刀華が序列一位ですが、この物語では———

序列一位————【裏切り者の序列一位(エース・オブ・ビトレイアー)】風間重勝

序列二位————【雷切(らいきり)】東堂刀華

序列三位————【???】???

序列四位————【紅の淑女(シャルラッハフラウ)】貴徳原カナタ

序列五位————【速度中毒(ランナーズハイ)】兎丸恋々

です。

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