運命を覆す伐刀者   作:蒼空の魔導書

25 / 54
幸斗VS珠雫、決着です!皆さんどうぞ最後まd———

幸斗「おいクソ作者!この前オレの部屋の冷蔵庫から楽しみに取っておいたサティスファクションバーを持ち出したのテメェだろ?」

え?あ、いやそれは・・・(汗)

幸斗「やっぱテメェか!くたばれっ!!龍殺剣(ドラゴンスレイヤー)ァァァアアアアアアアアアッ!!!」

ア”ア”ァ”ァ”-----------ッ!!!

(蒼空はログアウトしました)






雨の中の決着

何故この世界の人間の殆どは壁が行く手を阻んだら乗り越えようとしないのだろう?

 

何故この世界の人間の殆どは道が途切れていたら自ら作って進もうとしないのだろう?

 

何故この世界の人間の殆どは・・・生まれ持った才能の有無に限らず運命を受け入れて先に進もうとせず立ち止まってしまうのだろう・・・。

 

 

 

・・・答えは簡単、この世界は運命が魔力という名のチカラとなって【できる】【できない】が目に見えているからだ。

 

才能が無い者は【できない】という現実を突きつけられ勝手に才能には一生敵わないと決めつけてやる前から諦め、才能がある者は【できる】という優越感に浸りそれに依存してしまい勝手に自分にはそれしか無いと決めつけて自分の才能以上を目指そうとしない。

 

———何故オレが才能が無いのに強いのかって?そんなの決まっているだろ!?

 

本当に大切なのは才能が無いのを理解した上で、または才能を磨いた上でそれより高みを目指そうとする果てしない意志を持つ事だ。

 

———オレを誰だと思ってやがる!?オレは———

 

その果てしない意志を持った一人の鬼は自分に向かって来る水の龍に正面から堂々と立ち向かい・・・朱い刃を振るった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレは————真田幸斗だぁぁああああああぁぁああああああぁあああああっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凄まじい膂力で振るわれた太刀は凄まじい嵐のような衝撃波を発生させて前方を扇状に薙ぎ払った。

 

「っ!!?きゃぁぁぁあああぁあぁあああああああっ!!!」

 

水龍は爆散したように弾け飛び、その後方にいた珠雫は強烈な衝撃波によって悲鳴と共に吹き飛ばされて後方の壁に叩きつけられ衝撃波が収まると同時に地に倒れ伏し、その後すぐに衝撃波を受けた壁は珠雫が叩きつけられた場所も含めて崩壊し・・・第四訓練場内全体に豪雨が降り注いだ。

 

「どわぁぁあっ!?」

 

「なっ何だ!?」

 

「何で屋内なのに雨が!?」

 

「も~サイアク~!買ったばかりのブランドのバッグがびしょ濡れじゃない!」

 

豪雨で濡れてしまった観客の生徒達が小さくパニックを起こしている、この豪雨の正体は弾け飛んだ水龍弾の水だ、珠雫はこれだけの水を龍の形に保ちつつ全体を高圧水流になる程循環させ続けながらコントロールしていたのだ。

 

———情けないね・・・私・・・お兄様が見ているのにあんなにみっともなく喚いて・・・。

 

倒れ伏す珠雫は全身を豪雨に打たれながら先程の自分の行為を後悔して思い耽る。

 

———本当は解っていたの、真田さんもお兄様も・・・そしてステラさんも自分の才能に負けずに更に高みを目指して前に進む事ができるから強いんだって・・・。

 

珠雫は本当はずっと前から・・・兄と出会ったあの日から既に理解していた、才能の有無に限らず自分の限界を越えようとする果て無き向上心を抱いて進み続ける人間が強いのだと。

 

———私は結局自分の持つ才能の範囲内でしか物事を考えられなかった、勝手に決めつけていたんだ、自分は武術の才能が低いから自分の得意な魔力制御力を伸ばしてお兄様の手助けをするしかないと・・・お兄様は才能があるならそれを伸ばした方が遥かに効率的だとおっしゃってくれましたが、それが武術的能力を伸ばさなくていい理由にはならないのよ・・・。

 

幸斗も一輝もステラも涼花も重勝も如月兄弟も政和も・・・そして【雷切】と名高い刀華も、強い伐刀者は皆才能だけでなく武術も磨いている、魔力なんて強さのほんの一部に過ぎないのだ、それなのにこの世界の人間の大半は魔力こそ至高だ最強だなどど勘違いをする・・・今の珠雫はそんな事は決して思っていない、だが高い才能を持って生まれ魔力至上主義の塊である黒鉄家で育ったが為知らず知らずのうちに魔力しか無いと思い続けてしまったのだ。

 

———お兄様達が強いのは当たり前なのに本当に馬鹿ね・・・私・・・。

 

珠雫はそう思い納得しながら気を失い・・・豪雨が止んだ。

 

「黒鉄珠雫、戦闘不能!勝者、真田幸斗!!」

 

「グラッツェ!楽しいバトルだったぜ、黒鉄妹!!」

 

豪雨が止むとすぐにレフェリーが倒れ伏している珠雫が気絶しているのを確認して幸斗の勝利を宣言し、幸斗は珠雫に敬意を払いウィンクしながら珠雫に向かって指差して最後まで戦い抜いた彼女に敬意を払った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『試合終了!!全てを深海に沈める魔女の策略をモーゼが大海を割るかの如く切り抜け、見事勝利を収めたのはEランク騎士!殲滅鬼(デストラクター)真田幸斗選手だぁぁああっ!!』

 

「・・・珠雫・・・残念だったけどよく頑張ったわね」

 

大歓声が第四訓練場内に響く中で有栖院は眼を閉じて珠雫の健闘を称えた、幸斗に勝つ為の彼女の特訓に付き合った身としては少々悔しい思いはあるだろうが珠雫が全力を出した結果だから仕方がないと有栖院は受け入れていた。

 

「・・・なんか納得いかないわ・・・」

 

ステラが不機嫌そうに不満を口にする。

 

「・・・やっぱり珠雫が負けたのを受け入れられない?それは僕だって悔しいとは思ってi「そうじゃないわ」・・・わかっているよステラ、真田君がまだ完全に本気を出していないからでしょ?」

 

なんと一輝とステラは幸斗がまだ本気じゃない事を見破っていた、確かに幸斗は【リミッターを外す】とは言ったが【本気を出す】とは言っていない。ステラは無言で頷き、試合終了直後だというのにバトルフィールド上で未だにピンピンしている幸斗を見つめた。

 

「・・・ユキトにはまだ余力が残っている、全力であんなチカラを使ったのなら一刀修羅を使った後のイッキみたいに気を失いそうになっている筈・・・アタシは超が付く程手加減されていたのね・・・」

 

「ステラ・・・」

 

泣きそうな程苦い表情をして震える程拳を握りしめるステラ、彼女は手加減されて負ける程未熟な自分が情けなくて悔しいのだ、しかし一輝は彼女に言う———

 

「その悔しさを忘れないで、それを乗り越えてこそ君はどこまでも強くなれる筈だから」

 

「・・・うん、わかってる・・・」

 

人は何度も悔しい思いをして立ち上がってを繰り返してこそ強くなる、そしてそれは珠雫だって同じだ。

 

———これからだよ珠雫、今年の七星剣武祭の出場は難しいかもしれないけれど騎士の道は負けてからが本番なんだ。

 

一輝は何度も諦めそうになりながらも最後まで戦い抜いた妹の事を想う。

 

———立派だったよ珠雫、強くなったんだなぁ、いつも僕の後ろをとことこ付いて来たあの小さな女の子がさ。

 

一輝は今日この瞬間程自分が四年の年月の経過を感じた一瞬はないと思った・・・そして一輝は腕を後頭部に組んで気分良くバトルフィールドを去る鬼の背中を見つめる。

 

———やっぱり凄まじく強い。

 

珠雫は決して弱いわけでは無いし今の試合だって彼女はステラや有栖院の伐刀絶技を参考にし新たな伐刀絶技を引っ提げて全力で挑んでいた。

 

しかし真田幸斗という鬼はそれを全て真っ向から叩き潰した、世界最低の魔力量である筈の幸斗は世界最高の魔力を持つステラを龍殺しの剣で仕留め、学園最高クラスの攻撃力を誇る砕城を拳一つでブッ飛ばし、そして今一年最高の魔力制御能力を持つ珠雫を地に沈めてみせた・・・そんな彼を見て一輝は思う。

 

———【殲滅鬼】真田幸斗・・・是非一度剣を交えてみたいものだね。

 

幸斗と同じく世界最低の魔力量と言われた一輝はそういう思いを胸に抱いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・よし、帰るぜ」

 

「「は?」」

 

レフェリーが幸斗の勝利を告げると政和は早々に席を立ち、当然だと言うかの如く帰るといったので十士郎と綱定は呆けた、注目すべき試合がこの後すぐもう一試合あるというのに。

 

「【は?】じゃねぇよ、約束したのは真田の試合までだったろ?」

 

「そうだが今から理事長室に電話して許可をもらえばいいんじゃねぇか?新宮寺殿は気前のいい方のようだから一試合くらいなら許してもらえるだろう」

 

「そうだな、それに次の試合は姫と去年十士郎先輩が負けたあの【雷切】の試合だ、見て行く価値は十分あると思うけどな~」

 

そう、次の試合はEランクで能力の使用回数が限定されていながらも多彩な戦術を使いこなし相手を翻弄する涼花と去年の七星剣武祭ベスト4の刀華だ、両者共に今のところ選抜戦無敗の猛者同士の試合なので見逃す手は無い筈、しかし政和は「お前は一言多い」と綱定の発言に対して一言文句を言っている十士郎に「フッ」と笑い———

 

「確かに面白そうなカードだが今の試合を見てこんなところで油売ってる暇なんかなくなった」

 

と、階段の前に出て出口のある上に昇って行く。

 

「とっとと帰って鍛えねぇとな、じゃねぇと真田の野郎に後れを取っちまう」

 

「お、おい!」

 

「はぁ、まいっか、どうせ後で動画サイトにアップされるだろうし」

 

十士郎と綱定も席から立ち上がり政和を追うようにその場から移動して行った。

 

「俺もうかうかしてられねぇ、真田・・・フレッシュな試合だったぜ」

 

この試合で宿命のライバルの闘気と五年間の成長をしっかりと感じた政和はそれに触発されて静かに闘志を燃やし、不敵な笑みを浮かべて第四訓練場を跡にした。

 

十士郎も続くように第四訓練場を出るが、綱定は何かを思い出したかのように出入り口前で止まり、上を見上げる。

 

「・・・そういえば今日重勝が更識家の当主に契約交渉しに行ってるんだったな・・・アイツ上手く契約できただろうな?」

 

綱定は今この場にいない昔の仲間の事を心配しつつ出入り口を潜って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、重勝と楯無はついに撃墜目標である対伐刀者用無人兵器をその視界に捉えていた。

 

「楯無!あれか?」

 

重勝は前方からこっちに向かって来ている正体不明の飛行物体を見て楯無に問う。

 

「ええ、間違いないわ!依頼者から送信されてきた写真と完全に一致している」

 

楯無は先程までの剽軽な態度とは違い真剣な表情で目標を確認してそう答えた。

 

向かって来る飛行物体は全体的に白く兵器と言うにはあまりにも小さく人に近い形状をしていた、フルフェイスの頭部に白いスカート状の軽鎧、そして右手には一振りの大型プラズマブレードを携えている、その姿は兵器というよりまるで———

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「空飛ぶ白い騎士・・・さしずめ《白騎士》ってところね!」

 

「へっ、上等じゃねーか!さっさと撃墜して契約成立とさせてもらうぜっ!」

 

今、ここに黒い剣士と霧の淑女が鋼鉄の白い騎士と激突する!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はぁぁ、なんとか生き返った・・・。

それよりハワイ沖で暴走と聞いて銀の福音だと思いました?残念白騎士でした!

でもこれは某ブリュンヒルデさんではありません、あくまで無人兵器です。













それから少し近状報告を・・・自分、この前会社の人達とケンカして辞職しました(大泣)、たった二ヶ月で再失業です・・・。

でもこれから再職の為の職業訓練をしたりバイトしたりするので不定期更新は変わらないと思います・・・。

人生中々思うようにいきませんね・・・身に沁みました・・・。





▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。