ジョジョの奇妙な冒険~episodeofhighschool~ 作:DJトッティー
木場side
ある日、オカルト研究部部室。
ロスヴァイセ『えぇっ!?保険がこんなに!? しかも掛け捨てじゃない!』
ロキとの戦いから数日が経ち、僕達の元には平和な日々が戻ってきた。
いつものように学園に通い、部活に顔を出す。
いつもと変わらない光景・・・・・・のように思えるんだけど、僕達にはいくつかの変化があった。
まず、一つ目。
ロスヴァイセさんがこの駒王町に残ることになったこと。
・・・・・ゴメン、少し訂正するよ。
ロスヴァイセさんはこの町に置いていかれた・・・・・・・と言った方が正しいのかな?
どうやら、会談が終わった後、オーディン様はそそくさと北欧に帰ってしまったらしい。
ロスヴァイセさんを忘れて・・・・・・。
ロスヴァイセさんとしては直ぐに北欧に戻ろうとしたんだけど、戦いの事後処理に追われて帰ることが出来なかったんだ。
泊まるところもなかったので、一先ずはイッセー君の家に厄介になったんだけど・・・・・
仕えていた主神に置いていかれたことが相当なショックだったようで、しばらく泣き止まなかったそうだ。
それを見かねた部長がロスヴァイセさんに声をかけた。
―――――私の眷属にならないか、と
そして今。
リアス『そうなの。グレモリーの眷属になれば好きな領地ももらえるし、今ならこういう特典がついてくるのよ』
と、部長が何やらパンフレットを指差しながら説明をしている。
ロスヴァイセさんも食い入るようにパンフレットを見て、二つのパンフレットを両手に、内容を交互に確認していく。
ロスヴァイセ『すごい!北欧よりも全然充実してるじゃない!しかも、お給料も遥かに上!最高の職場だわ!』
ロスヴァイセさん、目がキラキラ光ってますよ。
よほど、部長が提示した内容が良かったのか、中々パンフレットを離そうとしない。
小猫『・・・・すごい迫力』
僕の隣で小猫ちゃんが呟く。
うん、僕もそう思う。
戦ってるときよりも迫力を感じるよ。
朱乃『前の職場でよっぽどストレスがたまってたのかしら?』
ガチャ
アザゼル『おーう、やってるな、おまえら』
部室に入ってきたのは白衣を着たアザゼル先生。
手に化学の教科書を持っているから、さっきまで授業をしていたんだろう。
そんな中、部長とロスヴァイセさんの会話は続いていく。
ロスヴァイセ『グレモリーといえば、魔王輩出の名門で、グレモリー領の特産品は好評で売り上げもとても良いと聞いています』
リアス『そうよ。あなたが望むならその事業を任せてもいいわ。グレモリーはより良い人材を募集しているのよ』
勧誘を続ける部長がポケットから紅い駒を取り出す。
リアス『そんなわけで、冥界で一仕事するためにも私の眷属にならない? あなたのその魔術なら「戦車」として動ける魔術砲台要員になれると思うの。ただ、不安なのは駒一つで足りるかどうか・・・・・。戦乙女を悪魔にした例なんて聞いたことがないし、こればかりはやってみないと分からないわね』
先生を除いた全員が部長の申し出に驚いていた。
今手にしているのは部長の最後の駒だ。
それをロスヴァイセさんに使おうと言うのだから仕方がないだろう。
でも、確かに部長の言う通りで、ロスヴァイセさんが眷属になってくれれば心強い。
先日の戦いでも見せてくれた魔術のフルバーストはレーティングゲームでも活躍してくれるだろう。
それに僕達眷属の中には魔法タイプは部長と朱乃さんしかいない。
ジョジョ先輩やイッセー君でも、魔力や魔術に関してはほぼ使えない。
ロスヴァイセさんは駒を受けとる。
ロスヴァイセ『なんとなくですけど、冥界で出会った時からこうなるのが決まっていたのかも知れませんね』
紅い閃光が室内を覆い――――ロスヴァイセさんの背中に悪魔の翼が生えていた。
上手く眷属に出来たみたいだね。
戦乙女は半神だから、駒が足りるか僕も不安だったんだけど、問題なかったみたいだ。
そういえば、アジュカ・ベルゼブブ様がつい最近発表したことなんだけど、
『悪魔の駒は主の成長に合わせて変質する』
というものがあったんだ。
部長はこれまでの修行でその実力を向上させてきた。
もしかしたら、それも今回の眷属化に関係があるのかも。
パンッ
部長が掌を叩く。
リアス『そういうわけで、私、リアス・グレモリーの最後の眷属は『戦車』のロスヴァイセになったわ。皆、仲良くしてあげてね』
部長の紹介に合わせてロスヴァイセさんがペコリとお辞儀をする。
ロスヴァイセ『この度、リアスさんの眷属となりましたロスヴァイセです。グレモリーさんの財政面や、保険、その他の福利厚生もろもろを考慮して思いきって悪魔に転生しました。皆さん、よろしくお願いします』
パチパチパチ
ロスヴァイセさんの挨拶に皆は拍手を送るけど・・・・・
皆、苦笑している。
本当に思いきったと思うよ。
というより、部長が洗脳したようなところもあるような気がするよ。
だって、完全に保険屋の人に見えたからね。
ゼノヴィア『まぁ、いいんじゃないか? 私もやぶれかぶれで悪魔になったことだしな』
ゼノヴィア、君はもう少し考えて行動した方が・・・・
ゼノヴィア『ん?どうかしたのか、木場?』
木場『ははは・・・何でもないよ』
まぁ、無事にロスヴァイセさんが眷属になってくれて僕も嬉しいよ。
これでグレモリー眷属もかなり強化されたんじゃないかな?
ロスヴァイセ『うふふふふふふ!オーディンさま、次にお会いしたときは覚悟してくださいね?』
不気味に笑みを浮かべているロスヴァイセさん。
しかも、迫力のあるオーラを纏っている!
オーディン様にそれだけ不満があったのだろうか・・・・
アザゼル『とりあえず、これでおまえの眷属は揃ったわけだ』
リアス『アザゼル、そこは私の席よ。でも、そう言うことになるわね』
アザゼル『にしても、おまえの巡り合わせはとんでもないな。ヴァルキリーが悪魔になったなんて聞いたことがねぇぜ。この面子じゃ、プロのレーティングゲームに参加してもすぐに上位に入るだろうよ。・・・・まぁ、それはジョジョがいるところもあるがな』
先生がジョジョ先輩の名を口にした瞬間、部屋の空気が変わる。
これが僕達の中で起きた変化の二つ目。
イッセー『先生、ジョジョ先輩の様子はどうですか?』
今、ここにジョジョ先輩はいない。
ロキの策略やフェンリルの牙を受けたせいで、瀕死の重症を負い、冥界のグレモリー領内にある病院で入院している。
先生は手元に資料を出し、それをパラパラと捲る。
アザゼル『あー、今のところ問題なしだ。先日の戦いで死んでもおかしくない傷を負っていたがアーシアと仗助の治療でそれも治ってる。あとは意識が戻るのを待つだけだ』
そう、ジョジョ先輩は未だに意識を取り戻していない
朱乃さんも一度、ジョジョ先輩のお見舞いに行ったそうだが、やはり意識が戻っていないようだった
僕達もジョジョ先輩の顔を見に行こうとしたんだけど、他にやることがあって行けなかったんだ。
アザゼル『ま、ケガのことは良いんだが・・・・・。おまえらも分かってるだろ? あいつのこと』
部屋の空気が再び張り詰める。
僕はロキが最後に言い放った言葉を思い出す。
[ロキ『我を倒したところでもう遅い! かの者はやがてこの世界をも滅ぼすだろう!黄昏は止められぬ!それまでは一時の平和を過ごすがいい!異世界より転生せし戦士よ!』]
あの時、僕たちはロキの言葉の意味が分からなかった。
その言葉の意味よりも僕達が驚愕したのはジョジョ先輩の反応だった。
まるで、絶対に知られてはいけないものを明かされたように焦るジョジョ先輩。
ロキが自身を封印するために作った特殊な結界を何度もスタンドで殴り付けていた。
結果的には途中でジョジョ先輩が倒れてしまったので、破壊することは出来なかったが・・・・。
あそこまで焦る先輩を見たのは初めてだった。
アザゼル『オーディンの爺さんにロキの封印を解くように依頼してはいるが、向こうも手間取っているみたいでな。かなり特殊なものらしい。解除するにはかなりの時間を要するとのことだ』
小猫『・・・・・では、ジョジョ先輩に直接聞くしかないと言うことですか?』
アザゼル『そうなるな。俺やサーゼクスとしては今すぐにでも話を聞きたいところなんだ。今まで誰にも認知されていない異世界が関わっている可能性がある』
異世界・・・・・。
このことは少し前に先生から聞かされた。
どこの神話体系にも属さない未知の世界。
世界中で議論されており、グリゴリでも時折、議題に挙がるそうだが、結論は出ていないらしい。
その異世界にジョジョ先輩が関わっている。
いったい、なぜ二人がそんなところに関係しているのかは分からない。
アザゼル『――――だが、話を聞くにしてもまずはあいつが目を覚ますのを待つ、と言うのが俺とサーゼクスの出した結論だ。』
・・・・確かに、先生の言う通りなのかもしれない。
皆もそれには納得しているようで頷いていた。
アザゼル『ま、そのうち目を覚ますだろうさ。あいつのことだ。知られてしまった以上、俺達に話さなければいけないことくらいは理解してるはずだ。俺はあいつを信じるぜ。なんせ、俺は『先生』だからな。生徒を信じるのも教師の勤めだ』
先生はそう言うとニヤリと笑った。
リアス『そうね。私もアザゼルに賛成するわ。私もジョジョが話してくれるのを待つ。それが私達に出きることだと思うの』
朱乃『ですわね。私もジョジョ君を信じます』
部長と朱乃さんも微笑む。
アーシアさんや小猫ちゃん、他の皆も気持ちは同じのようだ。
当然、僕とイッセー君もだけどね。
先生は僕達の顔を見て満足そうな笑みを浮かべる。
アザゼル『とりあえず、今日の部活はジョジョの見舞いに行くとしようぜ。』
この数日、ココアさんをはじめとした女性陣はどこか調子が狂っているようだったからね。
授業中にボーッとしたりすることが多い。
クラスの人達からも心配されているらしい。
部長や朱乃さんまでもがそうなっているので、先生からは保健室や早退を進勧められたこともあるとのことだ。
・・・・・かなり重症だ。
アザゼル『あ、そうそう。ジョジョの眷属達は先に病院に行ってるぞ。』
小猫『それを先に言って下さい!』
小猫ちゃんが叫ぶ
小猫『こうはしていられません!部長、すぐに行きましょう!ただでさえ、遅れをとっているのに、こんなところでゆっくりなんて出来ません!』
イッセー『……あんな小猫ちゃん初めて見た……』
木場『先生・・・・・、完全に爆弾を投下しましたね』
アザゼル『これで、いつものこいつらに戻っただろ。しけた面してんのはこいつらには合わねぇからな』
どうやら、こうなるように計算していたみたいだ。
流石は先生、と言ったところかな?
それにしても、ジョジョ先輩は驚くだろうね。
自分がいない間に部長の眷属が増えているんだし。
この後、僕達はジョジョ先輩のお見舞いに行くべく、冥界に転移していった。
木場sideout