ジョジョの奇妙な冒険~episodeofhighschool~ 作:DJトッティー
俺は今、部室にいた
勿論、次のレーティングゲームの対策でな
リアス『全員集まってくれたわね』
部員全員が集まったことを確認すると、リアスはDVDを取り出した。
リアス『これは若手悪魔の試合を記録したものよ。私達とシトリーのもあるわ』
戦いの記録。
そう、今日は皆で試合のチェックをすることになったんだ。
部室には巨大なモニターが用意される。
アザゼルがモニターの前に立って言う。
アザゼル『おまえら以外にも若手悪魔たちはゲームをした。大王バアル家と魔王アスモデウスのグラシャラボラス家、大公アガレス家と魔王ベルゼブブのアスタロト家、それぞれがおまえらの対決後に試合をした。それを記録した映像だ。ライバルの試合だから、よーく見ておくようにな』
アザゼルの言葉に全員が真剣にうなずいていた。
皆、他の家がどんなゲームをしたのかすごく気になるようだ。
参加している若手悪魔はほとんどがイッセー達と同期。
どんな戦いをしたのか気になってしょうがないって感じだ。
実は俺も気になっている奴がいる。
サイラオーグ・バアル。
リアスの従兄弟に当たる人物だ。
リアスから聞いた話だと、あいつが若手のナンバーワンらしい。
まぁ、そう言われれば納得だ。
あの人は会合で集まった若手悪魔の中でも別格だと思ったほどだからな。
リアス『まずはサイラオーグ―――バアル家とグラシャラボラス家の試合よ』
さっそく、サイラオーグさんか。
相手はゼファードル
あいつはユウゴの弟子?見たいなもんだが
まともにやれるのか?
記録映像が開始され、数時間が経過する。
グレモリー眷属の顔つきは真剣そのものになり、視線は険しいものになっている。
そこに映っていたのは―――圧倒的なまでの『力』だ。
ゼファードルとサイラオーグの一騎打ち。
一方的にゼファードルが追い込まれていた。
眷属同士の戦いはすでに終わっている。
どちらも強い者ばかりを眷属に持っていて、白熱したが、問題なのは『王』同士の戦いだ。
最後の最後で駒をすべてなくしたゼファードルがサイラオーグに挑んだ
サシで勝負しろ、と。
サイラオーグはそれに躊躇うことなく乗った。
ゼファードルが繰り出すあらゆる攻撃がサイラオーグにはじき返される。
まともにヒットしても何事もなかったようにサイラオーグはゼファードルに反撃していた。
自分の攻撃が通じないことで、ゼファードルは覚悟を決めた顔になった
そこへサイラオーグさんの拳が放り込まれる。
幾重にも張り巡らされた防御術式を紙のごとく打ち破り、サイラオーグの一撃がゼファードルの腹部に打ちこまれていく。
その一撃は映像越しでも辺り一帯の空気を震わせるほどだった。
木場『………凶児と呼ばれ、忌み嫌われたグラシャラボラスの新しい次期当主候補がまるで相手になっていない。ここまでのものか、サイラオーグ・バアル』
木場は目を細め、厳しい表情でそう言った。
サイラオーグのスピードは相当なものだった。
それも、木場が目を奪われるほどの。
スピードが持ち味の木場にとっては思うところがあるのだろう。
見ればギャスパーがブルブル震えながらイッセーの腕につかまっていた。
ビビりすぎだろ、ギャスパー・・・・・。
アザゼル『リアスとサイラオーグ、おまえらは「王」なのにタイマン張りすぎだ。基本、「王」ってのは動かなくても駒を進軍させて敵を撃破していきゃいいんだからよ。ゲームでは「王」が取られたら終わりなんだぞ。バアル家の血筋は血気盛んなのかね』
アザゼルが嘆息しながらそう言う。
確かに、リアスは前に出ていく傾向が見られるよな。
リアスは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
ゼノヴィア『あのグラシャラボラスの悪魔はどのくらい強いんだ?』
ゼノヴィアの問いにリアスが答える。
リアス『今回の六家限定にしなければ決して弱くはないわ。といっても、前次期当主が事故で亡くなっているから、彼は代理ということで参加しているわけだけれど……』
朱乃が続く。
朱乃『若手同士の対決前にゲーム運営委員会がだしたランキング内では一位はバアル、二位がアガレス、三位がグレモリー、四位がアスタロト、五位がシトリー、六位がグラシャラボラスでしたわ。「王」と眷属を含みで平均で比べた強さランクです。それぞれ、一度手合わせして、一部結果が覆ってしまいましたけれど』
ジョシュア『でもゼファードルは俺の眷属であるユウゴの弟子みてぇなもんだ。それなりに強いとは思うぜ』
ゼノヴィア『では、このサイラオーグ・バアルだけは抜きんでている―――というわけだな。部長』
ゼノヴィアの言葉に部長は頷く。
リアス『ええ、彼は怪物よ。「ゲームに本格参戦すれば短期間で上がってくるのでは?」と言われているわ。逆を言えば彼を倒せば、私たちの名は一気に上がる』
と、リアスは言うけど・・・・・・
皆には悪ぃが、今の実力ではサイラオーグには勝てねぇだろう。
まぁ、その辺りは皆も理解してると思うだろうがな
アザゼル『とりあえず、グラフを見せてやるよ。各勢力に配られているものだ』
アザゼルが術を発動して、宙に立体映像的なグラフを展開させる。
そこにはリアスやソーナ、サイラオーグなど、六名の若手悪魔の顔が出現し、その下に各パラメータみたいなものが動き出して、上へ伸びていく。
ご丁寧にグラフは日本語だった。
グラフはパワー、テクニック、サポート、魔力。
ゲームのタイプ別になっている。
サイラオーグさんはかなり高めだ。
そして、ゼファードルが一番低い。
まぁ、あいつは王って感じはしないもんなぁ・・・・。
リアスのパラメータは魔力が一番伸びて、パワーもそこそこ伸びた。
あとのテクニック、サポートは真ん中よりもちょい上の平均的な位置だ。
そして―――サイラオーグ。
サポートと魔力は若手の中で一番低い。
だけど、そのぶんパワーが桁外れだ。
ぐんぐんとグラフは伸びていき、部室の天井まで達した。
極端すぎるがパワーが凄まじいということか……。
サイラオーグを抜かす五名の中でも一番パワーの高いゼファードルの数倍はあるな。
アザゼル『ゼファードルとのタイマンでもサイラオーグは本気を出しやしなかった』
だろうな。
ゼファードルと戦ってる時のサイラオーグは映像からも分かるほどに余裕があったしな。
ゼノヴィア『やはり、サイラオーグ・バアルもすさまじい才能を有しているということか?』
ゼノヴィアが尋ねると、アザゼルは首を横に振って否定する。
アザゼル『いいか?サイラオーグはバアル家始まって以来才能が無かった純血悪魔だ。バアル家に伝わる特色のひとつ、滅びの力を得られなかった。滅びの力を強く手に入れたのは従兄弟のグレモリー兄妹だったのさ』
サイラオーグもイッセーと同様に才能が無かったのか。
ということは、あの強さは――――
アザゼル『サイラオーグは、尋常じゃない修練の果てに力を得た稀有な純血悪魔だ。あいつには己の体しかなかった。それを愚直までに鍛え上げたのさ』
やっぱり、サイラオーグも修行したんだな。
あそこまでの強さになるには相当、厳しいものだったのだろう。
努力の果てに得た強さ。
だから、あいつの目は自信に満ち溢れているんだ。
アザゼルは続ける、語りかけるように。
アザゼル『奴は生まれたときから何度も何度も勝負の度に打倒され、敗北し続けた。華やかに彩られた上級悪魔、純血種のなかで、泥臭いまでに血まみれの世界を歩んでいる野郎なんだよ。才能の無い者が次期当主に選出される。それがどれほどの偉業か。―――敗北の屈辱と勝利の喜び、地の底と天上の差を知っている者は例外なく本物だ。ま、サイラオーグの場合、それ以外にも強さの秘密はあるんだがな』
試合の映像が終わる。
結果はサイラオーグの――――バアル家の勝利だ。
グラシャラボラス家のゼファードルは物、泣きながらリタイアしていった
映像が終わり、静まりかえる室内で先生は言う。
アザゼル『先に言っておくがおまえら、ディオドラと戦ったら、その次はサイラオーグだぞ』
リアス『――――っ!?』
リアスは怪訝そうにアザゼルに訊く
リアス『少し早いのではなくて?グラシャラボラスのゼファードルと先にやるものだと思っていたわ』
アザゼル『奴はダメだ』
アザゼルの言葉に皆が訝しげな表情になる。
アザゼル『ゼファードルはサイラオーグとの試合で。複雑骨折に加え、内臓破裂、そして脳へのダメージ、完治する頃にはレーティングゲームは終わっちまってる……奴は戦えん。サイラオーグは少しやり過ぎちまったのさ。だから、残りのメンバーで戦うことになる。残念だがグラシャラボラス家はここまでだ』
おいおい
それって結構やばくねぇか?
アザゼル『おまえらも十分に気をつけておけ。あいつは対戦者の精神も断つほどの気迫で向かってくるぞ。あいつは本気で魔王になろうとしているからな。そこに一切の妥協も躊躇もない』
アザゼルのその言葉を皆が頷く。
リアスは深呼吸をひとつした後、改めて言う。
リアス『まずは目先の試合ね。今度戦うアスタロトの映像も研究のためにこのあと見るわよ。―――対戦相手の大公家の次期当主シーグヴァイラ・アガレスを倒したって話しだもの』
ジョシュア『大公が負けた?マジか?』
俺は思わず、リアスに尋ねてしまう。
俺はてっきりあのシーグヴァイラが勝ったと思っていたからだ。
会合の時点ではあの人の方がディオドラよりも強かった。
それをディオドラは下したのか・・・・・?
いや、レーティングゲームは王だけで勝てるもじゃない。
ディオドラが何か策を練っていたのだろうか………。
リアス『ジョジョの言いたいことは分かるわ。私もアガレスが勝つものだと思っていたもの。………とりあえず、映像を見てみましょうか』
俺はリアス達と共にディオドラ対アガレスの記録映像を確かに見た。
試合はディオドラの勝ちだった……。
ディオドラの実力は圧倒的で、奴だけがゲームの途中から異常なほどの力を見せ、アガレスとその眷属を撃破したんだ。
ディオドラの眷属は奴をサポートするぐらいで、「王」自ら、孤軍奮闘、一騎当千の様相を見せた。
ディオドラは魔力に秀でた魔力タイプだ。
しかし、リアスを超える魔力のパワーでアガレスを追い詰めていた。
これを見て訝しげに思ったのはほぼ全員。
ゲーム自体ではなく、ディオドラのみに注目していた。
あいつは急にパワーアップしたんだ。
それまではアガレスの方がかなり追いつめていたのに途中から急に力強くなったディオドラに敗北した。
まさか、俺はあいつの力をはかり間違えたのか?とも考えたけど、それはない。
確かにあいつのオーラはアガレスよりも下だったはずだ。
現にアザゼルもディオドラの力に疑問を抱いていた。
アザゼルは生でこの試合を観戦していたらしいけど、事前に得ていたディオドラの実力から察してもあまりに急激なパワーアップに疑問を感じたようだ。
リアスも同じ意見だった。
「ディオドラはあそこまで強い悪魔ではなかった」―――と。
二人の意見は一致した。
パワーアップする前のディオドラでも若手悪魔の中では十分に強かった。
リアスよりも魔力が多少劣る悪魔だと聞いている。
けど、試合途中からディオドラは皆が驚くほどの力を発揮していた。
短時間でそこまで強くなれるのか?
いや、不可能だな
仮面ライダーでも精神的成長がないとパワーアップできない
ディオドラにはそれがない……
どう言うことだ?
……まさか……
裏でJ,Bが糸を引いてるんじゃ……?
一抹の不安が俺の中に生まれた