ジョジョの奇妙な冒険~episodeofhighschool~   作:DJトッティー

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夏休みの終わり

ジョシュアside

 

ゲーム終了後。

 

俺はとある医療施設に来ていた。

 

リアス眷属の皆はここで体を休めている。

特にイッセーの血を飲んでその力を発揮したギャスパーと最後にソーナとの激闘を繰り広げたリアスの疲弊具合は酷く、二人はベッドで横になっている状態だ。

ビックリしたぜ

二人共ゲームが終わったらすぐぶっ倒れたんだからよ

 

 

俺がここを訪れたのはそのお見舞いと軽い治療を施すためだ。

もちろん仗助も一緒だ

 

 

……いや、それからもうひとつあったな。

 

俺は施設の廊下を歩き、とある病室の前で一度立ち止まる。

 

部屋にいる人の名前を確認してドアをノックする。

 

匙『どーぞ』

 

部屋の中から気だるげな声が聞こえてくる。

俺はドアを開けて中に入った。

 

部屋の壁や天井は白色で窓からは紫色の空が見えた。

 

ベッドの脇には小さな棚がある。

その上にはバナナ。

 

これは差し入れか……?

 

ジョシュア『よう、匙。具合はどうよ?』

 

匙『もう最悪っすよ。体のあちこちが痛ぇ……』

 

そう、部屋にいたのは匙だ。

 

体中を包帯でグルグルに巻かれて、点滴を打っている。

 

うーん、包帯の白色ってここまでくると痛々しいな……

 

ジョシュア『龍騎と赤龍帝の攻撃を受け続けたんだ。そりゃ、そうなるさ。……にしても無茶をしたもんだな。自分の命を力に変換するなんてよ』

 

あれには俺も驚いたよ。

まさか神器を使って自分の命を力に変えてたんだからな。

 

恐ろしいことをしたもんだ。

 

匙は苦笑する。

 

匙『まぁ……そうでもしないと俺は兵藤と戦うことができなかったっすよ。……いや、それでもあいつに手も足もでなかった……』

 

下を向き、ため息をつく匙。

 

ジョシュア『何言ってんだ。おまえと木場とは単純に戦闘力も戦闘経験にも差がある。今のイッセーに真正面からあそこまで食らいつけたのなら十分だよ。』

 

俺がそう言うと匙は首を横に振った。

 

匙『それじゃあダメなんすよ……。俺は会長に絶対勝つって約束したんだ。絶対に勝って勝利に導くって……。それなのに結局、俺は何もできなかった………』

 

そう言うと匙は拳を強く握る。

血が滲むほど強く。

 

 

ジョシュア『くやしいか?』

 

匙『ああ……っ! くやしいよ! 当然だろ!』

 

ジョシュア『そうか……』

 

こいつ……敬語忘れるほどかよ……

 

俺はそこでいったん息を吐く。

 

そして、匙の眼を見て言った。

 

ジョシュア『だったら、その気持ちを忘れるな。その気持ちを持ち続ける限り、おまえはまだまだ強くなれるよ。………おまえはまだ弱い。これからも負けることもある。それは当然だ。世界には強い奴なんていくらでもいるんだからな。だけどな、負けてもそれを次の糧にすればいい。そうすればいずれ勝てる』

 

匙『ッ!……はいッ!』

 

ジョシュア『それに、俺も色々経験してきたしな』

 

俺と匙は軽く笑った。

 

でも、匙の眼には灯が灯っていた。

ゲームの前の時よりもさらに強い灯が。

 

どうやら、気合いを入れ直したみたいだ。

 

 

パンッ

 

俺は自分の両膝を叩いて立ち上がる。

 

そして、匙の頭にクレイジーダイヤモンドの手が触れ

ケガが治る。

 

仗助『よし。これでいいだろ』

 

匙『東方、おまえってこんなこともできるのな。体が軽くなったぞ』

 

仗助『まぁな。じゃあ、そろそろ俺らは行くよ。リアス部長やギャー助の見舞いもあるしな』

 

匙『そっか。……色々ありがとな』

 

仗助『気にすんなって。俺達は友達だろ?友達ってのは助け合うもんだぜ?』

 

匙『そうだな』

 

俺らは部屋の入口の方まで歩いていく。

 

あ、忘れるところだった。

 

俺は途中で立ち止まり振り返る。

 

ジョシュア『匙。おまえ、人間界に帰ったら、俺の家の前に毎朝5時集合な』

 

匙『え?』

 

突然のことに訳が分からないという表情を浮かべる匙。

 

そんな匙に俺はニヤリと笑って言ってやった。

 

ジョシュア『俺が修行を付けてやるよ。俺がいつもやってる修行メニューの一部を体験させてやる』

 

匙『ちょ、ちょっと待て! それって、かなりやばいやつなんじゃないっすか!?』

 

ジョシュア『ん~、軽く百回くらいは死ぬかな……?ハハハ、まぁ、なんとかなるだろ。じゃあな、匙!体、早く治せよ!』

 

俺は手を振って部屋から出る。

 

匙『おいぃぃぃ!ちょっと待てぇぇぇ!うわっ!』

 

ガタン!ガシャン!

 

 

あ……今の音から察するにあいつ、ベッドから落ちたな。

 

まぁ、あれだけ元気があれば大丈夫だろ。

 

俺らは匙を放置して部長がいる部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

リアスの病室に入ると、それぞれのベッドの上で寝ている部長とギャスパー。

 

二人とも熟睡してるな。

 

ギャスパーなんてヨダレ垂らしてるし・・・・・。

 

 

まぁ、二人とも頑張ってたしな。

 

 

特にリアスは凄かった。

 

最後のソーナとの一騎討ち。

二人とも親友同士だからなのか、互いの全力を出してぶつかっていた。

 

そのおかげで変身解除したら、二人とも血塗れ。

制服も傷だらけだったもんな

 

最後は引き分けだったけど、正直どっちが倒れてもおかしくはない激闘だった。

 

ギャスパーはと言うとイッセーの血を飲んで、潜在能力を発揮したのはいいけど、一回それをしてしまうとヘトヘトになってしまう。

 

スタミナがないのが、こいつの弱点でもあるんだよなぁ。

 

まぁ、引きこもりだったギャスパーがああやって戦えるようになったんだ。

 

それに、今回はこいつの頑張りが勝利の鍵になったと言っても過言ではない。

 

今回は十分過ぎる働きを見せたんだ。

 

ゆっくり休んでくれ、ギャスパー。

 

 

俺はギャスパーの頭を撫でてやると、ギャスパーの気を波紋で整えてやる。

 

ギャスパーもどこか気持ち良さげな表情だ。

 

 

 

さてと、次はリアスだな。

 

見ると部長のケガはキレイサッパリ無くなっていた。

アーシアの治療だろう。

 

流石はアーシア。

いい仕事してるぜ。

 

リアスの額に手を当てて、ギャスパーと同様に気の巡りを良くしようとした時、部長の目が開いた。

 

リアス『……ジョジョ?』

 

ジョシュア『あ、起こたか?わりぃな、リアス』

 

リアス『いいのよ。・・・・・それより、あなたは私達のゲームを見ていてくれたのよね?』

 

ジョシュア『もちのろん。始めから終わりまでばっちりと』

 

リアス『どうだったかしら、私達のゲームは?』

 

ジョシュア『皆、修行の成果を十分に出せてた。あの不利な状況から勝てたんだからすげぇよ』

 

リアス『そうね・・・・・。ただ、最後は正直危なかったわ。ソーナがあそこまで強くなっていたなんてね』

 

部長が腕を軽く押さえながら苦笑する。

 

ジョシュア『それはそうだ。ソーナも必死なんだからよ。もし、次に戦ったときは向こうはかなり強くなってると思うぜ?』

 

リアス『ええ、そうでしょうね。だから、次は負けないように私ももっと強くならなくてはね』

 

部長は掲げた掌を見つめながらそう言う。

 

部長は手を下ろすと、部長はフッと微笑んだ。

その微笑はやさしさに包まれたものだった。

 

リアス『今回、勝てたことも嬉しい。でもね、それ以上に朱乃と小猫、二人が自身の壁を越えてくれたことが一番嬉しいの』

 

ジョシュア『俺もそう思うよ。朱乃と小猫が先に進めて俺も嬉しいしな』

 

リアス『これもジョジョのおかげね。あなたのおかげで、私の眷属は皆、抱えてたものを突破していくわ。私が思い悩んでいたものをあなたは全部打ち破ってくれた。そのことにとても感謝しているのよ』

 

部長の言葉に俺は首を横に振った。

 

ジョシュア『そんな大層なものじゃねぇよ。俺はただ、皆で楽しくやっていきたい。それだけを考えているだけだからな』

 

リアス『フフフ、あなたが私の仲間で良かった。………これからもよろしく頼むわね』

 

ジョシュア『もちろんだ、リアス部長』

 

部長と俺は互いに微笑む。

 

 

あ、そうだ

 

ジョシュア『お前に渡したいものがあるんだ』

 

俺はリアスにあるものを渡す

 

リアス『これは?』

 

ジョシュア『これはケータッチって言ってな。クウガからキバまでの最終フォームが使えるようになれば使えるはずだ』

 

リアス『……わかったわ、ありがとう』

 

ジョシュア『いやいや、あ、そーだ。』

 

リアス『?』

 

ジョシュア『お前のイッセーへの恋、俺は応援するぜ』

 

リアス『なっ!///……バレてた?』

 

ジョシュア『バレバレだよ』

 

リアス『うぅ~!///』

 

ジョシュア『つー訳だ!頑張れよ色々と』

 

リアスが枕に顔を突っ込んだため、俺は病室から出る

 

 

 

 

 

 

 

八月後半。

 

俺達はグレモリー眷属+ジョースターズ+チノ達は、本邸近くの駅で冥界とのお別れの時を迎えようとしていた。

 

サーゼクス『それでは、イッセー君。また、会える日を楽しみにしているよ。いつでも気兼ねなく来てくれ。君のご両親にもよろしく言っておいてもらえるかな?』

 

大勢の使用人を後ろに待機させて、サーゼクスさんがイッセーにそう言っていた。

 

イッセー『はい。伝えておきます』

 

次はヴェネラナさんが言う。

 

ヴェネラナ『イッセーさん、人間界ではリアスのことよろしくお願いしますわね。娘はちょっとわがままなところがあるものだから、心配で』

 

リアス『お、お母さま!?な、何を仰るのですか!』

 

リアスは顔を真っ赤にしていた。

ハハハ!やっぱりおもしれぇな

 

イッセー『もちろんです』

 

イッセーは頷いた。

 

まぁ、リアスはイッセーの家族の一員みてぇなもんだしな。

イッセーの性格上、絶対に守り通すだろう。

 

サーゼクス『リアス、残りの夏休み、手紙くらいは送りなさい』

 

サーゼクスさんが言う

そのすぐ後ろにはグレイフィアさんが待機していた。

 

リアス『はい、お兄様。』

 

 

 

 

 

帰りのデンライナー。

 

イッセーと仗助、ジョルノは今、戦っていた。

 

何と?

 

そんなものは決まってる。

 

 

手付かずだった夏休みの宿題だ!

冥界に来てから忙しかったから、完全に忘れてたな!

 

思い返してみれば、イッセーは大事な高校二年生の夏休みの大半をドラゴンと山で過ごしただけじゃん

 

しかも毎日、死にかけて

 

とにかく、イッセーは号泣しながら、現国の宿題に手をつけていた。

 

 

木場『ハハハ、流石の龍騎も宿題には勝てないのかな?』

 

木場が優雅に紅茶を飲みながら笑う

 

笑うくらいなら手伝ってやれよ

 

イッセー『ジョジョ先輩と木場は終わったのかよ?』

 

「「貰ったその日に終わらせた」」

 

当たり前だろ

 

あ、イッセーがもういいや……見たいな顔してる

 

あれ?あいつまさかダメなやつの考えしてるんじゃ……?

 

 

まぁ、いいや

 

すると、小猫が俺の方にきて……俺の膝にお座りぃぃぃっ!?

 

俺は何が起きたのか分からなかったが、小猫が俺の膝の上にお座りして、猫耳をピコピコ動かしていた。

 

ジョシュア『こ、小猫……?』

 

恐る恐る顔を覗いて見ると

 

小猫『にゃん♪』

 

満面の笑みで微笑まれた。

 

 

――――っ!

 

ここで俺は皆からの視線を感じた。

 

シャロが涙目だったり、リゼが半目で睨んでいたり、千夜が無言のニコニコフェイスプレッシャーを放っている。

 

そして、ココアに至っては「うぅ~」と唸りながら、俺の頬を引張ってくる始末だ。

 

痛いんだけど?

 

こうして、列車は俺達の住む人間界へと―――――

 

 

 

 

 

 

人間界側の地下ホームに列車は到着し、俺は大きく背伸びした。

 

ジョシュア『うーん、着いた着いた。さてさて、我が家に帰るとしますか』

 

そんなことを言いつつ、各自で自分の荷物を持って列車から降りる。

 

すると、目の前に一人の優男がいた。

その顔には見覚えがあった。

若手悪魔の会合の時にアーシアに妙な目線を送っていたやつだ。

名前は確か―――ディオドラ・アスタロトだっけ?

現ベルゼブブ、つまりアジュカさんの家の者だったはずだ。

 

そいつはアーシアの姿を確認すると、いきなりアーシアに詰め寄ってきた。

 

ディオドラ『アーシア・アルジェント。……やっと会えた』

 

アーシア『あ、あの……』

 

困惑するアーシア。

 

おいおい、なんなんだこいつ?

 

ジョシュア『おい、あんた。アーシアが困ってるだろ。…………何の用だよ?』

 

俺は二人の間に入り、目的を尋ねた。

 

しかし、ディオドラは俺を無視してアーシアに真摯な表情で訊いてきた。

 

ディオドラ『………僕を忘れてしまったのかな?僕たちはあの時出会ったはずだよ』

 

ディオドラは突然胸元を開き、大きな傷跡を見せてきた。

深い傷跡だな。

 

アーシアはそれを見て目を見開く。

 

アーシア『―――――っ!その傷は、もしかして………』

 

見覚えがあるのか?

 

上級悪魔のディオドラと元シスターのアーシアに接点があるのか?

 

ディオドラ『そう。あの時は顔を見せることが出来なかったけど、僕は君に命を救われた悪魔だよ』

 

アーシア『―――――っ』

 

その一言にアーシアは言葉を失う。

 

 

ディオドラ『改めて自己紹介しよう。僕の名前はディオドラ・アスタロト。ここに来た目的はただ一つ』

 

ディオドラはアーシアのもとに跪くと、その手にキスをする。

 

イッセー『なっ!?てめぇ、アーシアに何しやがる!』

 

怒鳴るイッセーを再び無視して、ディオドラはアーシアに言った。

 

ディオドラ『アーシア、君を迎えにきた。会合の時、あいさつできなくてゴメン。でも、こうして再び出会えたことは運命と思っている。―――僕は君を愛している。僕の妻になってくれ』

 

 

―――――ディオドラは俺達の目の前でアーシアに求婚したのだった。

 

 

夏休みが終わり、新学期が始まろうとしていた。

 


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