ジョジョの奇妙な冒険~episodeofhighschool~ 作:DJトッティー
朱乃side
私とゼノヴィアちゃんは立体駐車場に入っています。
祐斗君の報告通り、平日のデパートを再現したためか車の台数が思っていたよりも少ないみたいです。
ゼノヴィアちゃんが先に進み、私が背後を警戒しながら歩を進めていく。
そして、二階から通路を進んで一階の駐車場へと足を踏み入れた時でした。
―――前方に人影。
見れば、メガネをかけた黒髪長髪の女性。
駒王学園生徒会副会長、真羅椿姫。
手には薙刀。
彼女は長刀の使い手。
その実力は確かなものです。
椿姫『ごきげんよう、姫島朱乃さん、ゼノヴィアさん。二人がこちらから来ることは分かっていました』
淡々と話す椿姫さん。
その横から二名―――。
長身の女性と日本刀を携えた細身の女性。
長身の女性が『戦車』の由良翼紗さん。
日本刀を持つ女性が『騎士』の巡巴柄さんですわ。
なるほど……。
やはり、私達がこちらから来るのは読まれていましたか・・・・。
朱乃『ゼノヴィアちゃん、気を付けて下さい。ソーナ会長の眷属にはテクニックタイプの人が多いと聞いています。恐らく狙いはカウンターでしょう』
ゼノヴィア『ああ、分かっているさ。だが、私はそれを押し返すまでだ』
ゼノヴィアちゃんはそう言って腰にベルトを付ける。
今回、デュランダルは使えない。
ルールの特性上、デュランダルでは上手く立ち回れないでしょう。
私の攻撃はある程度、的を絞れば周囲へ影響を出さずに出来るでしょうが、デュランダルではそういうのは難しいようです。
朱乃『私が後方から援護します。ゼノヴィアちゃんは前衛をお願いできますか?』
ゼノヴィア『力を抑えながら三人を相手取るのは難しいが、何とかやってみよう』
朱乃『それから、もうひとつ。先程リアスから連絡がありました。ギャスパー君がこちらの加勢に来てくれるそうです』
ゼノヴィア『……了解した。それでは、ギャスパーが来るまでもたせるとしよう』
そう言って、じりじりと間合いを詰める。
私も腰にアークルを付け、戦闘態勢へと入ります。
そして―――
「「変身!」」
[turnup]
ギィィィィィンッ!!
ゼノヴィアちゃんと椿姫さん、巡さんの剣が衝突する。
その勢いに剣から火花が散り、激しい金属音を奏でた。
その瞬間、椿姫さんと巡さんはゼノヴィアちゃんが手にしている得物を見て、二人とも一歩後ろに下がった。
巡『その剣は……聖剣!?』
巡さんの問いにゼノヴィアちゃんは頷く。
ゼノヴィア『いや、聖剣は聖剣でも醒剣だ!』
「「「!?」」」
その告白に相手全員が驚いていた。
ゼノヴィアちゃんは修行の最中、ブレイラウザーがデュランダルと同じ聖なるオーラがあることに気づきました。
そして、このゲームでブレイラウザーが戦力になるだろうと読んでいました。
威力はデュランダルに及びませんが、ブレイラウザーも聖剣…いや、醒剣
十分な威力を持っています。
オフェンスに回れる人が少ない以上、人数で不利な場面も出てくるだろうと、リアスが提案したのですが……早速その場面がやってきましたわね。
威力は伝説の聖剣と比べると劣りますが、それでも聖なる力を宿している以上、悪魔にとって絶大なダメージを与えることが出来ます。
椿姫『巴柄! 翼紗! 絶対にあの剣をその身で受けてはなりません!』
巡「分かってます! あんなのに斬られたら消滅しちゃいますよ!」
そこから始まる激しい剣戟戦。
私も後ろから支援攻撃を行ってサポートを行います。
修行の成果、今ここで見せますわ!
朱乃『超変身!雷光よ!』
ガガガガガガガガッ!!!
これまで封じてきた力が私の指先から放たれる。
そう……
私は堕天使の血を受け入れ、至ったのです…
雷光を司る究極の戦士
ライジングアルティメットクウガに!
これを見て、椿姫さんは目を見開く。
椿姫『これは……光の力!? 姫島さん、あなたは堕天使の力を受け入れたというのですか!?』
その問いに私は静かに頷く。
朱乃『ええ……。正直、私もこの忌々しい力を使うのは抵抗がありました。……ですが、この力と向き合わなければ私は前に進めない。だから、決めましたの。彼が見ているこのゲームで使うことで乗り越える、と―――』
そう言うと手元に雷光の塊を作り出す。
建物や車を破壊しないように調整しないといけないのが難しいですが…。
狙いを定めて雷光を放つ!
椿姫さんはバックステップをしながら薙刀に魔力を纏わせて雷光を捌いていく。
椿姫『くっ! 二人とも出来るだけ物影に隠れながら攻めなさい! 聖剣だけに注意を取られているとやられますよ!』
「「了解!」」
流石はソーナ会長の懐刀。
指揮を取るのが上手いですわ。
場所が場所だけに物影に隠れられるとこちらも攻めにくい。
攻撃が単調にならないよう、タイミングをずらしながら仕掛けてますから、今は相手側も攻めにくいでしょう。
それにこちらの武器は醒剣と雷光。
掠めるだけでも大きなダメージを受けますから尚更です。
しかし、時間をかければこちらがハメ手を受ける可能性もあります。
何か手を打たなければ……。
援護攻撃をしながら思案していると、こちらに向かってくる影がひとつ。
あれは―――
ギャスパー『朱乃さん!ゼノヴィア先輩! お待たせしましたぁ!』
ゼノヴィア『おお!ギャスパー!待っていたぞ!』
ゼノヴィアちゃんが歓喜の声をあげる。
そう、現れたのはギャスパー君。
どうやら、間に合ったようですわね。
朱乃『ギャスパー君、よく来てくれました。早速ですけど、お願いできますか?』
ギャスパー『はい!』
元気よく返事をするギャスパー君。
この光景を見て、相手全員が怪訝な表情を浮かべる。
椿姫『ギャスパー君…?なぜ彼がここに?まさか、罠に気づいたのですか?』
朱乃『罠?それはもしかしてニンニクのことですか?それならリアスがギリギリで気付いたのでなんとかギャスパー君を撃破されずにすみましたわ』
椿姫『…なるほど。ですが、彼がここに来たところで戦力になるとは思えませんが…。彼の時を停止させる神器は使用を禁じられているはずです』
朱乃『ええ。確かにギャスパー君の神器「停止世界の邪眼」は禁じられています。しかし、彼の吸血鬼としての力は禁じられていません。……ギャスパー君』
私が合図を送るとギャスパー君は小瓶をひとつ取り出した。
小瓶の中には赤い液体が入っています。
朱乃『これはイッセー君の―――赤龍帝の血です』
椿姫『ッ!……まさか……!』
今の情報を聞いて椿姫さんは気付いたようです。
慌ててギャスパー君に攻撃を仕掛けようとする。
ですが―――もう遅い。
ギャスパー君は変身を解除し小瓶の蓋を開けてイッセー君の血を飲み干す。
そして―――
ドクンッ
ギャスパー君の体が大きく脈打ち、この駐車場の空気が一気に様変わりした。
不気味で言い知れない悪寒が私の体を駆け巡った。
見るとギャスパー君はそこから消えている。
チチチチチ。
その鳴き声が聞こえた時、無数の赤い瞳をしたコウモリが周囲を飛び交う。
朱乃『今回のゲーム、ソーナ会長は私達の作戦の要をイッセー君か祐斗君、それかゼノヴィアちゃんだと思っていたのではないですか?だとしたら、それは間違いです。―――私達の要はギャスパー君です』
驚く彼女達にコウモリ達が襲いかかる。
由良『こ、これは!』
巡『うそっ!?』
反撃しようとした由良さんと巡さんは何かに引っ張られて大きく体勢を崩した。
引張ったのは彼女達の影から伸びた無数の黒い手。
椿姫『これがギャスパー君の力だというの!?』
朱乃『ええ、これが本来ギャスパー君が秘めている力の一部です。イッセー君の血を飲んだことで解放されたのです』
黒い手に抗っていた椿姫さんも既に捕らわれている。
もう彼女達に打つ手はありません。
コウモリが彼女達の体を包み込み、体の各部位を噛んだ。
椿姫『血を吸うつもりですか!?』
朱乃『正確にはあなた方の血と魔力ですわ。……レーティングゲームは戦闘不能とみなされれば強制的に医療ルームに転送されます。―――あなた方にはここでリタイアしてもらいます』
椿姫『くっ……申し訳ありません……会長………』
放送『ソーナ・シトリー様の「女王」一名、「騎士」一名、「戦車」一名、リタイア』
朱乃sideout