ヤンデレ系短編集。 作:異論反論は許すが無言低評価は許さん!
まぁそれでも大ちゃんは可愛いしDieちゃんだとしてもとても可愛いのに変わりはないってことだよ。
ついでにいうと…ね、いつもと違う感じのヤンデレが書きたかった。後悔はしていない。
『大妖精へ
きっとこれを読んでいる頃俺は霊夢に頼んで外界に帰る準備をしていると思う。
お前を置いて帰ってしまうことについてはすまないと思っている。
だが追わないでくれ。
恐らく俺の一族はお前を見付けたら確実に殺すだろう。出来るだけアイツらにバレないよう散々誤魔化して来たが限界みたいだ。
そして、多分俺がここに居ても奴等は俺ごとお前を殺しに来る。
だから絶対に幻想郷を出て俺を追ったりするな。
○○より。』
ある日の朝、いつも隣で寝ていた筈の○○が忽然と消えている事に気付いた少女…大妖精が家の一階に降りるとこんな手紙が置かれていた。
この手紙を書いた本人は、よほど別れるのが辛かったのだろうか、所々文字が乱れていて読みづらい。
しかし、その文面は『大妖精を死なせたくない』という強い想いが伝わってくるかのような迫力を備えている。
そして、それを見た大妖精は両目から大粒の涙をボロボロと流していた。
何故自分のそばから彼は居なくなったのか。
何故何よりも幸せだった日常は崩れたのか。
何故再び自分が幸せを奪われなければいけないのか。
何故ただ好きな人と居ることすら許されないのか。
何故自分は幸せを掴めないのか。
何故、何故、何故、何故、何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故?
そんな無限に続く思考が少しの間続いたが、不意に大妖精の頭にこんな考えが浮かんだ。
誰が○○を自分から奪う?
…彼の家族だ。
彼は何故自分から離れていく?
…自分を殺させないためだ。
そして結論に至った。『ならば、彼の家族を皆殺しにすればいい』と。
………いつもの彼女であれば自分が絶対に死ななければいいだとか、そんな穏便な手段も思い付いていたかもしれない。
だが、少し前に何より大切な友人を失った彼女は、大切な人を失う事に過敏になっていた。
それに、今回はまだ間に合うかもしれないという考えが彼女を狂わせていたのだ。
そんな狂っていた彼女の行動は迅速だった。
まず○○がここ…幻想郷から出ていかないよう自身の能力で外界と幻想郷を繋ぐための術式を刻んだ札を一枚を除いて全て封印、使用不能に。
そして残した一枚で自分は外界へと出た。
そして『○○が書き残した通りであれば自分がこの世界に居ることをしれば彼の家族は自分を殺しに来るだろう』という発想から目に入った人々を次々と封印していった。
そんな事をくりかえしていること1日。
彼女はとうとう自分に対して殺意を抱く数名の男女を発見した。
その男女は体の各所に様々な暗器を隠し持っており、手には札を持っている。
その目は自身に満ち溢れておりながら油断は一切存在しないことから、彼らが歴戦の猛者であることが伺える。
だが今回ばかりは運が悪かった。
彼らが相手にした大妖精が持つ能力の名は『封印を操る程度の能力』。
視界に入っており、なおかつ自分より何かが劣っている物を封印出来る能力だ。
そんな能力を持つ彼女に彼らが所持していた暗器は一切通用しなかった。全てスペックを封印されていたためだ。
術式に至っては部分的に封印されたせいで暴発した。
それでも彼らの中のリーダーと思われる男は生きていたが、最後は大妖精により心臓の機能と脳に保存された記憶を全て封印され記憶を失って死んでいった。
大妖精はそのリーダーであろう男を殺すと、誰もが見惚れるような笑みを浮かべた。
なにせ、自分から一番大切な人を奪おうとした奴等を無くせたのだから。
もう大切な人を失わなくて済むのだから。
そして彼女は、所持していた幻想郷と外界を繋ぐ札を使うと幻想郷へと戻っていった。
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「あら?おかしいわね…」
俺が大妖精を守るために幻想郷から外界に帰る事を決意し、決行しようとしたその日、幻想郷と外界を繋ぐ巫女である霊夢はその術式を刻んだ札を持ってそう言った。
どうやらこの札が発動しないらしい。
まぁ、予備もあることだし…と予備の札を持ってきた霊夢だが、それらも全て使えない。
しかも一枚足りないらしい……………ッ!
俺は霊夢のこの台詞を聞くと同時、突然に大妖精の能力を思い出して戦慄した。
彼女の能力であればこの状況を作り出せることに。
札に付いては全て封印すれば良いし、セキュリティは解除出来る。
俺はそれはありえない。とその考えをすぐに捨て去ろうとしたがどうしても頭から離れない。
この日は霊夢も『代わりの札を用意しようにも1日は掛かる』と言っていたので俺は一度家に帰る事にした。
だが…………そこに大妖精はいなかった。
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大妖精は、札を使って幻想郷に戻ると出せる限りの速さで家へと飛んだ。
そこに彼が戻っていると思ったから。
彼女が家に到着すると、何よりも大切な人である○○が自分を待っていたことに歓喜した。
今度は失わずに済んだ。と。
だが彼は、帰った大妖精におかえりと言うでもなくこう聞いてきた。
『昨日居なかったけど、何をしていた?』と。
彼女は、自分がやったことは間違った事でもなんでもないと思っていたので彼に、自分が何をしてきたのかを詳細に語った。
「○○さん、私頑張ったんですよ?貴方を奪わせないために外界に行きましたし、よく分からないですけど貴方が言っていた私を殺そうとしてくるであろう人たちも皆殺しにしました。ですから………もう二度と私から離れたりしないでください」
その言葉は、彼女にとってはただ懇願であった。
だが、○○にとっては自分の家族を自分の愛する人が殺した、という事後報告であった。
さて、たとえ自分を殺していたかもしれないと言えど、自分の家族を殺されてなお冷静で居られる人間が居るであろうか。
その答えは…NOだ。
「なんでだ…なんで殺したんだ!」
○○は溢れ出る怒りを精一杯に抑えながら叫んだ。
普段の彼なら考えられないほどの豹変ぶりであった。
それほどまでに家族を殺されたのがショックだったのであろう。
彼は、溢れ出る怒りのままに大妖精の胸ぐらを掴むと、その体を持ち上げた。
「苦しいじゃないですか…なんでこんなことをするんですか?○○さん。私はなにも悪いことはしてませんよ?ただ私からあなたを奪おうとする奴等を排除しただけです。ほら、いつもみたいに私を抱き締めてくださいよ。肯定してくださいよ………○○さん」
大妖精は、彼が自分の胸ぐらを掴んでいることの意味が分からないとでもいうかのように呟いた。
すると○○はそのまま大妖精の体を、壁へと投げ付けた。
「お前は………お前は俺が知ってる大妖精じゃねぇ!」
その言葉は大妖精の心を粉々に砕いた。
彼はそのあとに『いつものお前に戻ってくれよ…』と呟いていたが、その言葉は大妖精に届かなかった。
自分はただ○○のためにやったはずなのに。彼は自分を否定する。
その現実がすでに狂っていた大妖精を寸でのところで引き留めていた何かを破壊した。
大妖精は、幻想郷全体に対して能力を使った。
自分の望む幸せな日々を送るために。
自分の望まない現実を否定するために。
彼女はここに存在する全員の脳内から………そう、かの賢者の脳内からさえもこの幻想郷の外に外界が存在するという知識を封印したのだ。
そして、一番大切な人である○○の記憶も封印した。
外来人のためかほとんどの記憶を封印しなければならなかったし大きく封印したので簡単にそれを思い出してしまったが、最後に彼女がとある記憶を封印する事により全てはうまくまとまった。
そう、彼女は彼に残っていた最後の外界の記憶………名前を消したのだ。
これにより彼は自分が外来人だということも、外界があることも思い出せない。
ただ、それでは矛盾が生まれてしまうので、大妖精は彼に新しい名前を付けた。
それは“新一”。『もう一度、新しく一からやりなおす』という意味を込めて。
前回の大ちゃん編におけるヒントをいくつか回収するコーナー。
名前⇒本編であったように“新”しく“一”からやりなおすから。
寝言の内容⇒今回の内容を大妖精だけは覚えていたため無意識に。
霊夢のやつ⇒彼女の勘に手助けされてうっかり思い出されては困るため自分で起きてきてしっかりと記憶を封印しなおしたため。
あと気になる点とかあればどーぞ。
でもいつもこんなことやらずに行き当たりばったりで書くからね。矛盾とかあるかもしれぬ。