ヤンデレ系短編集。 作:異論反論は許すが無言低評価は許さん!
正直暗い話のつもりが提督が現代っ子っつーか変な具合のテンションで暗く無いぞ!
誰か俺の『暗い話を書こうとすると主人公のテンションが増加する病』治してくれないかなぁ。
そのせいでシリアスを書くつもりがコメディの雰囲気になっちゃうことが多々。
まぁ愚痴ってても仕方ないし本編どぞー。
………体が動かない。そして何かに座っているっぽい…………椅子に縛られてるか?
まぁ、とりあえず簡単な確認も込めて自己紹介でも。
俺は○○。四国の方でも割と立場が高い…ちなみに県で言うと徳島の方の鎮守府の提督だ。
よし、とりあえず自己紹介を淀みなく言えるから何か薬物を投与されてる可能性は低いな。少し安心した。
しっかし、なんでこんなことになったやら。
何も悪いことはしてないし、実はちょっと問題があるような事をいくつかしちゃいるが致命的な物は無いし、春雨とその………まぁ”経験”があったりするわけだが、それで嫉妬されて監禁かれるような覚えもない。てかそれほど人望もない。
あとは…………あぁ、香川の方の提督くんかね?彼、ちょっと嫉妬深いし、ウチがちょっと強いからよく突っ掛かって来るんだよね。
とはいえ彼も立派な大人だし、こんなことしたらタダじゃ済まないのも理解してるよな………うむ…りか不能だ。
確か俺は時雨がここの鎮守府に何故か設計図では存在しない部屋があるのを見付けたと言うから着いていって………明らかにそれじゃないか。
原因はきっとそこに何かがあったって事だが………うむ分からん。
これが自動式のトラップだとしたら何を守って居るのか不明だし、俺を意図的に罠に填めても得するやつなんて居ないぞ?
いやまぁ、訓練中の提督たちに取っちゃ現役が一人減れば深海棲鬼とか深海棲姫出たんじゃないかって事で念のためここらに数人の提督が配置されることになるけど…………わざわざリスクを負ってまでやるかね?
現状鎮守府はいつもいつも人手不足ってか提督不足なのによ。
ん?何やら錆びた金属を擦り会わせるような音………入る時に通った金属扉か。
と、なると来客って事だな。鎮守府に軍関係じゃないやつが来訪することなんてないから………この場所に来たって事は金剛辺りか?
「おーい、誰か居るなら来てくれー!なんか縛られてるんだー!」
俺は日頃声をあまり出さないので若干裏返った声でやってきた誰かを呼んだ。
その人物は十歩ほどの足音の後何かのスイッチを押したようなカチッという音を響かせると、姿を見せた。
「やぁ、提督。目が覚めた?」
それは時雨だった。
確かこの部屋に案内したのは時雨だったな。もしかしたら事前に調査していたのかもしれない。
だが、何故目が覚めた?と聞くんだ?
普通は平気か…みたいな感じだと思うんだが。
っておかしいだろ。
つーか俺のよく読む某サイトの小説によればこの台詞は………ヤバい。
ついでに言うとそれなりの場数を踏んでる俺の勘からも『恥も外聞もプライドも一切合切投げ捨てて一目散に逃げろ』と告げられてるし。
ここは一回、テンプレに沿って会話してみるかね。
「あぁ、よかった。とりあえずこれを解いてくれないか?」
「ダメ。解いたら提督は逃げちゃうでしょ?」
はいアウト!もうすでにスリーアウト!病んでる!
あー、もうこうなりゃなんとかするには………どうにもならんわ。お手上げ。
前に読んだ小説によればこういうときの正しい対応は…どうにかしようと考えず言いなりになって好機を伺うこと。
出来るだけ言いなりになっていればこっちに隙を晒してくれるかもしれないからな。
まぁその時は捕まったらヤバいが、こっちは外に出れば転属という名の切り札がある。
具体的には俺の執務室で時雨を横須賀辺りに転属するのだ!
ファイトだ俺。しばらく耐えるんだ俺。少し言いなりになるだけでどうにかなるぞ。
「でさ、提督…ボクはずっと提督の事を想い続けてたんだよ?それこそ春雨なんかよりずっとさ………でもナンで提督はボクを愛してくれないの?ねぇ、ナンで?」
時雨の日本語が一部カクカクになってる。
これはマズい。俺の良く読んだヤンデレ小説においてこれは…嫌な事が起こる前兆だ。
ここでうっかり答えを間違えたら死ぬ…どうすればいい?
あ、いやよく考えりゃ春雨の方から夜這って来た…って俺は春雨を殺す気なのか?ヴァカなのか?ヤンデレにそれ言ったら春雨死ぬじゃん。
そんな俺の葛藤を見かねたのか、時雨がこんな事を言ってきた。
「まぁ、提督がちょっとどころじゃなく鈍感なのも、押しに弱いのも、浮気が出来ない性格なのも知ってるよ?だからボクの気持ちに答えられないんだよね?そうだよね?」
「…………」
俺が鈍感?いやいや、まさかそんな事は無いって。
流石に俺だってラノベみたいに間接的すぎて分からない好意の伝え方はまだしもある程度知識はあるから他人の好意には気付く方だぞ?
これでも友人には『高感度遠距離対応センサー』と呼ばれるほどだ。
つまり俺は鈍感じゃない。多分っつーか絶対。
「提督、今自分が鈍感じゃないと思ったでしょ………この鎮守府に提督の事が好きな娘が何人居るか分かる?」
「お前を入れて二人だろう?人望の無さにはいささか定評がある俺だぞ?」
時雨が不思議な質問をしてきたので、淀みなく返す。
少しこっちのペースに引きずり込めたか?いやまだあっちのペースか。
まぁこんな感じでペースを掴んで隙を作るか説得したい。
交渉と話術は少し苦手だが、それでも提督としてやっていけるだけの社交力はあるんだ。
「はぁ………まぁ、本題に戻るよ?提督は春雨と関係を持っちゃってるからボクの気持ちに答えられないんでしょ?だからさ、ボクがその原因を取り除いてあげるからさ………ボクの気持ちに答えてよ」
ってオイ。やべーよやべーよ。もうすでにヤンデレの進行度合いが殺人すらいとわないレベルになっちまってる。
こうなると俺に出来る事は…………あー、そういや前にお母さ………コホン、大鳳母さんが教えてくれたんだが、女とは好きな男に自分の事を第一に考えた言葉を言われちゃ逆らえないって言ってたよな………いや、まぁ割と前の事だから少し違うけど、確かそんな事を言ってた。
ならば………
「やめてくれ…」
「やだよ。じゃないと提督はボクを見てくれないでしょ?」
「違う、俺はお前に殺人鬼になって欲しくない」
俺氏、一世一代の黒歴史確定台詞!
これなら行ける!やったか!?
あ、やべっこれフラグ。
ちなみにフラグってうっかり立てて少しあとに気付くと効果が高くなるっぽいよ?
つまるところこれは最大効果が出るって事で………
「えへへ………提督はボクの事を心配してくれるんだね……でも大丈夫だよ、これからやるのはただのゴミ処理だから、さ」
うわーい終わったー。
てかヤンデレ怖すぎだよ姉妹をゴミ扱いとか…
こりゃお手上げかな…春雨逃げて超逃げて。具体的には香川の方まで。
あっちなら俺の親友っつーか悪友みたいな提督が居るから安心だろうし。
頼むから逃げててくれよ?
「血の雨を降らせて来るよ………そして帰ったら、たくさん愛し合おう?ボクは提督が望む事はなんだってやってあげるからさ」
時雨は、最後にそんな恐ろしい事を言い残すと部屋から出て行った。
もちろん鍵を掛けて。
うわ………これ俺も死ぬんじゃないかな………これじゃ殺伐提督ライフが開始していつか怪死しちゃうねー。って全然笑えねぇ。
さぁ、次回は大ちゃん編答え合わせだ。
読者のみんなよ、『これは酷い(ガチ)』とコメントする用意は良いか?
俺のシリアスは………高確率(FGOで☆5鯖が出ない確率と同じくらい)でシリアルだぜ?
いや、まぁ最大限の努力はするけども。