ヤンデレ系短編集。   作:異論反論は許すが無言低評価は許さん!

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今回は主人公をちょっとキチガイ風味豊かにしてみますた。
楽しいよコイツ。これまでが嘘みたいだ。
まぁ次回からはちょい趣向を凝らして見るんだけどね。
てな訳で本編にヒアウィーゴー。使い方違う気がするけど!


真性のクズと狂気の兎

皆、胸を張って言える事じゃないが俺は天性のクズだ。万人に一人居るかどうかってくらいの。

人の不幸は嬉しいし他人の悲しみを自分の喜びに変換する。

そんな俺なんだが、どうやら『曲解する程度の能力』ってのを持ってるみたいでさ、幻想郷ってとこに連れて連れてこられちゃったわけよ。

でもさぁ……ここは幻想郷であって日本じゃないんだ、日本なら誰からも咎められて生きていけなくなるような行為もここでは出来る。

幸いにして俺の能力は記憶を曲解させて事実を忘れさせたり某マイナスの人みたいな事も出来るからデメリット無いしさ、やらない理由が無いよね。

ってな訳で俺は様々な奴等に味方するように見せて裏切り、傷付いた表情を見てきた。

いやぁ、信じてた相手とか想いを抱いてた相手に裏切られた時の表情って堪んないね。なんか一番好きだわあの顔。

だってさ、その時は誰だって俺の事しか考えて無いんだぜ?最高じゃないか?

あぁ、分からなくても良いさ。俺の思考を理解できる奴なんて居ないって思ってるし居たらそれはそれで怖いしな。

そうそう、そんなクズの中のクズ、クズオブザクズの俺が現在侵攻しているのは永遠亭。ウサギ二羽と医者とニートって構成のここに、俺は元々居たかのように滑り込んだ。

そして徐々に信頼を積み重ねて行って、今じゃ俺への絶大な信頼を抱いてる節があるし、うどんげ……ウサギの大きい方に至ってはどうやら好意まで抱いちゃってるらしい。

いや、それはただ俺が切っ掛けを無理矢理作っただけなんだけどさ。

そのお陰で裏切りまでのカウントダウンは着々と進んでいる……筈だったんだ。

だが想定外な事に、知り合いというか前に心をへし折って再起不能にした筈の面倒な女が幻想郷に来て全部暴露してくれちゃったのさ。

そのせいで完全な準備が整ってないまま変な感じだったからなぁ……

まぁ、そのお陰で面白い事を思い付いたんだけども。

そうだよ、永遠亭の全員の記憶を曲解させてそこに意味を持たせなくして、やってきた女は存在意義そのものを曲解させて自殺させた。

んで、簡単な話うどんげの好意を利用することにしたんだ。

計画はこう。俺が真性のクズであることを皆に忘れさせてこれまで通り、いやこれまでより優しくして、ある程度仲を進展させてから記憶を戻す。

そうした時どうするかか見物なんだよね。一体記憶の戻った奴等がどう動くか。

ちなみに決行は明日だ。なんとうどんげとの関係が予想外なほど早く進んでいるので決行を早められた。これは僥幸と言わざるを得ないところがある。

あぁ、今から楽しみだ。

ただ、ちょっと最近結婚してからというものうどんげの事が可愛く見えて来たのが個人的には少しマイナスかと思う。壊すってのにこんな感情抱いてちゃ駄目だよな……

 

 

そして次の日のこと。

今日、予定通りこの関係をメチャクチャに壊そうと思う。

これ以上これを続けちゃ俺自身が変になる。そうなる前に計画通りにみんな壊してリセットしよう。そう考えたわけだ。

なに、人間関係を壊してやる方法は簡単さ。ただ能力の効果を解けば良い。

それだけでこれまで自分がクズをクズと気付かずに過ごしていた事に気付いて多少傷付く。

そしてとどめにあの女の声を真似して心を抉る一言を言ってやれば完璧だ。きっと素晴らしい顔をするだろう。

そうと決まれば善は急げ、善で無くとも急げ。だ。

計画は穴だらけに見えるが声については俺の声を曲解することで変えられるし、能力を解除するだけならいつでも行ける。つまり穴はほとんどない、よな。

俺はそう考えてから、まずは誰から壊して行くかを考えた。まとめても良いが一人一人も悪くないし、どうせなんらかの攻撃されてもそれを曲解すれば打ち消せる。

ならば誰から……おや。

「……それじゃ、まずはお前から壊そうか……うどんげ」

 

「え?」

 

たまたま今居る場所の近くをうどんげが通ったのを見て、まずはうどんげから壊そうと決めた。

能力解除。俺に絶望した表情を見せてくれよ。

この瞬間、うどんげに掛けていた曲解の効果が消えて記憶が復活する。

それを理解したのか、彼女は頭を抱えて地面に座り込んでしまった。

あぁ、これじゃ顔が見えないな。とりあえず顔は上げさせよう。

俺はうどんげの頭を掴んで俺の方を見させる。

ほら、壊れろよ。絶望しろよ。

「あぁ……ようやく明かしてくれるんですね」

 

!?

だが、俺が見たのは騙し続けていた俺への怒りに燃える表情でも、俺みたいなクズを慕っていたことへの絶望に歪む表情でもなく、ただ心底嬉しそうに俺が隠していたことを明かしたのを喜んでいる。

何故だ……おかしいだろ。俺を憎めよ。俺を罵れよ。

「…?なんで憎む必要があるんですか?これにはどこも憎む要素が無いじゃないですか」

 

……あぁそう。もしかしてお前、俺が昔の事を全部捨ててやり直そうとしてるとか思ってるのか?

だったら残念だな。俺は今でもお前の絶望した顔が見たいさ。

「でも、そうしたら貴方は居なくなるでしょう?嫌ですよそんなの」

 

うるせぇ……チッ。

もう良いさ。だったらもう居なくなってやんよ。どうせお前だってそれがお望みだろう?口ではそう言っててもそう望んでるんだ。

「あ、そんな事しちゃ駄目ですよ?そんなことしたら、私はこれから貴方を永遠に追い掛け続け誰も寄り付かなくするストーカーになります」

 

しれっと脅迫か。まぁ確かにそれは俺に対して有効な脅迫だ。

じゃあなんだ、何が望みだ。

「そうですね……それじゃあ狂ってください。私に」

 

は?何言ってんのお前。

「いやだから、私以外の異性に興味を持たないように私に狂ってください。って言ってるんです」

 

そういう意味じゃねえっての……お前は馬鹿か。んなことして何が楽しいんだ。

「ただ私は貴方と居られれば楽しいんですよ?……あ、それとこれも飲んでくださいね。逢来の薬です」

 

不老不死の妙薬?それを飲ませて……おい、それ完全にずっと俺を束縛する気マンマンじゃないか。

俺は嫌だぞ。長いというか永い時間をただ束縛されて過ごすなんて。あぁそうかい、時間を掛けて俺を真人間にしようとでも?

出来るわけねーだろ。俺は根っからのクズなんでね。

「いえ、更正なんてとんでもない。ただ貴方を閉じ込めるだけですよ」

 

余計にダメだわ。あれか、空間と時間の概念を狂わせて監禁ってか。なるほどヤバいじゃん。

「いや、貴方を狂わせて私しか愛せないようになってもらいます」

 

ごふっ。なんてこったいまさかこんな強行手段に……こうなればこっちも実力行使だ。

ハッ!こちとらあらゆるものを曲解出来るのさ!お前の存在すr……

痛っ。転んだ。つーか立てない。

どうやら平衡感覚を狂わされたようだ。と、なれば次は……

やっぱそうですよねー。方向感覚まで狂わされた。

なるほど、こうして触れているものしか分からず、自分で立つことすら出来なくしてうどんげに頼るしかなくさせるって訳ね……だがそれも曲解して、狂わされた感覚を戻せば良い。

ってオイ!?ギブ!ギブだって!妖怪の腕力で締め技は〆技になっちゃうから!

「それじゃ大人しくしててくださいね。大丈夫ですよ、生活には困らせませんから」

 

……そう言ってうどんげはまた能力を使用した。何をしたかは推測出来る。

睡眠欲を抑える何かを狂わせたんだろう。

その証拠に、やたらと眠い。

このままじゃすぐ落ちるな……あーあ、これでもう楽しく人を壊せないんだ。残念。

まぁ、いつかコイツに飽きてもらっーてさっさと捨ててもらうとしようか。

それまでの辛抱、だ……

 

 

まさか永遠亭に地下空間があるとはな。

まぁあれだな、何かヤバい物を秘匿するための場所なのだろう、と俺は感じる。

この中に来てからやたらと力が落ちてる感じがするし、能力も使いづらい。

それに、出ることは難しそうだ。内側からかなり堅牢な鍵が掛かってるし扉は破れそうにない。

その上飯も毎日うどんげが喰わせてくれるもの以外は無い、しかも微妙に量は少な目なので力も出ない。

その上、うどんげは時々俺の所にやってきては襲ってくる。性的な意味で。

しかもそれが激しすぎて体力を取られるから更に逃げられない。

なんてこったい逃げられないや。

 

こりゃ本格的に諦めた方が良いか?

そうだな……まぁ、どう足掻いても無理だと分かるまでは諦めんでおこう。

それ以外はもう、しばらく隠してチャンスを伺うって方針で。

人生、諦めが悪い方が良いけど引いて加速距離を取るのも大事だって婆ちゃんも言ってたしさ。




次回は恐らく殺戮の天使で何かやる。
だが予定が変わる可能性は非常に高いので注意。

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