ヤンデレ系短編集。   作:異論反論は許すが無言低評価は許さん!

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今回はちょい微妙。まぁ個人的に言うと最後に選択肢を示して読者さんの好きなストーリーを思い込んでそっちだったことにしてしまうスタイルをやってみたけどそれをやるために用意した謎のキャラが上手く動かない。



新任提督と電(艦これ、電)

北のとある鎮守府に、どういう訳かすでに秘書艦との関係が夫婦級とまで言われている新人提督が居るとの話を受け、俺………新聞記者歴5年の射命丸文(ふみ、である。決してどこぞの天狗ではない。ここ大事な?)はその鎮守府へ行く事となったのであった。

そこで待ち受ける恐ろしい物も知らずに。

まぁ行く事になったから取材許可は取れてるとはいえ、少し時間もあるし事前調査しとくかね。

ちょっとした噂話でも意外と良い情報も紛れてたりするのだ。

流石に直接関係者に話を聞くことは出来ないだろうが、少しくらいなら話を聞けるだろう。(フラグ)

 

「何故だ解せない」

 

俺の鎮守府近郊での最初の台詞はそれだった。

とりあえず陸路と海路を織り混ぜて移動したのだが、護衛についていた艦の練度が凄まじい事を感じとれた。

確か一般的な鎮守府で平均練度が30とか言ってたから、60くらいはあるのだろうか。

前に見た新人提督のところの艦で一番だった練度16の時雨と比べても圧倒的なオーラというかなんというか………

いや、それよりも驚くべきはアレだ。

なんと市場の方に明らかに軍関係者と思わしき人物を見付けたのだ。

そして鎮守府における軍人は提督くらいの事だから………

何故だ解せない。

普通の提督は常に戦況の変化に対応するため基本鎮守府にいるとの事だったが………質問項目に加えておこう。

それよりも、秘書艦との関係が良好過ぎるほどに良好というのはどういう訳やら。

うーむ。分からん。これは取材の時に持ち越しだな。

今周囲に一人も艦娘が居ないからどれくらい仲が良いのかも押し図れない………ん?

何やら今買った物を確認して何かを間違えていたことに気付いたようだ。だがそれをそのままにして戻っている?

一体何を?

質問項目は増えるばかりだ。

 

 

 

ー提督ー

 

「ようこそ我が鎮守府へ………って言ってから早五時間。もうやってられん」

 

何やら俺を取材したい記者が居るとの事でちょうど今俺が進めている小さな計画の助けになるかと思い受け入れてみた。

だが………この文とかいう記者、予想外なまでにウザいぞ。

追及がしつこすぎて出禁言い渡しかけた。

幸いにして事情を察している………のかは知らんが俺に合わせてくれている電のフォローで事なきを得たがな。

今度アイツにはクッキーでも贈ってやるか。

 

それよりも、だ。

今はどうあの記者をやり過ごすかが問題だな。

とりあえず体面だけ整えてしまえば良いか?

いや、外面を整えておいて悪いことも無いし、あえて受け入れ機密以外はバラす………バランスが面倒くさい。

こんな時記者への対応のマニュアルでもあれば良いんだが。

「提督さん、記者に対する対応の前例を纏めておいたのです」

 

「助かる」

 

ナイスだ電。

前例があるならそれを元に対応を決められるな。

まぁあのうざったい記者の事だからアドリブもある程度想定しておくこと………いや、むしろアドリブになりそうなら何も言わせないのも手か。

とにかく前例を確認しよう。

 

1.艦の方に対応させる。機密を喋らないし隠し事がバレない。マニュアルにするべきでは?

 

これは………あぁ、本部からブラック鎮守府やってるとこの提督には無理だとのお達しが出てる。

それにブラック鎮守府って何かと多いからなぁ。ウチも例に漏れんし。

あと艦娘と民間人の接触は出きるだけ避けるってのが本部の方針でもあったしな。

次だ次。

 

2.■■■■■■■(意訳:ハニトラ)

 

R-18な対応だった。

つーかこれだと相手ロリコンに限られ……いや、このご時世相手が子供でも見境なく襲う変態も多いし、良いのか。

だが却下だ。それを頼めるほどしっかりとした命令系統が出来ていない。

次。

 

3.秘書艦が取材中に様々なアクシデントを起こしたり用事を作ったりして取材させない。艦娘には接触させない前提で。

 

フム。これなら靴にでも電信を送れるよう機械を仕込んでおけば狙ってやれるし、悪くはないか。

これで決定。

前に市街地で捕まえた泥棒から没収した小型の電信があるからそれを靴の中敷きに仕込み、特定の合図で突入させる。

これで良いだろう。

本来なら褒められた事ではないが、そうでもしなければ俺の場合ボロを出す恐れがある。

 

特に艦娘たちを強化するために行っているアレだけはバラす訳にはいかんし、許してもらおう。

「電、記者への対応を決めた。今から少し説明するから聞いてくれ」

 

俺は電の方に椅子を向けると、対応策を説明した。

快く受け入れてくれたのはいつもの事だ。

「了解なのです」

 

ただ、今日は何やら電の顔に少し陰があるような気がする………何故だ?

記者が帰ったら………休みでもやるか。そういえばここに来てから一度も休んでないしな。

たまには休ませて良いだろう。倒れられたら困るし。

まぁ記者が帰ってからだが。

 

 

 

翌日のこと。

「と、言う訳でしてお二人の仲が非常に進展されている秘訣をお教え願えないでしょうか」

 

「は?」

 

俺は記者の前で盛大に『何考えてんだコイツ』という本音を吐きかけてしまった。

俺と電の仲が進展してる、ねぇ。

確かに相性は良いがそれくらいだぞ?

あぁ、まぁ居ないと微妙に調子が狂うがな。頼りすぎてる感じは否めない。

それにしても、俺と電ってそんな風に見られていたのか。驚いた。

誰が言い始めたのやら。

「さぁ?誰でしょうね?でも着任からこれだけしか経ってないのに秘書艦とここまで仲が良いのは貴方しか居ないですからね。何か秘密でもあるのかと」

 

そんなもの、あるなら逆に俺が知りたいくらいだ。

俺の方から惚れるならともかく電の方からそういうことになるなんて可能性はまったく考えていなかったからな………

まぁいい、とにかくここは秘訣など無いと言っておいて、穏便に何事も無いように帰ってもらうか。

あの作戦が使えなかったのは少し残念とも言えるが、まぁ使わずに済むのなら……

「あ、それはさておきですね、ここに来る途中で船の護衛に着いていたここの所属と思われる艦を見たのですが、私の感覚では前に見たとある鎮守府のトップクラスの艦より強そうに見えたのですが、それには秘密があったり?」

 

前言撤回、使う。

俺は靴に仕込んで置いた電信で事前に言った通り『来い』の合図として短いものを3つ飛ばした。

これですぐに予定で決めた通り本部から書類が届いたと言って電が駆け付ける筈。

俺はそれまでどういうべきか悩んでいるように見せ掛けていれば良いだけだ。

「提督!大変なのです!本部から直接の指令書が!」

 

ぬ?

電は予想より早く来た。だがどうやらそれは元々ここに向かっていたかららしい。

しかし、本部も一体何を俺に送ってきたんだ?実験でもやれと言うのか。

ウチは艦の練度が高いし他の鎮守府で指南役でもやれと?

いや…良く考えたら指南役するよりゴーヤ辺りを一人で向かわせて艦隊同士で演習させた方が良いんだよな。

あまり褒められたやり方じゃないが。主に艦のメンタルに影響あるし。

具体的に説明すると深海の敵を倒すために居るはずの艦娘の根本の部分と矛盾している行動らしい。

いや確かに本来の任務でなくただひたすら仲間と練習し続けてりゃそんなこともあるだろう。

だが……練度あげはあれが一番なんだよな。

さて、無駄な考え事もここまでにしといて記者とさよならするかね。

「と、言うわけですまないが本部からの書類だそうだし今回の取材はここまでにしてもらおう。場合によっては当分カンヅメする可能性もあるしここは戦闘になったとき危険だ。早めに帰っておけ」

 

俺はそれっぽい事を言って記者に帰投を勧める。

帰ってくれ記者よ。お前が居ると仕事がしにくくてたまらん。

そう願いながら部屋を去り、廊下で電から指令書を受けとる。

封筒に入れてわざわざ極秘と書くとはなんなんだ一体。カモフラージュくらいすれば良いのに。

「提督、どうやら本部の方での研究に関する極秘の資料みたいなのです」

 

研究?そういや本部にはケッコンカッコカリシステムを作ったり艦娘の新たな型を作ったりする部があるとは聞いていたが、そこか?

しかし俺になんの用やら………

俺は、執務室に付くなり愛用のペーパーナイフで封筒を開け、中の指令書を読む。

 

……ふむ。どうやらこれは艦娘の感情と戦闘力の関係の調査を俺にやれということらしい。

工蔽で193、481、952、592のレシピで武器を製造するとほぼ確実に測定機が出る。

それを秘書艦に装備させて1週間データ取り。報酬は資材を2000、2000、1000、2000。

ふむ。割が良いな。

一応これが危険な物でないと良いのだが……

まぁ、ヤバいようなら俺がどうにかしよう。

士官学校時代に握った弱みだとかコネを使えば報復も出来る。

よし、方針決定。

 

 

 

ー記者ー

 

記者とは失礼な。文と呼べ。

まぁそんなことは良いだろう。さっき幸か不幸か提督が去った。

これで鎮守府を探索出来る。

都合の良いことに俺には昔から姿を完全に消せる能力があるし、ここは1つスクープでも回収させてもらうかな。

俺は能力を使い、姿を消して部屋を出る。

まずは執務室……いや、そこには秘書艦と提督か居るだろう、後回しにしてタイミングを見計らおう。

ならば艦娘達の方の実情でも見させてもらうか。

ちまたではブラック鎮守府なるものが多いとの話だし、ここもそうなら盛大に暴露してやろう。

俺はどうするかを決めてから、まず艦娘達の暮らす部屋を探しに行くことにした。

 

 

まぁ、幸いなことに部屋はすぐそばにあった。

ただまさか最初の所で曲がる方向が逆とは思わずしかも急に現れた茶髪の艦にぶつかりかけて苦労したがな。

これでスクープが無ければ骨折り損のくたびれ儲けにしかならんし、何かあってくれよ。

そう祈る心は主に編集長にスクープ取ってくると言った手前、何も取らずには帰れないというものと、編集長がキレたら誰も手を付けられなくなる事への恐怖があった。

さて、探索一部屋目。ザッと見ると単純な部屋だ。二段ベッド2つで………1つだけ季節にあっていないベッドシーツが目立っている。どうやら現状は三人部屋らしい。

この部屋はそれだけだったので俺は扉を閉めた。

探索2部屋目。何故かやたらカラフルな物の多い散らかったベッドと、整理整頓されているベッドが対照的だった。

中央のちゃぶ台に乗っているのはうさぎのぬいぐるみ。何故だ?

ちょっと訳が分からなかったので部屋を出た。

そして3部屋目……開けたらいけない予感がする上に鍵が掛かっているようなのでパスだ。

さてここはどうだろうか?4部屋目。

俺は何かあるような気がして恐る恐る扉を開く。

「…………」

 

扉の中は、予想に反してというか直感に反し、かなり平凡な部屋だった。だが一人部屋という事は秘書艦か何かの部屋だろうか。

それにしても……よく整頓されているな。まぁそれはそれで何かを隠すために痕跡を必死に消しているようにも見えるが。

俺はその辺りを見てから、自分の直感に従い部屋に侵入、1つ1つ丁寧にチェックする。

ベッド、ベッドの下、机の上と下、その他もろもろ。

まぁまずベッドは普通だった。何か人のぬいぐるみがある……誰のだ?あ、しかもこの枕、良く見ると糸の代わりに髪の毛を使ってるな。

正直誰の髪の毛かはまぁ、やたら真っ白なのと所々繋ぎ合わせていることからなんとなく察せるが、こんなエスカレートした思いを抱くとは一体何者やら。

そしてその下には………ふむ、これは提督の写真か。

まだ新人である提督の着任したての頃のやつみたいだ。まだ髪は黒い。

そう言えばあえて理由は聞かなかったが何故提督の髪は白いんだろうか。歴戦のベテランならストレスで、というのもありえるが新人だし……

次に行こう。ベッドの下にはもう何も無い。

机の上……普通の机だな。綺麗に整頓されて細かく分けられてること以外は。面白いものは無さそうだ。

ならば下と中。あと一応開かなそうな所も一辺全部開けてみよう。俺ならきっと見られたくないものをそこに隠すだろうし。

ひとまず下を確認。

あるのは……うぷ。気分が悪くなってくる。

異様なまでに張られた写真が見付かった。

全部提督の切り抜き…いや、一人だけ例外があるな。この部屋の主だろうか?

一体なんでこんな事に………提督もきっとこれを見たら驚くのだろうな。

まぁ見せる気は無いが。潜入はあくまで秘密の事だし。

とりあえず、気分を直すために机の中を見よう。

大丈夫、きっと中くらいは普通の物が……

 

コトン。

 

机の引き出しを開けると、そんな音と共に何かが落ちた。

どうやらロケットペンダントが落ちたらしい。

何が入っているのやら。写真だとしてちょっと人には見せられない物だったり……開封。

さて、ここでちょっと弁明しておくが別に俺はロリコンではないしそれに何か特殊な趣味があるわけでもない。

つまる所俺はあくまで普通の人間なのだ。

だからここで気分が悪くなってもおかしくは無いのだ。

 

出てきた写真に写っているのは、なんとなく先程貼られて居た写真の……恐らく秘書艦に似ている気がする艦のそれだった。

アングルから見て恐らく隠し撮り。

それと、秘書艦との違いは八重歯の有無、あと表情から察するにこっちの写真の艦の方が堂々としている印象を受けるな。

しかし、何故こんなところに?

こんな物大抵は男の方が持っていそうなもんだが。

 

その思考に辿り着いた時、俺の昔から閃き力だけは定評のある頭は2つの間逆な推測を思い付いた。

もしも、このロケットが元々提督の物だとしたら。

そして、もう1つ……

秘書艦が元々この写真の艦だったなら。

理由を付ける事は出来る。

2部屋目で見た季節外れのシーツ。あれが元々この写真の艦の物だった可能性もある。

つまり、現秘書艦が元の秘書艦を殺害した、という可能性。

 

だが、もう1つだとすれば完全に笑い話としか言い様が無いが。

それはつまるところこうだ。

まず、提督がどこかで……まぁ士官学校時代にでもこの写真の艦あるいは今秘書艦をやってる方の艦を見ていた。

そこで一目惚れ的なものをして提督になり、それであの秘書艦と写真の艦を勘違いした。

そういうものだ。机の下の写真なんて無かったしあの部屋は単純に元々三人部屋だったのが秘書艦がこっちに移って二人部屋になっただけ。

こう考える事も出来る。

まぁ、事実はこれと違うのかもしれないし、もしかしたらどれもこれも俺の思い違いって可能性もある。

ましてやこの部屋が秘書艦の部屋じゃないって可能性だってないわけじゃない。

はは、まったく……潜入して得られた結果は散々なもんだよ。

これでは帰ったら編集長に干されるな。まちがいなく。

まぁここで見たことは全てポジティブに考えさせてもらうとするかね。

俺は、な。




思い付きのキャラ
射命丸 文
あややでなくふみふみ。男。
能力は完全なステルス。とりあえず新聞記者って事になって思い付いたのがこいつだった。

ちょっとひどかったと自分でも思う。
まぁしばらく時間を置いてから別の話を同じキャラでやるという暴挙でも良いか。

そして次回予告。一言で。
……最初っからクライマックスだぜ。

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