ヤンデレ系短編集。 作:異論反論は許すが無言低評価は許さん!
単に普通のヤンデレとか書いててHPがえげつないくらい削られるんだよね。
なんでだろ。
「あなたの事がす……」ドグシャア!
「つ、付き…」ズドン!
「あの、良ければ今度で」ドルフィン!
俺、五河士道は呪われている。
それも気付いたのは最近だが、どうにも厄介な呪いだ。
いやまぁ、話は変わるが俺も顔は良い方だと思ってるし、モテたくてちょっとどころじゃないくらい頑張ってみた。
得意じゃねぇ勉強も『教えよっか?』と颯爽と言えるくらいに得意にして、運動部も真っ青の身体能力を手に入れ、いわゆるリア充ともタメ張れるコミュ力もある。
だが………俺の呪い、『誰かに告白されたり告白すると突然爆音が鳴ってそれを妨害し、翌日にはその相手が俺を見ると逃げるようになってる』呪いだ。
なんだろ、俺の10年近くが否定されたような呪いだよねこれ。
それに、前に一度それでもめげずやってきた娘も居たんだけど、その子は気付いたらトラックに牽かれて死んだらしい………ほんと不可解な呪いだ。というかお願いだから俺が疫病神扱いだけはされないようにしてくれ。
これじゃいつか妹しか俺を避けない異性が居なくなっちまう。
いくら妹が血が繋がってなくて可愛くて俺を慕っているとはいえ、妹を口説くのは………うん。
ゆえに、俺としてはこの呪いを一刻もはやく解きたい訳なのだが………俺の長年の調査により、ようやく呪いの解除方法がなんとなーく分かったんだ。
妹がなんか『おにーちゃん!凄いのあったよ!』とか言って持ってきた古い感じの巻物。それに書いてあった解除方法、それは………
キスである。
しかも、対象は自分に好意を持つ五歳以上歳の離れていない異性とある。
チキショー。成人してたらちょっとアレなお店に行けば割と簡単に解決出来んのに。
だがまぁ、ここで1つ無駄な偶然に気付いてしまった。正直気付きたくなかったが。
解除方法であるキスだが、その好意がLIKEかLOVEかの指定はない。
つまり、俺のことを慕っている妹に上手いことキス出来れば良いのだ。
大丈夫、手段ならいくつかある。そのうちの3つほどは違法性しかないから使えないにしろ、ほとんどは実行しやすいものだ。
まず今のところ一番可能性が高いのが、階段からアイキャンフラーイしてラッキースケベ的にキス。欠点は妹に負担が掛かる。
次点で多少疲れてそうな時を見計らって盛る。そして眠ってる間にキス。
で、三番目は………うん、絵ヅラは完全に犯罪でしかないが強引にキス。
どれにしろ問題しかないが、やるしかない。
大丈夫大丈夫、前にちょっと喧嘩して数人の手首とか足首とか折った事があるんだけど、その時多少の状況証拠と目撃証言はあったものの被害者ヅラしてただけで相手が一方的に『嘘を言ってるんじゃないか』と思われる程度には品行方正少年で通ってるから。
ただちょっと女子にモテるのに彼女が出来ないというデメリットオンリーの状況にあるわけだが。
まぁ、色々話したけどさ、あれだよ。
一言でかっこよく纏めるとこう。
さぁ…俺の戦争(と書いて犯罪スレスレの強引なキスと読む)を始めよう。
side琴理
フフフ………全て私の計画通りね………
おにーちゃんに私以外の女が何かしようとするたびにカマエルで軽く焼き尽くしたり拾ってきたトラックで牽き殺したり刻んだりと…まぁ忙しい日々を送ってきた私ではあるけど、ついにこの日を迎えられたわ。
ナイスよ私。よくこの日まで我慢出来たわよね。
まぁ、あのメスどもを近付けさせたらおにーちゃんが壊されちゃうと知ったら出来ないことなんて無いのだけれど。
でも流石に視界に入ったら死ぬとか、いくら殺しても精神が壊れるまで死なないとか、時間停止だとか電撃だとか良く分からない強制破壊とかの力を持った奴がこの街にポンポン現れるなんて想定していなかったのだけど。
しかもそのせいなのか既に私以外の精霊全てが死亡、良く分からないけれど居場所を失った霊結晶が何かに誘引されるようにおにーちゃんに取り込まれ、気付いたら精霊が私と良く分かんないやつの二人きりになってたのよね。
まぁ、残りのノイズのやつには『私は人の恋路を観察するのが趣味なのでね。さぁレッツゴー琴里』とか言ってくれたんだし、私は私の目的を果たすとしましょうか。
もう邪魔者も居ないし、ちょっとおにーちゃんと既成事実を造るための切っ掛けも造った。
あとはただ、目の前で寝たフリをするだけ。そしてタイミング良く起きて責任取ってと言い、既成事実を造る。
「それじゃ………私の戦争(寝たフリ)を始めましょうか」
そうだ。今考えれば飯に睡眠薬混ぜたりする必要ねーじゃん。
そんな単純な事に今更気付いた。
そもそも寝込みを襲うなら寝たのを確認して深夜に決行すればいい。
なんて頭脳プレー。それにこのプランならあくまで寝惚けていた。という言い訳も出来る。なんて最高のプランなんだ。
………って事を思い付いたのが数時間前。今はもうすでに琴里は眠っている。
つまり………作戦開始だ。
すまん琴里、おにーちゃん呪いから逃れるべく人の道を外れるわ。許せ。
まず事前に入手した睡眠薬………に、良く似た効果を持つお香を琴里の部屋の前に設置、ついでに静音すぎて以前兵器に転用出来そうだという話も持ち上がった扇風機でその煙を琴里の部屋に流し込む。
そしてそれが終わったら中和剤…というかカフェイン錠(あくまで市販のお香でしか無いためそこまで効果は高くない)を飲んで30分待機。
ちなみに待機したのはカフェインは接種してから効果が出るまでそれくらいの間が空くというのを聞いたからだ。
んで、待機終了と共にお香を消し止め、侵入。
そして迅速に琴里に接近、仰向けだったのでこれ幸いと唇を奪い、退室………
おいちょっ待っ………何故意識が………遠く………謀ったな琴里ィ…
………ふぅ。あぶねぇあぶねぇ。
まさか琴里がんなもん用意してるとはな。まぁ年頃の乙女としては当然か。
だが何故スプレー式の睡眠薬トラップが………まぁ捕縛用と考えても良いんだけどさ。
ただ何故にあそこまでスルッと俺に食らわせる事が出来たんだ?
正直事前に予測してわざとああやった以外に思い付かんぞ。
幸いにして事前に対策として用意したカフェイン錠が効いてたが。偉大だねこりゃ。
………ふぅ。とりあえず寝るか。もう何かと遅い時間だし、明日も弁当作らなきゃいけないし………
それに明日からは女の子を口説いてもその子たちが酷い目にあったりもしない。安心して口説けるぜ。
俺はルンルン気分のまま、階段を降りようとする。
だが油断していたのか………途中全力でこけて縦回転。見事な着地を決めてから上から落ちてきたお香の容器に頭を打たれ気絶した。
翌朝。まぁ翌朝かどうかは分からないが少なくとも気絶してからある程度時間が経ったころ。
なんか妙に腕の方があったけーな………
そう思ってなんとなく横を見ると、琴里が俺の腕をガッチリとホールドしている。
やべ。この状態になった琴里ってどうやっても離してくれないんだった。少なくとも視界から離れられないし無理に離れようとすると殺気が…殺気が…
ただまぁ、きっと罰が当たったんだろう。
寝込みを襲ってファーストキス奪うとか外道か。いや、それを後悔はしてないが………微妙に後ろめたい。
あれだ、今の状況だったら少し興奮しないわけじゃないんだが、後ろめたさとかが前面に出てて………
けして妹相手に興奮していることへの言い訳ではない。
………ん?よく見たら今日の琴里、随分と前にプレゼントした黒いリボン使ってんじゃん。
確か渡して以来こっちを付けると微妙に大人っぽくなるんだったっけ。
それでも呼び方が変わらないとこ、可愛いんだよなぁ………
ダメだ、なんかこういうこと考えてたら琴里をストーキングしてしまいそうになる。我ながら変態としか言い様がないぞコレ。
いや、でもすでに寝込みを襲ってキスとか完全に変態………
やめだやめ、んなこと考えてても仕方ないさ。
それに考えてみろよ。朝っぱらから妹に抱き付かれるとか、おにーちゃんとして最高だと思う。それに琴里可愛いし。
うんそうだ問題ないさ。男だもの。おにーちゃんだもの。
………ってあれ?なんか琴里の服に変なシミが………はぁ。これ染み付いてやがる…
シミ抜き大変なんだからな。まったく。
だが、やはりこの世話の掛かる感じ、好きなんだよなぁ………
とりあえず、あとで服のシミ抜きしておくかな。
今はただこのふにょんというかなんとやらな………その、年齢にしては未発達なものの俺的にはストライクな体の感触を楽しもうと思う。これを楽しめなきゃ男じゃねえ!
今回の流れ。
琴里ちゃん精霊化⇒おにーちゃんが封印でなんか惚れた⇒ファントムさん『おにーちゃんを奪おうとする悪いやつらぶっとばそーぜ!』⇒琴里ちゃん戦闘開始⇒今回
ちなみに琴里ちゃんはおにーちゃんが女性関係で身を崩さないよう自分以外が近付かないようにしていた。
あれだね、おにーちゃんはすごく女運が無かったんだよ。ただ妹運はEX+だけども。