ヤンデレ系短編集。 作:異論反論は許すが無言低評価は許さん!
あと原作崩壊してるように見えるので注意。
ここはディスボード。
全てがゲームで決定される世界。
そこにある日召喚された“最強”のゲーマー兄妹である『 』。
『 』の二人はまず人類の国を手に入れ、そしてディスボードを征服してやろうと息巻いていた。
だが………
「いや~、助かりましたよ~?勝手に私が自分に魔法を掛けていると思い込んでくれて」
今回のゲームは、どうやっても勝てなかった。
ゲームの内容は簡単だ。
ただのポーカーなのだから。
だが、そこにエルフである対戦者…フィールの魔法によるイカサマが入った事で最強のはずの『 』が敗北してしまったのだ。
フィールがやったことは至極簡単な物だ。
ただ二人にお互いが認識出来なくなるようにしたのだから。
それはとある理由から二人を調べあげていた彼女だからこそ取れた戦術。
そう、『 』は二人揃って初めて最強であり、欠けてしまえば勝ち目はあったのだ。
それに来る札を調整して不幸による敗北を封じ、一方的に勝ちを奪い取ったのである。
そして、このゲームにおいて、二人が賭けていた物とはなんだろうか。
それは、二人の内兄の方である空の所有権だ。
そう、彼女は、フィールは、ただ空を奪うためにこのゲームをしていたのだ。
「それじゃ、盟約の通り…空は頂いて行きますね~」
フィールは、勝ち誇った顔でそう言って空の体を掴み、魔法で眠らせた。
そして魔法で強化した肉体で空を背負うと空の妹の白に背を向ける。
「やめ、て………」
白はフィールにそう懇願したが、フィールは聞く耳を持たずにこう言った。
「ダメですよ~。空はもう、私のモノなんですから~」
その瞳は………一切の光を映していなかった。
ーside空ー
ここはどこだ?視界が何かに塞がれている………
確か俺はフィールとのゲームに負けて………そうか、俺は自分をチップにしていたんだった。
ならばここはフィールの家か何かだろうか。
それにしても何故フィールは白ではなく俺を要求したんだ?俺なんか奪っても意味は無いだろうに。
「空、やっと起きましたね~。気分はどうですか~?」
間延びした声でフィールが言う。
気分、ねぇ。正直何も見えないから良いとも悪いとも言えねぇや。
てか、俺の体は拘束されてんのか?もしかして目隠しだけなんて事は………無いか。なんと丁寧にも足枷まで付いた状態だ。完全に拘束されている。
「それじゃ~、自分の事を言ってみてくださ~い」
自分の事?
名前は空、歳は18、出身は日本で親は居ない。特技は相手の思考を読むこと…こんなことをして何があるんだ?
まさか異世界人について研究するとかじゃねーよな。
するとしたら是非R-18待った無しな研究を…
ヤバい。本音が漏れた。
「そ~ですか~。じゃあ、今日はもう良いですよ~」
良かった。最後のは聞かれてなかった。ラッキー。
でも“今日は”って言ったってことは、明日もあったりするのか?
なら変なこと言わないように気を着けるか………
その後は、出された飯を食わされたり(目隠しされてて食えないからな)、目隠ししたままチェスをしたりしたが、特に何事も無く一日が過ぎた。
俺がここに来てから数日の事。この日は早朝一番から窒息死しかけた。
何やらフィールが俺の寝てる間に同じベッドに来ていて、俺を抱き枕代わりにしていたらしい。
朝一番に死にかけるとかな…死んだら死んだで嬉しい死に方だけど。
あ、でもこの世界じゃそれで死ぬことは無いか。なら安心安心。てかもっと楽しめば良かった。
そして今日も自分の事を言ってみてと言われた。
毎日言っているが、何か意味があるのか?俺にも分からない。情報が少なすぎる。
まぁ、名前は空、歳は18、親は居なくて特技は相手の思考を読むこと。
数日前とまったく変わりない自己紹介だ。
こんな事をして本当になんの意味があるんだろうか。
俺が知った所で不毛なだけだがな。
「そうですよ~、空はただ私の言う通りにしててくれれば良いだけですから~」
ナチュラルに心を読まれた気がする。
更に数日後のこと。
今日は起きた時に膝枕をされていた。クソッ、目隠しさえ無ければなぁ…目隠しさえ無ければなぁ………
そう願って透けないかと思うも、目隠しが透ける事はない。
「おはよ~ですよ~空」
おはよう。
ところで目隠し外してくれない?今外さなきゃ色々勿体ないし多大な損失な気がするから。
「ダメですよ~?少なくとも今はまだ」
ダメなのか。でも今はまだという事はいずれ……おっと。
フィールが動いたから残念ながら目隠しが外れてもなんの特も無さそうだ。
R-15とかでも少しくらいサービスシーンがあっても良いと思うんだがな………ネ○テューヌとかみたいに。
そして本日の朝食は…フランスパンか。
でも良く考えれば今俺がされてるのっていわゆる『あーん』な訳で、男子の多くが夢想するすんばらしい物な訳で………今考えると、俺って恵まれてんなぁ。
ただ毎日変わり映えしない自己紹介を言ったらあとは手枷足枷目隠し付きただの軟禁………楽っちゃ楽だな。
「それじゃ空、自分について~、言ってみてくださ~い」
これも最近慣れてきたな。
名前はソラ。歳は18で、家族は居ない。特技は相手の思考を読むこと。
やっぱり何も変わらないが………一体何が面白いって言うんだ?
毎日同じものを聞かされたって面白くも無いだろうに。
「愛があればなんでも楽しいんですよ~?」
………あっそ。俺には良く分からないね。フィーが楽しそうなこと以外。
それに愛って言っても………お前のは親愛の方であくまでlikeだろ?
まぁあれだ、こんな時はしれーっと流しておけば良いよな。フィーがこんななのはいつもの事だし。
どうせしばらく放っておけば気付いたときにはマトモに………なんねぇか。
あれ?フィーっていつ仕事してるんだ?
いまだに俺から一定以上離れた覚えが無いんだが………いや、まぁ何かを書いているような音はしてたし、きっと書類だけで済むんだろ。
別に俺を四六時中見ていなきゃいけない用があるわけでも無いだろうし。
さらに数日後の事。今日はかなり珍しくフィーが居ない。
何かあったのかと不安になったが、どうやら誰かとゲームをしているらしい。
対戦相手は………子供?良く分からないが二人…語尾が全部『です』なのが特徴的なのと言葉が全部切れ切れの奴。
前者は…どこかで聞いたような感じがする。確か獣人種の奴がこんな口調だと思った。
後者は…………誰だ?まったく分からん。
まぁ、ずっとここに居りゃそうなるよな。
「私の勝ち、なのですよ~」
お、どうやらフィーが勝ったみたいだな。
まぁフィーは俺と違って世紀の天才だし、心配するまでもなかったか。
いや、そもそもゲームの内容は眠ってたし目隠しされてるから分からんけどな。
とりあえず俺は起き上がってフィーを迎え入れるとしよう。
俺はベッドの上で何度か一定方向に転がり、ベッドから落ちそうなところで足を降ろして立つ。
初めは立ち上がるのも一苦労だったが、今ではもう慣れてしまった。
あれ?そういや俺がこんなことになってる理由って………
「ただいまですよ~、空」
おっと、フィーが帰ってきたみたいだ。
と、なれば一分とせずにフィーはいつも通りここまで来るだろう。
だから俺はここでいつものようにフィーを迎えて、フィーと二人で過ごす。
それはとても幸せな事だ。多少動きにくいし何も見えないが、飢えもしない寂しくもない。
「空、寂しかったりしましたか~?」
正直なところ割りと。朝起きて居ないからビックリした。
「私もです~。急に人類種と獣人種が戦いを挑んで来て~」
そうか………そりゃ大変だ。
「でしょ~?」
あぁ、やっぱり幸せだ。
でも何でだろうか。
どうしてか………涙が出て止まりそうにない。
今回は終わり方が変だと思った人、誰も何も言わないんで挙手!
とりあえず今回の解説。
まず『 』が負けた理由。
ゲーム内容は至って単純なポーカー。
ただトランプに魔法を掛けてこっそり操作しただけ。
ちなみにフィーは万全を期すためにわざわざこの3ステップも入れた。
1.とりあえず二人の間に結界設置。
2.光の動きを操作してお互いが視界に入らないようにする。
3.お互いが認識出来なくなり、大パニック。
つまりは二人が別々になるとポンコツ化する特性を利用した頭脳プレー。
次はフィーが空を監禁した際に目隠し等をした理由とか。
目隠しは記憶を改変する際に自分の姿を見られると本来の記憶との矛盾が生まれてバレる可能性が僅かにあったから。
毎日自己紹介させてたのは記憶の改変具合の確認と改変した記憶の定着のため。
おまけ。
記憶の改変が盟約で無効化されなかった理由。
そもそも空は白と引き離されると精神弱い⇒引き離してボロボロに⇒精神崩壊寸前であくまで“処置”として記憶改変を行ったため。
つまりは害をなす(これが害をなすかは置いといて)記憶改変ではなくあくまで精神崩壊寸前の空を救うための処置として行ったためキャンセルされなかった。
おまけ2
タイトルの意味はこう。
ゲームという物はある程度の制約があって機能する物なので、つまるところ隙を突いてしっちゃかめっちゃかにしたならばそれはゲームではない⇒終わり。ということ。