ヤンデレ系短編集。 作:異論反論は許すが無言低評価は許さん!
てな訳でヤンデレもどきを投下。
「提督さん!夕立、一人で強いの倒せたっぽい!」
「ゆ、夕立…嬉しいのは分かったからほぼ半裸で抱き付くな!」
他の同僚達が夕立をぽいぬと呼ぶ理由が分かった気がする。
俺としちゃぽいぽいと可愛らしくてなんと言うか近くに居ると自然に撫でてしまう感じの艦なのだが………最近は姫とか鬼を一人で蹴散らして帰ってきては半裸で(大破はしてないんだがセーラー服は紙一重避けるとき破れるらしいんだ)フリスビーを持ってきた犬のごとく『褒めて褒めて』と視線で伝えて来るのだ。
正直滅茶苦茶可愛いですけど。本当にワンコ可愛いですけど。
でも多分夕立が俺に抱いてる感情は『好き』は『好き』でも、Likeの方の『好き』であって、Loveの方の『好き』では無いんだろうしなぁ。
なんだろ、このモヤモヤ感。
夕立の頭を撫でながらそんなことを考えていた。
とりあえず、入渠させて帰ってきたらロテ通りに回して次の出撃までのんびりとさせよう。まぁ秘書艦としての作業が多少あるけど、幸いにして俺の書類処理能力はかなり高い。同期に『お前が提督になれたのはそれのお陰だな』と言われるくらいには。
だから次の出撃までは夕立はしばらくのんびり出来るって訳だなー。
俺は何故か書類が他の鎮守府の数倍速く増えていくから休めそうにも無いけど。というかそれにも時々確実に俺に回す必要のない書類が混ざってたりするけど。
あーあ、ここに来てから俺、ろくに休んで無いよなぁ。風邪でも引きたいけど風邪引いたらどう考えても倍々ゲームで書類が増えるぞ………とりあえず最後に難度か撫で回してから書類仕事に移った。
「本部め………俺の書類処理能力が高いと言っても流石に限度が………」
夜。確か仕事を始めたのは午後の2時くらいだった筈なのだが、もう10時である。
八時間もぶっ続けで仕事をして、ちょっと意識が朦朧としてきた。流石は俺の体。貧弱極まりない。スライムもびっくりの弱さだ。
そんな俺でも優しく迎えてくれるのは自分のベッド………あとお気に入りの抱き枕。誰が用意したのだか分からないがちょうど良いサイズで今や俺も抱き枕愛用者だ。
ちなみに中に湯たんぽを仕込めるので冬場はかなり重宝する。
それを抱きながら無駄に貯まっていく金を使って(鎮守府から出られないのが良く分かる)手に入れた職人が一針一針魂を込めて丁寧に縫った布団(寝心地は最高。約20万もするだけはある)にくるまって寝るのが最近の楽しみの1つ………うーん、なんか俺、疲れてんのかなぁ。
明日、書類が片付いたら認め印自動押し機………は作ったから、速読術を………とっくのとうに覚えてるな。
んじゃ、関係各所への報復代わりの嫌がらせでもしますかね………とりあえず『救援求ム』を切羽詰まったかのようにして送ろう。もちろん伝書鳩(嫌がらせに重宝しますよ?えぇ)で。
その上で書類仕事を押し付けてやろうじゃないか。
そんな真っ黒な事を考えながら眠りについた。
「うぁ………」
朝。午前5時頃の事。書類が溜まりに溜まるせいでこの時間から働かないといけない事が多くてつい起きてしまう。
あーダリぃ。普通提督ってこんなに書類に悩まされるか………?
なんか朝だからかテンションがマイナス方向でスーパーハイだ。
とりあえず起き上がって飯でも食うかな………ってそういや食堂は7時からだ。
と、なるともう書類しか何もない………マジでこれ全部燃やせたらスッキリすんだろーなーとか不毛な事を考えるほどの量あるけど。
何これ?殺人的な物量ってのはこの事?え?もしかして本部は俺を殺しに来てるの?新手の暗殺なの?
うんざりしつつも俺はベッドから立ち上がって制服に着替え、机に向かう。
そこにお誂え向きにおかれていたポット(私物。俺的には昨日晩に温めたお湯が翌日朝に飲みやすい温度になっているのでお気に入り)とインスタントコーヒーのパック+愛用のコーヒーカップで眠気覚ましに一杯淹れて飲み、目が覚めたところで机と言う名の現実を直視し、一瞬色々な意味で眠りそうになる。
なんか昨日より増えてるんですが………正直近場の提督たちからのパワハラ(俺ってば割と若いのに艦娘たちが揃ってるしそれなりに練度は高いんだよね。嫉妬されててもおかしくないぜ)を疑ってしまいそうだ。
まぁ、増えていると言っても高さが俺の背を越えないし床に侵食してないからまだマシか………よし、じゃあまずこの資料は………俺に押し付けんなぁ!これ絶対俺がやっちゃ駄目なやつ!間違えて紛れ込んでるよね!
しかもこっちは本部行きのやつ!あれなの!?俺になんとかペン先生よろしく採点しろと!?よろしい、ならば俺に押し付けてる時点で0点じゃあ!
無意味に心の中で叫びながら大量の書類を消化していく。
途中で夕立が自然に俺の所へ来たので休憩がてら撫で回したり抱き締めてほっこりしたり………あれ?これ完全に犬の立ち位置に夕立が………気にしない。
そして妖精さんよ、資材の発注はね?確かに俺に回しても良いんだよ?でもね?資材班をわざわざ作ったんだからそっちに回してくれないかなぁ………
いつもお世話になっている(主に栄養ドリンク的な意味で)妖精さんからの書類が来たので適当に流すわけにもいかずしっかりと確認して資材班へ送る。
そのあと下らない書類を大量に処理し、インターバルに夕立を撫でてほっこりし、例のごとくなんとかペン先生のように採点して欲しそうな提督から送られてきた書類にはぽいぽい語(夕立のテンションが上がると発せられる言語。少なくとも普通分からない)で採点してやった。もちろん0点。
そして、起床から六時間経過した11時、届いていた書類を全て片付けた。
「終わったぁぁぁぁぁぁぁ!!!俺は自由だぁぁぁぁぁぁ!!!」
思わずこう叫んだけど許してくれよ?俺でも飯を食わずに六時間は堪えるんだ。
そしてここで、何故かタイミング良くやってきた夕立を抱き締めて疲れを癒す。いやー、もう完全に夕立=癒しの式が成り立ってるね。働きすぎだからさっさと休みたいですよ。
「ぽい?」
あ~……癒されるんじゃぁ~。
もう当分は働きたくねーな~。具体的にはあと1ヶ月くらい。有給は………溜まってるしまとめて消化するかな。
うん、まぁ良いよね。きっと戻ったらこの部屋が書類で地獄絵図をそのまま出したかのような光景になっていること間違い無しだけど。
どうせそれ、いつもの事だし。あとそれくらいやったら少しは反省してくれるかもしれんし。
と、言う訳で有給を取りました俺氏。だがメチャクチャ久しぶりに帰った家(鎮守府から徒歩十分の一軒家)は埃にまみれていた。
そしてついうっかりこんなことを口走った。
「はぁ、家の家具でもこんなに埃があるのになんで多くの提督は誇りを持って書類仕事をしないんでしょうかねぇ!?」と。
良く考えたらすごく失礼だったと思う。家具にだが。
とりあえず最初にやることが掃除になってしまった。
あぁ貴重な有給がががががが。
でも実際はなんか数日は休みがある夕立がトコトコ付いてきて力仕事(家具の移動とか)を任されてくれたお陰で大した時間は掛かっとらんけど。
ただ俺としても夕立の休みを使っちまうのは………え?あ、うん。なるほど。
むしろドンドン頼ってくれだと。言葉に変換しない理由は察してくれ。ぽいぽい語だ。いくら俺でも意味をほぼ100%の確率で察する事が出来るだけだし。
ならまずは、食材の買い出しにでも付き合ってもらうかね………ドドッと2週間分ほど。商店街はそんな近くないし往復も面倒だからまとめて買いたい。
「よし、ちょっと休んだら買い物行くか。重くなると思うが大丈夫か?」
「ぽい、ぽいぽい!(意訳:了解っ!夕立は問題ないっぽい!)」
ー数日後ー
やぁおはよう。溜まりに溜まった有給を消化中の提督だぜ。
それにしてもサ、毎朝毎朝鎮守府から暗号でタスケテタスケテ送られてくるの不気味なんですけど。なんなの?ヤバい奴らが襲来したのなら普通に警報が鳴るだろうし、鬼とかじゃない限りは練度が高いから問題なく相手取れる………じゃあ一体なんだ?
あ、はい現実に目を向けますね。
モチのロンタスケテは(書類が殺人的な量になってきた、)タスケテの意である。というか俺に送ってくるタスケテなんてそんなもんだろ。どうせ俺、書類仕事以外取り柄無いし。
まぁ、可愛い部下を見捨てるのも忍びないから助け船を出してやろう。
「夕立ー、頼みが有るんだが良いかー?」
「?」
ところで余談だが、最近夕立は家に泊まっている。どうやら夕立は編制に入りすぎていたからバランス調整も兼ねてるんだとか。
確かにそういや練度が高くて強いから夕立を高確率で起用してたもんな…
とりあえず話を戻そう。
俺は部屋の戸棚から、きっと休みの間に何度か使うと思って買っておいた封筒と紙を取り出す。
そして、慣れた手付きでウチに書類を押し付けに来る鎮守府の提督の名前を書いていき、1つだけ本文も付ける。
「んじゃ、この紙に書いたのと同じ内容をこっちの方にも写してくれ」
「了解っぽい!」
クレーム作成である。有給取ってる俺が言うことじゃ無いが、流石に書類が鎮守府の通常業務を妨害しているからな。
ついでにこれ以上続くようなら上層部に判断を仰いだ上で適切に処置する。と付けておこう。幸いにして俺には士官学校の頃の先輩に偉い人が何人か居る。学校の時とここらに来たときに何度か貸しを作ってあるからそれを利用出来る。
そんな事を思いながらクレーム作成を続ける事数十分。
全員分を書き終え、あとは切手を貼って郵送するだけとなった瞬間、ドアベルが鳴った。
何が来たのかと思って開けて見ると、門の前に明らかに積載過剰なトラックが置いてあった。
「お届け物ぷぎゃぁ!」
………しかも配達員がバランスを崩したトラックに潰された。ここの地域の配達員異常に耐久が高いから良いけど、普通なら死………乗ってんの書類じゃないですかやだぁぁぁぁぁぁぁ!!!
書類を見て、しばらく働きたくなかった俺のソウルが一気に死にかけ、なんか泣き付きたくなって夕立に泣き付いた。
冷静になった今考えると中学生くらいの少女に泣き付く大人(俺)とか誰得だっての………今現在進行形でしがみついてグロッキーだけど。ingな形でグロッキーだけど。
「提督さん、もうあれは無理っぽい?」
無理だわ………いくら俺でも無理だわ………死ぬわ………
「なら、しばらくはこうして夕立に甘えてれば良いっぽい」
そりゃありがたいね。
ホントあれは殺意を感じるよ。なんなんだろ。
「夕立は、提督さんがしてほしい事は、何でもやる…」
おっと、語尾がぽいじゃなくなったか。
と、なれば相当に真剣な話だね。
まぁ俺はいつでも真剣だけどさ。命懸かってるし。
「だから………提督さんは夕立に全部任せて?」
全部任せる………ね………
マジで願ったり叶ったりだよ…むしろお願いしたいくらい。
でもまあ、正直なところ俺、元々肉体労働かは誰かに任せて書類ばかり
見てるのが基本スタンスだったからねぇ………これは遠回しで現状維持ってことか。
なら、今は夕立に甘えよう。家だけを真っ暗にしている良く分からない狂気に満ちた山から目を背けて。
どうせ、有給が終わったら向き合わなきゃいけないんだしさ。ね?
さて、今回はヤンデレもどきだが、ここのタイトル上ヤンデレは不可避。
なので次回はほぼ確定でちょっとキチガイ注意かグロ注意、原作崩壊注意と言わざるをえなくなってくると思うレベルの物を投下する予定。
きっと次回の俺はこう言うね………「原作?なんのことやら」と。