ペンのことを聞きに、アトリエに戻った俺たち。アトリエにはプラフタの他にディンもいた。
「ディン、一人でここまで来たのか?」
『あぁ、暇でな。プラフタと世間話をしに来たのだ』
『とはいえ互いに覚えていることなどの情報交換をしていました』
「何だか知らない間に二人が仲良くなってるね」
「本当にな」
まぁ似たような境遇だし、聞いた感じだと二人は同じ時代を生きていたみたいだしな。
『所で聞きたいことがあるのだが、アラヤ。お前怪我をしてないか?』
「あぁ、ちょっとな」
ソフィーに傷薬を塗ってもらったとはいえ、まだ痛みがある。
「あのアラヤが怪我をしたのは私を守って……」
『別に怒っているわけではない。そいつが弱かっただけだ』
言ってくれるな、ディン。とはいえ剣術に自信があってもここしばらくは訓練とかしてなかったからな。腕が鈍っているのは当たり前だ。
「今は僕の怪我のことより聞きたいことがあるんだ」
『聞きたいこと?』
「このペンのことなんだけど」
僕は二人にあのペンを見せた。このペン、何もない空間に描くと描いたものが具現化する力がある。一体このペンは何なんだろうか?
『ふむこのペンは……』
『おや懐かしいものですね』
「懐かしい?プラフタなにか知ってるの?」
「ディンも知ってるみたいだな」
『このペンは私がまだ人間だった頃に作った夢想の筆と呼ばれるものです』
『それにはインクが無いだろう。普通のペンとは違ってそのペンを扱うには使用者の精神力を使って扱うことができる』
なるほどな。錬金術で作られたものだったんだ。それにしてもこんなペンを作り出せるプラフタって凄い錬金術師だったんだな。
「あれ?ディンさんは知ってたんですね」
『昔そのようなものがあると聞いていたからな。だがプラフタよ。夢想の筆は使用できるものが……』
『えぇ、作ったのは良かったんですが、扱えるものがいませんでしたから。アラヤ、貴方はその使用者に選ばれたんですね。大事に使って下さい』
「あ、あぁ、」
まさかこの夢想の筆がそんな秘密があるなんて……
「そうだ、プラフタ。ちょっとひらめいたから書いてみてもいい?」
『そうですね』
『ふむアラヤ、こちらも頼むぞ』
「あぁ分かった。」
僕らは一緒に互いの本に書き始めた。
こうしてソフィーと一緒に机を並べて何かをするのって何だか懐かしい気がするな。
僕は幼馴染のこと一緒に冒険へでかけた。
冒険に出かける前に僕は鍛冶屋で剣を貰いに行った時、不思議なペンを手にした。
冒険の先では最初は何事も無く終わりそうだったのだが、突然現れた魔物。
魔物は幼馴染を襲いかかろうとした時、僕は不思議なペンを使ってみた。
そのペンは夢想の筆と呼ばれるものだった。それは何もない空間に色んな物を描くとそれが現れるというものだった。
昔のことを知るものたちにそれを聞くとそれはその時代では誰にも扱うことが出来なかった特殊な筆だった。
僕はこの筆を使って何ができるかはまだわからないのであった。
二人同時に書き終えるとプラフタとディンの二人は同時に光りだした。
「どうだ?」
「どんな感じ?」
『ふむ記憶が戻ってきたな』
『おまけに分かったことがあります。私とディンは会ったことがありますね』
『二人で何かを話していたのは思い出した。まさか同じ時代に同じタイミングで出会うことになるとはな』
二人は知り合いだったのか、だったらすぐに仲良くなったのも分かる気がする
「他のことは?」
『残念ですが全然思い出せてないですね』
『まぁこつこつ思い出すさ』
とりあえずはこれで一段落ということか。とりあえず帰って寝ようかな?
僕がそう思いディンと一緒に帰ろうとした時、オスカーが慌てて入ってきた。
「大変だ!?」
「どうしたのオスカー?凄く慌ててるけど」
「何だかものすごく強そうなモンスターがいるんだよ!?」
オスカーから告げられたのは、忘却のナーセリーと呼ばれる遺跡に凶悪なモンスターが現れたとの事だった。このまま放っておけば町まで来るかもしれないとの事だった。
「でも、あたしたちで何とかできるかな?」
「とりあえず行ってみてから決めよう。モニカにも声をかけておくよ」
モニカに声をかけ、忘却のナーセリーにたどり着いた僕達。するとそこには凶悪そうな悪魔がいた。
「あれがオスカーが言っていたモンスターね」
「何だか本当に強そうだよ」
「だから言ったろ。でも放っておいたら街や植物たちだって……」
放っておく訳にはいかないしな。だけどかなり厳しいな。頑張れば追い払うことぐらいは出来そうかもしれないけど……やるだけやってみるか
僕らが悪魔の前に出ようとした瞬間、突然後ろから誰かが駆けつけ、悪魔を一撃で切り裂いた。
「す、すごい、一撃で」
「あんな強そうなモンスターを倒した」
男は剣を鞘に納めるとこっちに近寄った。
「大丈夫かい?」
「あ、はい、大丈夫です。あの助けてくれてありがとうございました」
「いいや、僕はただ通りすがっただけだから」
何だか強そうな騎士だな。おまけにあんなにでかい剣を簡単に扱えるなんて……とは言っても……
僕は夢想の筆で何本もの剣を描くと同時に騎士の後方へ剣を放った。
剣は隠れていた悪魔に突き刺さった。一体じゃなく二体いるなんてな
「すごいな、君の筆は……」
男の名前はジュリオ、とある事情でこの近くまで来たらしい騎士の人だった。