物語師と錬金術師の関係性を聞くために、リディーとスールの二人の師匠に会えないかと頼みに来た僕。
「イル師匠に?」
「コハク、何でまた……」
「錬金術師と物語師が深い関係があるのかなって……僕らの場合って幼馴染だっていう感じだけど……」
もしかして何かしら深い理由でもあるのかなって気になっていた。
「そっか、それじゃスーちゃん」
「そうだね。早速会いに行こう!」
二人の案内で僕はその師匠に会いに行くのであった。
二人の師匠が住んでいる家は割と近所だった。リディーは扉をノックすると女性の声が聞こえた。
「はい」
扉が開くとそこには銀髪の女性がいた。この人が二人の師匠なのか?
「エリスさん、イル師匠いますか?」
「えぇ、いますよ。えっとそちらの方は?」
「あっ、コハク・レインって言います。二人の幼馴染です」
「そうなんですか。私はエアリス・フォン・ラインウェバーです」
互いに自己紹介をすると家の奥の方から金髪の女性が出てきた。
「あら、二人共どうかしたの?」
「イル師匠。実は……」
スールが事情を説明を始めた。何というかこういう時ってリディーが説明するんじゃないのかな?
「なるほどね~錬金術師と物語師の関係性か……それにしても二人の幼馴染が物語師だったとはね」
「まだ未熟ですけど……えっと」
「あぁ、私は二人の師匠のイルメリア・フォン・ラインウェバーよ」
エアリスさんと同じ名字……ということはエアリスさんの……妹さん?
「イルって呼んでいいわ」
「私はエリスで」
「はい、イルさん、エリスさん」
「それで関係性は……まぁ特に深い理由はないわ」
「「「はい?」」」
僕らは同時に言うのであった。てっきり深い理由でもあるのかなって思っていたけど……
「私の知り合い……っていうよりかはエリスの師匠の話じゃ、錬金術師と物語師は自然と一緒にいることが多いみたい。まぁ特殊な筆自体が錬金術で作ったものだからね」
特殊な筆……僕が持っている四方の筆が錬金術で作られていたのか……
「私の友達もまた錬金術師と一緒にいますよ」
「だから今のところは深い理由はないのよ」
てっきり深い理由があると思っていたけど、そうじゃなかったのか……でもそれはそれでよかったかもしれないな
重要な役割があったらそれはそれで大変だったかもしれないし
「コハクだっけ?なるべくこの子達と一緒にいてあげなさい。物語師は錬金術師と支え合うものだからね」
イルさんは笑顔でそういうのであった。まぁ支え合うのは別に構わないからいいけど……
僕らはそのまま帰ろうとすると、エリスさんがあることを聞いてきた。
「コハクくん、あなたは特殊な武器はもっていないんですか?」
「特殊な武器?筆なら持っていますけど……」
「いいえ、筆ではなく……新たな可能性を秘めた武器です」
そんなもの持ってないけど……僕はエリスさんの問いかけに首を横に振った
「分かりました。それではまた何かありましたら」
エリスさんは笑顔でそういうのであった。それにしても特殊な武器ってなんだろう?
次の日、双子に呼び出された僕。どうにも試験関係で手が必要になったらしい
「それで何で卵集め?」
「コハクくん、なんでって思うけど、錬金術師には必要なことなんだよ」
「そうそう、こういった地道なことが大事だったりするんだからね」
「へぇ~」
スールは自慢げに言うけど、なんだろう?絶対に自分も誰かに言われたんじゃないかって思うんだけど……
「スーちゃん、師匠に言われたことをそのまま言うのは……」
やっぱりか……
とりあえず僕は二人の手伝いをすることになったけど、どうにもミレイユさんが僕らだけじゃ危ないということで街の入口に助っ人を呼んでおいたみたいとのことだった。