港に行き、この街で起きている異変についてようやく理解した。
広がる湖。その中心には巨大な竜巻が起きていた。これはどうにかするのは難しいよな
「さてどうするんだ?フィリス」
「どうするって……どうしよう」
「とりあえず宿に戻らない?このまま見つめていてもどうにかなるわけないし」
リア姉の言うとおりだな。俺たちは宿に一旦戻り、どうするか話し合うことにするのであった。
そんな最中のことだった。一人の見知らぬ女の子が声をかけてきた。
「お姉ちゃんたち、湖を渡りたいの?」
「えっと……あなたは?」
「私はメア。もし時間があったら今何が起きてるか教えてあげるよ」
何が起きているかって、見ただけ以上のことがなにかあるというのか?俺らはメアの後をついていき、彼女の家を尋ねるのであった。
「あの竜巻は突然起きたんだよね。そのせいか街から賑わいが消えて、みんなイライラしてるんだよね」
「確かに街の人の話を聞く限りじゃそうみたいね」
「あれ?竜巻をどうにかしないと私達ここで……」
「うん、お姉ちゃんたちはこれ以上進めないよ」
「ど、どうにかしないと……」
どうにかするって言われてもな。ああいう自然現象に対して俺たちがどうにか出来るっていうのは……
俺はふっと時空の筆を見つめた。もしかしたら……
「とりあえずフィリスとリア姉は宿で休んでて、俺はもうしばらく街を見てるよ」
俺はそう言って、二人と別れ港へと向かった。
港に行き、巨大な竜巻を見つめた。
「どうにか出来るかはわからないけど、やって見る価値はあるな」
時空の筆を取り出し、『巨大な竜巻』という文字を書き、竜巻に向かってぶつけた。竜巻同士ぶつかりあえば相殺することが出来るはずだ。そう思っていたけど、俺が生み出した竜巻は一瞬で消えた。
「くそ、無理か!?だけど……まだまだ」
俺はいくつもの竜巻を生み出し、ぶつけていくのであった。
フィリスSIDE
深夜になってもハルカは戻ってこなかった。一体どうしたのだろうと思いながらもう休もうとしたとき、部屋の扉が開く音が聞こえた。
「ハルカ、おかえ……きゃあ!?」
ハルカを出迎えた瞬間、何故か突然抱きついてきた。ど、どうしたのだろう?一体……
「あらら、ハルカったら大胆ね」
「り、リア姉……そんなこといってないで……ってハルカ?何だかボロボロだけど……」
「ふぃ、フィリス……か?悪い……筆の力を使いすぎたみたいで……身体が……」
筆の力を使いすぎたって、一体何に?もしかして……
「竜巻を消そうとしたの?」
「そ、そんな感じ……でも俺の力じゃ……駄目だった」
「ハルカ……」
ハルカは眠りにつき、私とリア姉でベッドに寝かせるのであった。
「全くハルカは無茶するわね……」
「もしかして私のために?」
「かもしれないけど、もしかしたら街の人のためでもあったりしてね」
もうハルカは頑張り過ぎだよ。でも、ハルカ、今度は私が頑張る番だよね。でも竜巻を消すことができないとしたら……竜巻に負けない船を作るとか……船?
「リア姉。私も頑張ってみてもいいかな?」
「ハルカみたいに無茶するのか?」
「もしかしたらだけど……錬金術で竜巻に負けない船を作ろうと思ってるの」
「フィリスちゃん……すごいわ。錬金術で船を作るなんて……」
「とりあえずやれることだけのことはやってみる」
ハルカが頑張ったんだから、私だって頑張らないと
ハルカSIDE
目を覚ますと部屋には誰もいなかった。昨日は確か……竜巻を消そうとして力を使い果たしたんだっけ?
「フィリスとリア姉は?」
どこに行ったのか俺は探すことにした。
しばらく町中を探し回っているとテントを見つけた。もしかして錬金術で何かをするつもりなのか?
「フィリス、いるか?」
テントの中に入るとそこにはフィリスとリア姉だけではなく、ソフィーさんとプラフタさん、それにアラヤ師匠がいた。
「あっ、ハルカ。起きて大丈夫なの?」
「あ、あぁ……」
「聞いたぞ。ハルカ。竜巻を消そうと筆の力を使いすぎたんだってな」
「は、はい……でも……」
「発想は悪くはないけどな。ハルカ一人じゃ無理だな」
師匠はため息をつき、夢想の筆を取り出した。
「ソフィー、お前たちは……」
「任せて、フィリスちゃんの手伝いだよね。アラヤは無理しないでね」
「あぁ、ハルカ。行くぞ」
「行くって……」
「僕たちに出来ることをするためにな」
俺は師匠に連れられ、テントを後にするのであった。
短めですみません。
なるべく更新続けたいとは思っています