不思議な錬金術師と物語師   作:水甲

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今回でソフィー編終了!

フィリス編のプロローグもあります


第18話 伝えた思い

「ソフィー、僕はお前のことが好きだ」

 

僕はソフィーに告白した。

 

ソフィーはどんな反応をするか分からないけど、ずっと秘めていた思いを打ち明けたんだ。

 

振られても後悔はない。

 

「……………」

 

いつまでも返事が返ってこない。

 

不審に思った僕はソフィーのことを見ると、ソフィーは顔を真赤にさせて動かなくなっていた。

 

「あの、ソフィー?」

 

「はぅ!?えっとその」

 

声をかけ、意識を取り戻したソフィーだけど、思いっきり戸惑ってる。

 

「えっと、私、帰るね」

 

そう言ってアトリエを飛び出していくソフィー。

 

「帰るってここはお前の家だから………」

 

思いっきり取り乱してたな。

 

というか返事を聞きたかった。

 

「はぁ、とりあえず帰るかな」

 

ため息をつき、家に帰る僕であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、おかえり」

 

「遅かったね」

 

家に帰り、部屋に入るとそこにはメクレットとアトミナの二人がいた。

 

僕はそっと筆を取り出した。

 

「とりあえず追い出そうと思うけど……いいかな?」

 

「待ってくれないかい?僕たちは君に用事があって来たんだよ」

 

「待っている間は部屋を荒らしたりしてないよ。ただ貴方が書いた物語を読んでいただけ」

 

僕はため息をつき、筆をしまった。

 

もうこの二人には前ほどの脅威は感じない。

 

というかもうあんなことをする感じは全くしない。

 

「それで何の用だよ。僕は疲れているんだけど……」

 

「実は言うと物語師である君に伝えたい事があってね」

 

「伝えたいこと?」

 

「私達はディンとプラフタと同じ時の中で生きていたでしょ」

 

そういえばこの二人は大昔から存在する人だったな。

 

「実はと言うと夢想の筆はそれ一本じゃないんだ」

 

「どういうことだ?確かこれはプラフタが作ったものだって聞いたけど、」

 

「夢想の筆と呼ばれるものはそれ一本だけ。だけど似たような力を持ったものが他にもあったりするの」

 

「君は何もない場所に色んな物を描くことで生み出す筆を持っているけど、何もない所に文字を書くと……その文字にあった何かが生み出されたりするんだよ」

 

僕の持ってるのとは全く違うな。

 

でも大昔の錬金術師だったら似たような発想に行き着くだろうな

 

だからこそ似たようなものがあってもおかしくない

 

でも気になったのは……

 

「僕にそれを伝えてどうするんだ?僕に何をしてほしんだ?」

 

「貴方に奪ってほしいとは思ってはないよ。ただ……」

 

「もしその筆を受け継いだものに、君が持つ新たな可能性を持った武器を送ってほしんだ」

 

新たな可能性を持った武器……メークリヒカイトのことか。

 

でもアレは僕が思いを込めた武器だから、同じようなものは作れないんだけど……

 

「別に似たような物を作れとは言ってないよ。ただ物語師には筆と可能性を秘めた武器を一緒に持っていてほしいと思っただけだよ」

 

まるで全く別の三種の武器を作れって言ってるな。

 

僕としては別にかまわないけど……

 

「ただ僕が作るんじゃダメだろ。僕は武器についてその人に伝えて、その人が自分の思いを込めた武器を作ったほうがいいだろう」

 

「貴方らしい答えね」

 

「僕たちはまだ生き続ける。君がやろうとしているものの結果を見せてもらうからね」

 

「長くなるかもしれないけど、楽しみにしてろよ」

 

僕はそう言い、二人のことを見送ろうとした瞬間、ある事を聞いた。

 

「なぁ、一応二人は錬金術師だろ」

 

「そうだけど?」

 

「それがどうしたの?」

 

「もし誰かを生き返らせることが出来る物とか錬金術で作れたりしないのか?」

 

「さぁ?」

 

さぁ?ってこいつらに聞いたのは間違いだったか?

 

「でも錬金術には無限の可能性があるからね」

 

「もしかしたら、そういう類のものがあるかもしれないね」

 

「「答えは君が物語を書き続ければ分かることだよ」」

 

メクレットとアトミナの二人がそう言い、僕の家から去っていった。

 

二人のことを見送った僕は………

 

「物語を書き続けるか………」

 

僕は筆を持ち、物語を書いた。

 

 

 

 

喋る本は人の姿へと変わった。

 

彼は僕らに語った。

 

2つの世界の繋がり、未来、そして今をどうするべきか。

 

彼はそれを語り、過去の存在へ立ち向かった。

 

彼は過去の存在に命を奪われた。

 

彼の死を悲しみ者がたくさんいたけど、その思いを受け継いだ僕は過去の存在が行ったことを許した。

 

過去の存在は教えてくれた。

 

新たな可能性と無限の可能性を……

 

僕は考えた。

 

これからどうするべきかを……

 

そして決めたんだ。

 

僕がするべきことは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物語を書き終え、僕は眠りについた。

 

そして翌日

 

僕は旅の準備を終えていた。

 

「とりあえずは父さんと母さんには手紙を置いておこう。あとは……」

 

僕は一冊の本を持った。

 

昨日の夜、物語を書いた瞬間、破壊されたディンの本が元の本に戻った。

 

きっとあの二人が何かしたんだろうな。

 

とりあえずはこの街にいるだけじゃ、僕の物語は完成しない。

 

そう思い、僕は旅に出ることにしたんだ。

 

ただ心残りは……

 

「最後にソフィーの答えが聞きたかったな」

 

僕はそう呟き、家を出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街の入口に行くとそこにはソフィーとプラフタがいた。

 

「ソフィー?」

 

「アラヤ……」

 

ソフィーは僕に近寄り、キスをしてきた。

 

突然のことで戸惑う僕だったけど、ソフィーは顔を真赤にさせながら……

 

「わ、私もアラヤの事が好き。大好きだよ」

 

「………えっとそれじゃ……」

 

「う、うん」

 

お互いに顔を真っ赤にさせる僕ら。それを見てプラフタは……

 

「ソフィー、アラヤ。お二人が幸せな関係になったのは嬉しいことですが、伝えなくてもいいんですか?」

 

「あっ、そうだった。実は返事しておいてなんだけど」

 

「何だよ?」

 

「私達、これから旅に出ようと思って……」

 

「ライゼンベルグと呼ばれる街でソフィーは公認錬金術師になろうと思っているんです」

 

「公認?」

 

「簡単に言えば、凄い錬金術師に認められるってことだよ。それにもしかしたら度に出た先で、プラフタを人間に戻せないかなって?」

 

「ソフィーは錬金術の無限の可能性を探そうとしているんです」

 

「だからいつになったら戻ってこれるかわからないけど……待ててくれるよね」

 

僕はそれを聞き、ショックをあまり受けなかった。

 

だって

 

「いや、それだったら一緒に行けばいいんじゃないのか?」

 

「へっ?」

 

「僕も今から旅に出ようとしてたし」

 

「旅に?」

 

「うん、この本の物語を完結させないと……だから旅に……」

 

「そ、そうだったんだ」

 

「では、アラヤ」

 

「あぁ、一緒に旅をしよう。ソフィー」

 

「は、はい」

 

僕らは不思議な本と出会い、そして物語師と錬金術師は共に新たな旅に出た。

 

そしてこれから先の物語は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閉ざされた街

 

「…………」

 

少年は書き続けていた。

 

この閉ざされた街、そして外の世界について……

 

少年の近くには一人の少女がいた。

 

「外の世界って、この物語と同じなのかな?」

 

「どうだろう?僕はおじいちゃんから聞いた話だけで書いたから」

 

少年は物語を書き終え、一本の筆を取り出した。

 

そしてなにもない空間に文字を書くと、一つの石が突然出てきた。

 

「この筆でも外の世界は書けないんだよね」

 

「その筆っておじいちゃんの?」

 

「うん、形見だよ。名前は確か……時空の筆だったかな?」

 

 

 

 

 




ソフィー編終了です。

ソフィーのアトリエの後日談はやってないんで、飛ばしちゃいました。

あと本当に申し訳ありません。他のキャライベントを飛ばしてしまって……

ただアラヤがどんな風に活躍させればいいのか分からなく……

次回からはフィリス編です。

因みにフィリス編のプロローグはソフィーのアトリエと同じ時間軸でした。

フィリス編本編はちゃんとゲームと同じ4年後の話からです。


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