Armored Core farbeyond Aleph   作:K-Knot

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未確認AF撃破

『久々のミッションにこんな怪しげなモノを受けるとは…何を考えている?』

 

「アームズフォートなんか動かねえただの的じゃねえか。ネクストやるよりよっぽど楽だ。報酬も高かったしな」

輸送機の中でセレンからの通信。それ自体が久々で心にじーん、と来たが、それ以上にオペレーターからの言葉に通信で答えるという当たり前の事が出来たという事に感動して震える。

 

『まったく…』

 

『なぁ…あのさ…』

 

「え?」

共同で任務に当たるセレブリティ・アッシュから通信が入る。

 

『お前って…喋れなかったよな?何の説明も無かったけど…いつの間に?』

 

「俺、この間お前の前で普通に話していたけどな」

 

『えぇ…?記憶にないんだが…』

 

「話していたよ。なぁ?セレン」

 

『まあな』

 

「ほら」

 

『あれぇ…?』

 

『お喋りは終わりだ。間もなく作戦領域に入る。準備しろ』

 

「分かった」

前まではこの通信が全て一方的だったのに、今は言葉が返せる。

こんな何気ない返事も素晴らしい。

 

『俺の経験から言えば、こんな任務ほど、実際は肩透かしさ まあ、あまり緊張するなよ』

 

「ふーん」

 

『ハハハッ…緊張するなよ 』

 

(お前こそガチガチに緊張しているだろ)

全ての通信に(震え声)と入っていてもおかしくない程声が震えている。

報酬は高かったが、仲介人すらも厄介な任務と言っていた。そんなに怖いなら何故受けたのだろう。

 

『降下!』

 

ザンッ、と砂の上に着地する。

セレブリティ・アッシュは足をとられて転びかけていた。

 

『ミッション開始!未確認AFをすべて排除する。情報が少ない、慎重に行動しろ 』

 

(AMS適性が常に下がった状態になっている…って話だが別段変わったところは無いな…)

接敵する前に機体中を少し動かすが別になんてことは無い。

どうもAMS適性が下がったというようなそれが感じられない。

 

(なんで?声帯はそこまで使う部分じゃないってこと?)

ここに来る前にも何度もシミュレータマシンに乗って確認したが、目の調子が悪いこと意外は別に変わったことはなかった。

 

(そうかなぁ…かなり複雑な動きを要すると思うんだが…)

なんで違和感がないのだろう。

なんで目がおかしくなったんだろう、と同じ疑問がずっと頭の中に居座っている。

 

『…?おい…あれ…なんかおかしいぞ?』

 

「ん?」

既に飛び上がっていたセレブリティ・アッシュについて行くと確かに何かおかしいランドクラブが見えた。

 

『敵AFを確認、ランドクラブの改造型だ。砲塔部が、ソルディオス砲に置き換えられている。最悪のコジマキャノンだ。いいな、避けるんだぞ。ソルディオスとは…トーラスめ、よくよく好きと見えるな… 』

 

『ソルディオス!?世界を滅茶苦茶にした原因の筆頭じゃないか!』

 

「なんだ…?」

だが、その分厄介な遠距離砲も無く、ロックオンが出来るところまで近づけてしまった。

 

「動いてなくないか?」

設置されているソルディオス砲が全部こちらに放たれる…ということも無く、本当にこれが目標なのかも怪しくなってきた。

その瞬間。

 

『おわっ!!』

 

『分離飛行だと!気をつけろ!敵ソルディオス砲、自律しているぞ!あんなものを浮かべて喜ぶか、変態どもが! 』

 

巨大な球体が一気に浮かび上がり、警戒も無く近づいた二機のネクストを囲むように展開された。

 

(浮いた…?あんな物が本当に浮くのか…?)

確かに驚いたが、それ以上に違和感を感じる。こんな技術があり得るのだろうか。

実際に目の前で浮いている以上何も言えないが。

 

ゾクッ、と背筋に悪寒が走りその場でしゃがむとスタビライザーをギリギリ掠めるか否かの位置にコジマキャノンが飛んできた。

 

「おおっ!?」

数瞬前にコアがあった場所だ。明確な殺意が感じられる。

自律兵器の割には実に正確にこちらを狙って攻撃してきた。

 

「変態球か、面白くなってきたな」

ビルの陰に飛び込んで観察を開始する。

…暇も無く、回り込まれていた。

キュルキュルとその銃口を狭める姿は獲物を見つけて瞳孔を縮める肉食動物のようだった。

叫ぶ時間すらも無く荒れ狂うコジマ粒子が発射された。

 

『ガロア!!』

 

「大丈夫」

無様に転がりながら避けてしまったが今のところ無傷だ。

びっくりするほど呆気ない一撃死の世界。戻ってきたな、という感じがちりちりとするが何故かねばつく違和感がさっきからずっとある。

 

『ビルが…』

 

(うわぁ…)

巻き込まれたビルがドロドロに融解しているのは見ていて気持ちいい物ではない。

例えネクストでもあれに当たれば無事に済まないだろう。

 

『うわぁあっ!!』

 

(あっちも苦労しているな…)

常に飛び回っているわけでは無く、空中で静止、高速移動を繰り返している。

 

(あれって…クイックブーストか?…となると…まさか…)

マシンガンで攻撃をするが、明らかに威力が減退している。

 

『プライマルアーマー!!クソッ…こんなのが六機も…!』

 

(となるとアサルトアーマーもあるだろうな…。しかし六機か…。やっぱり『一瞬で』数えられなくなっている。アレフ・ゼロの名折れだな…)

前まではやろうと思えば砂粒の数ですら簡単に数え終わっていたのに。

無限の名前を冠した自分の機体に少し済まなく思いながら、回避に専念しているとある性質に気が付く。

 

(!!なぜ今…撃たなかった?)

チャージも完了しており、明らかに攻撃チャンスだ、という瞬間があった。ACに乗る者なら百人が百人あのタイミングで発射するはずだと言えるくらいには。

だというのに隙を見せてもコジマキャノンは発射されず、その後に間抜けなタイミングで放たれた。

 

『うわぁあ!!無理だ!!避けらんねえ!!』

 

「……」

大騒ぎするセレブリティ・アッシュの方に目をやるとそれは一目瞭然だった。

 

(オービットの動き…誤差はあるが…あれは…円運動か!その中心は…)

あのランドクラブだ。ランドクラブを守る様に動き、ランドクラブに当たる様な角度では発射されていない。

当然と言えば当然だ。ゴキブリごと家を吹き飛ばす人間がいないのと同じだろう。

 

「よく見ろ!!逃げるな!!目を開けろ!!」

 

『おおっ!!?なんだ!?なんだ!?』

説明するほどの余裕は無かったのでオーバードブーストを起動してセレブリティ・アッシュに接近し、抱えてしまう。

久々に乗ったネクストでの超高速移動は臍の下あたりにぎゅんぎゅんと熱い何かが溜まっていくようでガロアは笑っていた。

何よりも、さっきからずっとアレフ・ゼロも喜んでいるかのように感じるのだ。言葉にすれば『待っていた』とか『おかえり』とかだろうか。

そんなまさかな、とは思うが。

 

『何をしている!?ガロア!!』

 

「見ていろ!!」

そのままランドクラブについた砲台と傍にいるノーマルをロケットとグレネードで吹き飛ばし、ランドクラブのすぐそばまで辿りつく。

 

『うああああもうダメだあああああああ……あれ?』

 

『攻撃が…来ない?…そうか!』

もどかしげにクイックブーストを連発し動き回ってはいるものの、分離飛行したソルディオス砲は全く攻撃を仕掛けてこない。

 

「帰る場所が無くなったら困るってことだな。さぁ、あの面白球をぶっ壊してやろうぜ」

 

『お、おう』

 

 

なかなか粘って回避をし続けたソルディオス砲だが、それでもやはり反撃の手段が無ければ一方的に攻撃され続けるしかない。

ガロアの最初の言葉通りただの的だった。結局ソルディオス砲は全て撃ち落とされて、ランドクラブも切り刻まれて終了。

度肝を抜くような敵だったが、終わってみれば楽勝、ガロアに至っては弾薬費しかかからなかった。

 

しかし、ダンは安心していたがガロアは奇妙な感覚が抜けなかった。

弾薬費しかかからなかった、と書いたがそこはやはり最初にガロアが言った通り、AFなど接敵してしまえばただの的だ。

そのはずなのに、それを相手に何故かガロアもダンもかなりの数を外している。

無人機にしてはクイックブーストによる回避が異様にうまかったのだ。

 

 

『全目標の排除を確認。ミッション完了だ 』

 

『はぁ…はは。やっぱり肩透かしだったな』

 

『あんな化け物を相手に…よくやったな。…本当に 』

 

「セレン」

 

『これからも…あんなのと戦う事になるのか?ガロアが?…そんな事…なぜ…?もう…いいだろ…なんで…?』

 

「セレン!」

回線を開きっぱなしで何かよく分からない事をぶつぶつと呟くセレンにちょっと強めに声をかける。

 

『え?あ!なんだ?』

 

「セレン…あんな技術があり得ると思うか?欠陥だらけだったけどよ…。あんな物が空を飛んで攻撃するなんて普通に考えておかしい」

確かクイックブーストはAMS適性を持つリンクスでなければ使えない機能だったはずだ。

今の機械では演算性能が足りず、人間の脳をCPUの一部として力を借りなければ出来ないと、リンクスなら誰だって知っている。

それをああもやすやすと再現したのはどういうことだろうか。

自律型ネクストですらあんなオモチャみたいなものなのに何故いきなりこんなものが?何かがおかしい。

ダンが逃げ回っていたのを見るに普通のネクスト相手には十分すぎる戦力になる。

それに今までのAFとは何かが違う気がする。今まではどれもこれも巨大な戦力で押しつぶすというコンセプトが見える感じだったのに、

何故かこれはピンポイント…そう、言うなればACやネクストの中身を抹殺するような兵器に見えるのだ。

何よりも、これが大切な実験機なら何故回収に来ない?何故ただやすやすと破壊させる?

 

(戦闘データの収集の為に…?)

既に量産体制は整い後はネクストとの戦闘を重ねてこまかな修正を重ねていくだけ…だとしたら恐ろしい話だ。

機械ゆえに数に限りもなく、息の合う合わないというのもない。

 

『実際にあったのだから…仕方がないだろう』

 

「その通りだが…あんな物がある時点で…俺たちの存在価値は…」

 

あんな物が…『人を必要とせずに動くあんな物』が作れるのに、どうして俺たちはネクストに乗って戦い続けている?

俺たちが命を賭ける理由になるのか?何かおかしくないか?企業はそれを思わないのか?こんな技術をどこか一社だけが独占していていいのか?

 

ガロアの頭に次々と疑問が浮かんでは消えていく。

 

『…何の話をしているんだ?お前ら』

 

久々のミッションは大成功だったのにも関わらず誰一人としていい顔をしていない。

セレンには不安を、ガロアには一抹の違和感を残しながらこの日のミッションは終了した。

 

 

そしてダンには…

 

 

「くっそおおおおお!!なんでだ!!」

 

「はい、お疲れさま」

あのミッションの後、メイにオーダーマッチを申し込んだダンだが惜しくも敗れてしまった。

まばらにいた観戦客もやっぱりなという顔で帰っていく。

ランクを上げたとはいえ、23のダンと18のメイではやはりまだ埋められない差があったようだ。

 

「くそぉ…なんでだ…なんで…」

 

「……」

ダンは悔しがっているが実のところ、そこまで実力に差があったようには思えない。

一回ブレードを当てられたのは特に驚いた。もっと武装を上手く使っていればあるいは…

 

(やっぱり…影響を受けるなという方がおかしいのかしら)

あまりブレードを扱うのが得意なようには見えない。ブレード含む近接型武装は努力以上にセンスが問われる部分が大きい。

それなのにそんな事実を無視してブレードをぶん回しているのはやはりあのガロア・A・ヴェデットの影響が大きいのだろう。

同年代の少年があんな活躍をしていてダンが影響を受けない筈がない。

 

(そこまでセンスが悪いとは思えないんだけど…)

蛮勇でもなんでも、とりあえず腰の引けた戦い方はやらなくなったしヘタレでもなくなった。

勝ちはしなかったが、自分より4つ年下という事を考えればまだ19歳のダンは普通に有望株のはずだ。

 

「ダン君。奢ってあげるから一緒に夜ご飯食べない?」

 

「いいよ…俺帰る」

 

「女性の誘いを断るの?」

 

「行かねえって…一人で行けよ」

 

「いいから来なさい」

 

「くえっ」

誘っても背中を向けて断り続けるダンにしびれを切らしたメイは後ろからしがみ付き、お手本のような滑らかさでダンを絞め落としてどこかへと引き摺って行った。

 

 

 

 

 

 

「さ、食べなさいな。しょげてご飯を食べなくなるような年でもないでしょう」

 

「いらねぇってのに…」

気が付けばよくいくレストランにいて、ダンがいつも食べているステーキセットが勝手に注文されていた。

 

「あの戦い方はダンくんには合わない。やめなさい」

直球だが、こういうタイプには回りくどい言い方をしても意味がないだろうと判断してのことだ。

 

「…ガロアみたいに戦うなってか?」

 

「よく分かっているじゃない」

 

「カニスにも同じことを言われたからな…。違う生き物だから、追うな、死ぬぞってな」

 

「賢い子ね。敵方でもそういう賢い人物は尊敬するわ」

 

「敵ってあんた…」

 

「敵よ。独立傭兵と言ってもローゼンタールに尻尾を振っているのでしょう」

 

「……」

 

「私たちも同じ。GAに尻尾を振って仕事を回してもらって生かしてもらっている。戦場に立てないリンクスには価値がないもの」

ふと頭によぎる疑問はきっと誰もが一度は思っていることだ。この街で生きて、この街で知り合い、この街で友になった者と殺し合えなんて…狂っていると。

でも誰もそれに逆らう気が起きないのは支配者の巨大さ、冷酷さを分かっているからだ。

 

「……でも、」

 

「カニス君はあなたと戦いたくないからそうやって警告してくれたんでしょうね」

 

「でも、もう止まれねえんだ!!俺は…あの家族を助けられなかった…」

 

「……」

メイにはそれが具体的に何を言っているのかは分からない。だが言いたいことはわかる。

戦場に立ちながらも人間性を捨てられない人物ならば誰もがダンが言うようなトラウマを持っているからだ。

 

「責任を取ることと命を投げ捨てることを同じだと思うのよね、バカだから」

 

「てめっ…!」

 

「敵兵を殺すのは良くて、その家族を守れないのはダメ。命が失われているのは同じなのに?バカね」

 

「この野郎…!!大体あんた、バカだと思うならなんで俺に付きまとうんだ!!」

 

「さぁね。…羨ましいのかもね、バカなダン君が。バカじゃないと…何かに酔っぱらわないと…やっていられないじゃない。でも…バカだと生きていけない…この世の中は…」

 

「…………」

頼んだ食事に手も付けずに細長い指で目元を覆うメイは泣いているようにも笑っているようにも見える。

メイ本人にもそれはよくわかっていなかった。

 

「待てよ…じゃあガロアは…」

 

「大バカよ。あらゆるバカの中から選び抜かれしネジのとれたバカ。ダン君のバカさとはレベルが違うわ」

 

「…?」

 

「視界がこうなっているからね。ギュパーって。他のものは目に入らないから戦うしかない」

後ろで心配そうな目を向けるセレンのことを振り返ることもせずに戦いに赴くガロアを思い出しながら、

顔を両手で横から挟むようにして前にスライドさせる。前しか見えていないガロアの視界のつもりである。

 

「でもそれが…」

 

「憧れちゃう?そうよね。ほとんどが謎で復讐を望み戦い続ける少年…なんてあんまりにも物語の主人公らしくてかっこいいものね」

 

「……」

そう。その自分の命すら顧みない猪突猛進加減と、何も寄せ付けず、尻尾を振らずに戦う姿はまさしくダンの想像する強さを求めた主人公の像である。

 

「でもね。謎に満ちた人生なんてものが幸せなはずがないわ」

 

「どういうことだ?」

 

「普通はどこでどの学校に行って何をして何が趣味かなんて、調べれば大体わかるものなのに…あの子の場合はほとんどが謎」

 

「……」

 

「ダン君がテレビでヒーローが活躍しているのを見て夢を広げている間に、私が綺麗な服を選んでいる間に、あの子がどんな人生を送ってきたのか…」

 

「……」

 

「見ている分にはカッコいいかもね。憧れる気持ちもわかるわ。でもカニス君の言うとおり、私たちとは違う生き物。何もかもをかなぐり捨てて戦える?おまけにあの子はこの間まで声を出すこともできなかったのよ」

 

「う……」

 

「どこまで行っても我。自分しか見えていない。自分のために、自分の想いで戦う。だから寄り添う思いにすら気が付かない」

 

「?」

 

「例えば…リリウムちゃんはガロア君に憧れているけど、それを彼が気付くことは一生ないでしょうね」

以前はガロアの強さを見て、取り入ろうとしたこともあったが、

そんな周りをほとんど見ていないガロアに付き添うセレンの想いや、その報われなさ加減を見ているうちに、気が付けばメイは少しガロアに怒っていた。

それはなんだかんだ言いながら、あの何を考えているか非常に分かりやすいセレンのことを友人だと思っているからかもしれない。

 

「えぇ!!?マジか………………」

ショックを受けたのか面白い髪型の頭を肩の高さまで落とすダン。

思えば付き合ってもいない男性とこれだけ長く一緒にいたことはないというのに、こちらに気があるそぶりも見せないのはなんだか腹が立つ。

リリウムやセレンのようなどエライ美人だとは間違っても言えないが、自分はそこまで魅力のない女だろうか。

まぁそんなことを口に出したりはしないが。

 

「私…『セレブリティ・アッシュ』を見たわ。暇な時間にちょくちょくね」

 

「!」

 

「完全無欠のヒーローじゃなかったわね。時には負けて、時には泣いて。時には戦う意味を見失って、それでも支えられて立ち上がって」

 

「……」

 

「少しずつ強くなっていった。だけどそれ以上に敵は強大…それでも立ち向かう。そんな姿に憧れたんじゃないの?」

 

「……」

 

「幼稚だけど、人気なだけあるわ。分かりやすくて、好きになる。…ダン君は気が付かないうちに正義の味方を自分の中で計り知れないものにしちゃっているんじゃない?」

 

「でも俺は…強くなりたい。誰かを守れる強さが…ヒーローになりたいんだ。迷っている暇なんか…」

 

「あっちこっち迷ってもいいじゃない。一本道をひた進めばそれだけ先に進めるだろうけど…

迷って迷って色んな所をかき分けて行ったダン君の前には…きっと誰よりもたくさんの道が広がっているわ」

くるくると言葉遊びのようにダンのダメな部分を補うように言う。

ガロアの強さはそのまま彼の欠点に直結するように、人の要素でどうしようもなくただダメな部分なんてものはそんなになくて、大体は言い換えればいい部分になったりするのだ。

……そしてそれが上手くなると誤魔化し上手にもなって自分ですらも分からなくなってくるが。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「何?面白い顔して」

 

「あんた…結構いい女なんだな」

 

「よく言われるわ。ありがとう」

いい女なんかじゃない。

どこかで現実に屈して自分の道を進むことを諦めてしまった卑屈な女だ。もう何がしたかったのかすら…。

 

(それに…)

 

(言うのが遅いのよ…今更褒めて…)

 

「とりあえず飯食お。冷めちゃったぜ。何か元気でたし、奢るよ。この前結構金が入ったんだ」

 

「あらそう?じゃあウェイターさん、これとこれとこれとこれ。全部一気に持ってきて」

と、指さしたものは全て酒。

 

「ず、ずいぶん飲むんだな?いいけどよ」

 

「レディだけ酔わせるつもり?ダン君も飲むのよ」

 

「やだやだ俺酒は苦手なんだって!!」

 

「話を聞いてあげたじゃない」

 

「あんたが連れてきたんだろ!」

 

結局ダンは会計までに潰れてしまい、またメイがダンを担いで帰ることになったが、その日は悪酔いはしなかった。




ガロアは何か違和感感じまくりのようですが、セレンはセレンで思うところがあるようです。


メイとダン、フラグ立っていますねー…
ダンの鈍感ぶりもまたいい感じ

メイは良妻賢母タイプですかね
おっぱい大きいし。そんでもっておっぱい大きいし。


実際はランドクラブのそばにいてもオービット君バカスカ撃ってきますけどね
オリジナル設定です

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