奉仕部に葉山がやってきたが八幡と雪乃の対応は!?ではどうぞー。
クソが入ってきて思ったこと。
『おいお前ふざけんなよ。お前の顔なんて見たくないし陽乃との時間潰すんじゃねーぞ!』
いや、本当にね。しかもテニスのときにけっこう色々あったのになんで来れるの?メンタル意外と強くないこいつ。ちなみに俺と雪乃はさっきから殺気を向けているが。
「…ごめん、本当はもっと早く来るつもりだったんだけど、部活からなかなか抜けられなくて…。」
「「帰れ(りなさい)!」」
「即答だっ!?」
「いや、でも…。」
「回れ右して帰れ。」
「そうよ。」
「えー、ゆきのん聞くだけでも聞いてあげようよ。」
「いや、でも…。」
「ダメ…かな?」ウルウル
「…はぁー。わかったわ。で、用件は?」
由比ヶ浜の涙に負け仕方なくそう仕方なく雪乃はクソに用件を聞く。
「えっと、実はこの事なんだけど…。」
そう言って、クソは自分の携帯を机の上に置きその画面を見せてきた。
『戸部はカラーギャングの仲間でゲーセンで西校狩り』
『大和は三股かけてる最低の屑野郎』
『大岡はラフプレーで相手校のエース潰し』
「…なるほど、チェーンメールね。ていうか、今時まだそんなのあるんだな。」
クソが俺たちに見せてきた画面に映っていたものは、3人の陰口が書かれたメールだった。こういうのは俺は嫌いだ。陰口言うぐらいなら本人に言え。
「…ああ、そのメールさっきあたしにきたやつだ!多分、クラスメイトのほとんどに回ってると思うけど…。」
「最近送られてくるようになったんだ。それからなんかクラスの雰囲気も少し悪いし。それに友人のことを悪く言われれば腹も立つからな。」
姿ない悪意は凄く恐ろしい。何故なら憎悪や嫉妬などを向けるべき相手がいなけりゃ曖昧な感情だからな。
「だから止めたいんだ。あ、でも犯人捜しがいたいんじゃなくて丸く収める方法を知りたい。頼めるかな?」
「よし、話は聞いたな。じゃあ、帰れ。」
「え…。」
「それにチェーンメール、あれは人の尊厳を踏みにじる最低の行為よ。自分の顔も名前も出さず誹謗中傷の限りを尽くす。悪意を拡散させるのが悪意とは限らないのがまたタチが悪いのよ。止めるにはその大元を根絶やしにするしか効果がないわ。犯人を探さないで丸く収まる方法なんてないわ。世の中甘く見過ぎよ。」
「けれど…。」
「あ、もしもし。七里ヶ浜か?ちょっと回収よろしく。」
『あ、りょーかいです!すぐに行きます。』
するとファンクラブのやつが来てクソを回収していった。
「先輩完了しました!」
「よし、よくやった。」ナデナデ
「えへへ〜、では私たちはこれで。」
そういうと帰っていった。
「で、どうするの義兄さん。」
「俺はあいつからの依頼なんて受けたくないが…由比ヶ浜はどうだ?」
「え?私?」
「ああ、お前のクラスなんだろ、これ。それでお前はどうしたい?このままがいいか、それともチェーンメールが来ないようにした方がいいか。」
「私はなんとかしたい!」
「では、由比ヶ浜さんからの依頼ってことでいいわね。それでメールが来たのはいつからかしら?」
「確か先週末からだよ!」
「そのときクラスで何かあったかしら?」
「特になにもなかったと思うよ。」
「あれじゃないか?職場見学。」
「あ、それだ。こういうイベントのグループ分けは後の関係性に関わるからね。ナイーブになる人もいるよ。」
「それでこの3人の関係性は?」
「うーん、葉山君のグループぐらいしか…。あー!犯人わかっちゃったかも。」
「本当か?」
「職場見学は三人一組だから1人がハブられるってことじゃん?そのハブにされた人はかなりきついよ。」
なるほど、ハブられるのが嫌だから誰かを蹴落とす作戦という訳か。醜い争いだな。
「つまり、その3人の中に犯人がいると見て間違えなさそうね。では3人の特徴は?」
由比ヶ浜がそれぞれの特徴を言うと雪乃は少し考えてから言う。
「話に聞いただけじゃわからないわね。じゃあ調べて貰えるかしら?グループ決めの締め切りは明後日だから1日猶予があるし。」
と雪乃が言うと由比ヶ浜は俯く。
まあ、自分のグループの粗を捜すなんて乗り気になれないか。
「ごめんなさい、あまり気持ちのいいものでもなかったわね。」
「でも、頑張ってみるよ!」
そうして由比ヶ浜は帰っていった。
では俺もやりますかね。
てっとり早い方法は材木座にカメラ設置してもらってクラスの様子見ることだけど、それじゃアウトだし。あ、そうだ。
「もしもし。」
『あ、八幡先輩どうしたんですか?』
こいつは
「ちょっと調べて欲しくてな。」
俺が説明すると…
『わっかりました!明日報告しますね。』
と言い切れた。
次の日、俺は倉見から報告を受けた。なんでもクソがいるときといないときではその3人の態度は違うらしい。…なるほどな。謎は解けた!
・・・・・・・・・
「ヒッキー先輩、言う通りにしたらなんとかおさまったよ!」
そう、由比ヶ浜は俺の言った通りクソにその3人と組むなと伝えクソが実行しただけ。
ようするにあの3人にとって、クソは『友達』だが、自分以外の奴は『友達の友達』ってことだ。現にクソがいなくなった後、3人とも会話なんてしてなかったらしいし。
「まあ、これでいいだろ。」
こうしてチェーンメールの件は片付いた。
そしてその日の夜、俺はことの詳細を陽乃に話していた。
「ふーん、それで解決したんだ。」
「まあな。」
「でも、八幡は犯人分かってたんでしょ?」
「ああ、候補は2人いる。1人は大和ってやつだと思う。他の2人に比べて内容が薄い。陽乃もわかってたんだろ?」
「まあね。でもう1人は?もうわかるけど。」
「ああ、クソだな。このチェーンメールを流すことによって3人の関係を進展させたかったのかそれとも依頼を作って雪乃に近づこうと思ったのかは知らんが。」
「まあ、雪乃ちゃんに手を出したらタダじゃ済まないけどね。」
「そうだな。」
その後陽乃とたわいのない話をして時間は過ぎ去っていった。