桜花妖々録   作:秋風とも

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第51話「探しもの」

 

「……という訳で、急に休暇を言い渡されちゃったんです。これってやっぱり、暗に謹慎処分を言い渡されてるんでしょうか?」

「いや何でそうなるのさ。それ、明らかにあのお姉さん達の善意じゃん」

「善意……? でも何の脈絡もなく突然の休暇ですよ? しかも半ば強引に……! どう考えても謹慎処分じゃないですか!」

「うん、分かった、落ち着こう。成る程、こりゃ確かに心配になる訳だね……」

 

 そんなやり取りをお燐と交わしつつも、こいしに先導されるような形で妖夢は人里の大路を歩いていた。

 お燐が表情をひきつらせて呆れている様子が見て取れる。何だ? これはひょっとして妖夢の方がおかしいのだろうか。妖夢はただ、真摯な姿勢で幽々子の為に尽力していただけだ。庭の手入れだけではなく、家事炊事や白玉楼の護衛まで。確かに忙しい日々ではあるが、けれどそれは従者として当然の責務だろう。別におかしな事をしているつもりはない。

 

「うわぁ……。それちょっと働きすぎじゃない? 私もおかしいと思うんだけど」

「こ、こいしちゃんまで……。そ、そんなにおかしいのかな……?」

「おかしいよー。お燐だってお姉ちゃんのお手伝いとか色々してるけど、でもちゃんとお休みも貰ってるみたいだよ?」

「で、でも……。お燐さんはあくまでペットで、従者としては違うような……」

「あー、はいはいそこまで! この話はやめよう、うん」

 

 割って入ってきたお燐に話を切り上げられてしまった。

 妖夢は思案する。一体、何がおかしかったのだろう。早朝に起きて、鍛錬をして、そして家事炊事を熟しつつも庭の手入れをして、そしてまた鍛錬をしつつも白玉楼の警護に回り、深夜になったら床に就く。そんなサイクルを毎日毎日休みなく繰り返していただけじゃないか。

 ――やっぱりどこにもおかしな点は見受けられないと思うのだが。

 

「ちょ、妖夢? それいまいちピンと来てない時の表情だよね? 何かもう、完全に毒されちゃってるよね!?」

「毒……? 毒物を口にした覚えはないのですが……」

「あー、もう、なんかもういいや! 面倒くさくなってきた!」

 

 やけにヒステリックなリアクションを見せるお燐を前にして、妖夢はただ困惑顔を浮かべる事しかできなくなっていた。

 

 閑話休題。

 遊びに付き合う代わりに日暮れ前の帰宅をこいしと約束した妖夢だったが、今のところは人里をぶらぶらと歩いているだけである。何か特別な事をした訳でもないのだが、それでもこいしはやけに楽し気な様子。単にお散歩が好きなのだろうか。

 因みにお燐もこいしに付き合っている訳だが、これはこいし達ての要望である。「どうせなら数が多い方が楽しいじゃん!」などという理由で半ば無理矢理付き合わされているような形だが、果たしてさとりへの報告は大丈夫なのだろうか。

 

「ま、まぁ、後で適当に言い訳しておくよ……」

 

 などというのがお燐からの返答である。中々どうして、彼女も大変なんだなぁと妖夢は再認識するのだった。

 

 そんなこんなで人里をぶらつく事数十分。()()に対してこいしが興味を示したのは、ちょうど人里の露店をある程度回り終えた直後の事だった。

 

「ねぇねぇ、二人とも。あれ見てよあれ」

「ん?」

 

 何やらどこかを指差しながらもそう声をかけてくるこいし。示す先へと視線を向けると、そこには里の住民と言葉を交わす一人の少女の姿があった。

 体格は小柄である。背丈に関しては妖夢よりも低いのではないだろうか。春先なのにも関わらず服装はかなりの厚着で、さらに頭の上にはごわごわなフードのようなものまで被っている。

 

 中々に珍妙な格好だが、こいしの好奇心が刺激された理由はそこではない。ごわごわフードの女の子から感じ取る事が出来る、この微かな妖力。彼女の興味は、そこに惹かれたのだろう。

 

「あの人さ、多分妖怪だよねー」

「え? うーん……どうかな」

 

 はっきりと断定する事ができず、妖夢は思わず口籠る。

 正直、妖力や霊力を探る事に関してはあまり得意ではない。それなりに感じ取る事は出来るものの、それで相手の正体を断定できるのかというと微妙な所だ。確かにあの少女から微かに妖力を感じ取る事はできるけれど、果たして本当に妖怪なのだろうか。

 

「お燐はどう思うー?」

「……そうですね。確かに、この感じは妖怪っぽいですねぇ……。あの厚着も、多分人間に変装してるんだと思いますよ」

「だよねだよね?」

 

 成る程、流石はお燐だ。半分人間の妖夢とは違い、こういう事に関しては敏感である。

 厚着で変装しているという事は、お燐や鈴仙のように視覚的に特徴が表れてしまう妖怪なのだろう。かといって狐や狸のように化けるのが得意という訳でもないらしい。しかも変装しているという事は、あまり里に馴染めていない妖怪という事になる。

 ともあれ、お燐やこいしがそう言うのなら、彼女は妖怪であると見て間違いない。見た所、人間に対して危害を加えようとしている訳でもなさそうだが、だとすれば一体何をしているのだろうか。

 

「むむっ、気になるぅ……。ねぇ、ちょっとお話してみようよ」

「お、お話って……。大丈夫なのかな……?」

「うーん、確かに……。危険な妖怪ではないと思うけど、でも……」

「大丈夫大丈夫! いざとなったら、私が弾幕ごっこでドーンと追っ払うから!」

 

 いや、妖夢達はそういった大事になるのを心配しているのだが――。

 

「よーし、そうと決まれば早速行こー!」

「あっ、ちょっと待ってこいしちゃん……!」

 

 妖夢の制止も虚しく、こいしはずいずいと進んでしまう。彼女が一度こうなってしまったら、最早説得など諦めざるを得ない。渋々と言った様子で、妖夢とお燐はこいしの後へと続く事にした。

 

「……そうか、分かった。情報提供、感謝する」

 

 何やらそんな声が流れ込んでくる。ごわごわフードの女の子は丁度里の住民とのやり取りを終えた所だったようで、タイミングとしてはバッチリである。軽い会釈と共に彼女が住民と別れた後を見計らい、何の躊躇いもなくこいしはトコトコと歩み寄った。

 

「ねぇねぇ、何話してたの?」

「……うん?」

 

 流石は子供、といった所か。警戒心もまるで見せずにド直球である。

 当の少女は、何やら怪訝そうな視線をこいしへと向けている様子。闖入者を前にしてやや面倒くさそうな表情を浮かべながらも、彼女はプイッと目を逸らすと、

 

「子供の相手をしている暇はない。あっちに行きたまえ」

「えー! ひどーい!」

 

 まぁ、そうなるだろう。ある程度は想像できた反応である。

 けれどそれでも、古明地こいしは食い下がるつもりはないらしい。すると彼女は、何やら意地の悪そうな表情を浮かべて。

 

「ふふーん? ひょっとして、人に話せないような事でも企んでるの? そりゃそうだよねー。そんな変装をしてまで里の中に紛れ込むくらいだしねー」

「……なに?」

 

 まさかの煽り口調である。子供扱いされた事に対して頭に来たのだろうけれど、だからと言ってこのままではトラブルの種になりかねない。

 お燐が慌てて割って入った。

 

「ちょ、こいし様……! 幾ら何でも直球過ぎますよ……!」

「むぅ……いいじゃん別に! 回りくどいのは嫌いなんだよー!」

 

 むくれ面を浮かべて反論するこいし。バタバタと駄々をこねるその様は、子供っぽさをますます促進させているような気がする。いや、まぁ、彼女は子供なのだけれども。

 そんな様子を見せつけられたごわごわフードの女の子は、肩を窄めつつも溜息をついていた。

 

「君がこの子の保護者なのかね? しっかり躾けておかないと駄目じゃないか」

「い、いや、保護者というか何というか……」

「お燐は保護者じゃないもん! ペットだもん! お姉ちゃんの!」

「ペット……?」

 

 ああ、何だか話がどんどんややこしくなってきたような。

 それにしてもこのフードの少女、見た目に反して随分と尊大な話し方をするものだ。やけに落ち着いている辺り、やはりそれなりの力を持つ妖怪なのだろうか。

 

 完全に間に入るタイミングを逃した妖夢だったが、ごわごわフードの女の子は一人で勝手に状況を理解してしまったらしい。少女は呆れ顔を浮かべると、

 

「大方状況は把握した。どうやら君達も()()()()のようだね。まぁ、一人ちょっぴり特殊なのが混ざっているようだけれど」

 

 チラリと妖夢は一瞥される。こっち側、というのはつまるところ妖怪を示しているのだろう。そして彼女の言う“特殊”とは、要するに半分人間の半端者という事か。

 フードの少女は続ける。

 

「君達がどんな勘違いをしているのかは知らないが、私は少なくとも人間に危害を加えるつもりはない。人里に来たのだって、ちょっとした野暮用でね。こうして変装している理由は、単に面倒事を避ける為なのだよ」

 

 「まぁ、既に巻き込まれてしまっているけどね……」と少女は付け加える。

 話を聞く限り、悪い妖怪ではなさそうだ。完全にこいしの早とちりという事になるが、考えてみれば当然である。この人里で妖怪が悪事を働こうものなら、即刻霊夢に退治される。酷い時はボコボコにされる。幾ら妖怪と言えど、自らの首を絞める為に人里に来る者などいない。

 

「なーんだ、悪さしてる訳じゃなかったんだねー。そんな変装してるから、私はてっきり……」

「……服装だけでそんな勘違いをされたのなら心外だね。と言うか、私の恰好が怪しいというのなら、そもそも彼女だって似たようなものじゃないか」

「……えっ? あたい?」

 

 唐突に矛先を向けられて、お燐はきょとんとした表情を浮かべる。確かに、ほっかむりを被った今の彼女の姿もまた、フードの少女と負けず劣らず怪しげなものである。ともすれば古典的な泥棒の姿に見えなくもない。

 

「そういえばそうだねー。お燐は化け猫の一種の癖に、耳も尻尾も上手く隠せないみたいだから」

「あ、あのですねこいし様。あたいは別に隠せない訳じゃなくて、ただ単に疲れるから隠していないだけで……」

「……猫、だと?」

 

 ピクリと少女が反応を見せる。こいしが“化け猫”というワードを口にした途端、少女の表情が露骨に引きつる様が見て取れた。

 妖夢は思わず首を傾げる。この反応、ひょっとして彼女は猫が苦手なのだろうか。お化けが苦手な妖夢と同じように、何らかの要因で個人的に苦手意識を持っているのか、それとも――本能的な嫌悪感や危機感のようなものか。

 仮に後者であった場合、この少女の正体をある程度察する事が出来る。

 

「あの、あなたひょっとして……」

「……なんだね?」

「……鼠の妖怪、ですか?」

 

 ビクンと、彼女は身体を震わせた。

 分かりやすい。実に分かりやすい反応である。頬を滴る冷や汗を拭う事すらせず、彼女は視線を逸らしつつも実に難しそうな表情を浮かべる。息が詰まりそうな緊張感をビンビンに張り巡らせ、実に十数秒の迷いを経て。それから観念したかのように、少女は口を開いた。

 

「……ああ、そうだ。そうだとも」

 

 ジリジリとお燐から距離を取りつつも、少女は続ける。

 

「私は鼠だ。だから猫は苦手なのだよ。本能的に染みついた性、とでも言おうか……。兎にも角にも、こればっかりはどうしようもない」

「へぇ……。あんた鼠だったんだね」

「……っ!」

 

 お燐の声が届くや否や、彼女はササッと飛び退いた。俊敏に、かつ瞬発的に。

 いつの間にか妖夢を陰にして隠れるような体勢となった彼女は、警戒心剥き出しの形相でお燐を睨みつけているようだ。問答無用な嫌悪感。流石のお燐もこれには傷つく。

 慌てた様子で、お燐は彼女に弁明した。

 

「そ、そんなに怖がらないでよ。あたいは確かに猫だけど、でも火車なんだ。興味があるのは人間の死体だけで、鼠は特に……」

「……火車? 人間の死体だって?」

 

 再び少女が反応を見せる。相も変わらず妖夢の背後に隠れたままだが、少女が浮かべるのは思案顔である。どうやら火車と言う種族に関して何か心当たりがある様子。

 それから少しして、おずおずといった様子でひょこりと顔を覗かせると、

 

「もしや君は……火焔猫燐、という名前ではないか?」

 

 意外や意外。彼女の口から飛び出したのは、そんな確認であった。

 

「えっ? あたいのこと知ってるの?」

 

 お燐も驚いている様子。それもそうだろう。

 お燐こと火焔猫燐は地底に暮らす妖怪である。地底と言えば、地上から追いやられた訳あり妖怪が数多く暮らす世界――別名、旧地獄。地上との不可侵条約が厳しかったつい二年程前までは、交流らしい交流なんて殆どなかった。お空が引き起こした一悶着がきっかけとなって最近はだいぶ交流が盛んになってきているものの、それでも完全に馴染めている訳ではない。

 

 お燐だって、こうして積極的に地上へと足を運ぶようになったのは不可侵条約が緩くなった後の事だ。つまるところ、地上の妖怪からしてみれば殆ど新参者のようなもの。有名人という訳でもないはずだ。

 だけれども。このごわごわフードの女の子は、どうやらお燐の事を既に認知していた様子。

 

「成る程、そうか……。君が……」

「ちょ、ちょっと、勝手に納得しないでよ。説明してって」

「……命蓮寺。勿論、知っているだろう? 君は以前、入門を志願しに来たそうじゃないか」

「……え?」

 

 フードの少女が口にしたのは、妖夢も何度か耳にした事のあるとある寺院の名前であった。

 命蓮寺。そんな寺が建設されたのも、確か二年程前の事だったか。妖夢は詳しく知らないが、何でも当時起きたとある異変とも関係しているようで、『星蓮船』と呼ばれる地底に封印されていた舟を改装して作られたのだとか。

 命蓮寺がどんな寺院なのか、妖夢は噂でしか聞いた事がない。人里では博麗神社どころか守矢神社さえも超える勢いで信仰を集めているなどという話も耳にした事がある。まぁ、立地条件の問題もあるのだろうけれど。

 

 兎にも角にも、命蓮寺は文字通り寺院である。ごわごわフードの少女曰く、お燐はそんな寺院へと入門目的で足を運んだ事もあるらしい。

 意外だった。人の死体を持ち去るなどという、ある意味寺院に喧嘩を売っているかのような行為を生業としているあの火焔猫燐が、まさか入門目的で寺院へと足を運ぶなんて。命蓮寺で説かれる教えとは、そこまで魅力的なものなのだろうか。

 

 そう思っていた妖夢だったが――。

 

「あー、うん、命蓮寺? 勿論、知ってるよ?」

「そうか。まぁ、知らない訳がないのだけれどね。何せ君は、命蓮寺には墓があって死体天国だから、などという不純な動機で入門を志願した不届き者だ。流石の聖も突っ撥ねたそうだけど」

「し、死体天国……?」

 

 思わずお燐へと目を向けると、何やら彼女は白々しく視線を逸らして冷や汗を流している様子。成る程、そういう事かと妖夢は納得した。

 お墓。火車という妖怪からしてみれば、そこはまさに宝の山なのだろう。死体を盗むと言う行為は、言わば火車のアイデンティティー。死体を思う存分堪能できる場所を見つけたとなっては、火車である彼女が誘惑に負けてしまうのも分からなくはないのだけれども。

 

「あ、ああ……。えっと、そうだねぇ……。そんな事もあったような、なかったような?」

「おーりーんー……?」

 

 ドスの効いたこいしの声。普段あまり見せる事のないお燐のはっちゃけた一面が明るみになって、流石のこいしも思う所があるようだ。

 こいしにジト目で睨まれるお燐。古明地さとりに頼まれてこいしを地底へと連れ戻しに来たはずの彼女が、まさかそんな勝手な事をしようとしていたなんて。

 

「お燐も人の事言えないじゃん。地上で好き勝手やっちゃってるじゃん」

「い、いやー!? その、これはその……ほら、あれですよ! 火車としての本能と言いますか……! 死体を盗むという行為は、火車にとって言わば生理現象みたいなものでしてね!?」

 

 何が生理現象だ。いや、その表現は強ち間違ってはないのかも知れないのだけれども。

 

「でもお燐さん。比較的里に近い命蓮寺でそれをやっちゃうのは流石に……。霊夢に退治されても文句は言えませんよ?」

「よ、妖夢までそんな事……! ち、違うんだよこれは……そう! ヤマメ! あの時はヤマメに誘われて、だからあたいは仕方なく……!」

「あー! 人の所為にしようとしてるー! 私そういうのいけないと思うなー」

「なぁ……!?」

「……すいませんお燐さん。私もそういうのは、ちょっと……」

「ぐはっ!?」

 

 お燐が次々と撃墜されてゆく。最早何を言っても見苦しい言い訳にしか聞こえない今の彼女の心境は如何なものか。まぁ、自業自得であるのだが。

 胸を衝かれたように仰け反ったお燐だったが、すぐさま体勢を立て直してフードの少女へと視線を戻す。居たたまれないが故の話題の転換。彼女は必死であった。

 

「と、と言うか、何であんたがそんな事を知ってるのさ! 前に命蓮寺に行った時は、あんたみたいな鼠なんてどこにも見当たらなかったと思うけど……!」

 

 ビシッと指を指しながらも、お燐はそんな疑問を呈する。

 確かに。お燐の暴挙を説明した時のフードの少女の口振りは、どこか他人事のようにも思えた。当時その場に居合わせた訳ではなく、まるで後になって他の誰かから話を聞いただけのような。

 そもそも、人間の間でも比較的好評である命蓮寺に属する妖怪なら、態々こんな変装をする必要はない。恐らくこの少女は、普段から命蓮寺で生活をしている妖怪ではない。間接的に何らかのパイプがある、と考えるのが妥当か。

 

 妖夢を陰にして隠れたままで、少女は説明する。

 

「命蓮寺には、毘沙門天様の代理人を勤める妖怪がいるだろう? 私は彼女の……まぁ、部下のようなものでね」

「あぁ……。えっと、確か……虎?」

寅丸(とらまる)(しょう)だ。まぁ彼女の部下と言っても、私は別に命蓮寺の信者という訳ではない。常にご主人に付き添う事を強制されている訳でもないし、態々命蓮寺で修行をする必要もないのだよ。そもそも私は、あまり喧騒が好きではなくてね。普段は無縁塚に建てられた掘立小屋で生活しつつも、のんびり宝探しに興じている」

 

 成る程。つまりお燐の件については、その寅丸星なる人物から聞いたという事なのだろう。

 それにしても、無縁塚とは。あそこは幻想郷の外れにある塚で、幻想郷の中でも一、二位を争う程に危険な区域である。縁者のいない死者の墓所となっているのだが、何よりあの区域を危険たらしめているのは結界の解れである。

 縁者のいない死者というのは即ち、幻想郷の外から迷い込んでしまった人間――外来人の死者を主に示す。外来人は基本的に無縁塚へと迷い込む事になるのだが、幻想入りしてしまうような人間は戦う力など微塵も持っていない場合が殆どだ。故にあっけなく妖怪の餌食となり、無縁塚を後にする前に命を落とす事となる。

 

 外の世界における“常識”を持つ人間が、死体とはいえ無縁塚一か所に集中するとどうなるか。多かれ少なかれ“常識”と“非常識”バランスに乱れが生じ、結界が緩む事となるのである。

 故に無縁塚は幻想郷に属していながら、外の世界どころか冥界等の隠世とも非常に繋がりやすくなってしまっている。幻想郷と、外の世界と、そして死者の世界。三つの世界とその結界が複雑に混じり合うその場所では、様々な“存在”が不安定になりがちだ。妖怪だろうが人間だろうが、一歩間違えれば自分という存在を維持できなくなる危険性がついて回る事になる。

 

 それ故の危険区域。そんな場所に掘立小屋を設け、あまつさえ宝探しに興じているとは。この少女、中々どうして変わり者である。

 

「でも……その無縁塚で生活しているはずのあなたが、なぜ今日は人里に? あなたの言う“ご主人”に呼び出されでもしたんですか?」

「そんな所だね。まぁ、別に話してもいいか……。実は私は、そのご主人に探し物の手伝いを頼まれてしまってね。こうして里まで出向いて色々と目撃情報を集めているのだけれど……これが中々上手くいかない」

「……探しもの?」

 

 彼女のご主人――つまるところ毘沙門天の代理人だ。そんな人物が、部下を呼び出してまである物を探し回っているらしい。

 何やら事件の匂いがする。そこまでして彼女が見つけ出したいものとは、一体何なのだろうか。

 

「私達が探しているのは宝塔と呼ばれるものだ。元々は毘沙門天様の持ち物だったのだけれど、今はその代理人であるご主人が管理していてね。彼女が毘沙門天様の化身たりえているのは、その宝塔の存在が大きいと言っても過言ではない。詳細の説明は省くけれど、とにかくとてもありがたーい物なのだよ」

「成る程……。えっ、でもちょっと待ってください。ご主人が管理していると言いましたよね? 寅丸星さん、でしたっけ。どうして管理をしているはずのその人が、宝塔を探し回る必要が出てくるんですか?」

 

 まさかその宝塔とやらを紛失してしまった訳でもないだろう。となるとこれはひょっとして、新たな異変の兆候なのでは――。

 

「いや? 紛失したのだよ」

「……はい?」

「だから、無くしてしまったのだよ。あのご主人が、ついうっかり。自分が管理しているはずの宝塔を、ね」

「…………」

 

 ――と思ったけど全然そんな事はなかった。

 妖夢は思わず脱力する。つまるところ、寅丸星なる人物の不手際が原因か。その尻拭いの為に、この少女までも駆り出されているという事なのだろう。

 何だか一気に規模がショボくなってきた。そんな大事な物をうっかりなくしてしまうなんて、寅丸星というのは一体どんな人物なのだろう。

 

「君達もどこかで見かけていないか? そうだね……ちょうど掌に乗るくらいのサイズなのだが」

「うーん……。それらしいのは見てないかなぁ。お燐達はどう?」

「そうですねぇ……。あたいも特に」

「すいません。私も、力になれそうには……」

「……そうか。いや、気にしなくていい。そこまであっさり見つかるとは私も思ってないよ」

 

 この少女も大変そうである。というか、そんなうっかり屋さんが毘沙門天の代理人を勤めているという事実が不安に思えてきたのだが。

 

「実は彼女が宝塔を無くすのはこれが初めてという訳ではなくてね。あのポンコ……じゃなくてご主人は、少々うっかりが過ぎる。いい加減しっかりして欲しいものだよ」

「……ねぇ今、自分の主人の事をポンコツって言いかけなかった?」

「ふむ? 気の所為じゃないか?」

「き、気の所為、なのかなぁ……?」

 

 毘沙門天の化身である彼女が命蓮寺に属しているという事は、命蓮寺は毘沙門天を信仰する寺院という事となる。毘沙門天と言えば、七福神の一柱。成る程、命蓮寺が里からも信仰を集めているのはその為か。福神のご利益にあやかる為に、皆こぞって足を運んでいるという事なのだろう。

 

「固まって動くより手分けをした方が効率が良いという事で、ご主人とは別々になって宝塔を探し回っているのだけれど……。正直言って、今更ながら悪手だったと後悔しているよ。何せあのポンコツのどんくささは筆舌に尽くしがたい程だからね。よしんば宝塔を見つける事が出来たとしても、私と合流するまでの間に再び紛失する可能性も有り得る」

「今普通にポンコツって言ったよね? あたいの聞き間違いじゃないよね? 最早言い直す素振りすら見せなかったよね?」

「いちいち細かい猫だな君は。私が誰をどう呼ぼうとも、それは私の勝手だろう」

「あ、あたいの方がおかしいの!? 結構重要な事じゃないの、それ……!」

 

 兎にも角にも、この少女の事情は把握した。

 少女のご主人こと寅丸星は毘沙門天の代理人で、大事な持ち物であるはずの宝塔を紛失してしまった。その捜索の為に部下であるこの少女も駆り出されたのだけれども、状況は芳しくない、と。

 

「私は少しばかりダウジングが得意でね。無縁塚での宝探しもダウジングで行っている。今回もそれを利用できれば、ある程度は楽に見つける事も出来るのだが……」

「その口振りから察するに……何かダウジングを利用できない理由があるという事ですね」

「まぁ、そういう事だね。私が得意とするのはマウスダウジングと呼ばれるものだ。部下である鼠を使役して目的の探し物を見つけ出す手法なのだけれども……」

 

 それから彼女は、囁くような口調になって。

 

「私が使役する鼠は肉食でね。まぁ精々ちょっぴり齧る程度なんだが……人肉も捕食対象と成り得るのだよ」

「あぁ……。そういう事ですか」

 

 成る程。この少女が「面倒事を避けたい」と称してここまで仰々しい変装をしている理由も、ようやく分かったような気がする。確かに、彼女が人喰い鼠を使役する妖怪であると人里で認知されてしまったら、ちょっとした大騒ぎになってしまうだろう。幾ら命蓮寺に所属する寅丸星の部下とは言え、そんな鼠を連れていると知れば里の住民は決して良い顔はしない。

 故に彼女は、必要以上に里の住民とは関わろうとしない。面倒な事になるのなら、初めから正体を明かさなければいいと。そういう事なのだろう。

 

「ダウジングには他にもロッドダウジングやペンデュラムダウジングなんてものもあるが、あれは本来水脈等を見つける為のものだからね。ちょっとばかし応用すれば利用できなくもないけれど、当然ながら宝塔探しには適していない」

「ふーん……。何か良く分かんないけど、要するにあなたは探し物が見つからなくて困ってるって事だね!」

「……有り体に言えば、そういう事になるね」

 

 ド直球にこいしに本質を突かれて、フードの少女は少々バツの悪そうな表情を浮かべる。一応彼女にも、ダウザーとしてのプライドがあるという事か。里ではお得意のマウスダウジングが使えないとは言え、それでも探し物が芳しくないというこの状況は少なからず面白くないようだ。

 

「ねぇねぇ、半分幽霊のお姉ちゃん。この人の探し物、私達もお手伝いしようよ!」

「……えっ?」

 

 そんな中。フードの少女の事情を把握した古明地こいしが、やけに楽し気な声色でそんな提案を投げかけてきた。

 彼女の好奇心が旺盛なのはいつもの事だが、まさか今さっき会ったばかりの妖怪の手伝いを提案してくるとは。しかもやけにワクワクとしたこの様子。一体どういう風の吹き回しなのだろう。

 

「ねぇ、いいでしょ? 何だか宝探しみたいで面白そうだし!」

「た、宝探し……? あぁ、成る程ね……」

 

 つまるところこの少女、半ば遊び感覚で宝塔探しをしてみたいという事なのだろうか。まぁ確かに、その宝塔なるものは寅丸星やこの少女にとってとても大切な物らしいし、宝探しという表現は強ち間違ってはないのかも知れないけれど。

 

「て、手伝ってくれるというのならこちらとしても願ってもない提案だが……。いいのかね?」

「いいのいいの! ね、お燐もいいでしょ?」

「え? ま、まぁ、そうですね……」

 

 急に話題を振られてしどろもどろ気味になるが、それでもお燐は首を縦に振る。するとフードの女の子は、今度は妖夢へと視線を向けてきた。君はどうなんだと、そう言いたげな面持ちである。

 

 どうも何もない。妖夢の答えは、初めから決まっている。

 

「ええ。私もお手伝いしますよ。ここまで事情を聞いてしまったのに、何もせずに帰るのも心苦しいですしね」

 

 相手が人間だろうと妖怪だろうと関係ない。

 目の前に困っている人がいる。ならば放っておく訳にはいかない。見捨てるなんて選択肢、魂魄妖夢には有り得なかった。

 

 妖夢の言葉を聞いた少女は、表情を綻ばせる。

 

「……そうか。君とそちらのおチビさんはそれなりに信用できそうだ。協力してくれるというのなら心強い」

「ねぇそれ、暗にあたいが信用できないって言ってない?」

「当たり前だろう。私は鼠だ。猫など信用できる訳がない」

「ひ、酷い!? 偏見!!」

 

 相も変わらず妖夢を陰にして身を潜めた状態で、少女はお燐を睨みつける。別にそこまで警戒する必要はないと思うのだけれども、まぁ、こればっかりは仕方がないだろう。幾ら妖怪とは言え、お燐は猫でこの少女は鼠。本能的に染みついた性質は、完全に消える事はない。

 

「さてと! それじゃ早速、探し物を始めよっか。えっと……あなたの名前、何だったっけ?」

「ん? そういえばまだ名乗ってなかったね。私はナズーリンだ。よろしく頼む」

「ナズーリン、だね。私の名前は古明地こいし! お燐の事は知ってるんだよね? それでこっちの半分幽霊のお姉ちゃんは……」

「……魂魄妖夢です」

「古明地こいしに、魂魄妖夢か。……半分幽霊という事は、ひょっとして君は半人半霊という種族なのかね?」

「ええ。魂魄家は代々、人間と幽霊のハーフですので」

「成る程。だから隣に大きな霊魂を連れているのか、君は」

 

 ナズーリンと名乗った少女が、物珍しそうな目で半霊を眺めている。確かに、顕界において半人半霊は比較的珍しい種族である。人間と妖怪のハーフならばそれなりに珍しくなくとも、人間と幽霊のハーフとなると話は別だ。全くいない――という訳ではないにしろ、それこそ数えられる程の人数しかいないのではないだろうか。

 

 因みに。半人半霊には半霊などという分かりやすい特異性があるのにも関わらず、妖夢は特に変装等はしていない。その理由は単純に、彼女が里に深く馴染んでしまっているからである。

 妖夢は頻繁に里まで買い出しに来ている為、彼女の存在は里の中でも広い範囲に認知されている。幽々子の為に何度も買い出しに駆り出されている魂魄妖夢という少女は、人里ではちょっとした有名人なのである。故にお燐やナズーリンのように仰々しい変装をせずとも、里の住民から妙な目で見られる事は殆どない。

 

 まぁ、それはさておき。

 

「えっと、ナズーリンちゃんは虎……ナントカさんと手分けして宝塔を探しているんだよね?」

「……寅丸星だ。あと、ちゃん付けは止めてくれないかね」

「うん。で、その寅丸星さんはナズーリンちゃんのご主人様なんだけど、でも物凄いおっちょこちょいさんなんだよね?」

「君はワザとやっているのか……? まぁ、ご主人の件については君の言う通りだが」

 

 要求を無視してちゃん付けを続けるこいしを前にして、ナズーリンは不服そうな顔を浮かべる。ワザとなのかは分からないが、少なくともこいしの表情は邪気のないものである。

 多分、単純に話を聞いてないだけだと思う。

 

 こいしは続けた。

 

「それじゃあさ、私達も二手に分かれた方がいいと思うんだよねー。ナズーリンちゃんと一緒に宝塔を探す係と、そして寅丸星さんと合流して宝塔を探す係。どう?」

「……ちゃん付けは気に食わないが、確かに一理あるね」

「そうですね。星さんがどれほどうっかり屋さんなのかは分かりませんが……。確かに、誰かが様子を見に行くべきかも知れません」

「そうでしょそうでしょ?」

 

 こいしにしては名案である。もしもナズーリンの危惧していた通り、星が見つけた宝塔を再び無くすような事があれば大変だ。部下であるはずのナズーリンがポンコツと称する程ならば、尚更心配である。

 だとすれば、誰かが様子を見に行くべきであろう。

 

「それなら、私が星さんと合流します。多分、この中で人里とその周囲の地理に最も詳しいのは私だと思うので……」

「ふむ、そうか。それなら君にお願いしよう」

「はいはーい! 私も妖夢と一緒に行くー!」

「こいしちゃんも? まぁ、私は良いけど……でもそうなると」

 

 そこで妖夢は、チラリとお燐へと視線を向けて。

 

「お燐さんがナズーリンさんと一緒に行動する事になりますけど……」

「ん? あたい? まぁ、数を考えればそうなるね」

「な、なに……?」

 

 案の定、ナズーリンが反応した。

 顔面蒼白。冷や汗を流しつつも、彼女は動揺を露わにする。先程からずっと妖夢の後ろに隠れていたナズーリンだったが、より一層お燐に対する警戒心を強めてしまったようだ。

 さっきから何となく察してはいたが、この少女、尊大な態度とは裏腹に意外と小心者なのではないだろうか。猫は鼠にとっての天敵とは言え、少々反応が過剰である。

 

「わ、私にあの猫と行動を共にしろと言うのか……!? 地雷原への特攻を強要するのと同義だぞそれは……!」

「そ、そんな大袈裟な……。別にお燐さんは、そこまで狂暴な妖怪じゃありませんよ」

「そうだよー。それに、ナズーリンちゃんがお燐と組まないと数が偏っちゃうじゃん」

「べ、別にその組み合わせに拘る必要はないだろう。そうだ、君ではなく火焔猫燐が妖夢と同行すれば……」

「えー! やだー! 私が妖夢と一緒に行くのー!」

 

 駄々をこねるこいしと、「ぐぬぬ……」と唸るナズーリン。ナズーリンから恐怖の対象とされている所為で居心地が悪そうな表情を浮かべるお燐と、それに対して苦笑いを浮かべる事しかできない妖夢。

 やがて観念したかのように、ナズーリンがその硬直状態を破った。

 

「くっ……! 仕方がない……。私にだって妖怪としての矜持がある。いい加減、猫に怯え続けるのも辟易としていた所だ」

 

 そう口にしつつも、ナズーリンはようやくお燐の前へと姿を現す。そしてやたら威勢の籠った眼差しを向けつつも、ビシッとお燐へと指を突き出すと、

 

「しかし覚えておくと良い……! 窮鼠猫を噛むという言葉の通り、追い詰められた鼠は例え猫が相手だろうと時に逆襲する……! あまり妙な考えは抱かない方が賢明だぞ!」

「だ、だから別にあんたの事なんて襲わないって! あたいを何だと思ってるのさ!」

 

 最早お燐は完全に猛獣のような扱いである。

 お燐は地底の妖怪とは思えない程に温厚な性格をしている。本当の本当にいきなり襲いかかってくるような妖怪ではないのだけれども、今日が初対面であるナズーリンにとっては他の猫達とそう変わらない認識なのかも知れない。

 

「ねぇねぇ、そういう言い争いはどうでもいいからさー。取り合えず寅丸星さんが向かった場所を教えてくれない?」

「ど、どうでも良くないですよ!? あたいだって、こんな勘違いされたままだと流石に傷つくんですからね!?」

 

 ――流石にお燐が気の毒に思えてきた。

 

「あ、ああ……そうだったね。香霖堂、と言えば分かるかね? 不愛想な男が経営する、里の外れにある古道具屋だ。ご主人はそちら方面に向かったはずだよ」

「こーりんどう? 妖夢は知ってる?」

「う、うん。前にも何度か行った事があるから……」

「そっか。それなら安心だねー」

 

 尚も呑気な様子のこいしに対し、相槌を打って妖夢は答える。と言うか、本当にこの組み合わせで行くつもりなのか。お燐とナズーリンはお世辞にも相性が良いとは言えない――と言うよりもナズーリンの方から一方的に怖がられているのだが、本当に大丈夫なのだろうか。今も尚二人の間は微妙な距離感だし、とても協力して宝塔を見つけられるとは思えないのだけれど。

 

「えっと、ナズーリンさん? お燐さんは、とても温厚な妖怪です。確かに、ちょっと死体を盗んじゃうような一面もありますけど……。でも基本的には常識を弁えているはずですよ。いきなり襲われるなんて事は絶対にありませんし、そんなに怖がらなくても……」

「そ、そうは言ってもだね。やはり本能というものには中々抗えないのだよ。私の鼠としての本能が、さっきから警鐘を鳴らし続けている。猫は危険だ、とね……」

「そ、そんな、それでも……」

「あー、いいよ妖夢。何か慣れてきちゃったから……」

 

 するとお燐は、嘆息しつつも肩を窄める。どうにもがっくりとしたその面持ちは、何やら色々と悟ってしまったかのような面持ちだ。

 けれどそれでも、彼女は後ろ向きにはならない。こんな状況だろうとも、お燐は意地でもポジティブに捉える。

 

「この子が未だに信用してくれないって言うんなら、意地でもその信用を勝ち取ればいい。それに、しばらく一緒に行動すれば、じきに慣れてくれるかも知れないしね」

「そ、そうですか……?」

 

 妖夢がちらりとナズーリンへと視線を向けてみると、彼女は相も変わらず警戒心剥き出しでお燐を睨み続けている様子。好感度で言えば最低クラスである。信用を勝ち取ると言っても、見るからに難易度が高そうなのだけれど。

 それでも、当のお燐がこれで良いと言っているのだ。だったらこのまま、彼女を信じるしかない。

 

 一抹の不安感を胸中に残したままで。妖夢はこいしと共に、寅丸星が向かったとされる香霖堂へと足を向けるのだった。




第42話におけるタイムパラドックス関連の説明描写がおかしな事になっていたので修正しました。
第47話での描写と食い違う部分が見受けられましたが、こちらが正しい形となります。読者の皆様に混乱を招いてしまった事を深くお詫び申し上げます。

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