こうして、私達は出会う(完結)   作:珍明

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閲覧ありがとうございます。

今回はジョージ視点です。

追記:18年12月10日、誤字報告により修正しました。


3.結ばれた糸

 こんな御時世故、店は益々繁盛していく。しかし、べリティの安全を危惧して陽が昇る内に帰らせる。閉店後は売上残高や在庫整理、翌日の開店準備を済ませなければならない為、ほぼ深夜の帰宅だ。

 フレッドとジョージが疲労困憊で台所に足を踏み入れた時、両親の寝室から絹を裂くような悲鳴が聞こえた。

 2人は驚かない。何故なら、悲鳴はモリーが悪夢から目覚める瞬間だと知っている。

 ダンブルドアの葬儀から、毎晩のように悪夢にうなされて悲鳴と共に目を覚ます。最初は皆で寝室に駆け込んだが、アーサーは子供達へ知らない振りを望んだ。

 だから、フラーを含めた皆、足音を立てないように注意しながら扉へ近寄る。聞き耳を立てて、アーサーがモリーを慰める声を聞くのが日課になった。

「クローディア……学校に戻さなければ……ずっと家にいさせれば……」

 モリーはクローディアの死に対して、自責の念に駆られている。きっと、彼女との別れを何度も夢で繰り返しているのだろう。夢の内容を話して貰った事はなく為、予想でしかない。

 悲鳴の主を一通り心配してから、皆の視線はジョージに向けられる。同じ悪夢に魘されていないか、気にかけてくれている。

 ジョージは夢でもいいから、クローディアに会いたい。夢ですら、会えないのはまだ実感がなく、現実を受け入れていない証拠だと他人事のように自己分析する毎日だ。

 

 そんな夜に慣れた頃、ハリーは『隠れ穴』へ無事にやってきた。

 作戦が成功して心が軽くなったらしく、モリーの悪夢は一先ず治まっている。再発の心配はあるが、今はビルとフラーの結婚式、ハリーの誕生日会と準備に大忙しだ。

 ウォーリーという予期せぬ客人は失礼ではあるが、クローディアの代わりとしてモリーへの慰めになっていた。

 ロン達がこそこそと計画している旅にウォーリーが同行する事が決まり、代わりに拍車をかける。けど、ジョージは彼女を亡き婚約者の代わりにはできない。そうしてしまえば、楽なのかもしれないと考えはするが、あくまでも考えるだけだ。

 ずっと会えなかったコンラッドはいきなり現われ、ジョージの耳を治療すると言い出す。随分勝手な言い分だ。

 スネイプにより失った耳を治したくはない。鏡を見る度、憎悪が湧き起る。

「良かったわね、ジョージちゃん。コンラッドに任せましょう」

 しかし、モリーを心配させる要素をひとつでも消せれるなら、治療を受け入れるしかなかった。

「お父さんはウォーリーと仲悪そうだな」

 耳に軟膏を塗られながら、ジョージは何気なく疑問を口にする。ウォーリーは明らかに師の婿に対して嫌悪丸出しであり、コンラッドは舅の弟子に対して知り合い以上の関心がないように窺えた。

「今でもお父さん呼びするんだね……。ウォーリーにはほとんど事情を説明せず、この状況に招き入れたからかな? ああでも、納得はして貰っているから好きに扱き使ってくれて構わないよ」

「トトも似たようなを言ってたぜ」

 フレッドがからかって笑う。コンラッドは塗り終えた軟膏を片づけ、ジョージの頬を両手で気遣うように包む。唐突の行為に驚き、目を丸くして瞬きした。

「ウォーリーの話がしたいんじゃないんだろう?」

 揺るがない紫の瞳にジョージは一瞬、強張る。気を利かせたフレッドは無言で部屋を後にした。

「ジョージ、ずっと放って置いてすまなかったね」

 機械的な声に憐れみを感じる。コンラッドの視線よりも、手の温もりが凍った感情を溶かす。喪失感に囚われ、哀惜の涙が洪水となって押し寄せた。

 溢れた涙に比べ、声は嗚咽程度しか出ない。

「……傍に……いたのに……護れなかった……」

 ドラコの罠にかかり、意識を失った。

 それさえなければ、この身に代えても護って見せた。彼女を失うぐらいなら、自分がそうなりたかった。

 

 ――彼女の為に死にたかった。

 

「……俺も……俺も死にたい……」

 置いて行かれる痛みに耐えられない。心の何所かで自分達だけは生き残るという慢心があった。

「君には本当に感謝しているよ、クローディアと変わらぬ愛を誓ってくれて」

 無機質な表情は口元を少し上げ、微笑んでくれる。コンラッドも短期間で母親と娘を亡くしたというのに、状況は彼を悲しむ間さえ与えない。その笑顔もジョージを慰めんが為に作られた筋肉の動きに過ぎない。

「お父さん……!!」

 今のジョージに笑わせる事は出来ない。その分、泣いた。

 コンラッドの腕に縋りついて、溜まった欝憤を晴らすように泣き喚く。そんなジョージに彼は黙って頬から肩へと撫でた。

 その仕草は傍から見れば、義理の息子になるはずだった青年への慰めか贖罪に感じ取れたであろう。ジョージもそう思っていた。

 

 ジョージとフレッドは夜明け頃、自主的に目を覚ます。コンラッドは何故か、椅子に座って状態で眠る。穏やかな寝息を立てる彼を起こさぬように、毛布だけかけた。

「ジョージ、耳なしから耳ありになったぜ。但し、僕のほうが男前だ」

 上機嫌なフレッドに耳朶を掴まれ、本当に耳が生えたと知る。自分でも触れてみれば、懐かしい感触がして心が躍った。

「おはよう。フレッド、ジョージ。耳、戻したのね。目玉焼きを作ってあげるから、パンとかハムは自分でなんとかして」

 大人数が円滑に朝食を得る為、住人たる兄妹達はさっさと済ませる。ジニーも同じ考えで兄より先に起きてフライパンを握っていた。

 それより気になるのはモリー、朝から椅子に座って肩を落とす。食卓に置かれた上品かつ綺麗な彩りの手紙とパーシーのフクロウ・ヘルメスが理由を物語っていた。

「ビルにおめでとうですって」

 素気なくジニーは手紙を一瞥しながら、教えた。

「手紙を送ってきただけでも、良かったじゃん」

「そうだよ、お袋。見てくれ、ジョージの耳、ちょいと欠けちまっているが元通りだぜ」

「おお、本当だ! ジョージ、こんな簡単に生えてくるなんて偽物じゃないだろうな?」

 後ろにいたビルとフラーが驚きの声を上げながら、ジョージの耳朶を掴む。

「そう、綺麗に治ったわね。コンラッドのお陰だわ」

 元気のない笑顔でモリーにジョージも笑顔を返すが、フレッドはパーシーの事で一喜一憂する母親の姿にげんなりしていた。

 アーサーとチャーリー、ロンにも耳を触られてから朝食を済ませる。それを見計らったようにデラクール一家が起きてくる。ジョージの耳の回復を喜び、触ってきた。

「すまない、眠り込んでいたよ」

「まさか、俺がおまえを起こす日が来るとはな」

 コンラッドとシリウスがお互い負けじと押しのけ合う。微妙に大人げない2人を眺めながら、ハリーとハーマイオニー、ウォーリーも降りて来た。

「耳、治ったんだね。やっぱり、そっちのほうがいいよ」

「癒術? 魔法薬?」

 純粋に治りを喜ぶハリーと違い、ハーマイオニーは治療方法に興味を示す。ウォーリーはジョージの耳を凝視した後、微笑んでくれた。

 モリーはサンドイッチやクッキーを2人分用意し、ハリーに渡す。ロンと一緒に階段を上がって行った。

 これから、ミラマンのマジック幕を庭へ張りに業者の魔法使い達が来る。騎士団でもない他人にハリーの姿を見られないようにする為だ。

 アーサーとムッシュ・デラクール、ビルが彼らに指示する中、モリーもジョージ達、1人1人に指示する。ウォーリーに振られた仕事量は若干、多い。思わず、彼女の口から「げっ」が吐き出された。

「コンラッドには仕事ないのか? 働け」

 ウォーリーはコンラッドに恨めしそうな視線を送り、抗議する。

「コンラッドはお客様だもの、ジョージの耳まで治療してくれて感謝しているわ。時間までゆっくりしてて、私達は準備があるから騒がしいけど」

「邪魔になってはいけないから、ハグリッドの様子でも見て来よう。ついでに少し盛装してくるよ」

 意味深な笑みをウォーリーに向け、コンラッドはハグリッドのいるテントへ向かおうとする。

「コンラッド、ハグリッドの所に行くならコイツを連れて行ってくれ。ハリーはハグリッドにヘドウィッグを頼むそうだ」

 突然の頼みに今度は笑顔が強張ったが、コンラッドは断らずにヘドウィッグを受け取る。ハリーのフクロウは大人しく彼の腕に乗り、連れて行かれた。

「あいつ、本当にヘドウィッグを連れて行ったな。……ハグリッドに預ける話は本当だからいいか」

 頼んだ本人が意外そうに驚いた。

「シリウス、からかったの?」

 ジニーが含みを込めて問えば、シリウスはわざとらしく肩を竦めた。

 フラーは衣装合わせの為に部屋へ籠り、アポリーヌとガブリエールもその為に一緒だ。

 ロンとハーマイオニーはハリーを変装させる準備、『ポリジュース薬』の変身に欠かせない髪の毛はフレッドが調達してきた。

「髪の毛って……呼び寄せれるんだな」

「近くの村に住んでいる奴の髪だよ、僕達よくその村に遊びに行くからさ」

 シリウスが感心し、フレッドは自慢げに話す。

「従兄弟のバーニーって事にすればいいのよね?」

「そうそう、バーニー。親戚も多いから全員を把握している人なんていないしね。この赤毛なら、僕らの親戚だと言っても疑わないぜ。この体系なら、……ギリギリ君のドレスローブも着れる」

「贅沢言える立場じゃないけど、せめて似た体形にして欲しかった」

 『ポリジュース薬』で変身させたハリーを見ながら、ロンはハーマイオニーと式の開始時間と薬の効果時間を話し合う。

「ハーマイオニー! そっちの手が空いたら、こっちに来てくれる? 手が足りないの」

 下からジニーに呼ばれ、ハーマイオニーはロンに任せてすぐに部屋を出る。手が足りないのは妹ではなく、ウォーリーの事だ。

 力仕事や大雑把な事はチャーリーやフレッド、ジョージに振られたが、他の細かい気配りのいる仕事をウォーリーは任され、彼女は本当に家の中を走り回った。

「ウォーリー! お昼までに終わらないと貴女も支度があるんだから」

 それなのにモリーは容赦なく急かす。彼女も自らの作業に没頭する。人に指示するだけあり、無駄な動きはひとつもない。

〔ああもう、わけがわからん! 誰か時間を巻き戻して!〕

 聞きなれない発音で喚いても、ウォーリーは本当に悲鳴を上げながら投げ出さずにこなしていく。途中でジニーとハーマイオニーが加わり、昼までには丁寧な仕上がりになった。

「ミラマンのマジック幕は良い物だぞ……ジェームズも使いたがったが、リリーの奴が照れて控えめな式にしたいって言うから……」

 庭に張られた白いテントを見ながら、シリウスは懐かしむ。まだ業者が庭をうろついている為、ハリーはロンと上の部屋だ。

「ミラマンって人が作ったって事か? それとも、ミラマンとかいう素材で出来ているのか?」

 疲労困憊でげっそりとしたウォーリーはナッツの蜂蜜漬けを貪り、シリウスとテントの話で盛り上がる。2人は出会って間もないはずだが既に打ち解けていた。

「午後2時にはウェイター係とバンドマンが来るから、それまでに食べ終えて頂戴。フレッド、ジョージ。食べ終わったら、ハ……バーニーとロンをお願い……それから」

「「3時にはお客様を座席にご案内できるように外に立っていろ」」

 双子がハモって役割を言えば、モリーは手ぶりで答える。ハリーとロンの4人で招待客を出迎え、指定された座席に案内する係だ。

 予め、フラーが神経質になってまで決めた席を座席表まで渡されている。シリウスもハリーと案内係をやりたがったが、アーサーに却下された。

「リーマスが来たら、君も招待客としていてくれ。わかったね?」

 アーサーの滅多に見せぬ厳しい表情にシリウスは渋々承諾した。

「忙しいところ、すまない。ウォーリーのドレスローブを持ってきた」

 唐突に現れたコンラッドはウォーリーとシリウスとの距離が近い様子を見て、あからさまに眉を顰める。

「ありがとう、すっかり忘れていた。危なく普段着で出席する所だった、危ない危ない」

「ドレスローブって、パーティードレスじゃないのか?」

「……急いで用意したからね、サイズだけは合っているよ。君達、随分と仲が良いんだね?」

 嫌味ったらしくコンラッドから言い放たれ、ウォーリーとシリウスはお互いの顔を見合わせてから見せつけるように肩を抱き合った。

 強張った笑顔でコンラッドはウォーリーに服を投げつけて行った。

「君は話のわかる奴だ」

「息ぴったり」

 ウォーリーとシリウスは意地の悪い笑みを浮かべ合う。

「あんまり、からかうなよ。俺の耳の恩人なんだぜ」

 義理の父になるはずだったコンラッドを庇う気持ちで、ジョージは自分の耳を指差す。ウォーリーは笑みのまま、耳を凝視した。

「ジョージは優しいな、わかったわかった。あんたに免じて、コンラッドとも仲良くしてやるよ」

「式が終わるまではな。さて……バーニーの様子を見てくるか」

 シリウスが合いの手を入れて階段を上がってい。ジョージはやれやれと肩を落とし、フレッドに呼ばれてウォーリーに背を向けた。

「傷が治っても、スネイプを許すな」

 冷たい声が耳に入り、驚いて振り返った。

 ウォーリーは庭を見ており、背向けられた為に表情もわからない。彼女に声をかけようとしたが、フレッドに急かされた為にそちらを優先した。

 

 長兄の結婚を祝福するように空は雲ひとつなく、照りつける太陽が眩しい。

「僕が結婚するときは……こんな馬鹿げたことは一切やらないぞ。皆も好きなものを着てくれ」

 想定した以上に格式ばった式と暑さのあまり、フレッドは悪態吐いた。

 ややぽっちゃり体系に変身しているハリーは文句ひとつ言わず、息苦しそうに汗を流す。ロンは段々緊張してきたいせいか、冷汗で濡れていた。

 敷地の向こうに今日の為に着飾った客人達が次々と『姿現わし』してきた。

「ヴィーラの従姉妹が何人かいるな」

 アポリーヌの血族と一目でわかる麗しきフランス人を見つけ、ジョージは思わず声を弾ませる。外国から来た客人のほうが商売相手には打ってつけだ。

 それをフレッドに先を越された。

「貴方はフレッド? ジョージ? どちらにせよ、良い男になったわねえ。お店は大繁盛だってね、うちの娘なんてどうだい?」

 仕方なく、祝いと世間話を合体させた早口言葉を喋り続けるモリーの友人達を案内せんと紫の絨毯を歩いて導く。金色の華奢な椅子や風船を見て、ご婦人達の囀りは激しさを増した。

「ハリー=ポッターは一緒じゃないのか?」

「ノーコメント」

 最初から席にいるシリウスも別の意味で注目され、招待客から挨拶という名の質問攻めを受けた。

「めでてえことは続くなあ、良いもんだ」

 フレッドの案内を誤解したハグリッドが彼専用に拵えた椅子ではなく、普通の椅子5席に座ろうとして大参事を招いたのはお愛嬌だ。

 騎士団の面々は勿論、親しき悪友リー=ジョーダン、そして大叔母ミュリエル=プルウェットが無事に到着した。

 ジョージがドージを席に案内し、テントから出ようとした瞬間にミュリエルはわざわざ腕を掴んで引き留めた。

「ビアンカの孫は来ているかぇ?」

「…………誰だって?」

 ジョージの人生でビアンカなる女性は学校や『W・W・W』でもよく聞く名の為、瞬時に察するなど出来ない。

「おまえ、ビアンカの曾孫娘と婚約していたんだろうがぇ? おまえにしては良い相手を選んだと、わたしゃ見直すところだったぇ。ほんに惜しいことだぇ」

 婚約という単語なら、ジョージはクローディアしかいない。彼女の曾祖母の話は聞いたことなかった。

 動揺のあまり返事も出来ないジョージの隣にコンラッドは足元もなく、立つ。普段の白い服に見慣れている為、黒と深緑を基調とした服は珍しい。

「お初にお目にかかります、マダム。挨拶が遅れまして、私がコンラッド=クロックフォードです。祖母ビアンカ=アロンダイトが御存命の折は良くして下さったと……」

「こりゃあ、魂消た。写真で見るより男前じゃないかぇ、瞳は母親似というのは本当だねぇ。あの聞かん坊は赤かったぇ。おまえとの席は近いかぇ? なんだい、遠いじゃないかぇ」

 コンラッドはジョージにミュリエルを任せろと目配せした。

「君達への個人攻撃だと思うなよ、おばさんは誰にでも無礼なんだから」

 テントを出た時、ロンの声が耳に入る。ハーマイオニーはライラック色の裾が浮かぶ薄布のドレスを纏い、同じ色のハイヒールだ。

「ハーミーはまだいい、私なんてウェイターに間違われたぞ」

 ウォーリーは新品の燕尾服をお洒落に改造しており、藍色の色合いが髪の色と調和されて素直に美しいと感じる。ウェイターに見られる原因は肩にかけたガマグチ鞄だろう。

「ミュリエルのことか?」

 見惚れていたジョージはフレッドの声で我に返った。

 途端、フレッドとジョージは背中を押されて倒れかける。双子にぶつかって通り過ぎたのは、黄色のドレスを着たルーナだ。

 走っても揺れない向日葵の髪飾りが飛ぶ勢いでウォーリーに抱き付く。彼女は驚いても、足を踏ん張ってルーナを落とさぬように耐えた。

「……ルーナ!?」

 ハリーとロンは驚き、ルーナを呼ぶ。しかし、彼女は反応せずウォーリーの首に縋り付いた。

「ウォーリー。ルーナが落ち着くまで傍に居てあげて」

「ああ……、このまま運ぶぞ。ルーナ」

 ウォーリーはルーナを抱き抱えた状態まま、ハーマイオニーの手を借りながらで家の中へ入っていく。ハリーが気まずそうに見送っていた。

「知り合いなのか?」

「そういえば……ミュリエルがクローディアの曾婆さんと友達だったぜ」

「え!? 何それ、あのおばさんに友達がいたわけ!?」

 何気に失礼なロンが喚いた時、わざとらしい咳払いが聞こえた。

 もう誰も来ないと思い油断していたが、他に遅れてきた来訪者が2人も対応を待っていた。

「結婚式でお会いしましょうと言いましたよね?」

 待たされた分、スタニスラフは笑顔が怖い。

「ごめんね、スタニスラフ。そっちは……ビクトール=クラム!?」

「ご結婚おめでとうございます」

 以前より逞しい顔つきなったビクトールは流暢な英語で挨拶してきた。

「スタニスラフが来るのは知っていたけど、君も来るとは……」

「フラーに招待された」

 即座に納得した。

「ところで、そちらは何とお呼びすれば?」

 スタニスラフの問いは変身したハリーの事だ。彼も騎士団の活動に関わる1人、ハリーが変装してでも式に参加する旨をご存じだ。

「俺らの従兄弟のバーニーだ」

 ビクトールは手を差し出し、ハリーと握手する。ロンは恋敵を見る目で強めの握手を交わした。

 有名なクィディッチ選手の登場にテント内はざわめく。ある意味、花嫁より目立ちそうでジョージは内心、焦りが生じた。

「娘を知らないかい?」

 黄色いドレスローブからルーナの父親ゼノフィリウス=ラブグッドとすぐにわかる。マトモに顔を会わすのは初めてだ。

 首にかけた奇妙な印のペンダントが服と合わない印象を受けた。

 ジョージが返事するより先に、ルーナは普段のふわふわした足取りで戻ってきた。

「はーい、ジョージ。耳、痛い?」

「……いいや、痛みはないぜ」

 耳の怪我は騎士団の間では広まっている。ゼノフィリウスには雑誌の件もあり、ある程度だけ譲歩を流しているから、知っているのだろう。誰も触れて来ない耳を容赦なく突くが、深い労わりを感じ取った。

 フレッド達が慌てずそれでも急いで自分の席へ向かう。

「相棒、着席する時間だ」

 耳打ちされ、ジョージは花婿の家族として一番前の列に座る。ハリーは親族として、ハーマイオニーは最も親しき友人としてロンと一緒に二列目。ウォーリーはトンクス達と同じ列の席に座った。

「イカすわ、その格好。自分で仕立てたの?」

「ありがとう、トンクスは普段より一段と綺麗だ。ちなみにこれはコンラッドの手作り」

 小声だが、お互いの服装を褒め合う。

 予行練習と同じように両親が紫の絨毯を歩く。違うのは今日の為に用意したローブを着こなし、お揃いの帽子を被る。大輪の白薔薇を襟に刺したビルとチャーリーは嫁を出迎えに現れた。

 父親を伴い、輝かしいウェディングドレスを纏うフラーは輝いている。幸せの絶好調だと全身が語り、見ている人々も思わず微笑む返したくなる美しさだ。

 金色のドレスで飾ったジニーとガブリエールが厳かに花嫁に付き従う。義理の妹と今の妹、演出としても場を盛り上げる。

 父親の手から花婿の手へと託された花嫁、それがジョージの頭の中で配役が入れ替わる。自分が迎えるはずだった場面が勝手に浮かんだ。

 冠婚葬祭を仕切る魔法使いがビルとフラーの間に立つ。

「やっぱり、私のティアラのおかげで場が引き立つぞぇ」

 祝福の言葉だというのにミュリエルは遠慮なく声を出す。言われるまでゴブリン製のティアラの存在を忘れていた。

 溢れる感情を涙とし、啜り泣く声が音楽のように奏でられる。トランペットに似た音はハグリッドだとすぐわかる。コンラッドの様子が見たくなり、振り返ればいなかった。

「……されば、ここに2人を夫婦とみなす」

 司会の魔法使いは杖を高く掲げ、銀の星が螺旋を掻きながら新たな夫婦を取り巻く。予定通りにフレッドとジョージは音頭を上げ、皆一斉に拍手した。

 風船が割れ、華やかな祝福の後は司会の魔法使いにより身体がテントの外へと舞い上げられる。地上に戻った時はダンスフロアと白いテーブルクロスが用意されていた。

 全員が優雅に戻った時には、バンドマン達が舞台へ上がり、銀の盆を掲げたウェイターも現れ、歓談の時間を教えた。

 ビルとフラーに祝いを述べようと人々は群がり、姿も見えない。

「よおし、こんな時こそ売り込めるってもんだ」

「ああ、そうだな」

 意気揚々と魔女狙いで行くフレッドに合わせて返事し、ジョージはコンラッドを探す。彼は入口に立ち、まるで見張りのように敷地の外を眺めていた。

「帰ったのかと思いました」

「……君に挨拶してから、行こうと思ったんだよ。素敵な式だったね……」

 ポケットに手を入れたコンラッドの笑みは機械的だが、気力も感じない。

「お母さんとの式はどうでした?」

「やっていないよ……。祈沙にしてみれば……いきなり夫と子が出来たようなものだね」

 『ホムンクルス』の話は知っているが、夫婦の成り立ちはまだ聞けていない。このコンラッドの妻であり、クローディアの母親、彼女の心境も気がかりだ。

「お母さんはお元気ですか?」

「祈沙は私以上に強い心を持って、役割に徹している。不安がないわけではない……だが、一緒にいればいいというわけじゃない」

 強い心。抽象的な言い回しだが、信頼を感じる。

「さようなら、ジョージ。……いや……違うか……またね」

 躊躇うように差し出された手。今日の参加はジョージに今生の別れを告げる為だったのだろう。その気が変わったのだ。

「ええ、また……お父さん」

 ジョージの握り返した手を見つめてから、コンラッドは敷地の外へと出た瞬間、文字通り消え去った。

 名残惜しい気持ちで振り返れば、リーマスがこちらを窺うように立つ。気配もなく、立たれて驚いた。

「コンラッドは行ってしまったのか?」

「行ったよ、話したかった?」

 少し意地悪に聞けば、リーマスは親指で賑やかなテーブルを指す。ウォーリーがミュリエルに絡まれていた。

「コンラッドはあのご婦人と知り合いだっただろう? ウォーリーを助けて貰いたかったんだが……」

 リーマスが言い終えるより先にジョージは慌てて、駆け寄った。

「……勿体なかった……きっと良い癒者になれただろうにぇ」

「ウォーリー! 俺と踊ろうぜ」

 祝の空気に乗った振りをし、ジョージはウォーリーの手を取って立たせる。ミュリルは興味を無くしたらしく、引きとめもしなかった。

 ダンスフロアで踊る人々に混ざり、ジョージはウォーリーと向かい合う。彼女は血の気の引いた顔をして考え込んでいた。

「ミュリエルに言われた事は気にするなよ」

「……いや、気にする。……ビルとフラーは間違いなく幸せな夫婦だ。きっと、ミュリエルはそう言いたかったと思う」

 感慨深く息を吐き、ウォーリーの顔に赤みが差す。ジョージの手を握り直しながら笑い、周囲の動きに合わせて踊り出した。

「エスコートは任せる。踊りは慣れていないんだ」

 一曲分踊りつくし、気分良く疲れたウォーリーは飲み物を求めてジョージから離れる。

「少し良いですか?」

 スタニスラフは丁寧な口調に怒りを含め、視線でラブグッド親子を示す。ルーナは先程、ウォーリーにしがみ付いていた時とは違い、愉快な動きで踊りに加わっていた。

「あのゼノフィリス=ラブグッドは闇の魔法使いの信奉者ですか?」

 唐突過ぎる質問にジョージは面を食らう。決して冗談の類ではないと雰囲気でわかる。

「話した事はないけど、絶対に違う。どうしてそう思うんだ?」

「……奴が堂々と胸に翳している……印です」

 見るのも不快そうにスタニスラフはゼノフィリスの奇妙な印を教える。勿体ぶった言い方だが、ジョージは追及せずに待った。

「あれはグリンデルバルドの印です。『例のあの人』の『闇の印』と同じ……。最初はダームストラング校の壁に彼が勝手に彫った事から始まり、同調した者が服や本にも印を刻み、装飾品にして身につけました。グリンデルバルドが敗れ、残党狩りが始まるまでそれは続きました」

 合い間に深呼吸し、スタニスラフは爆発しそうな感情を抑え込む。いつも笑顔で感情が読めない男だったが、身内の仇を見つけた復讐者のように剣呑さを露にしている。

 ジョージは思う。目の前の彼は自分である。愛する人の仇を討ちたい自分の姿そのものだ。

「……ラブグッドは変わり者の魔法使いとして有名なんだ。きっと、印の意味もわからず付けている」

「ええ、バーニーもそう言いました。……なんとかの角の断面図がどうとか……」

 ハリーと同じ反応をしたらしく、そんなジョージにスタニスラフはガッカリした溜息を吐いた。

「……けど、印に我慢できないって言うなら、外して貰うように頼んでくるぜ」

 今度はスタニスラフが驚いて目を丸くした。

「……いいえ、そこまでは及びません。少し神経質になりすぎたようです。……そうですね、あの男の脅威はもうない。意味を知らずに印を付ける人がこれからも増えて行くんですよね」

 一度、ゼノフィリスは振り返ってからスタニスラフは憑き物が落ちたように笑った。

「ありがとう、ジョージ。それとお兄さんの結婚おめでとう」

「ありがとう、スタニスラフ。楽しんで行ってくれ」

 スタニスラフは異様に目つきの鋭いビクトールの傍へ行き、二三言葉を交わす。彼は納得できない表情だが、それでも困ったように笑う。相棒に引っ張られながら、ヴィーラの従姉妹達とお喋りし出した。

 どうやら、彼らはグリンデルバルドの印に気を取られ、この場を楽しめていなかった様子だ。

「やっとウェイターを捕まえた。人に酔うなあ……煙草臭い人も多いし……ほら、ジョージの分」

「ありがとう」

 カボチャジュースをふたつ持ってきたウォーリーから、グラスを受け取った。

 瞬間、銀色の輝きが天蓋を突き破って現れる。オオヤマネコの形をしたそれは守護霊だ。

 決して式の催しではない。危機を感じて音楽さえも止まり、場は静寂に包まれる。テントの外にいた人々も何事かと覗き込んだ。

「魔法省は陥落した。スクリムジョールは死んだ。連中がそっちへ向かっている」

 キングズリーの声を発し、守護霊は消えた。

「ウォーリー、行って! 行かなきゃ!」

 切羽詰った声でルーナが叫ぶ。次の瞬間、ゼノフィリスは娘を抱き抱えて『姿くらまし』した。

「……護りが消えている!」

 ウォーリーが呻き、事態を把握して悲鳴が起こる。何重にも施したはずの保護呪文が破られたのは、それ以上の魔法にして権限が働いている為だ。

 おそらく、全ての魔法使いの家への侵入を許可するという魔法省の権限だ。

 我先に『姿くらまし』する者とシリウスやリーマス達のように杖を掲げて防御態勢に入る者と別れた。

 ジョージとフレッドも杖を取る。振り返った時、ウォーリー、ハーマイオニー、ロン、ハリーの4人は互いに抱きしめ合って『姿くらまし』した。

 無作法に乱入してきた『死喰い人』は誰一人として逃がさぬ勢いで魔法を仕掛け、光線が飛び出す。

「やめて! 息子の結婚式よ!?」

 様々な感情で震えたモリーも杖を振い、応戦する。椅子やテントを破壊され、招待客も『失神の呪文』で気絶させられ、祝福されていた会場は阿鼻叫喚の嵐に見舞われた。

「おい、こら! 乱暴するな!」

 ビルとフラーの盾として立ちはだかるハグリッドに対し、何人もの『死喰い人』が一斉にかかる。

「おやめなさい!」

 最後に『姿現わし』してきたのは、ジュリア。彼女の一喝で『死喰い人』は攻撃をやめるが、杖は下ろさない。高圧的な態度で面々を見渡す。ジョージを一瞥したがすぐに逸らした。

「これはどういう事だ。人の家に勝手に入ってきて、お客様達にまで乱暴を働くなど!」

 アーサーは家長として抗議する。たった今、魔法省が陥落した事実を知らぬ振りをする為に大げさな態度で憤慨した。

「貴方の上司、スクリムジョールは不敬な輩により死んだ。これを嘆かれたパイアス=シックネスは全ての魔法族の家を調査せよと命じられた。不穏分子を徹底的に洗い出す事を望んでおられる」

 本当に魔法省が陥落した事実を突き付けられ、騒然となる。

「だからといって、魔法省とは関係のない君にそんな権限を与えるなんて……!」

「それだけ魔法省は混乱している。外部の私に頼る程にね。さあ、大人しく調査されなさいな」

 ジュリアはアーサーを物ともせず、手振りで『死喰い人』達に命じる。彼は家宅捜索へと乗り込んだ。

「ジュリア、今日はビルの結婚式なのよ! 酷い事しないで頂戴。それにロンが酷い病気にかかって寝込んでいるの。騒がれたら、体に障るわ」

「……ああ、通りで……。婚約は聞いていたけど、今日とは知らなかったわ。けど、例外は認めないわ。何もなければ、すぐに引き上げてあげる。元気が取り柄のロンが病気? これは見舞いに行かなきゃね」

 皮肉っぽく口元を曲げ、ジュリアはモリーをあしらう。フレッドが我慢の限界だと前に出ようとするのをジョージは必死に止めた。

 ジュリアは手を出さないが、護衛のように傍にいる取り巻き共は攻撃の理由を求めている。

「その声……ルクレース=アロンダイトかぇ?」

 呑気な声が聞こえ、全員の目がそちらへ集中する。騒ぎの中でも椅子から立たず、カクテルを飲むミュリエルが誰よりも逞しく見えた。

「なんだ別人かぇ。似てもないのにその喋り方、ルクレースの婆かと思ったぇ」

 まだ二十歳前の若いジュリアは婆に間違えられ、屈辱に顔を歪める。ミュリエルより年配など想像できない。

「私はベンジャミン=アロンダイトの孫よ。ルクレースなんて知らないわ」

「……ベンジャミン=アロンダイト! やっぱり、ルクレースの身内じゃないかぇ……スクイブの坊主が見たら嘆くじゃろうぇ。自分の孫が大嫌いな婆に似ちまうなんてねぇ」

 場の空気を理解できないはずはないが、ミュリエルは勝手に残念がる。話の内容から、ルクレースはベンジャミンの祖母。成程、ジュリアの身内だ。

「ベンジャミンをそんな言葉で呼ばないで!」

 ジュリアの関心は『スクイブ』という単語だけ、自身も「もどき」故に過剰に反応した。

「自分に都合の悪い事には耳を傾けない……益々、あの婆に似とるねぇ」

 いつも人の神経を逆撫でする発言ばかりだが、今のミュリエルは完全にジュリアを軽蔑している。言葉による攻撃を受け、彼女は怒りに震えて拳を握り締めた。

「どうやら、特別に尋問して欲しいのね」

 感情のままに命令し、暇そうに立っていた『死喰い人』は動き出す。ミュリエルの前にジョージは立った。

「俺達の大叔母だ! 手を出すな!」

「人の迷惑も考えない奴なんて、血族にも値しないわ!」

 問答無用とジュリア自身も杖を構え、一気に場は緊張する。この間にも家の中では捜索の音が響いた。

「ここは祝いの場だ。これ以上の侮辱はすべきではない」

 ビクトールがジョージの前に立ち、強い口調で威圧する。有名選手であり、彼自身の眼光に『死喰い人』は始めて躊躇いを見せる。床に倒れていたスタニスラフも相棒の傍に立ち、ハグリッドもミュリエルを隠すように立ち塞がった。

 シリウスやリーマス達を含めた騎士団員だけでなく、フラーの従姉妹達も杖を構えたままだ。

 家宅捜索を終えた『死喰い人』が戻り、ジュリアに耳打ちする。手振りで了解し、わざとらしく肩を竦めた。

「何も出なかったようよ、結婚に免じて今日のところは帰ってあげる。でも、これからは好き勝手出来ると思わないでね」

 腹の底から笑い、ジュリアは取り巻きの『付き添い姿くらまし』で消え去った。

 残されたのは、踏み荒らされた式場。

 今日の為に時間と労力と資金をかけ、作り上げた皆の努力は泡と消える。暗くなった空が皆の心情を表していた。

「なんだい、散らかすだけ散らかしてぇ。後始末を押し付けるところもそっくりだぇ」

 言い捨てたミュリエルは杖を振い、近くの椅子を綺麗な状態へ直し出す。アーサーとムッシュ・デラクールは視線を合わせ、残ってくれている人へ怪我などの状態を確認した。

 モリーは惨状に一瞬だけ呆けたが、アポリーヌに肩を叩かれて我に返る。無事な料理をフラーとジニーが直してくれたテーブルへと置いて行った。

「トンクス、ご両親の元へ帰っていてくれ。私はもう少しだけ、ここにいる」

 言われたトンクスはリーマスの身を案じたが、自分の両親を心配して承諾した。

「そういえば、ドージの姿が見えないが何処行った?」

 ハグリッドとテントを直すシリウスの問いに、誰も答えなかった。

 その後、会場は簡単ではあるがある程度の手直しは出来たが、リーマスはすぐに帰ってしまう。他の人々も我が家の状態を確認せんと去っていくのを止められなかった。

「すまん、私もクリーチャーの安全を確認してくる。場合によっては逃げるように命じなければ……」

 騎士団の本部であるグリモールド・プレイスの屋敷は『忠誠の術』により、魔法省の権限からも護られる。『秘密の守人』もここにはいないトトだ。

 だが、クリーチャー本人が安全とは限らない。何らかの方法で屋敷から出てしまい、囚われている可能性もあるのだ。

「あの子達に会ったら、こっちに連絡を寄越さないように行ってくれ」

 シリウスは承知して帰った。

 ヴィーラの従姉妹、ビクトールとスタニスラフ、そしてミュリエルは最後まで残ってくれた。

「ジョージ、さっきの娘もビアンカの曾孫だぇ。あの娘を選ばんかっただけでも、おまえを見直す価値はあるねぇ。ありゃ、夫を立てる妻にはならんぞぇ」

 ミュリエルが帰る寸前に捕まったジョージは念押しされる。相当、ジュリアは嫌われた様子だ。庇う気もないし、同情もしない。

 見送りが終わり、家には家族だけになる。幸せな雰囲気から一転、絶望に感覚が麻痺して皆、黙りこむ。

「好き勝手出来ると思うなって事は……監視されて筒抜けってことか?」

「そうだろうな」

 フレッドの呟きにジョージは反射的に答えた。

 

 後日、ムーディ以外の騎士員から連絡が取れた。

 家宅捜索の果てに長時間による拷問を受けたという。トンクスの両親でさえ、『磔の呪文』をかけられた。自宅を不在にして者は拷問を免れても、家を焼かれた。

 ジュリアの言う調査を受けた家は『不死鳥の騎士団』の関係者だけだ。

 式は滅茶苦茶にされたが、その場にいた誰も拷問は受けなかった。ジュリアが自分の権限から出来る限り配慮してくれたのだろう。

 ハリーの言うようにジュリアは目を覚ましてくれる。あくまでもジョージの希望的観測に過ぎないが、信じたかった。

 




閲覧ありがとうございます。

ジョージの耳はちょっと欠けた程度まで生えました。

原作ではパーシーは手紙のひとつも寄こしていません。
式場に残っていた人も長時間かけて、拷問されたそうです。クラムは印の事でゼノさんに怒鳴り散らした後、会場を去っています。彼が残っていれば、拷問はされなかったかもしれませんね。

映画で見たかったな、宙をひっくり返る様子。
マダム・マクシームがいたときは嬉しかったですね。
そういえば、ドージはさっさと逃げてましたけど、騎士団ですよね?

このシーンを書く上で原作を何度も読み返し、時間の経過にびっくり。
午後3時に来客を待ち、襲われて逃げた時はハリーが「深夜」と呼ぶ時間帯。皆さん、長い時間、式を楽しんでましたね(@■@)

●ミュリエル=プルウェット
 107歳を公言するモリーの大叔母。1881年生まれのダンブルドアやドージと対等のような態度を取っていることから、多分、同世代。自分の年齢を間違えているか、呆けている。語尾が「ぇ」。映画の女優さんは良い演技していた。

●ビアンカ=アロンダイト
 穴埋めオリキャラ、ベンジャミンの母親。クローディアが入学する一年前に亡くなった。ミュリエルから良くされたというより、姑のルクレースといがみ合う関係だった為に極力、優しく接した。ビアンカからすれば、どちらも口うるさい婆だった。

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