はーとふる☆ぷりずむすとーりー   作:ぺちぺち

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 第7話です。
 GWがあったお陰でなんとか書き上げる事が出来ました。
 感想と評価の力って凄い、改めてそう思った。

 信じられるか?二巻の話なのに原作二巻の二割くらいしか絡まずに終わったんだぜ?
 女風呂回とかいう男子禁制話が憎い……。


第7話:彼女が受け入れられた日

--(1)

 

 イリヤが増殖したと思ってビビったが違うらしい。

 ちょっと黒い方はクロエって名前で従妹だとか、愛称はクロ。

 つまり単細胞生物ではないと。

 生物進化がトチ狂ったワケではないと。

 ホラー的なアレではないと。

 よかったー^^

 

 安心してたらイリヤが逃走してクロエも消えた。

 消えるって何だよ。

 透明マントかな?

 光学迷彩の可能性もアリ。

 或いは今まで見えていたのは全て幻影で実体の存在しない霊的な何かだったり……。

 

 

 ホラーじゃないですか(憤怒)

 

 

 

 

 

 

--(2)

 

 放課後になったので赤馬君達と一緒にレオ・コーポレーションに遊びに…じゃなくて実験の手伝いに向かう。

 話を聞くとバイト代も出るとか。

 最高だな。

 最新技術+遊び(実験)+バイト代という黄金コンボ、しかもゲームデバッカーみたくバグを捜すワケじゃ無くてただ遊んでいればいいという破格の待遇。

 イリヤから一緒にルヴィアさんの元に行くよう誘われたが余裕でキャンセルですよ。

 行く理由とか無いし。

 そもそも赤馬君とは約束してたし。

 

 そんな訳でソリッドビジョンシステム(試作)を運用するべくデュエルコートへのりこめー^^

 始めて体験したけどソリッドビジョンってマジで凄い。

 ブラック・マジシャンはイケメン!

 BMGは可愛い!

 スターダストは綺麗!

 ジャンク・ウォリアーは浪漫!

 ダーク・ロウはダークヒーロー!

 ネフィリム様は超デカイ!

 四征竜は圧倒的威圧感!

 ダークマターはラスボスの風格!

 

 

 サイコ・ショッカーさんの怖さが異常でチビりかけたんですけど(半ギレ)

 お化け屋敷に配置したら死人が出そうなレベルで怖かった。

 

 

 因みに一回だけ桐ヶ谷君とデュエルしたけど《増殖するG》を使ったら余りのキモさに二人揃って吐いた。

 もうゲロッゲロ。

 アレはヤバイ。

 一匹一匹を忠実に再現とかしなくていいです。

 サイコ・ショッカーさんが霞むレベルの恐ろしさだった。

 開発班が全力過ぎててヤバイ、もうちょっとマイルドに作って欲しかった。

 プレイヤーのSAN値を削る事に命でも掛けてるんじゃなかろうか……。

 

 「俺は手札から《飛翔するG》の効果を発動!」

 

 「桐ヶ谷ァァああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!」

 

 うわあああああああGが、Gが俺のフィールドに飛んで来て……あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!?

 

 

 

 神の力が無ければ即死だった(警告)

 取り敢えず桐ヶ谷君は無敵のライトニングで殴り倒しますか(ガチギレ)

 

 

 

 

 

 

--(3)

 

 桐ヶ谷君に怒りのライトニングスラッシュを叩き込んだ所で今日の体験会…じゃなくて起動実験は終了した。

 ホープ剣?何そのダサいネーミング。

 技名に関してはどうでもいいがソリッドビジョンはこの先回数を重ねて実験を繰り返し、ある程度の安定域を確保出来たら実用化に乗り出すらしい。

 完成した暁にはデモンストレーションとして市と提携して冬木一帯を利用した大規模なデュエル祭りを開催する計画もあるとか。

 それなんてバトルシティ?

 

 胸熱なんだけど一企業のデモンストレーションに街一つ使うってどうなのよ。

 しかもやってる事はカードゲーム。

 ……想像してみよう。

 

 公道だろうと関係なく繰り広げられるカードゲーム。

 出現するモンスター。

 鳴り響く騒音。

 ソレを眺める一般人。

 

 「通行人はどいてた方がいいぜ! 今日この街は戦場と化すんだからよ!」

 

 そして粋がるデュエリスト。

 

 

 

 

 

 迷惑ってレベルじゃなくてやーんなっちゃう^q^

 

 

 

 

 

 

--(4)

 

 家に帰るとイリヤ…じゃなくてがクロがソファでゴロゴロしていた。

 「何不法侵入かましてんだオラァ」と寛いでいるバカに帰り道で買った果物ゼリーを投げつけるが「いただきまーす」とか言いながら難無くキャッチして食べ始めるあたり運動神経はそれなりに良いらしい。

 

 それにしても本当に似ている、屋上でイリヤと居た所を見たお陰で肌や髪の微妙な色合いで差別化出来る様になったがそれでも見間違えそうになる。

 親戚とか絶対嘘だろ、双子どことか生き写しレベルじゃないですか。

 

 アハハーと笑いながら言うと「生き写し…まぁ間違ってないかな」とかのたまい出した。

 

 

 えっ^q^

 

 

 前に時計塔ツインズがイリヤと美遊を掻っ攫って行った先で龍脈がバーン、イリヤがドーンで魔力が云々、そこからなんやかんやあってアーチャーのクラスカードを核にクロが産まれたらしい。

 

 まさかの嘘から出た実である、嘘じゃなくてジョークだけど。

 というか言ってる事が意味不明すぎる。

 わかるわけがない。

 なぁにそれぇって思っていると私の聖杯としての力がどうこうとか言い始めた。

 

 聖杯ってなんやねん……。

 いきなりそんな新ワードを出されても困る、今までの話で魔術案件っていうのはわかりましたけども。

 面倒事は勘弁して欲しいんですけど……、とゲンナリしていたら別に面倒事を起こすつもりも誰かを傷つけるつもりもないと言われた。

 普通の日常を謳歌してみたいだけとか。

 

 

 じゃあどうでもいいっすね。

 折角産まれたんだから自由に自分のやりたい事をやれば良いと思うよ。

 

 パパッと結論を出して伝えると逆に困惑された……否定されたかったんだろうか。

 この場合俺が否定する=ぶっ殺 or 消えてなくなれェ!的な意味に通じてしまうんですがそれは……成程、これがドMってヤツか。

 ちょっと拗らせすぎじゃないですかね、流石の俺もドン引きっすよ。

 

 

 全力で偏見を使用していたらクロがおこモードに突入した。

 からかったのは悪かったが余裕そうに見えて直ぐ感情的になる辺り内心ではあまり余裕が無いのかもしれない、不安か焦りか、或いは何故自分が産まれる事が出来たのかも理解出来ていない事から生ずる無意識化からの恐怖心か。

 何にせよコイツの心理状態がかなり不安定である事は確信出来た。

 

 で、取り敢えず宥めながら話を聞くと何故こうも簡単に受け入れる事が出来るのかという話らしい。

 俺達は一ヶ月前まで同様にカードを核にし、全身が魔力で構成された黒化英霊と戦っていた、俺も何度も死に掛けた。

 その存在と同じ体に同じ力。

 それどころか知性を持ち、尚且つ鏡面界という領域に縛られる事無く行動する存在。

 姿形がイリヤと似通っているとはいえ内面は赤の他人どころか敵対するソレと同質の存在、危険度で言えば更にソレ以上。

 事情を知っている以前までと違い、事情を知った後にも関わらず何故そう簡単に受け入れる事が出来るのか、この部分で困惑しているようだ。

 

 

 まぁ言っている事も一理ある、確かに黒化英霊は脅威だったしクロの力が連中と同質であるという事も理解している。

 しかしクロの在り方は黒化英霊とはまるで違う、龍脈を狂わせるワケでも無ければ視界に入った相手を刹那的な判断で殲滅しに掛かる様な物騒なモノでもない。

 黒化英霊とは違って理性や知性といった部分が存在し、それが現代日本の一般的な価値観を持っているのであれば脅威性は一気に薄れると思う、この辺りは完全に俺の尺度だが。

 それにさっき『面倒事を起こすつもりも誰かを傷つけるつもりもない』って言ったじゃん、無害アピールされて尚食って掛かるつもりはないです。

 

 

 というか数日間一緒に過ごした間一度だって敵意も悪意も見せなかった相手に今更警戒心を抱けとか無理っす(極論)

 そもそもシリアスに考えるのが面倒臭い。

 ほのぼので行こうよ、もしくはギャグ時空。

 日常を謳歌したいんならそれくらい余裕っしょ。

 

 言いながらPS4を起動しPSstoreでセール販売していたBloodborneことブラボを開始。

 ブボーンとかいうクッソ格好悪いって略し方するヤツは極刑な。

 

 

 

 

 

 

--(5)

 

 翌週、宣言通りクロが転校して来た。

 ついでにタイガーがキモい。

 担任教師が自分の担当クラスに編入して来た女児に乙女顔で熱い視線を送るという地獄絵図。

 ヤバイっすね。

 

 何にせよ今日は体育の授業があるのだが怠いので木陰でゴロ寝して時間を潰す。

 いつもなら溌剌とした気持ちで体を動かしているが昨晩桐ケ谷君と上条君そして遊星の四人で夜通しACVDでマルチをしていた身としては些か辛いものがあるのだ、精神年齢が加速していても肉体年齢は小童ですし。

 

 日差しの温もりと風の心地よさに微睡んでいたが桂に起こされてしまった。

 もう少しで眠れそうだったというのに酷いヤツだ、一体何の用だというのか……話を聞くとドッジボール中にイリヤとクロが卒倒したそうだ。

 貧血かと思ったがイリヤの方はボールが顔面にダイレクトアタックして倒れたとか、という事は貧血なのはクロだけか。

 要するに桂は保健室まで様子を見て来いと言いたいらしい、完全に保護者扱いで笑う。

 まぁ笑いは笑いでも出てくる笑いは苦笑いなんですけどね。

 ……なんか『笑い』を使い過ぎた気がする、ゲシュタったら泣く。

 

 大丈夫だと思うがちょい心配なので保健室まで行くとクロの方は既に復活しており白髪保険医と会話していた。

 ……何で倒れてから10分もしない間に動こうとしてるんですかねこの戯けは。

 後ろから強襲し、「病人は寝とけやオラァ」と開いたベッドに投げ入れる、更に流れる様にして予め水にに浸けておいたタオルをクロの額に置く。

 「健康体は出て行け」とか抜かしてやがる白髪は無視だ、相手をしてもこっちのメンタルが磨り減るだけだし。

 クロもクロで倒れて直ぐに動くとか論外にも程がある、既に回復していようが全身が魔力体だろうが病人は安静にして置く事が常なのだ、最低あと一時間は寝ていて貰う。

 

 

 「イリヤちゃん目を覚まして―――!! ホラ、お兄ちゃんも連れtモゲェアッッ!!!?」

 

 空気を読まない虎の顔面にスーパー魔力パーンチ。

 魔力の乗った右ストレートはパァン!という強烈な打撃音と共に捉えたタイガーを5メートル程吹き飛ばした後に泡を吹かせて沈黙しさせた。

 士郎さんを連れて来るとかいうクロが居る現状ではクッソ面倒になる事をしでかした時点で有罪確定である、そこで寝てろ。

 そして一連の流れに脳が追いついていないのか、呆然と立ち尽くしている士郎さんを横目に転がっていた空き缶を拾う。

 そして笑顔で告げる。

 

 「教室に戻りますか? 家に帰りますか? そ・れ・と・も……」

 

 

 

 

 

 

 「アレ(藤村)と同じになりますか?」

 

 

 

 

 

 

 言葉と共に空き缶を引き千切った。

 

 

 

 

 

 俺の真摯な説得が功を成したのか士郎さんはとても素直に教室へ戻ってくれた。

 対話完了である。

 話し合いは何事にも替え難い人類の叡智だと痛感できるね。

 哀愁を漂う士郎さんの背中を見ながらそう思った。

 

 タイガー?アレは獣だから人類の叡智は適用外っす。

 獣狩るべし慈悲は無い(ヤーナム脳)

 

 

 

 

 

 

--(6)

 

 イリヤがエマージェンシーコールを飛ばして来たので何事かと思ったら給湯器が破損してた。

 新技開発してたら手元が狂って誤爆したそうな。

 何してんのお前。

 家の裏でするとか家族バレの可能性もあるのに何してんのお前。

 

 復元の魔術で直して欲しいとの事だが俺が復元出来るのは自分の肉体だけですよーと死刑宣告。

 そして士郎さんをウチの風呂に入れて女性陣はエーデルフェルト邸の風呂を借りればいいのではという救済措置を提案。

 正に落として上げるモードである。

 

 続けて給湯器の損壊に関しては家族が気付くまで知らない振りを決め込む事、そしてもし提案が却下された場合も絶対に余計な事を言わずにセラさん達の言う事に従う事を念入りに言い付けておく。

 イリヤは嘘が下手だからね、余計な事は言わないに限る。

 

 もし仮に口を滑らせて魔術バレでもしそうなものならルビーに記憶操作でもして貰え。

 IQが減る可能性がある?

 家族バレするよりか万倍マシだと思うんですよ。

 

 

 

 

 

 

--(7)

 

 給湯器損壊案件はイリヤの誤魔化しが成功したらしく士郎さんが風呂を借りに来たのを快諾するだけで解決した。

 まぁ予定調和ですね。

 

 で、士郎さんが帰って数分後にクロが俺の自室に侵入していた。

 これは予定外ですね。

 

 この前といい今回といいどこから入って来てんだコイツ(真顔)

 ……ま、どうでもいいか。

 今まで害が無かったんだから今回も害は無いだろうし。

 

 用を聞くが今夜一晩泊めて欲しいだけらしい……うん、知ってた。

 まぁこんな時間に来る辺りそれくらいしか用は無いよね。

 謹んで了承すると同時に二人分のホットココアを作り、一緒に飲む。

 クロは自分の分も用意されていた事に何故か驚いていた……俺ってそんなに利己的に見えるのかしらん。

 少しだけ悲しいぞフォルア。

 

 「あーいや、そういうんじゃなくて……アナタはちゃんと私を見てくれるんだなって……」

 

 そりゃ目の前にクロが居たらクロを認識する事は簡単っすよ。

 え、意味が全然違う?

 じゃあわかんね^q^

 

 

 

 

 

 

--(8)

 

 翌朝起きるとクロはいなくなっており、学校にも来なかった。

 まぁ前に泊めた時も寝てる間にいなくなっていたし今回も暫くしたら出て来るでしょ。

 そうこう考えながら放課後を迎えると今日は部活がなかったのか士郎さんが一緒に帰ろうと言って来た……そういえば二人だけで一緒に帰るのも随分久し振りな気がする。

 勿論了承した。

 

 

 帰り道の話題は殆どアインツ家における士郎さんの愚痴で終わった、やはり女性複数に対して男一人と言うのは随分と堪えるらしい。

 大変だなーと思うが思うだけってのもなんかなー……俺もそろそろアインツ家に帰りましょうか?(提案)

 前にもセラさんから子供一人は心配だからまたこっちに住まないかって誘われましたし。

 

 士郎さんからまるで救世主を見るかのような目で見られた。

 ははは、苦しゅうない苦しゅうない。

 

 アインツ家に到着次第「今日からまた暫くお世話になります」という事をセラさんとリズさんにお願いし、夜まで士郎さんと遊んでいると凄い久しぶりにアイリさんが帰って来た……イリヤとクロを引き連れて。

 ……ヤバくね?

 

 「家族バレしてるじゃないですかー」と戦慄しているとイリヤからクロ関係の事と魔術関係の事が全バレした事をコソッと伝えられた。

 ………つまり鏡面界騒動についても全バレした可能性も高い………?

 

 嘘だと言ってよバーニィ(迫真)

 

 

 

 ……でもまぁ、特に波乱も無くクロも受け入れられてるし……一応ハッピーエンドチックなら良いか。

 

 "家族"と触れ合っているクロを見ながらそう思った。

 

 

 

 

 

 




 宜しければ感想や評価、誤字報告下さい。リクエストやシナリオ内の疑問なども歓迎です。
 ……………感想下さい。


●ソリッドビジョンシステム
 大脳の記憶領域になんとかかんとかしているシステムな為、システムとしては劇場版遊戯王に登場したパワービジョンに近い。
 その為凄まじくリアルであるがその分ホラー系のカードは本当に怖い、モノによっては失神するレベルのカードも存在する程リアル。






●《増殖するG》《飛翔するG》
 ソリッドビジョン中に使用するとプレイヤーも相手プレイヤーも盛大にダメージを受ける手札誘発。
 精神攻撃は基本を体現したある意味最強のカード、ソリッドビジョン中では安易に使用してはいけない(戒め)。






●怒りのライトニングスラッシュ
 ホープ剣スラッシュことホーケースラッシュなんて無かった。






●クロの発言の意味
 「あーいや、そういう…(略)…見てくれるんだなって……」の部分。
 クロの正体を知りながら警戒も否定もせず、唯一彼女の存在を肯定的に受け入れ続けた事に対する彼女なりの主人公への賛辞。
 主人公からすれば平常運転にも程があるので伝わる筈が無かった。






●嘘だと言ってよバーニィ
 バーニィって誰だよ。






●"家族"と触れ合っているクロ
 誰がどう見てもハッピーエンド。






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