はーとふる☆ぷりずむすとーりー   作:ぺちぺち

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 第4話です。
 後半は超真面目戦闘になるので苦手な方はブラウザバック推奨です。
 無理に閲覧された場合は頭痛や吐き気、ひどい場合は血便や吐血が起こり最悪死に至る場合がございます。
 ご注意下さい。

 ……シリアス戦闘って疲れる…。


第4話:vs フード & 金髪

--(1)

 

 夜になったので先日と同様冬木市内にある河川敷に集まる。

 今回は前回とは違い、行き当たりばったりのゴリ押しではなく役割を分担して行動するようだ。

 

 ・イリヤ:陽動と攪乱担当。

 ・美遊:本命の攻撃担当。

 ・俺:地上で反射平面の破壊と的担当。

 

 ……。

 ………ホワッツ?

 

 「間違ってもアンタは上がらないでよ、的なんだから」

 

 ……………ホワッツ?

 

 

 

 

 

 

--(2)

 

 かぁーっ!つれーわー!イリヤ達が反射平面越えてから全砲門が向いて来てマジつれーわー!かぁーっ!

 もう逃げ回るしかねーわー!しかも術式破壊して回ってるのに砲撃の密度がまったく変わってくれねーわー!かぁーっ!

 

 つらい。

 本当につらい。

 俺の事なんざ無視してイリヤ達とのドンパチに集中すればいいのに。

 アレか、さり気無く砲撃術式ごと反射平面ぶち抜いて嫌がらせしてるからか、そこんトコは指示なんだから大目に見てよ。

 スライム並みにぷるぷるしてチワワ的雰囲気を醸し出す。

 俺の熱い無害アピールをフードは……まるで気に留めていない。

 マジつれーわー!かぁーっ!

 

 弾幕シューティングの第二面が開幕した。

 マジでさっさと沈んでくれませんかね。

 

 

 

 

 

 

--(3)

 

 降りかかる魔弾の雨から只管逃げ回っていると美遊が叩き落とされた。

 お前は沈んじゃいかんでしょ…。

 で、地面に叩き落とされた美遊が「ろっくおん☆」と言わんばかりにレーザーポインターっぽいので"ピー"ってされた。

 しかも足を負傷してるから満足に動けないっぽい。

 …あー、これ頑張らなきゃいけないヤツだ。

 

 降りかかる魔弾を弾きつつ超スピードで美遊を回収し、勢いを殺さ無いままイリヤに向けて投擲。

 繋ぐ形で魔弾を放ち、意識を逸らさせた上で俺も空に上がる。

 ポジションの維持?

 役割分担?

 もう色々と破綻してるんだから許せ。

 

 イリヤ達に回復するよう伝え、反射平面を越えると同時に魔弾を展開。

 さぁ見るも懐かしい魔弾戦争の始まりだ!

 

 ……最近の根気が無いラノベ主人公は女子を守る為にトラウマを掘り返す俺を崇め奉るがいいよ。

 はぁ、つっら。

 

 

 

 

 

 

--(4)

 

 魔弾がびゅーん!障壁がパリーン!フードが転移!

 もっかいびゅーん!障壁がパリーン!フードが転移!

 

 ……転移ウザ過ぎワロエナイ。

 どれくらいウザいかというと某水銀蛇レベルでウザい。

 「メルクリウス超うぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」って叫びたくなるくらいウザい。

 具体的にどんな状況なのかと言うと…。

 

 ・魔弾戦争では俺のが上 ←天下無双

 ・でもフードはガードが超硬い ←鉄の女

 ・ガードごと潰す ←火力万歳

 ・転移で躱される ←死ね

 ・頑張る ←褒めて

 ・でも逃げられる ←悲しい;ω;

 ・超頑張る ←褒めて

 ・無限ループする ←は?

 

 こんな感じ。

 火力でガードごとゴリ押ししても逃げられる。

 襲って来る魔弾ごと叩き落としても逃げられる。

 転移先を読んで先手を打っても逃げられる。

 うぜぇぞオラァと魔弾を乱射するがやっぱり逃げられる。

 で、逃げに逃げを重ねられた上で偶にフェイントで撃たれる魔弾にぶち当たる。

 もうどうしたらいいのかわかんないんですけど。

 なんだこのクソゲー(おこ)

 

 フード「プークスクスwww」

 

 I’m going to fucking kill you. (訳:ぶち殺す)

 

 

 

 

 

 

--(5)

 

 激おこモードで魔弾を乱射するが悲しい事に当たらない。

 なので俺がフラストレーションを溜めている間に美遊が立てた作戦でフードをボコす事にする。

 何が"なので"なのか接点はまるでないがそこは気にいない方向で。

 まずイリヤが反射平面を利用した散弾で逃げ場を潰しつつ一瞬の隙を作る。

 続けて動きが止まったフードを上空で待機していた美遊が狙撃し、地面に叩き付ける。

 

 締めに俺が殴る蹴るの暴行よ…!

 

 「我が胸に燃ゆる怒りを、力に変えてッ!」とボロボロのフードをぶん殴ったり膝を逆方向に圧し折ったり「関節技(サブミッション)こそ王者の技よ!」ってしてたらカード化して消え去った。

 やっぱ戦闘は筋肉なんやなって。

 

 カレイド組と合流し、カードを見せて喜びを分かち合う…肉体言語が苛烈過ぎたのか二人に若干引かれた。

 作戦立案したのお前等じゃんかよぉ!

 

 …爆発音?

 

 

 

 

 

 

--(6)

 

 爆発音の方向に振り向くと時計塔組が金髪の通り魔にぶっ殺されてた…あ、生きてた。

 いっそ死んでれば放り出してやるのに…(マギー並感)

 ……冗談だ。

 

 どの道足手まといだけどな!と心中で叫びつつ美遊と作戦会議である。

 美遊の提案は二つ。

 

 ①速攻で金髪を潰す。

 ②隙をついて時計塔組を回収して即撤退。

 

 作戦を行う前の前提として美遊の槍…ランサーのカードなら一撃で終わるらしいが展開可能時間が数秒なのに加えて一度使うと数時間は使えないらしい。

 そして他のカード、先日戦ったライダーは単体では意味をなさず、キャスターはいきなり使うには危険が大きく、アーチャーは役立たずの産廃だそうだ。

 つまり実質切り札になりうるクラスカードはランサーだけという事、一発勝負にも程がある。

 

 必然的に②で行くしか無いな、①は②の進行上可能なら美遊のカードでブッ刺すという事で。

 時計塔組が傍に居るせいで火力を出し切れないのが難点だがそう言っていられる状況でもないので撤退戦を開始。

 俺が近接、美遊が遠距離から同時攻撃を行い、金髪がこっちに気を取られている隙にイリヤが時計塔組を回収して即接界(ジャンプ)というシンプルな作戦だ。

 

 身体強化で地面を蹴り、加速した勢いで懐に飛び込みバイザーに殴りかかる…が、当然の様に剣の腹で受け止められた後はカウンターの容量で逆に斬りかかられてしまう。

 振るわれる剣戟を紙一重で回避し、距離をとりつつ小規模の魔弾を放つも先日のライダー同様金髪に届く前に霧散させられた。

 またお前か対魔力…。

 

 俺が金髪から離れたことにより、射線を確保した美遊がマシンガンの如く魔力弾を速射する、しかし美遊の魔力弾も金髪の周りを滞空している黒霧に阻まれてしまう。

 更に金髪が上空に剣を掲げて黒霧を収束させ…振り下ろすと同時に俺と美遊に向けて黒霧を射出してきた。

 攻防一体かよふっざけんな。

 

 あまりの速度に体勢を崩した状態ではまともに対応出来ず不格好にその場を転がって回避。

 が、転がった先で回り込む様にして距離を詰めてきた金髪に腹を蹴り上げられ木の幹に叩き付けられる。

 衝撃で肺にある空気を全て絞り出し、意識を飛ばしかけるが更に追い打ちと言わんばかりに首を締め上げられ、再度木の幹に押し込まれてしまう。

 挙句イリヤの行動を勘付れて黒霧を飛ばされ戦意喪失モードにされるオチですよ。

 

 

 まぁ、お陰で密着状態ながら俺から意識が逸れたんですけどね。

 

 

 

 

 

 

--(7)

 

 「隙ありィ!」と黒霧を飛ばし終えた直後の金髪の顎を殴り上げる事で拘束を解き、上を向いた顔面をバイザーごと地面に向けて殴りつける事で体勢を崩させ、勢いをそのままに腹部に向けて全力の蹴りを叩き込む。

 蹴りそのものは剣の腹で防がれたがそれでも十数メートルの距離を吹き飛ばす事に成功した。

 続けて吹き飛ぶ金髪に密着し、そのまま殴る蹴るの押収を繰り出す。

 

 拳で剣を相手にする場合、恐ろしいのはリーチと殺傷力だ。

 得物を使っている分攻撃を当てられる範囲が広く、また打撃と違い『斬る』という効果がある為一撃貰うだけでも即死に至る可能性がある。

 ただし、拳も同様に剣に勝る部分がある。

 まず剣はリーチが柄から刃先までという制限があり、ギリギリの密着状態では上手く機能し辛いという事。

 得物を主体として攻撃を行う為、四肢を主体にして戦う相手と比べて柔軟性に欠ける事。

 そして、咄嗟の行動を行う場合、得物を介している分動きが単調になり安いという事だ。

 

 だから俺は金髪から一歩も距離を離さない。

 完全な零距離、引けば斬られるなら引かなければ良いという愚直すぎる策。

 拳の連打を重ね、距離を詰めたまま魔弾を炸裂させ、自身諸共爆発に飲み込む強引な戦い方。

 対魔力の所為で魔弾によるダメージは期待出来ないが、副産物として産まれる振動や衝撃を活かした捨て身の戦術。

 

 滅茶苦茶が相手なら、自分も滅茶苦茶をすれば良い。

 まともにやって勝てない相手ならまともじゃない戦いをすれば良い。

 常識をブッチ切った青子さんと何度も戦って分かった事だ。

 自分ごと魔弾を爆破させる事で衝撃を生み出し、体勢を崩した金髪の顔面を更に殴打する。

 振るわれる剣を出血する事も厭わずに掴み、がら空きである胴部に膝を入れる。

 独立した攻撃性を持ち、全身から放出して鞭の様に襲い掛かる黒霧を魔弾の爆風で吹き飛ばし、隙が出来た金髪に更なる攻撃を加える。

 

 どうせ傷は復元の魔術で治せるのだ、今現在どれだけ血塗れになろうと知った事じゃない。

 ともすれば重要になるのは『どれだけのダメージを受けるか』よりも『どのような痛みを受けるか』になって来る。

 肉弾戦による打撃や魔弾・魔力砲による熱・魔力ダメージは青子さんとの修練で"慣れている"為多少の痛みなら耐えられる。

 対して斬撃等によって生み出される切り傷は日常的に起こる裂傷や修練で受けるダメージとは違い殆ど受けた事の無い未知の痛みだ。

 どんな反応を取り、その結果どのような隙を生み出してしまうか分からない。

 

 だからこそ、例え自分ごと爆破しようが魔力砲に飲み込もうがそのような事態だけは絶対に避けなければならない。

 危険が迫れば即爆破、攻撃を貰う疑いがあれば即爆破、攻撃が避けられそうになっても即爆破。

 受けるダメージは全て自爆によるダメージに留め、復元による治癒を施しつつ魔弾を展開し、更に爆破しながらも殴り続ける事を止めない。

 爆発による衝撃は術者である俺がある程度指向性をもって制御出来る為、金髪の行動を妨害しつつ俺にとって最も効率の良い爆発を見舞う事が出来る。

 

 ――――――そして何より。

 

 「―――接続(セット)直流数紋(ディレクト)、一層から二十層まで用意、魔力提供、鏡面界中心に固定、循環、射角、術式、全工程安定稼働(オールグリーン)

 

 魔術師、魔術使いを問わず魔術を扱う者の殆どは。

 

 「魔弾形式(ツアープラン)遠隔収束投射(リモート・スターマイン)、全階層展開、全術式、連結起動」

 

 一手の中に幾つもの策を巡らせているという事。

 

 「ッッ!?」

 

 爆風と暴力の嵐にさらされながらも、金髪はバイザー越しに見えたある一点を凝視する。

 それは今居る鏡面界の中心、正確にはその中空。

 その場所に、途轍もない速度で青く、巨大な魔力球が形成され、ソレが更に肥大化していく。

 凝縮された魔力、収束された力の渦は魔力が凝縮されているというだけでプラズマを形成し、大蛇の如くのた打ち回らせる。

 

 今更気付いた所でもう遅い。

 しかし気が付いてしまったが故に生まれた本能的な動揺は決定的な隙を生む。

 更にそんな隙を見逃すほど、俺も甘くなった覚えはない。

 動きを止めた甲冑の襟を掴み、剣を振るう腕を掴み、河川敷の中心、鏡面界の中央へと背負投の形で投げ飛ばす。

 

 「接続(セット)一点斉射(ワンポイント)―――全回路、全階層、最大回転」

 

 青白く輝く光球の真下まで投げられた金髪は早々に体勢を立て直そうとする。

 しかし継続して与え続けられ、蓄積されたダメージがそれを許さない。

 そして青い光球は立て直し切れない身を射線に捉えられたまま―――

 

 「遠隔収束投射(リモート・スターマイン)全魔力解放(フルバースト)――――!」

 

 蹂躙という言葉すら生温い莫大な魔力の奔流を撃ち放つ。

 砲身から撃ち出された力の渦は発射の際に飛散した余剰魔力だけでも近場の吊り橋を破壊する。

 術者から遠隔で放たれる常識を超えた魔力砲、そして如何に対魔力であろうと貫通しうる術式構造と魔力量。

 それは目の前にいる金髪をあっさりと飲み込み、視界に入る全てを青く塗り替え――

 

 

 「約束された勝利の剣(エクスカリバー)

 

 

 ―――勝利を確信する間もなく、青い視界が黒く染まった。

 

 

 ……何で俺は②の作戦なのに正面から殴り合ってたんじゃろ…?

 

 

 

 

 




 宜しければ感想や評価、誤字報告下さい。リクエストやシナリオ内の疑問なども歓迎です。


遠隔収束投射(リモート・スターマイン)
 術者からかなり離れた場所から放つ超高威力の収束投射(スターマイン)
 主人公の神懸かった魔力の扱いと常識外れの魔術回路、莫大な保持魔力があったからこそ出来た反則技。
 でも極光反転カリバーには負けちゃう(ネタバレ)
 聖剣には勝てなかったよ…。






●主人公の戦術
 「自爆した方が軽傷って素敵じゃない?」という暴論に基づいた考えで構成された戦術。
 その実態は復元による回復に物を言わせたゾンビ戦術。






●旧カレイドライナー
 時計塔組の転身なんて無かった。






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