◇4 問題児たちが異世界から来るそうですよ?にお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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神キャラ登場詳細不明

 さて、その後結局珱嗄はなんの成果を上げる事は無く、ギフトゲームに参加する事は無かった。つまり珱嗄は今回の勝負の結果がどうであろうと祭の最初から最後までずっと居られ無い訳だ。そして、そんな珱嗄とは違って、十六夜達は確固とした戦果を上げて帰って来た。

 現在、珱嗄達は十六夜の戦果を貰うべくサウザンドアイズの支店に向かっていた。ちなみに、飛鳥の戦果は乳牛を10頭だ。そして耀の戦果は火龍誕生祭で参加したギフトゲームの決勝戦で相手だった『ウィル・オ・ウィスプ』のメンバー、ゴスロリの地精アーシャ=イグニファトゥスと業火の幽鬼ジャック・オー・ランタンの二人とのギフトゲームに勝利したことで手に入れた、『炎を蓄積出来る巨大キャンドルホルダー』だ。

 この二人の成果を顧みるに、十六夜の成果次第だが耀が一歩抜き出ているだろう。そのせいか、珱嗄の横で三毛猫を抱き抱えている彼女の表情は若干誇らしげだった。

 

「そういえば、十六夜の戦果はこれから取りに行くらしいけど……珱嗄さんの戦果はなんなの?」

「私も気になるわね。珱嗄さんの事だから凄い物が出てきそうだけど」

「ヤハハ、俺も結構自信があるが……予想以上の物が出てきそうだなぁオイ」

 

 サウザンドアイズの支店が目前に見えてきた頃、三人は珱嗄にそう言った。確かに今まで珱嗄は化け物染みた方法で様々な戦果を上げてきた。故に、三人にとって珱嗄はやはり自分達以上に問題児なんだろう。児、というには幾分年齢に矛盾があるが。

 

「わはは、いやいや……残念なことに俺はなんの成果も上げてないんだ。ギフトゲームには何処も参加させてもらえないし、なにより面倒臭くなったから談話室でずっと寛いでたよ」

「え?」

 

 そんな期待を寄せる三人に対し、珱嗄はそう言って苦笑した。期待されても戦果は無いのだ。

 

「へぇ、珱嗄にしちゃあ予想外だな。正直元ノーネームのメンバーを数人連れ戻してくるとか魔王を数人潰してくるとかやりそうだと思ってたんだが」

「まぁ出来なくはないんだけど、ほら俺って大人じゃん? 祭は子供が楽しむものだよ」

「……確かに私達よりは大人よね。年齢もずっと上だし」

「実力も上だし、なんだかんだで思考も大人びてるもんね。行動は子供っぽいけど」

 

 珱嗄の言葉に、飛鳥と耀は頷く。十六夜もその点は認めているのか異論は無いようだった。

 

「ま、そんなわけで俺の戦果は0だ。十六夜ちゃんの戦果に期待しよう」

「ちゃん付け止めろ」

 

 そう言っている間に、3人はサウザンドアイズの支店に辿り着いたのだった。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

「また貴方達ですか……」

 

 そう言ったのは支店の前を掃除していた青い髪の女性。この支店を任されている女性だ。実はカットされた物の、珱嗄達が最初にサウザンドアイズにやってきた際に、閉店だから帰れとか言ってきていざこざになったりしているのだが、珱嗄が上手い事丸め込んで強引に入った覚えがある。

 

「まぁまぁ、俺達は一応白夜叉ちゃんに呼ばれてきたんだぜ? ほら、これあげるから」

「なんですかコレ……って白夜叉様のプレミアムブロマイド!? いりませんよ別に!」

「マニアに売ればそこそこ高く付くぜ?」

「どうぞどうぞ、入ってくださいな!」

「どうも」

 

 またも珱嗄に丸め込まれた女性は大事そうにブロマイドを懐に仕舞った後、珱嗄達を中へと入れた。そのやり取りを見ていた十六夜達は、苦笑気味にぞろぞろと珱嗄に付いていく。

 

「うーい、白夜叉ちゃん。来たぜ」

「お、珱嗄殿ではないか。小僧達もいるな」

「し、白夜叉様! 箱庭の貴族の沽券にかけて黒ウサギはこれ以上際どい服はちょっと……!」

「この白雪も神格の端くれ、これ以上は……!」

「……なにやってんの?」

「ふふふ、見よこの二人を! こんなにエロい身体をしているのだからエロい服装を着せようというエロい欲求が爆発したエロい暴徒がエロエロにしようとするのだ。そう、この私の様に!!」

 

「「黙れこの駄神ッ!!」」

 

 珱嗄達が入ってきた時、白夜叉は自分のプロデュースをしている珱嗄を殿付けで呼んだ。そしてその事に対して少し驚く十六夜達だった物の、それ以上に中に居た黒ウサギと見知らぬ白雪と名乗った女性が際どい浴衣を着て涙目になっている光景に更に驚いたようだ。全員唖然としている。

 

「へー……っしょっと……どれどれ?」

「……はっ、なにを自然な流れで黒ウサギのスカートをめくろうとしてるんですか珱嗄さん! ミニスカ浴衣なんですから少しめくっただけで下着が!!!」

「あ、やっぱり?」

「やっぱりってなんですか!」

「じゃあそっちの子ならオッケー?」

「馬鹿かお前は! そもそも女性の下着を堂々と覗こうとするその思考に脱帽だわ!」

 

 珱嗄は極々自然な動きでセクハラを行なうが、それを当然の様に止める黒ウサギと女性。だがこれはただの囮。本命は―――

 

 

 パシャッ

 

 

 十六夜だ。

 

「へ?」

「っしゃ撮ったぜ!」

 

 十六夜は珱嗄から渡されたカメラを構えて黒ウサギと隣の女性を撮影していた。しかも二人とも座っているのでハイアングルからの撮影だ。それはつまり、出ている胸元がしっかりと写されているという事だ。

 

「どうよコレ」

「うーん、まぁ以前のギフト製カメラよりは機能性は劣るものの、中々だね。及第点だ」

「ただこの辺りに白夜叉の足が写ってんだけど……」

「編集でどうにかするか……」

 

 珱嗄と十六夜はまるで打ち合わせでもしていたかのように、エロ本を隠れてみる男子中学生の様にこそこそと話し始めた。

 

「このお馬鹿様!!」

 

 そしてそんな事をしている二人は結局、いつもどおり黒ウサギによって突っ込まれたのだった。

 

 


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