◇4 問題児たちが異世界から来るそうですよ?にお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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レティシアグッズ作りの件

 珱嗄が店を開店してグッズを売りだす前の話。グッズを作る段階の時の事。

 珱嗄はその時点でまだユニットに白夜叉が入っていなかった故に、レティシアとペストとサンドラの三人に協力してもらってグッズを作る事にした。

 まずはそれぞれのプレミアムブロマイド、紹介カード、キーホルダー、うちわ、ポスターの作成。中には中々色気のあるセクシーな物やファン層が限られてきそうなマニアックな物まであるので、三人にはかなり拒絶されそうだが。

 

「という訳で、まずはレティシアちゃん。お前だ」

「嫌だ!」

「やれ」

「む……ぅ……!」

 

 こうして言い合いの出来る関係と言えど、この二人はあくまで所有者と所有物。所有者の命令は、嫌でも聞いて貰わなければ困る。これは、絶対的服従(そういう)関係なのだから。

 

「………」

「……分かりました、マスター」

「よーし、それじゃあまずは――――」

 

 珱嗄はレティシアの返事ににっと笑って顔を悪戯っ子の様に歪めた。レティシアにとっては今この状況下で一番恐怖の対象になる笑顔。身構える物の、そんなのは無駄だと知っている。

 故に、珱嗄はその恐怖にたいして想像以上の要求をレティシアにした。

 

 

「―――服を脱げ」

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 金色の光を反射する、絹糸の様に揺れる黄金の長髪。少しの動作で絹糸はその白い肌を流れる様にさらりと動く。そしてその動いた絹糸を視線で追えば、羞恥で少し紅潮した頬、細い首筋、綺麗な鎖骨と目が釘付けになり、更にその下へゆっくりと視線を下ろして行けば、付くと跳ね返る様な瑞々しい柔肌と少し膨らんだ発展途上の小さな胸。桜色の先端は一切の穢れが無く、更に下へ視線を下ろせば思わず食べたくなる様なお腹が鮮やかな曲線を描き、腰から細すぎず、太くも無いすらっとした脚へと繋がる。足先まで全てが見る物を魅了する様な少女の肉体美は、お世辞でもなくお人形の様、という表現がこれ以上なく似合っていた。

 

「……ま、ますたぁ……これは異常に恥ずかしいのだが……!」

「ん? いや俺は別に全裸になれとは言って無いんだけど……」

 

 現在のレティシアの姿は全裸であり、股間や胸元を隠す様に白い毛布を使っている。絵画の一枚の様だ。

 

「な……っ……!」

 

 レティシアは珱嗄のその言葉にはっとなり、羞恥で顔を真っ赤にする。そしてぷるぷると震えながら涙目で毛布にくるまる。そしてもぞもぞと毛布の芋虫は畳まれた自分の服の下へと這って移動し始めた。

 珱嗄はそれをじっと見ながら頬を掻く。そして芋虫は自分の服を毛布の中へ回収すると、さらにもぞもぞと動き、その中から中身を現した。

 レティシアは下着を身に付けた状態で未だ羞恥に染まった表情を隠す様な堂々とした態度で珱嗄に向かい合う。

 

「こ、これでいいのだろぉ……!」

「まぁ、実際にはこの水着を着用して貰うんだけどね」

「マスターの馬鹿ぁぁああああ!!」

 

 レティシアは珱嗄の取り出した黄色い水着を凄まじい速さで奪い取り、着替える為に部屋を出て行った。

 

「……え、これ俺が悪いの? 説明聞いてなかったアイツが悪くね?」

 

 珱嗄はそんなレティシアを見送った後、ぽつりとそう呟いた。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 しばらくして、レティシアは黄色い水着を着用して戻ってきた。ペストに手を引かれた状態で。

 ぐしぐしと涙を手で拭いながら、同情と困惑の表情を浮かべるペストに手を引かれるレティシアは。その容姿と同じで本物の幼女そのものだった。

 

「マスター……何をしたのよ」

「いや今回は俺悪くない。レティシアちゃんが勝手に自爆しただけだ」

「……そう。ほら、レティシアも泣いてないで」

「……うん」

 

 ペストに慰められて幾分落ちついたレティシアは未だに恥ずかしそうな表情で珱嗄の前に立った。

 

「んじゃ、始めるか」

「ああ」

 

 珱嗄は大量のカメラをギフトで精製。この時点ではまだ2000京のギフトがあったから出来た事だ。そしてその全てレティシアの全方位に配置、珱嗄はレティシアに指定のポーズを取らせ、全てのカメラを一斉に起動させた。パシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ!! と音を連続させてフラッシュが一瞬辺りを光で包む。ペストはその光に少し眩しそうにしたが、それ以上にこの撮影法に驚愕していた。

 

「はい次ー」

 

 次のポーズを取らせてまた連写、次のポーズを取らせてまた連写、と何度も繰り返す。そしてたまに衣装を変えてまた別のポーズで連写したりして素材となる写真を製造していく。

 ペストが視線をふと別に向けると、撮った写真が既に続々と現像されて行っている。このギフトの無駄使いはある意味清々しい物があった。

 

「はい、じゃあ終わり」

「ふぅ……ん……」

 

 少し撮られる事に快感を感じていたのか紅潮した肌と残念そうな溜め息を吐いたレティシア。だが珱嗄はそれを気に掛けずに敢えてスルーした。

 

「さて、それじゃあ次行こうか」

 

 珱嗄はそう言って、ペストの方へと振り向いたのだった。

 

 


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