◇4 問題児たちが異世界から来るそうですよ?にお気楽転生者が転生《完結》 作:こいし
さて、前書きの通り珱嗄弱体化の話だぜ。一人称は俺こと神様だ。
え? 誰だお前って? 俺は神界の偶然で死んでしまった珱嗄を転生させた神様だよ。ハンターハンターに転生させてからというもの、ずっと珱嗄の姿を見て楽しんでたんだけどね、リリカルなのは、めだかボックスと転生させて唐突に珱嗄が姿を消したもんだから随分と焦ったよ。また変な偶然が起こって珱嗄が地獄巡りでもしてるんじゃないかと思っちゃったぜ。
さすがの珱嗄も地獄に行けばちょっと危ういからねぇ。あそこの閻魔とか悪魔とか色々規格外だから。一般兵ですら珱嗄を殺しかねないし……まぁ神である俺から力を与えられてるし300回くらい殺される頃にはもっと強くなってるだろうし、問題はないか。
でだよ。問題は珱嗄がめだかボックスの世界から俺の干渉も無しに別世界に移動したことだ。正直、そんなことされちゃあこっちも困るんだよ。なんせ、珱嗄の魂は神の世界の犯した罪で俺が永遠に管理しないといけないことになってるんだ。消滅させず、自由に生きさせ、そして満足の行くまでずっと、俺と珱嗄は一蓮托生。珱嗄が満足したその時は、その魂を輪廻の輪に組み込んで記憶も力もなくもう一度まともな世界で生まれ変わらせる。その時が俺と珱嗄の関係の終わりだ。
さて、それじゃあ今回は珱嗄が別世界に移ってしまった訳だし、遅ればせながらちゃんとした形式を取ろう。
「珱嗄、久しぶりだね」
「ああ、神様……どうしたよ。あの世界はまだ終わってない筈だけど?」
そんなわけで珱嗄を呼び出した。世界を移動するのは良いけど俺に断りも無しってのは頂けない。
「俺に断りも無く転生すんなし。めだかボックスから別の物語に移るのはいいけど、その前に持ってる力の整理をしないと」
「あー……そういえばリリカルなのはからめだかボックスに移った時は魔法を回収したっけ?」
「ハンターハンターの時も念能力を回収しただろ?」
「なるほど、ってことは……」
「ああ、スキルとスタイル……めだかボックスで手に入れた力は回収させてもらう」
そう、世界Aの力は世界Bでは使えない。これまで使えていたのは単にあの転移に使った手紙が簡単な最適化を行なっただけだ。故に、珱嗄のスキルはギフトとして使えた。
だがこれから時間が経てばボロが出る。珱嗄の力はギフトとして使うには大きすぎたんだよ。なんせ、スキルは恩恵じゃねぇし。
「おっけー。あーあ、それじゃあ2000京のスキルやスタイルともおさらばか」
「まぁそういうなよ。身体能力はそのままだし、ちゃんとあの世界の力であるギフトもやるから」
そう、珱嗄が移った世界もまたアニメ・漫画の世界。ならばその世界に合った力を与えないとね。幸いなことにあの世界は修羅神仏によって恩恵を与えられる事で力を持っているようだし、腕が鳴るぜ。
「さんくー」
「じゃ、スキルやスタイルは回収っと………で、ギフトは戻ってから確認しな。とびっきりの恩恵をやるよ」
珱嗄はいつもみたいにゆらりと笑って消えて行った。最適化もちゃんとやってやったし……ギフトを考えようか。俺は神様だ、一蓮托生の関係な内は珱嗄をとびきり贔屓してやるよ。
◇ ◇ ◇
「ふむ……盥遊びも出来なくなるかぁ……ま、このギフトも中々おもしろいじゃないか」
ひらひらと着物の裾を揺らして、目の前で驚異のシンクロ率で踊るレティシアとペストを見ながら珱嗄はゆらりと笑った。
「ほらほら、そこもっと手を伸ばしてー」
「「はいっ」」
とんでもなく凄い光景である。純血の吸血鬼と黒死斑の魔王が珱嗄手製のトレーニングウェアを着用して踊っている。その頬を汗が伝い、息も少し荒いがその眼は輝いていた。
(あれ?)
(なんだか……)
(少しだけ……)
((楽しい……かも))
珱嗄のレッスンは初期段階では強制的だったものの、時間が経つにつれてペストもレティシアもサンドラも中々楽しむようになってきた。やはり汗を掻くのはどの時代どの種族でも良い物らしい。
「はい、ちょっと休憩。ほら差し入れのスポーツドリンクだ。休憩終わったら次は発声練習だ」
「「はい!」」
「こんにちは、珱嗄さん!」
「おーサンドラちゃん。仕事は終わったのか?」
「はい! マンドラ兄様の協力も有って最近は落ちついて来ました」
「そうか。それじゃあ少し準備体操をしててくれ。二人の休憩が終わったら発声練習だから」
「わかりました」
珱嗄のレッスンは三人をアイドルとして確実に育成している。まだまだ最初の段階だがそれぞれのスペックがかなり高い上に呑みこみも早いので随分と成長が早い。この分ならお披露目も早そうだ。
「さて、これからどうなるかな?」
珱嗄の新しいギフトのお披露目も、近いだろう。