◇4 問題児たちが異世界から来るそうですよ?にお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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後は和服ロリのみ

「はい、ということで晴れて俺の所有物となりました。ペストちゃんです。愛称は、ねこちゃんです。よろしくね!」

「………」

 

 その後、というかペストとの勝負はかなり呆気なく、味気なく珱嗄達の勝利で終わった。原作では消滅したペストだが、珱嗄によって生かされたので今では仏頂面のまま珱嗄に付き従っている。負けた方が勝った方の所有物、というルールは守らなければならない。ギフトゲームにおける魔王だからこそ、ルールは誰よりも厳格であらねばならないのだから。

 また、今回のゲームの中で黒い風の被害者となったサラマンドラの死者は未だ死んだままだ。何故なら、珱嗄自身が蘇生のギフトを使っていないから。死んだ奴を生き返らすかどうかを決めるのも勝者である珱嗄だ。

 それに、今回の魔王の一件はサンドラを除くサラマンドラのメンバーが仕組んだ事だったのだ。ルーキー魔王とルーキーフロアマスターの勝負となれば、名を売る為にはもってこいであり、その為ならば多少の死者は覚悟の上だというマンドラ達の意志だったのだ。つまり、死んだのは自業自得、魔王と戦う事になったのも自業自得、その為にサウザンドアイズを利用したのも、ノーネームが危険に晒されたのも、全てサラマンドラの負うべき責任なのだ。

 

「つーかそいつ自由にしといて大丈夫なのかよ。隙を見て俺らを殺すかもしれねぇじゃねぇか」

「大丈夫だよ十六夜ちゃん。な? ペストちゃん」

「……ええ、私は貴方達に危害を加えないわ」

「……信用ならねぇが、珱嗄が管理するならまぁ大丈夫……か?」

 

 十六夜は頬杖を着きながらペストの言葉をとりあえず納得した。そして珱嗄の隣にはレティシアがおり、ペストと並んで立たされている。アイドルユニット結成までは近い。残るは白夜叉唯一人、補欠でサンドラと言ったところか。

 

「さて、それじゃあ練習を始めるよ。ほら、いくぞダブルロリ」

「その呼び名止めて」

「そうだマスター。止めて」

「やなこった」

 

 珱嗄は笑う。冗談半分で面白半分で始めたアイドル育成計画だが、此処まで来ると笑えて来る。

 

「というか、珱嗄ってロリコン? 今思えば少女を二人所有物にしてるけど……」

「俺からしたら皆ガキだよ。年の差を考えろよ耀ちゃん」

「……それもそうだね」

「まぁそこからいっても何故平均的に幼い子を起用するかというと、そっちの方が需要が有るからだよ。考えてもみろ、高校生位の年齢をアイドルとして育てていく場合、ブレイクするまでの期間で確実に高校生では無くなってる。その点幼女でやればブレイクまでの時間が掛かっても最悪中高生で収まるだろう? それに、大人よりもやや純粋な少女を押した方が人気が出やすいんだよ。この二人はその点永遠にロリ容姿のままだし」

「な、なるほど……珱嗄、後ろ後ろ」

「え?」

 

 珱嗄は耀に言われて後ろを振り向く。そこには青筋を立てて明らかに怒っているレティシアとペストのダブルロリコンビ。

 

「どうした二人とも」

「私は本来の姿になれば胸も大きくなるし背も高い! ロリじゃない!」

「私だって将来的に見れば成長するわ。永遠のロリとかお断りよ!」

永遠の幼女(エターナルロリータ)って奴か……過去に一人だけあった事があるよ。将来的にも成長の余地が無い彼女は……いつまでも幼女のままでその生涯を終えた……」

 

 珱嗄の言葉で二人は固まった。

 

((ぜ、前例がある、だと!?))

 

 二人は案外、仲が良い様だ。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 さて、その後の事。珱嗄はサラマンドラのサンドラより頼みごとをされていた。勿論その頼みとは今回の死者を出来る事なら生き返らせて欲しいということ。

 サンドラは珱嗄が蘇生のギフトを持っていると言っているのを聞いていたのだ。故に、その力に望みを託したいのだ。

 

「どうでしょうか……?」

「えー……」

 

 この場にいるのはサンドラとマンドラと珱嗄のみ。珱嗄はマンドラを見て少し考えた。

 マンドラはそんな珱嗄に少し申し訳なさそうに顔を俯かせた。

 

「うーん……あ」

 

 珱嗄は面白い物を見つけた様に口元をゆらりと吊りあげた。

 

「いいよ。条件付きでやってあげよう」

「条件……とはなんでしょうか?」

「お前、俺の作るアイドルユニットに入れ」

 

 珱嗄の言葉にサンドラは唖然とし、マンドラは絶句した。フロアマスターがアイドルになる。前代未聞だ。

 

「き、貴様! そ、そんなこと許されると思って……」

「おいおいシスコン。200人以上の命と引き換えだぜ? それくらやって見せろよフロアマスター」

「……わ、分かりました……ただ私もフロアマスターとしての業務もありますので、その合間でいいのなら」

「オッケー、それで行こう。それじゃあ生き返らせとくから後で確認しとけ。ちゃんと生き返ってたら、その時は約束を守れよ?」

「御旗に誓って」

「ん、ならいいんだ」

 

 珱嗄はそう言って、部屋を出て行った。

 

 こうして珱嗄は、アイドルユニットをほぼ完成間近まで作りあげるのだった。

 

 


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