桐原静矢になったけどとりあえず最強目指す   作:田中

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桐原くん効果スゲー。


【世界時計】と戦いました。

新宮寺さんとの勝負。ここで負ければ原作と大きく離れ、一輝君は来年も留年することになり、退学する確率が高くなる。それは流石にかわいそうだ。だから俺は新宮寺さんにどうしても勝たなければならない。

まず、新宮寺さんの固有霊装は二丁拳銃。伐刀絶技は時空を崩壊させたりする。壊れた空間はそのままになる。なにそのチート?笑えないんですけど。二つ名が【世界時計】なだけに時間も操る。いうならディアルガとパルキアを足した感じかな? なにそれ、そんなんチートや!チーターや!

だがチートでは俺も負けていない。なぜなら姿が消え、気配も消える。チート能力があろうと攻撃ができないはず。そこに勝機はある。

 

「勝負は一回きり、霊装は幻想形態でだ。それでいいな?」

 

「はい。そちらの方が都合がいい」

 

「ならこのコインが地に着いたら開始だ」

 

新宮寺さんはそう言ってコインを取り出し、コインを弾いた。コインは綺麗な放物線を描き、地面に落ちる。てかコイン五百円玉じゃないか!勝負の途中で拾っておこう。

 

「【朧月】!【狩人の森】!」

 

姿を消して五百円玉を拾い、距離を取る。この五百円玉は返さないつもりだ。と、ふざけるのはここまでにして、ここからは頭を切り替えなければならない。打倒【世界時計】へ向けて前準備だ。城ヶ崎さんとの戦いでも使った地雷や爆弾を使ったトラップを作成する。その後元の場所へ戻り、新宮寺さんをおびき寄せ、倒す。これが最善の策だ。

 

「そちらから何もしないのか?しないならこちらから行くぞ?」

 

そんな声が聞こえたと思えば銃声が響く。それと同時に先ほどトラップを仕掛けていた空間が削り取られている。おいおい、あの人適当に撃ってるのにいい線行き過ぎだぞ。幻想形態と分かっていても当たりたくない。

 

「分かりましたよ!」

 

新宮寺さんの後ろへ移動し、矢を放つ。撃った後はすぐに場所を移動して潜伏する。1発撃てば移動して潜伏を繰り返せば普通負けない。相手が普通ではないのでどうなるかはわからないけどね。銃と弓で銃撃戦をやるよりはマシだ。

 

「ほう、矢は見えるのか。そこがお前の弱点というわけだな」

 

無視して撃って移動した。先程までいた場所の空間が削り取られている。つまり、矢が見える状態に適応してきたということだ。それは、俺の作戦通りにいっている証拠でもある。原作の一輝君は矢が見える状態に適応したからこそ矢が見えなくなった状態に戸惑い、ボコボコにされたのだ。それと同じことを新宮寺さんにやる。相手は自分が格上であることを理解しているため、油断が少ないだろうが生まれている。そこに付け入り、一輝君ルートを歩ませる。ただそれだけだ。

 

「【驟雨烈光閃】」

 

頭上に移動して発動する。矢は見えているが広範囲にわたる矢の雨は確実に新宮寺を捉える。だが、まるで新宮寺さんの時間が早まったかのように高速移動をして回避し、それだけでなく俺に対して攻撃まで与えてきた。放たれた銃弾は3発。それぞれ右足、右肩、横腹に当たり、抉られた気分になる。

地面に落ちると同時に受け身を取るが落下予想地点を決めていたのか新宮寺さんが銃を撃つ。それについては一応察知していたため、転がることで避けられるが完全に見えているようだ。

 

「ほう。まだ終わらないか」

 

悪魔め。俺を痛めつけて楽しんでやがる。いや、勝負自体を楽しんでいるのかもしれない。今の俺にできること、それは矢も消してしまうしかない。まだ早いかもしれないがこのままでは何もせずにやられてしまう。

 

「【大樹崩】」

 

弓を腕に纏わせ大樹の一撃を放つ。視認不可能な一撃であるため避けるのは不可能といっていい。だが、また新宮寺さんの時間が早まったと思えば大樹の矢を避けていた。まさか見えていたのかと思ったがそれはない。なぜなら大樹の矢が当たった木が倒れるのを見て多少は驚いているからだ。つまり、直感だけで回避行動を取り、俺の【大樹崩】を回避したのだ。やっぱチートですわ。

 

「今のは危なかったぞ」

 

よく言う。全然余裕そうじゃないか。本当にこの余裕そうな顔が腹立つ。非常に不愉快だ。

 

「なら、次の一撃で終わらせますよ。次が当たらなかったりすれば、意識失うんで俺の敗北は確定です。良くて引き分けの一撃ですよ」

 

「ほう。なら私もお前の力を認めて禁技を見せてやろう」

 

げ、なんか新宮寺さんがやる気になってる。禁技って【時空崩壊】だよね?空間を破壊する技だよね?チートですねはい。こちとら単純に全魔力込めて放つだけなのに。

 

「本当に嫌になる」

 

新宮寺さんの目の前に行き姿を表す。真っ向から放ち、【時空崩壊】を突き破る。これしか勝機はない。これでも勝利する確率は10%もないだろう。だがもしこの真っ向勝負で負けてしまっても悔いはない。それが実力差ってだけだ。

 

「中々いい心構えだな」

 

「真っ向勝負は嫌いじゃないですよ」

 

「そういえばお前から名前を聞いてはいなかったな」

 

「そういえば自己紹介してませんでしたね。今年の七星剣武祭優勝者の桐原静矢です」

 

「知っているよ桐原。私は元KoK世界3位新宮寺黒乃だ」

 

「知ってますよ新宮寺さん。ではいきますよ。……【崩月】!」

 

「禁技・【時空崩壊】」

 

2つの技はお互いにぶつかり合う。凄まじいエネルギーのぶつかり合いにより、辺りの地形に影響が出てくる。地面はめくり上がり、暴力的な風が木々を薙ぎ倒す。ドラゴンボールの一面を見てるかのような凄まじい情景である。

次第に魔力の欠乏により意識が離れていく。【崩月】の補足説明をすると、【崩月】は矢を放った後も魔力を吸い上げる。そのお陰で威力が衰えないのだ。同じ出力で続けるにはそれなりの維持費がかかるのは何においても同じ。維持費を払い続けている俺だからこそ、この勝負は拮抗した時点で勝ちは決まったようなものだ。

徐々に俺の矢が破壊されている空間をさらに破壊しながら押していく。そのことに新宮寺さんは驚いているのかどうかはもう見えていない。俺はこの一撃に五感へ向けられている魔力も賭けている。確実に何処ぞの爆裂魔法の使い手のようにしばらく倒れたままになってしまうだろう。ーーーだがそれがどうした。

まだ回せる魔力があるなら今は回せ。心臓の動きが止まってでも、肺の動きが止まってでも、今は全てを賭けるべき時だ。指先がピクリとも動かなくなってもいいんだ。これはたった一度だけの勝負。たった一度だけのチャンスなんだ。逃すわけにはいかない!

肺が破裂しそうなほど苦しい。心臓の動きが小さいせいで体に力が入らない。それでも体の中の魔力を放出しきった。

そんな俺が最後に見たのは、霞む視界に映る横たわっているようにしか見えない新宮寺さんと思わしき人だった。

 

完全に相打ちだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

目を開ければ見慣れぬ天井だった。首を動かそうにも体が動かない。手も足も視線さえも固定されたままだ。

 

「起きたか?」

 

耳は聞こえるみたいだ。だが話すことができない。【崩月】による後遺症がここまでとは思いもしなかった。話すことくらいはできるだろうと思っていたのだが無理みたいだ。仕方ないので瞬きをすることで答える。

 

「耳は聞こえているみたいだから言うことだけ言ってやろう。あの日から3日経った。そして桐原に初めに言わなければならないことだが、破軍学園次代理事長として、【崩月】の使用を禁ずる。あれは私の禁技を上回り、その後遺症がこれだ。命も危なかったのだぞ。危ない真似はやめろ」

 

いきなり【崩月】の使用を禁止させられてしまった。………あれ?今次代理事長って言ったよね?ってことはこの3日で一輝くんと戦い、一輝くんも勝ってくれたということか。良かった。本当に良かった。

 

「西京寧音についてだが、臨時講師を快く引き受けてくれた。これで満足か?」

 

これで、原作を始められる。俺も今以上に楽しめる。一輝くんに一々突っかからなくて済む。本当に良かった。

 

「桐原、お前はゆっくり休め。おそらく1週間はそのままだぞ」

 

新宮寺さんの声に瞬きを一度だけして目を瞑る。先程目が覚めたばかりなのに安心したからかすぐに眠れた。




後遺症とか言っていますが、桐原くんが弱体化することはありません。
ただ数日間動けなくなるというだけです。次回は原作に突入!








ではなく、現理事長とその一派を排除する話です。

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