桐原静矢になったけどとりあえず最強目指す   作:田中

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クラウド君とのイベントはなし。
はやく七星剣舞祭にまで行きたいため飛ばします。
読者の方々も日常よりバトルの方が好みでしょうしね。


【深海の魔女】と戦いました。

ある夜、静矢の握る端末がメールを受信した。

次の対戦相手が決まったのだろうと興味なさげにメールを開く。そこに表示された13戦目の相手は黒鉄珠雫。彼の婚約者の名前だった。

 

婚約者が相手だから悲しむ様子はなかった。むしろ、強敵である珠雫と戦えることが嬉しいのか笑っていた。本来の13戦目は珠雫と東堂刀華が戦う筈だったのだ。それが改変されたことに残念に思う反面、興味のなかった試合が一気に楽しみになった。

 

珠雫は未だに【水牢弾】のみで勝っているため手の内を明かしていない。これでは昔と変わらない。あの黒鉄家で共に修練した頃、初めて静矢が負けを知った頃からどう成長することで強くなったかが楽しみだと、色々な手を考えることで桐原静矢のこの日は終わった。

 

 

 

 

 

 

珠雫の握る端末に表示された選抜戦の組み合わせに兄である一輝は無理してほしくないと珠雫を心配した。ステラも普段は犬猿の仲といった感じだが心配をしていた。

ステラを下した一輝を相手に圧倒的に抑えた静矢と戦って珠雫が勝つ可能性は限りなく0に近いと思っていた。

 

「ステラさん、今失礼なこと考えてませんでした?」

 

心配しているステラを見て珠雫は呆れ気味に言った。

 

「これでも私、1度だけ静矢さんに勝っているんですよ?」

 

初耳だった。一輝ですらも『へ?』と呆気を取られた顔をしている。ステラも一輝と同じような顔をしていた。失礼な人ですねとステラのみを糾弾し、さらに言葉を連ねる。

 

「勝つ可能性は0に等しいのはわかります。私は静矢さんと拮抗した勝負ができればそれでいいんです。勝敗に関係なく、静矢さんにさらに強くなったと認めてもらえればそれだけで私は満足です」

 

どうせなら勝ちたいですが。と小声で言うが聞かれていない。一輝は妹の決意に「無理をするな」ではなく、「頑張って」と言った。

ステラもそれだけ言えるなら緊張なんてないでしょと軽口を叩く。

 

エールを送られ、気合を入れた珠雫は既に負けている剣客、弓使いにお願いをし、打倒桐原静矢にむけて特訓をした。

 

「私は、最強になる静矢さんの隣に立たなければいけない。そのために……」

 

自分にプレッシャーを掛けていることに気づいていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ始まりました本日のメインイベントと言っても過言ではないこの一戦!【深海の魔女】黒鉄珠雫選手と【七星剣王】桐原静矢選手の試合です!解説には西京先生に来てもらいました!』

 

『よろしく』

 

『今回の試合どうなると思いますか?』

 

『しずやんの勝ち一択っしょ。ここまでくれば降参で勝つなんてないだろうから、ただ妹ちゃんがどれだけやれるか。これだけだね』

 

司会と解説の声を聞きながら静矢も珠雫も入場する。カナタとの試合と同じかそれ以上の闘気を身を纏って入場する静矢に会場の観客は全員それほどの相手であると認識した。対して珠雫は落ち着いた様子で出てきたように見えた。

だが、静矢や珠雫と親しい人は一目でおかしいことに気づく。

 

「珠雫、見ただけでわかる。そんなに気を張ってたら一瞬で終わるよ。なにをそんなに気を張ってるんだい?」

 

一目見た瞬間、静矢は珠雫の様子が少しおかしいと判断した。それを指摘したことにより、珠雫は自身が気を張っていることに気づいた。

 

「ありがとうございます。ただ私は静矢さんに認めてもらいたくて、いらない緊張をしていたみたいです」

 

「…少し勘違いがあるみたいだけど、僕はとっくに珠雫を認めているよ。この僕に一度とはいえ土をかけたんだから当たり前だよ。だから焦らずに成長した自分を僕に見せてくれ」

 

いつの間にか出していた木刀を向けて告げた。その言葉に珠雫も緊張が解けた。

 

「静矢さん。貴方の嫁の力を思い知ってください。繁吹け【宵時雨】」

 

お互いが取り出したところで試合が開始される。

 

 

 

 

ーーーlet's go ahead

 

 

 

 

 

開始と同時に試合は動いた。

 

 

 

瞬きをしていればわからない程の一瞬。

 

 

 

静矢は珠雫の背後で水に囚われていた。

 

 

 

結果だけを見るなら直立したまま動いてない珠雫。そして、その背後で水に囚われている静矢だ。

水の中で囚われている状態で珍しく何をされたのか分かっていないような顔をする静矢。その様子に珠雫は少し微笑む。

 

 

「私は貴方の嫁になるんですよ?行動くらい読めて当然です」

 

珠雫の言葉になるほど。と納得したような顔をした後に静矢は木刀を2回振った。その二振は水を切り裂き、囚われの身から脱した。

 

「面白い。初めて僕に黒星が付いた時を思い出すよ。あの頃と違って今の僕は水も斬れる」

 

「それくらい分かっていました!」

 

そう言って霧を出現させる。静矢の視覚を封じられた。だが、目での認識など静矢にはどうでもよかった。目で分からないならいらないと目を瞑る。そして神経を尖らせ、次から次に迫る剣撃を全て弾く。防御だけでなく、隙あれば反撃をする。

 

観客席から見える2人の様子は別世界だ。上から眺めれば10人の珠雫が次々に剣を振り、静矢を斬ろうとするがそれを余裕を持って捌き、隙あれば反撃をして分身を消している。まるで見えているかのような対応に言葉が出なかった。

 

そして戦況が、静矢が動いた。

だが、それに合わせたかのように静矢の足下が凍りつき、動けなくなった。

 

「手の平で踊らされてるみたいだなぁ……」

 

頭上に迫る氷塊を見て苦笑いをする。静矢にとってこのような後手後手に回る戦いは初めてであった。読みの深さで圧倒的に珠雫が勝っている。

 

 

だが、珠雫には余裕がなかった。

 

 

反撃を許せばすぐに倒されるということを珠雫は自覚していた。静矢は自分より圧倒的に強い。勝つために静矢の動きを読みとり次々と攻撃を仕掛けている。だが、その全てが捌かれる。そこらの伐刀者ならとっくに終わっていたであろう戦術を乗り越えてくる静矢の強さを再認識した。

 

上から落ちる氷塊を難なく剣で斬る。そして足下の氷も壊すがその後氷は溶けて水場となった。

 

「時雨蒼燕流特式十ノ型スコントロ・ディ・ローンディネ」

 

カナタとの戦いで見せた時雨蒼燕流。それを静矢ではなく珠雫が使った。水を纏い静矢に突撃していく。静矢は回避できないと判断し、木刀を構える。

 

珠雫が宵時雨を振ると同時に血が舞った。その血を見て誰もが驚く。

 

 

桐原静矢が手傷を負った。

 

 

致命傷までいかないが深い傷を刻まれていた。

 

「やってくれたね珠雫。まさか珠雫に教えたとはいえ時雨蒼燕流を使ってくるとは思わなかった。その小太刀の短い分を水で長くして斬るなんて良い考えだ。水に斬れないものはない」

 

胸を縦に斬られたことに感心する。そして回避ができないことを悟って防御した際、自分と一緒に斬られた木刀の断面を見て笑う。

 

「ここから、僕も珠雫に見せてない手を見せてあげよう」

 

瞬間、静矢の回りの空間が爆ぜた。珠雫は何が起きたか全くわかっていない。上から見ている観客ですら何をして空間が爆ぜたのかわかっていなかった。

いや、1人だけ静矢のしたことを理解した。そしてその行為で起きている現象に冷や汗を垂らす。

 

「桐原先輩の魔力ってどれくらいだったっけ?」

 

目を見開いたままステラは隣に座る一輝に問いかけた。

 

「確かAランクだと思うけど、ステラはあれが何かわかったの?」

 

「ねぇ一輝。あの桐原先輩の周りに透明だけど空気の流れが明らかに違うのが何かわかる?」

 

「そうだね。明らかに……まさか」

 

ステラの言葉に答える途中で一輝は気づいてしまった。その歪みの正体が何であるかを。

 

「多分それで合ってるわ。あれは桐原先輩の高密度になって目視できるようになった魔力。あんなもの私の魔力でも無理かもしれないわ」

 

ステラの言葉に一輝はさらに、これから静矢が行おうとしていることに気づいた。いや、気づいてしまった。

 

「そんな……まさか、ありえない………」

 

静矢が行おうとしていることをありえないと言ったが、今までありえないことを行い続けていることを考えればありえないことでもない。だが、一輝の思う技をするには魔力量が多すぎて体の負担がかかりすぎる。

 

「確かに【一刀修羅】は魔力操作が上手くて鍛錬を積めば魔力量が多くてもできるかもしれない。でもあまりに危険すぎる」

 

信じられない物を見る目で闘技場の静矢を見る。

 

 

 

 

 

「黒鉄君との時は読みと身体能力。カナタ先輩の時は剣技。そして珠雫には魔力。これが僕の剣の全てだ」

 

「まさかそれは……」

 

「今見えてるのは高密度の魔力。これを全部使ってただ一振りだけに絞って強化をする。いくよ珠雫、説明する暇もなく一瞬で終わらせる【偽・一刀羅刹】!」

 

静矢が言う。それと同時に魔力は消え去り、風が吹き荒れる。あまりの風に観客も目を閉じる。そして目を開いた時には荒れた闘技場と倒れた珠雫。そして体中から血を流す静矢だった。

あまりに一瞬のことで会場は静まり返る。先程まで押していた珠雫がその場で倒れる現実が未だに受け入れられない人もいる。血を流していることに理解が及んでいない人もいる。

この状況で何をしたか答えろと言われて答えられる人は一輝にしか無理だろう。

 

静矢の中の大量の魔力をただ一度の攻撃で全てを使った。そして振るだけで激しい風が起き、衝撃波が闘技場を荒らした。それが一輝の見解だった。そしてその反動は燕返しの比ではなく、今にも倒れそうなほど血を流していた。

 

『しょ、勝者桐原静矢選手!!!何が起きたのか全く分からない程の一撃でした!実際何も見えてないのですがきっと一撃でしょう!今のをどう思いますか西京先生』

 

『いや、何が起きたかわからんし。これ避けれるやついんの?ってくらい見ることできなかったよ。でも、こんな自爆技見たくなかった」

 

『つまり桐原選手が人間辞めてるってことでよろしいでしょうか?』

 

『妹ちゃんも頑張ったよ。深く読んで途中までは押していて、一撃を与えたんだから大したものさ。七星剣舞祭に出れてれば良いとこまで行けると思ったよ。でも、しずやんにはそれが通用しなかった。ただそれだけだね』

 

『ということです!さすが【七星剣王】桐原静矢選手!圧倒的な力で強敵を打ち破りました!』

 

静矢は無理をして痛めた体を動かし、珠雫を抱きかかえる。俗に言うお姫様抱っこをして闘技場から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 




感想で弓のロマン技しておくれというものがありました。正直弓のロマン技って中々思いつかないです。Fateのアーチャーって弓使わないやつ多いですしね。剣の技術は極めれば派手なことできますが弓の技術極めても必中。超長距離からの狙撃可能。くらいしか思いつけないです。なので弓を使う戦闘でロマン技はほとんどないと思います。リクエストしてくれたらそれ調べて使うかも……。



クオリディア・コード見たのですが能力のことを世界と呼んでいました。そこで、DIO様を投入したら面白そうだと思った。誰か書きそうだなぁと思いました。



リゼロの二次創作ですが書いていてすまないさん絡み辛いと感じたのでオリ主にして書いてみると、全く面白くないと判断しました。そもそもリゼロってスバルの死に戻りがあるから面白いのであってオリ主視点だとほとんど面白くないんですよね。考えた結果憑依、もしくは性格改変でいくか書かないかになりました。そして書かないと決意しました。あれは私の技量では無理です。



最後に、次回の更新は未定です。
就活は1ヶ月前に終わりましたが書く時間がないです。
7/23に書き始めましたので8月のどこかで投稿しそう。と思ったけど9月ですらできるかあやしちいです

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