あれは、嘘だ。
そして話は変わりますが、ガハマさんのフィギュア可愛い。
しかしこの作品、まず八幡がガハマさんの事を知らないので、ガハマさん出すことできないんですよね…
俺たちは今、街のはずれにある共同墓地でキャンプをしている。ゾンビを狩るにしてもゾンビは真夜中になるまで出ることがないらしい。なので俺たちはゾンビが出てくるまでの間、キャンプをすることになった。
キャンプといえばカレーだ。
将来の夢は専業主夫(だった。)たるもの、カレーの一つや二つ、作れて当たり前だ。むしろ、なにを作っても気づけばカレーになるまである。
実際ルーを入れたらカレーになるあたり、すべての料理がカレーの材料なんじゃないかと錯覚するレベル。しかしこの異世界にはカレーと呼ばれるものがないらしい。まず、米がない時点でうすうすと気付いてはいたが…
「ちょっと、カズマ、その肉は私が目をつけていたヤツよ!ほら、こっちの野菜が焼けてるんだからこっちを食べなさいよ!」
「俺、キャベツ狩り以来どうも野菜が苦手なんだよ、焼いてる途中に飛んだり跳ねたりしないか心配になるから。」
結局、ギルドでご飯をたべれなかった俺たちは墓地から少し離れたところで鉄板を敷き、バーベキューをしながらのんびりと、夜を待っていた。
ちなみにこの世界、キャベツが空を飛ぶし、サンマは畑で採れるし、野菜スティックは取ろうとすると手から逃げ出すらしい。一体どうゆう原理で動いてるのか調べてみたいもんだ。
そうして、ある程度お腹がいっぱいになったとき、カズマが、人数分のコップにコーヒーの粉を入れ、『クリエイト・ウォーター』と言う水の初級魔法で水を注ぎ、マグカップの下を『ティンダー』の魔法で炙っている。なるほど、初級魔法の使い道としてはかなりうまい使い方だ。
それを見ていためぐみんが、複雑そうな顔でコーヒーを受け取りつつカズマに話しかける。
「カズマは魔法使いの私より魔法を使いこなしていますね。初級魔法なんてほとんど誰も使わないものなのですが、カズマを見ているとなんか便利そうです。」
「いや、元々こういう使い方じゃないのか?初級魔法って、あ、そうそう『クリエイト・アース』!…なぁ、これってなにに使うんだ?」
カズマは土の初級魔法で作り出した。粉状のサラサラした土をめぐみんに見せる。
「えっと…、その魔法で創った土は、畑などに使用するといい作物が取れるそうです。…それだけです。」
その、説明を聞きアクアがコーヒを吹き出した。
ねぇ?アクアさん?あなたのコーヒーが少し俺の服にかかったんですが、これどうしてくれんの…
コーヒーがかかったことに気づいていないのか、それとも気づいてて無視しているのか、後者だったらかなり凹むが、アクアの様子を見るに気づいていないのだろう。しかし一体なにがおかしかったのか俺はこの女神のツボがわからん…
「何々、カズマさん畑作るんですか!農家に転向ですか!土も作れるし、『クリエイト・ウォーター』で水も撒ける!カズマさん転職じゃないですかやだー!プークスクス!」
次に吹き出すのは俺とめぐみん、ダクネスの番だった。
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その後、カズマが握っていた土を『ウィンド・ブレス』と言う風の初級魔法を使って、アクアの目に吹き飛ばして、アクアが擬似バルス状態になるなどの問題はあったものの、やっと月が昇って深夜を回りゾンビが現れる頃合いになったので、俺たちは移動することにした。
「しかし冷えてきたな、この時間帯になるとますます、ハチマンがグールにしか見えなくなってくる。」
「おい…俺の腐った目とか、DHA豊富そうに見えて少し賢そうだろうが…」
「あ、ああ、言ってることはわからんが、腐った目であることは認めるのだな…」
若干引き気味でそんなことを言ってくるダクネス、ダクネスに引かれるとか少し傷つくんですが…
そんな俺たちの前で敵感知をしながら歩くカズマにアクアが声をかける。
「ねえ、カズマ、引き受けたクエストってゾンビメーカの討伐よね?私、そんな小物じゃなくて大物のアンデットがでそうな予感がするんですけど」
アクアがそんなことをポツリと言った。
そういえば来る前にクリスも同じようなことを言っていた。なんだか、共同墓地の近くは大物のアンデットの目撃情報がある。カズマたちだけじゃ心配だがら、付いて行って欲しいと、別に俺なんていてもいなくても変わらんから行かなくてもいいだろと言うと、クリスが、じゃあもしカズマたちに付いて行ってくれるなら、魔王すら倒せる可能性があるかもしれないスキルを教えてくれるというから、今回仕方なくついてきたわけだ。べ、べつに、カズマ達が心配だったとかじゃないんだからね!魔王すら倒せるスキルが、気になるだけなんだから!
アクアの言葉にカズマは顔をしかめつつ
「おい…そういうこと言うなよ。それがフラグになったらどうすんだ。今日はゾンビメーカを一体討伐。そして取り巻きのゾンビも倒して、そしてとっとと帰って馬小屋で寝る。計画以外のイレギュラーが起こったら即刻帰る。いいな?」
まぁ、妥当な判断だな、危ないことはしないほうがいい、命は大事だ。むしろ命は大事にしなきゃならないのでゾンビを狩らずに家に帰るまである。
するとカズマが俺たちを制止させる
「なんだろう、ピリピリ感じる。敵感知に引っかかったな。いるぞ、一体、二体…三体、四体…あれ、多いな…」
確かに、先ほどめぐみんに聞いた話ではせいぜいニ、三体と聞いたはずだが、でも、この程度なら誤差の範囲だろう。すると突然、墓場の中央で青白い光が走る。
それは怪しくも幻想的な青い光でよく見るとその青い光は大きな円形の魔方陣が出しているようだ。そしてなにやらその横に黒いローブ姿の人影が見える。
それを見てめぐみんが
「あれ、ゾンビメーカー…ではない…気が…するのですが…」
と自信なさげに呟く。
「突っ込むか?ゾンビメーカーじゃないにしても、こんな時間に墓場にいる以上、アンデットに違いないだろう。こちらにはアークプリーストがいるから問題ない。」
ダクネスが大剣を構えつつそわそわしている。
カズマの先ほどの指示を聞いてなかったのかよ、これは、イレギュラーだ。即刻馬小屋に帰って寝ることを要求する!
その時、アクアがとんでもない行動に出た。
「あっーーーーーー!」
と叫びつつ黒いローブの人影に向かって走り出す。
「ちょっ、おい待て!アクア!」
カズマの制止を聞かずに飛び出していったアクアは、黒いローブの人影にビシッと、指をさしながら
「リッチーがのこのことこんなところに現れるとは不届きな、成敗してくれる!」
リッチー
リッチーとは、アンデットモンスターの中でヴァンパイアに並ぶモンスターの1人で、魔法を極めた大魔法使いが、魔導の奥義で人の体を捨て去った。ノーライフキングと言われるアンデットの王である。そのため、モンスターと違い意思疎通ができる。だが、基本的にはゲームなのでは悪役ポジなので、「はっはっはっ!そんな攻撃では我を殺せんぞ!」みたいなことを言ったりするモンスターであるが、そんな大物モンスターが…
「や、やめやめ、やめてええええええ!誰なの?!いきなり現れて、なぜ、私の魔方陣を壊そうとするの?!やめて!やめてください!」
そんな、大物モンスターがグリグリと魔方陣を踏みにじるアクアの腰に、泣きながらしがみつき食い止めていた。そんなリッチー?(本当にリッチーなのだろうか)の取り巻きであるアンデットはそんな2人を止めることもなくボーッと眺めている。
ふむ…どうしたものか…
俺と同じ考えなのかカズマもどうするべきか悩んでいるようだった。
しかしあれだな、この絵面だとアクアが、チンピラでリッチーがそのチンピラに因縁つけられていじめられてる、いじめられっ子にしか見えない。
「やめてー!やめてください!この魔方陣は未だ成仏できない迷える魂たちを天に返しているだけなんです!ほら!たくさんの魂たちが魔方陣から昇って行くでしょう!?」
確かにリッチーの言う通り、青白い人魂のような物がふよふよと魔方陣に入るとそのまま青白い光とともに、天へと吸い込まれていく。
そんなリッチーにアクアがどこぞのガキ大将よろしく
「リッチーのくせに生意気よ!そんな善行はアークプリーストであるこの私がやるから、あんたは引っ込んでなさい!見てなさい、そんなちんたらやってないでこの共同墓地まとめて浄化してあげるわ!」
なんって言っている。その言葉に慌てるリッチー
「ええ!?ちょ、やめっ!?」
「『ターンアンデット』ッ!」
アクアが大声で呪文を叫ぶと墓地全体が。アクアを中心に白い光に包まれた。
アクアから湧き出す白い光はリッチーの取り巻きに触れるやいなや、ゾンビの存在を消滅させる。そしてリッチーの作った魔方陣に集まっていた人魂すらも消し去っていく。まぁ、当たり前だが、その光はリッチーにも及び…
「きゃー!か、体が消えるっ!止めて止めて、私の体が無くなっちゃう!!成仏しちゃう!」
「あはははは、愚かなリッチーよ!自然の原理に反するもの、神の意に背くアンデットよ!さあ、私の力で欠片もなく消滅するといいわ!」
と、もう既にガン泣きしてる、リッチーに向かってそう言い放つアクア。
いや、なんかもういくらなんでもかわいそうになってきたな。
「おい、アクアその辺にしておいてあげろよ。その…人?はここの魂を浄化してくれてたんだろ?」
「な、なによハチマン、相手はリッチーなのよ?このままにしておくわけにはいかないわ!」
と俺の制止を聞かないアクア。そんなアクアにカズマが
「おい、やめてやれ」
と、剣の柄でアクアをごすっと小突く。
「ッ!?い、痛、痛いじゃなの!あんた何してくれてんのよ!」
剣で小突かれたから、集中力が切れたのか白い光が放たれるのが止まる。
するとめぐみんや、ダクネスも、
「そうだぞ、アクア、少しぐらい話を聞いてやったらどうだ。」
「そうです。一応ここにいたのは、悪いことをするためではなく、魂を浄化してくれていたわけですし。話ぐらいは聞いてあげましょうよ。」
と、リッチーをかばう。
そして、カズマが掴みかかってきた、アクアの相手をしている隣でリッチーに声をかける。
「えーと、大丈夫…ですか?…リッチー…でいいん…ですよね?」
見ると、リッチーの足元は半透明になっていて、軽く消えかけている。
やがて、徐々に半透明だった足がくっきりと戻っていき、涙目のリッチーがフラフラしながら立ち上がった。
「だ、だ、だ、大丈夫です…。あ、危ないとこを助けていただき、ありがとうございました…っ!えっと、おっしゃる通り、リッチーです。リッチーのウィズと申します。」
と言って目深に被っていたフードをあげると、現れたのは、骸骨…ではなく20歳くらいの人間にしか見えない、茶色い髪の美女だった。