やはりこの素晴らしい世界は間違っている。   作:ALQ

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たまに女神だって失敗したりする

い、今ありのまま起こったことを話すぜ。俺は魔法を打っただけなのに気付いたら死んでいた。なにを言ってるかわからねーと思うが、俺もなぜ死んだのかわからない…

 

とりあえずどこぞのポルポル君の名台詞を思い出しながら現状の把握を試みる。

 

うん、さっぱりわからんな、なぜ俺は死んでるのん?

 

そんな俺を申し訳なさそうにエリスが見てくる。

 

「あの…ハチマンさん落ち着きましたか…?」

 

「あ、あぁ、落ち着いた。」

 

というか、まさか異世界に転生して2日で死ぬなんて…いくらなんでも笑えないな。どこの世界にチート能力を貰っておきながらたったの2日で死ぬような奴がいるのか、恐らく俺ぐらいのものだろう。

しかし一度死んでしまったということはもう、転生は無理だろう。

今後一生小町や、母、父に会えないと思うとさすがに心にくるものがある。確かに魔王を倒せるなんて最初から思ってはいなかった。ただほんの少しもしかしたら魔王を倒せるかもと思っていた自分がいたのもまた事実だった。

 

ふぅ…と今の感情全てを吐き出すようなため息を吐く。

 

そんな俺を見て悲しそうにエリスが言う。

 

「すいません。今回のハチマンさんの死因は私にあるんです。私の説明不足がもたらした結果なんです。本当にすいませんでした。」

 

エリスが俺に謝ってくる。

…説明不足?一体なんの説明が不足していたというのか、きちんと転生についてや異世界の現状についても聞いたはずだ。それ以外に何かあったか?と思っていると自分が死ぬ前どんな行動を取ったかを思い出した。

 

「まさか、その説明不足っていうのは、俺の能力のことか?」

 

「はい」

 

当たっていたようだ。

 

「一体なにが不足していたんだ?能力は、きちんと発動したしなんの問題もなかったが?」

 

「はい、能力自体にはなんの問題もありません。問題はそこではないのです。ハチマンさんは、ティンダーを使ってからレベルブーストの能力を使い爆裂魔法を発動させましたね?基本的に爆裂魔法とは、とんでもない魔力を使います。熟練の魔法使いでも一撃打てればいい方で、ほとんどの魔法使いは打つことすらできない強大な威力を持った魔法なのです。」

 

爆裂魔法ってそんなすごい魔法だったのか、めぐみんが使ってたからぶっちゃけそこまででもないのかとばかり思っていたが、というか、今の話を聞くとめぐみんって実はすげぇ魔法使いなんじゃないのか?なのにあの痛い行動…見た目よし、実力よし、頭おかし、神様ってほんと理不尽。

 

「では、なぜ爆裂魔法を打てない魔法使いがいるかというとそれは魔力の量の多さの違いです。基本的には魔力の量が足りてない場合は、魔法が発動することはありません。ただ一つ例外があって、魔力が足りなくても自分の生命力を削れば魔法を使うことができるのです。ただ、それはとてつもない苦痛を伴うので、死ぬ寸前まで生命力を使って魔法を使うだなんてことは、普通は起きないのです。」

 

今度はエリスがふぅ…とため息をついて、その後を俺の目をしっかりと見てくる。恐らくその続きが重要なのだろう。ちなみに、エリスに目を見つめられてすぐにそらしたことは言うまでもないだろう。いや無理だからこんな王道ヒロインみたいな見た目の子に見つめられるとかぼっち力53万の俺には荷が重すぎる。ちなみにあと三回も変身を残していたりする。そして、最終変身まですると、みんなが俺の姿を認識できなくなる。なにそれちょー強い。

 

「しかし、ハチマンさん。あなたの能力は違います。あなたの能力レベルブーストというのは、一つの要素からその要素を含むものに変化させるという能力なのです。例えば剣があったとして、剣という要素を変化せると、それを、魔「剣」であったり、ボロい「剣」であったり、聖「剣」などに、変化させるものなのです。そしてその変化するはずもないものに変化させる過程を吹っ飛ばし再現できるのがレベルブーストです。つまり、ハチマンさんは、ティンダーという魔法から「火」という要素を変化させ爆裂魔法にしたのです。しかしここで問題が発生します。このレベルブーストは、変化させる過程を吹き飛ばすだけの能力なので、例えばただの剣を魔剣に変化させ相手の魔剣と戦うとします。すると一度は撃ち合うことができますが、二度目の撃ち合いではレベルブーストを使った剣が折れます。これは、元がただの剣なため、魔剣と撃ち合ったせいで耐久力がなくなってしまったのです。つまりこの能力再現できるのは力だけそれ以外はなにも変わらないんです。」

 

お、おう、つまりあれだな女性のメイクみたいな、全然可愛くない子もメイクの力で可愛くなれるけどそれにも限度というものがあって元が悪ければあまり意味はない的な…違うか…

 

「ここからが本題です。ではなぜハチマンさんが死んでしまったか、それは魔力の量が足りなかったからです。普通魔法は、魔力を込めてから発動します。そのため魔力が足りない場合は先ほど説明したように魔法は、発動しません。しかしハチマンさんの場合は【魔力を込める→ティンダーを使う→レベルブーストを使う→爆裂魔法に、変化させる→爆裂魔法分の魔力が吸収される】というプロセスになるので魔力が足りていなくても発動できてしまうのです。では、足りてない分はどうするのか、これはもうおわかりですよね。」

 

つまり、俺は自動的に生命力を、吸い取られそのせいで死んでしまったと、なにそれ間抜けすぎる。

 

「本当に申し訳ございません。こんな重要なことを説明し忘れるなんてそのせいでハチマンさんが死んでしまうなんて女神失格です…。」

 

エリスがほぼ半泣きで、そんなことを言う、いや別に俺はそんな怒ってないし、そんな顔されると困るっていうか、なんというか…

お兄ちゃん的に年下(見た目的に)涙は弱いのでやめてもらいたいというか、

 

「あー、俺はそんな怒ってないし、それに誰にだってミスはある、俺なんて人生の歩み方すらミスってるまであるくらいだし、なんていうか、あーそのあれだ、とりあえずそんな泣きそうな顔しないでくれよ」

 

俺のその言葉にエリスがキョトンとしたあとクスリと笑い

 

「ふふ、まさか慰められるとは思いませんでした。やはりあなたは優しいお方ですね」

 

そんなやり取りをしていると急に上から声がした。

 

《ハチマン?ハチマン?聞こえてる?あなたの体に『リザレクション』って魔法をかけたからもうこっちに戻ってこれるわよ、そこにいる女神にこちら行きの門を開けてもらいなさい》

 

とアクアの声が聞こえた。

 

「あれでも、俺は一度蘇ってるからこういうのって無理なんじゃないのか?」

 

「まぁ、そうなんですけど、今回は私の説明不足が原因ですし…」

 

と悩むように頬をポリポリと掻く。

 

するとまた上から声がして

 

《なにしてんのよ、早く戻ってきなさいよー!》

 

とアクアが急かしてくる。これあっちには声聞こえてるのかな…、一応試しとくか。

 

「おーい!なんか俺は一度死んでるからなんか蘇るのが難しいらしい!」

 

《はぁ?誰よそんなこと言ってるやつ、ちょっとあんた名乗りなさいよ!このエリートな、私の話が聞けない女神はどこのどいつよ!》

 

自称エリート女神(笑)がそんなことを言ってくる。

おいやめろ、エリス顔引きつってるから…

 

「あー、エリスって女神様なんだが…」

 

《エリス!?この国でちょっと国教として崇拝されてるからって、調子こいてお金の単位にまでなった、上げ底エリス!?ハチマン、エリスがゴタゴタ言うようなら、その子の胸パッドとりあげてや》

 

「わーーーー!わ、わかりました!今回のことは私の説明不足が原因ですし!今門を開けますから!」

 

顔を真っ赤にした、エリスがアクアの声を遮る。

 

女神も、大変なんだなぁ先輩関係とか、身体関係とか、でも、胸の大きさなんて気にする必要はない、むしろ胸が小さい方が可愛いブラジャーが多いって貧乳の妹が言ってた。

 

「全くアクア先輩はいつも余計なことばかり言って…ぶつぶつ」

 

そんなことを言いながらエリスが指を鳴らすと目の前に白い門現れる。

 

「さぁ、これで現世とつながりました。ハチマンさん今回は本当に申し訳ございませんでした。」

 

「いや、本当に気にしてないから全く、だからエリスも気にしなくていい」

 

てか、今更だがエリスを呼び捨てで呼んでいいものか普通は相手は女神なんだし、エリス様って呼ぶべきだよな…まぁ、アクアは呼び捨てだし、あんまり気にしてる様子もないしこのままでいいか。

 

「ふふ、わかりました。…あとそれとさっきの胸パッドの事は忘れてください…。」

 

と顔を少し赤らめてそんなことを言うエリス。いやなんか、むしろ気になってしまうんでやめてもらいたい。なんで顔を赤くするんだよぅ。

 

そんな空気に耐えきれなくなった俺は、早足で門まで向かう。

そして振り返って、

 

「それじゃあ、戻るは、ありがとな本当は生き返れないとこを、生き返られせてもらって」

 

エリスはそんな俺の言葉に、いたずらぽっく片目をつぶり、少しだけ嬉しそうに囁いてきた。

 

「いえそんな、あっ、このことは他の女神にバレるとまずいで内緒ですよ?」

 

俺はその少しあざとい動きに苦笑しつつ、門をあけた。

 

 




ちょっと説明が長くてわかりづらいです。
すいません…。

ここどいうこと?とかこれっておかしくね?っていう質問があればお願いします。

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