やはりこの素晴らしい世界は間違っている。   作:ALQ

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かくして、比企谷八幡は冒険者になった

『アクセルの街』

 

それが、この街の名前なのだそうだ。

俺がグールと見間違えられた事件から30分ほどカズマにここがどういったところかを説明してもらった。

 

「で、ギルドに入るには登録手数料が必要になる。」

 

「手数料と言っても俺はなにも渡されてないから払えないぞ?」

 

先ほどポケット中を見たら財布も携帯も無くなっていた。エリスの言う通り持ってこれるのは一つだけつまりあの能力しかこの世界にもってこれていないらしい

 

「そうなんだよなぁ、普通はこういうのって初期装備とお金を渡されるべきだと思うんだよ。」

 

じゃあ、まず登録手数料を手に入れるためにお金を稼がなきゃならないわけか、しかし冒険者になれないわけだから金を稼ぐ方法がない。あれ?これ詰んでね?

 

「カズマは、どうやってその金を手に入れたんだ?」

 

「知らない人からお金を借りた…」

 

とても暗い顔でカズマが答える。

 

俺も養われるのはいいが施しは受けないを信条に生きて来ているので気持ちはわからなくもない。

 

「はぁ、仕方ない洋服でも売ってとりあえず金を作るか。」

 

「えっ?いや金なら貸すぞ?手数料ぐらいなら、大した額じゃないんだし」

 

俺は養われ(ry

 

「いや、いろいろ情報まで教えてもらったのにそこまでしてもらうのは悪いしいいよ」

 

てか、変な事要求されそうで怖い。

 

「いやいや遠慮すんなよ、気にすんなって」

 

カズマがにこやかにそんな事を言ってくる。

その後ろで女の子達がなにやらこそこそと話をしているようだ。

 

「カズマがあんなに親切なわけありません。あれは絶対裏で何かを企んでますよ。」

 

「クズマさんならありえそうね」

 

「おい、お前ら全部聞こえてるからな、それにアクアそのクズマさんってのはなんだよ?」

 

カズマ達があーだ、こーだ、言っている隣で金髪女騎士がこっちを見ながらハァハァ言っている。

 

えっ、なにこれ妙にエロいんですけど、彼女いない歴=年齢の俺には刺激が強すぎるんですけど、なんって事を思いながら金髪女騎士を見ていると

 

「んんっ…!?くっ…!」

 

なんかいきなり金髪女騎士が頬を赤らめてブルッと身を震わせた。

なんかわからんけど直感的にわかる。この人絶対ダメな人だ…

 

するとこちらのやりとり(?)を見ていたカズマが慌てたように話しかけてくる。

 

「ともかく!金は貸してやるよ、冒険者になれば登録料ぐらいすぐに稼げるんだ。その時に返してくれればいい。とりあえずこれお金な、はやく受付いって、冒険者になってこいよ!」

 

貸し借りは好きじゃないんだが、まぁここで意地を貼る必要も特にないしな。

 

「あー、それじゃあ、とりあえずこれはありがたく借りさせてもらうわ」

 

そうして俺はギルドの受付に向かっていった。

なんか、少しわくわくしてきたな、この高揚感は駅前の蕎麦屋に1人で入るときのようなワクワク、わざわざ千葉市から少し離れた四街道市の本屋さんで、えっちぃ本を買うときのようなドキドキ感に少し似ている。

 

「あの、冒険者になりたいんですが。」

 

「はい、えっと、では登録料として1千エリスになります…」

 

俺が話しかけた受付のお姉さんはギルドに入った時に悲鳴をあげた人だった。

 

やばいな、失敗した空いているからってこっちに来るんじゃなかったな。完全に怯えられてしまっている。

まぁいいか、人に嫌われるのには慣れてる、むしろ嫌われすぎて、俺の菌だけ、バリアを溶かすレベル。どうでもいいけど、小学生のときの〇〇菌ブームってなんなのあれ、「比企谷菌タッチ」「比企谷菌には、バリアは効きませーん」って、どんだけ比企谷菌強力なんだよ…

 

「では、冒険者についての簡単な説明をさていただきますね。

…まず、冒険者とは、街の外に生息するモンスター…。人に害を与えるモノの討伐を請け負う人の事です。とはいえ、基本的には何でも屋みたいなものですね。

…冒険者とはそれらの仕事を生業にしている人たちの総称。そして、冒険者には各職業というものがございます。」

 

おぉ、職業か、俺的には魔法使い系より騎士とか、侍みたいなのが好みなんだが、まぁ流石に侍はないか。

 

すると、受付のお姉さんが俺に免許証ぐらいの大きさのカードを差し出してくる。

 

「こちらに、レベルという項目がありますね?ご存知の通りこの世のあらゆるモノには魂があり、どの様な存在も生き物を食べたりもしくは殺したり。他の何かの生命活動にとどめをさす事でその存在の一部を吸収できます。通称『経験値』と呼ばれるものですね。それらは普通目で見る事はできません。しかし…」

 

そして、受付のお姉さんがカードの一部を指差した。

 

「このカードを持っていると、冒険者が吸収した経験値が表示されます。それに応じてレベルというものが表示されます。このレベルが冒険者の強さの目安になりどれだけの討伐を行ったのかも表示されます。そうして、経験値を貯めていくとあらゆる生物はある日突然強くなります。俗に、レベルアップだの壁を超えただのと呼ばれていますが…。まぁ要約すると、このレベルが上がると新スキルを覚えるためのポイントなど、様々な特典が与えられるので、是非頑張ってレベルを上げでくださいね。」

 

その言葉でエリスの

「比企谷八幡さん、あなたはゲームはお好きですか?」

と聞かれた意味がわかった。

確かにこのシステムはゲームとほぼ一緒だ。

 

「まずはお名前と身長、体重、年齢、身体的特徴等の記入をお願いします。」

 

えーと年齢は15歳、髪は黒で、目は腐ってて…って書いてて悲しなってくるな。

 

「はい、ありがとうございます。それではこちらの機械に手を触れてください。それであなたのステータスがわかります。

そのステータスによってなれる職業が決まります。経験を積む事により選んだ職業の専用スキルを取得できる様になるのでその辺も踏まえて職業を選んでくださいね。」

 

なるほどステータスね、もしかしなくともそのステータスにぼっちなんて特性が加わったりはしませんよね?

 

と、緊張を、ほぐすためにくだらない事を考えながら俺は機械に触れた。

 

「…はい、ありがとうございます。ヒキガヤハチマンさん、ですね。

ええと…筋力、生命力、敏捷性は、普通ですね。魔力、知力、器用度がそこそこ高いですね、ん?幸運も、かなり高めですね。まぁ、幸運って冒険者にはあんまり必要ないんですけど…これですとなれるのは見習い魔法使いと、冒険者ですかね、もう少しレベルが上がれば弓使いや、盗賊にもなれますが、どうなさいますか?」

 

剣士職は、全部ダメか、しかし幸運が高めな奴がぼっちだったり死んだりしてる時点でこのステータスあてにならないんじゃ…

 

「魔法使いはなんとなくわかるんですけど冒険者には専用スキルはどんなのがあるんですかね?」

 

「冒険者には、専用スキルはありません。ただし全職業のスキルを使う事ができます。その代わり職業補正がないため専門職の方と比べるとレベルが落ちますが…」

 

なるほど、全部使えるけど職業補正がないから、そこまで強くないと、でもまぁ、冒険者になっていろんなスキルを使ってどの職業にするのか選ぶのもいいかもしれないな。それに俺には女神からもらった能力もあることだし。

 

「それじゃあ、とりあえず冒険者で、レベルが上がってから職業をどうするか決めます。」

 

「わかりました。それでは冒険者ギルドへようこそ、スタッフ一同、今後の活躍をきたしています。」

 

かくして、俺は冒険者になった。

 

 

 

 




比企谷八幡
レベル1
スキルポイント5
取得スキル なし

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