そうして、比企谷八幡はギルドの扉を開く
目を開けるとそこには石造りの街中が広がっており、俺の目の前を馬車が音を立てながら進んでいった。
「す、すげぇ、本当に異世界に来たのか俺…」
あまりの興奮に声が震える。
「しかし、この後どうするかな…、ゲームならまずは村長を探したりギルドを探したりするもんだが、まず自分がどこにいるかすらわからん状態だからな」
街の人たちに声をかけてギルドがどこか聞くべきか、しかしいきなり知らん人に声をかけるのはハードルが高い、仕方ない適当に歩くか…
1時間ぐらい歩いたのだろうか、少し疲れたので、休憩しようとした時だった。
ドーンッッッ!
いきなりとんでもない爆音が聞こえた。
な、な、な、な、なんだよこの爆音ビビって「デュフェ!」っていう変な声出たじゃないかよ…。誰にも聞かれてないよな…。
しかし周りの人達はさも当たり前のように過ごしている。一体あの爆音はなんだったのか…
てか本当にギルド見つからんなもしかしてこの村にはギルドはないのか?
そんなことを考えているとTHE・冒険者みたいなやつが通ったので勇気を出して話しかけてみる。
「あ、あのすいましぇん」
くそ、いきなり噛んだ恥ずかしい
「ん?なんだどうした?」
「え、いや、あのこの街ってギルドとかって無いんですかね…?」
「ギルド?お前冒険者か?ギルドを探して迷った口か、ギルドならなあそこの道を…」
なるほど、俺は全く反対方向に進んでいたらしい、そりゃあギルドなんてたどり着かないわな、そんなことを考えていると後ろにいた他のメンバーがこの男を呼ぶ。
「おーい!ダスト!道教えたなら早くクエスト行こうぜ!」
「あぁ!今行く!それじゃあな、新入りまたギルドで会うだろうしその時はよろしく!」
そう言って冒険者は去っていた。
さて、日が暮れる前にギルドに向かいますかね。
『ギルド』それは生前あまり縁の無い言葉だった、モ○ハンとかは、やる友達が居ないからひたすら街クエばっかやってたし、オンラインゲームなんてまずリアルに友達が居ないやつがゲームの中で友達なんて作れるわけもなくソロプレイをして1人レアアイテムを取りに行ったものだ。
それを思い出すと少しづつ目の前のギルドに入りずらくなっていく、てかギルドに入って冒険者になったとしてもどこかしらのパーティーには入らないとクエストに行くのなんて無理な話だ。
だいたい俺は子供の頃から「いーれーて」という言葉が言えない子供だったもんだからなおさらだ。小学校のサッカーの時にクラスの中心人物2人がじゃんけんして勝ったら自分のチームに入れたいやつを先に選んでいいっていうルールがあった。
あれ、俺いつも最後まで残ってたんだぜ?
「僕はいつ選ばれるのかなードキドキ」とか思ってた10歳の俺可哀想すぎて泣けてくんだろ。
駄目だこれ以上思い出すとドアを開けづらくなる。
開けてしまえ大丈夫だ。多分なんとかなる。
そうして覚悟を決めた俺がが中に入ると…
「あ、いらっしゃいませー。お仕事案内なら奥の、ひっ!」
えっ、なにいまの悲鳴…俺のこと見て悲鳴をあげるなんてどういうことよ…。
すると周りの冒険者もなんだ、どうした、と声を上げ始める。すると青い髪の綺麗な少女が声を上げた。
「なんでこんなとこにグールがいるのよ。」
はぁ?いや待てグール何を言ってるんだこいつは。
「いや待て、俺はグールなんかじゃなくて普通の人げn」
「ターンアンデット!」
いきなり魔法を打ってきた。いや話は最後まで聞きなさいって、母親に言われなかったのかよ。
「効いてない?まさかあなたが最近ここにやってきた魔王の幹部とかいうやつなの?」
いきなり魔王の幹部扱いされた件について。
いや、ほんとどうなってんの八幡意味わかんない…
「いや、俺は魔王の幹部とかじゃないから…」
すると他の冒険者たちが、
「あれが魔王の幹部なのか…?」
「でもよく見ろよあの目の濁りよう…あの目はかなりの人間を殺った奴の目だぜ。」
「あの目の濁りようからおそらくグールでしょう。しかしアークプリーストの魔法を食らっても倒れないとは、あのグール相当やばいですよ…」
なんて言われてる。いくらなんでも俺の目、腐りすぎだろ。
するとそこに金髪の女騎士見たいのが来て青髪の少女に話しかける。
「おい、アクアほんとにこいつは魔王の幹部なのか?目の腐りようはすごいがあまり強そうに見えないのだが」
「確かに今は全然力を感じられないわ。ただあの目の腐り方は尋常じゃないわ、とにかく魔王の幹部にしろ、グールにしろ、ここで倒すに越したことは無いわ。さぁ!覚悟はいいかしら!アンデット!」
駄目だ。全然話が通じない。もういっそギルドから出て行ってしまおうか、と考えている時に俺の後ろでギルドのドアが開いた。
「いやーしかし今日の爆裂魔法は音色こそ悪かったが音量はすばらしかったな!ナイス爆裂!」
「フフフ、カズマも爆裂魔法とはなんたるかが、わかってきたようですね。」
なんか女の子を背負ったジャージ姿の男がそこにいた。
カズマ視点
なんかギルドの扉を開いたら目の腐った学生服姿の男が立っていた。
「カズマ、気をつけて!そいつは!魔王の幹部よ!」
アクアが真面目な顔で注意してくる。
いやお前何言ってんだよ…こいつどう見ても…
「おい、アクア何言ってんだよ。こいつが魔王の幹部なわけないだろ?」
「えっ?!カズマこそ何言ってんのこんな目が腐ってるやつが人間なわけないじゃない!」
こいつ、学生服のこと忘れてるのか…ほんと俺なんでこんなやつ連れてきちゃったんだろ。
めぐみんをそこらへんの椅子に下ろしつつアクアを近くに呼ぶ。
「アクア、あいつはどう見ても日本からきた転生者だろ。あの洋服を見ろ日本の学生服だろ。何を勘違いしてるんだお前は」
「でもでも、あの目の腐り方は尋常じゃないわ。確かに全然邪悪な気を感じないけど、どう考えてもあれは異常よ!」
「アホか!」
馬小屋に行かずにギルドに来て正解だった。
危うく1人の駄女神のせいで転生者が1人冤罪によって天に召されてしまうところだった。
「なによもう、私だけじゃなくてダクネスや、みんなもあいつは魔王の幹部じゃないかって思ってたわよ。」
「ま、待て、私はちゃんとあいつは魔王の幹部じゃないのではと否定したぞ?ほんとだぞ?」
そんなやり取りをしているあいだにギルドの奴もなんだ違うのか、人騒がせな奴だなと言いながら解散していく。
「はぁ、とりあえず、このアホのせいで変なことになった事を謝らなきゃなぁ」
俺は全く状況が理解できていない男
に話しかけた。
「あー、なんだこのバカが変な事言いだしたせいでこんな事になって悪かったな。」
「いや、それはいいんだが、その洋服ジャージだよな。という事はお前ももしかして転生者なのか?」
「あぁ俺は佐藤和真だ。よろしくな。」
「え、あ、俺は比企谷八幡だよろしく。」
比企谷と名乗った男は、俺と同い年ぐらいだろうか…?
そいつを一言で表すなら、
まぁ、ちょっとボッチっぽい腐った目の男だろうか。
確実にラノベの主人公にはなれなさそうな奴だった。
キャラに合わせて会話を作るのがこんなに難しいとは…!