やはりこの素晴らしい世界は間違っている。   作:ALQ

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長らくお待たせしました!
12話です。12話でまだハチマンのヒロインが出てきてないけどいいんだろうかと不安になってきますが、おそらくデュラハン倒したところぐらいで出てくると思います。多分。


唐突に、戦いは始まる

デュラハンがこの街に訪れた次の日、俺は一人である店の前に来ていた。店の名前は「ウィズの魔法具店」言わずもがなこの前会ったウィズの店である。

 

なぜ一人でウィズの魔法具店に来ているかというと、デュラハンのせいで高難易度クエストかカエル狩りぐらいしかないせいでお金を稼げていないアクアの借金がひどいことになってしまったらしい。そこでギルドに出ていた湖の浄化のクエストならアクアの力を使えば簡単に浄化できてしかも30万エリスとお得なクエストということでアクア達は湖に向かったのだが、俺は必要なさそうだったのでこの隙に衣類や武器などを揃えておくことにした。その買い物ついでに俺はウィズの魔法具店に来たというわけだ。

 

ちなみにいまの格好は、こちらの世界の服に、紺色のローブ、腰に短剣といった格好だ。俺には剣士適正があまりないようなので魔法使いぽっくローブを着て、ちょっと格好つけて短剣を買ってみた。片手剣スキルは持っていないが、まぁあとでカズマにでも教えて貰えばいいだろう。

 

カズマ達がクエストから帰ってきたら片手剣スキルをまず教えてもらおうと考えつつウィズの店のドアを開け中に入る。ドアを開けると上についていたベルが鳴り客の来訪を店の奥にいる店主に知らせる。

 

「はーい、いらっしゃいませー」

 

「…うっす」

 

「ああっ!ハチマンさんお久しぶりです。」

 

とウィズがにこやかに挨拶してくる。本当にこの人がリッチーだなんてなかなか信じられないものがある。

 

ウィズがお茶の用意をしてくるということなので、手持ち無沙汰になった俺は、店内にある魔法具を見て回った。そういえば俺の能力を魔法具に使うとどうなるんだろうかと考えているとお茶を持ってきたウィズが

 

「あっ、それは強い衝撃を与えると爆発するので気をつけてくださいね」

 

それを聞いてスッと棚に戻し隣のポーションを手に取る

 

「あっ、それは水に触れると爆発します。」

 

「おい…ここ魔法具店だよな?爆薬しかないじゃないか!」

 

「ちちち、違いますよ!そこは爆発シリーズが置いてある棚なだけです!」

 

魔法具店に爆発シリーズなるものがあっていいのかと思いつつ、お茶が置かれている席に座る。

 

「まぁ、いいやとりあえずこの前言っていた。リッチーのスキルというのを教わりに来たんだが」

 

「えっと、この前の恩返しとしてスキルを教えて差し上げたいのですが、えーと、私のスキルって相手がいないと使えないものばかりで私のスキルを受けてくれる相手がいないと教えられないんですよね…」

 

と、困ったように笑うウィズ。

 

くっ、まさか今日一人で行動していたことが裏目にでるとは…ってよく考えたら大体一人でしたね。

 

「まぁ…それなら仕方ないか…今度またカズマ達とくるわ」

 

「はい、お待ちしてますね?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

あの後1時間ぐらい魔法具についての話を聞きながらお茶を飲んだ後、銭湯に一人ゆったり浸かった俺はギルドに向かっていた。

 

やっぱり銭湯は、一人で入るに限るな。修学旅行とかだと周りのテンションが上がりまくってゆっくり入るなんてことができやしないからな。まぁ俺ぐらいのボッチになると部屋にある風呂で済ませてしまうのだが。

 

と修学旅行の嫌な思い出を思い出していると、カズマ達の姿が見えた。何か言い争っているようだ。

 

「……カな!……連れ込んで?!…閉じ……漬けた!?」

 

なんだか鎧を着た男がカズマに突っかかている。それを見た俺は面倒くさそうな案件だったので見なかったことにしてギルドへ向かう。触らぬ神に祟りなしってな。

 

「あっ、ハチマン!おーいハチマン!ちょっとこっちに来てください!」

 

しかし現実は非情だった。通り過ぎようとした俺を見つけためぐみんに話しかけられた俺は仕方なくめぐみん達のところに向かう。

 

「なんだよ…今日は飯食ってゆっくり寝ようと思ったのになんでこんな面倒くさそうなことに巻き込まれなきゃいけないんだよ…」

 

「そんなこと言ってる場合じゃないですよ!なんかカズマとあのいけ好かないエリート野郎が勝負することになりそうなんです!」

 

「…勝負?」

 

と俺の疑問にダクネスが答える。

 

「あぁ一対一の勝負だ。カズマが負けたら私たちがあの男のパーティーには入らなきゃいけないらしい」

 

「でもまぁそれならいいんじゃないか?あんな高レベルそうな冒険者についていけるんだ。カズマが負けたとしてもお前達からしたらラッキーだろ」

 

と俺の発言にダクネス、めぐみんが嫌そうな顔をする。

 

「ハチマン…それを本気で言ってるならあなたの神経を疑いますよ…あいつはですね…」

 

とめぐみんが続きを言う前にカズマとイケメン男の勝負が始まる。

 

「先手必勝!」

 

とおそらく会話中に突然攻撃したのだろうカズマがイケメン男に急接近する。

 

「いや、ちょっ!くっ…!?」

 

しかしおそらくかなりの高レベル冒険者なのだろう。カズマの動きにすぐさま反応して腰の剣を抜きカズマの小剣を受け止めようとする。その動きにカズマが左手を突き出し魔法を使う。

 

「『スティール』ッ!」

 

その言葉と同時にカズマの左手にイケメン男がしていた小手がいつの間にか出現する。

 

「ちっ!」

 

カズマがその舌打ちを打つのと同じぐらいにカズマの小剣とイケメン男の剣がぶつかりカズマの小剣が折れる。

 

「なっ…!」

 

「勝負あったようだね。やはり卑怯なことをしても、最弱職の君じゃ僕には勝てないんだよ。所詮君はパーティーメンバーに恵まれていただけというわけさ。」

 

その言葉を聞いた俺はなぜだかイラッときた。おそらくこの男がすごく俺の声に似ているせいで、なんだか俺が言ってるみたいに感じて心底気持ち悪くなってくるのだろう。それに俺はこういうリア充オーラを出したイケメンが大っ嫌いなのだ。

 

「ほー、卑怯ねそれなら、その最弱職に絶対勝ち目のない一対一を申し込むあんたも卑怯なんじゃないのか?」

 

その言葉にやっと俺の存在に気づいたイケメン男とカズマがこちらを振り向く。

 

「えーと、失礼だが君は誰だい?それに僕が卑怯だって?」

 

「俺はヒキガヤ ハチマンだ。一応このカズマ達のパーティメンバーの一人だ。」

 

「そうか、君も彼の仲間だったのか、僕はミツルギ キョウヤ。君もアクア様と一緒に僕たちのパーティーに来るといい。サトウカズマと違って僕なら君にあう高い武器だって買ってあげられるよ。。」

 

「確かに…カズマのパーティーはひどいもんだ。その点お金をたくさん持ってそうでしかも高レベル冒険者らしいお前のパーティーは素晴らしいもんなんだろう。」

 

「ああ!そうだよ、だからアクアさん達と一緒に君も!」

 

「そんないろいろ持っているお前が!最弱職のカズマの唯一の取り柄であるパーティーメンバーすら奪う気なの?人として恥ずかしくないの?」

 

「…おい、ハチマン…」

 

とカズマが俺の言葉に傷ついたような顔で話しかけてくるが無視だ。

 

「お前がやっていることは人倫に触れる行為だ。最弱職の人間に一対一の勝負をしかけてそのパーティーメンバーを奪っていくなんて、それが人間のやることかよ!」

 

「うっ…まぁそれを言われると確かに…」

 

その言葉を聞き俺はかすかに笑みを浮かべる。

 

このまま押し切って今回の話を無しにしてしまおう。

 

「それじゃ…先ほどの戦いは無しにしよう。確かにソードマスターの僕が冒険者に対して一対一を申し込むのは卑怯な方法だったね。」

 

よし、これで今回の話はなしに…

 

「だからハンデとして君とサトウカズマ二人がかりでかかってくるといい。」

 

「…は?」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「おい、ハチマン…どうすんだよこれ…」

 

「どうすると言われてもなぁ…」

 

俺の言葉が逆効果だったのか今度は二人がかりでこいつを倒さなくてはならなくなってしまった。しかも先ほどカズマから聞いたのだがこいつ俺たちと同じ転生者で魔剣を特典としてもらっているらしい。

 

「とりあえず俺があいつを抑えるから、カズマはどうにかしてあいつに一撃を食らわしてやれ。」

 

「どうにかして…ねぇ…」

 

「あぁ…頼んだぞ」

 

俺たちの作戦会議とも言えない話し合いが終わり俺たちは魔剣使いに向き合う。

 

「話し合いは終わったのかい。それじゃさっきみたいな卑怯な手を使われないように今回はこのコインが地面に落ちた瞬間に戦うというルールをつけよう。」

 

「ああ、わかった。」

 

そうしてミツルギがコインを上に投げる。そうして魔剣使いは腰の魔剣を抜き、カズマも俺が渡した短剣を構える。

 

「ちゃりん」

 

とコインが地面に着いた瞬間ミツルギはすごいスピードでこちらに走ってくる。

 

「ちっ!『クリエイト・アース』!『レベルブースト』ッ!」

 

「『ボトムレス・スワンプ』ッ!」

 

俺は土の初級魔法を土の上級魔法のである泥沼を作り出す魔法に変化させる。

 

「なっ…!ふんっ!』

 

いきなり足元に泥沼ができたミツルギは一瞬体の体勢を崩すがすぐさま立て直し泥沼から抜け出す。

やはりこの程度じゃ足止めはできないらしい。

 

「『ライト・オブ・セイバー』ッッ!」

 

あの程度じゃ足止めにならないと予想していた俺は、光の初級魔法を光の上級魔法に変化させ泥沼から抜け出したばかりの魔剣使いに光の光線を放つ。

 

「はぁ…ッ!」

 

その言葉とともにミツルギの魔剣と俺の魔法がぶつかり…魔剣が魔法を弾く。いったい剣が魔法を弾くなんてどういう原理なんだ。

 

「ちっ!」

 

思わず舌打ちを吐きつつすぐさまつぎの魔法を放つ準備をする。

 

「『フリーズ』ッ!『レベルブースト』ッ!」

 

「『フリーズバインド』!」

 

次は氷の上級魔法で相手を氷の縄で拘束する魔法を放つが氷の縄がミツルギを捕らえる前にミツルギはそれをすぐさま跳躍して躱す。俺はその行動の迅速さに驚きほんの少し対応が遅れ、すぐさま距離を詰められる。

 

「ちっ!はや…ガハッ!」

 

そして、目にも留まらぬ速さで俺の鳩尾を柄で殴られる。

 

「ハァハァ…君なかなかやるね。油断していたら負けていたところだった。」

 

その言葉に鳩尾の痛みも忘れてニヤリと笑ってしまう。

 

「ん…なんで君は笑って…いや!そういえば君との戦いに夢中で気付かなかったがサトウカズマは一体どこに消えっ…」

 

「ふっ…!」

 

潜伏で隠れて背後に回っていたカズマが短剣を魔剣使いに振り下ろそうとするがこれも見事に反応した魔剣使いは振り向きざまに魔剣を横にしてその短剣を受け止めようとする。その行動に俺は右手を突き出し

 

「『スティール』ッ!『レベルブースト』ッ!」

 

「『強奪』!」

 

その叫びと同時に右手に剣の重みを感じる。

今使った『強奪』というスキルは海賊という特殊な職業が使えるスキルだ。この強奪は窃盗と違い盗むものを指定して盗み取ることができる。まぁ、盗めるかどうかは自分の幸運のステータスによるのだが今回はうまくいったようだ。

 

俺の前ではカズマの振り下ろす短剣を受け止めようとした魔剣使いの手から魔剣が消える。

 

「「「は?」」」

 

と魔剣使いやめぐみんたちがいきなりのことに驚く。

 

しかしカズマは、そのことに驚きもせず魔剣使いへ容赦なく短剣を振り下ろし魔剣使いの頭を強打した。

 

 

 


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