やはりこの素晴らしい世界は間違っている。   作:ALQ

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今回は能力についての説明回なので、文章が長ったらしいです。
もうちょっと上手く説明できるようになりたい…


そうして、比企谷八幡は自分の考えの甘さを知る。

ゾンビメーカー討伐のクエストを行った日のお昼、少しの仮眠をとった俺はまたカエルのいる草原に1人立っていた。

 

「ふぅ…、やはり1人はいいな…」

 

思うと、この世界に来てからというものカズマたちとずっと行動していたため全然1人の時間がなかった。生前ぼっちだった俺としてはずっと集団行動で、しかもその輪の中に入らなきゃいけないというのはなかなかに精神力を使うものだ。

 

そんな彼らは今どうしているかというと、カズマとめぐみんは1日1爆裂がどうとか言って出かけて行き、アクアはお金がないからという事で日雇いのバイトを、ダクネスは筋トレをしに一時的に家に帰ると言っていた。そして、見事ぼっちになった俺はとりあえず自分の能力をもっと詳しく知ろうと思い、この草原に来たわけだ。

 

「さぁ、いっちょやりますかね…」

 

正直、俺はこの世界に来た時魔王に侵略されててやばいという話を聞いていたため、もっとやばい世界だと思っていた。だから俺はカズマ達のパーティーに加入したわけで、しかし蓋を開ければ、出会ったのは飲み込むしか能のないカエルと戦闘意識のないアンデッドの王だ、何が世界の危機だ舐めてんのかって話だ。

 

おそらくこの世界なら、俺の能力があれば生きていけると感じた俺は、この草原でレベル上げをしてカズマ達のパーティーを抜けて、次の街へ行こうと考えたわけだ。

 

まぁ、あれだ強い獣は群れたりしない。一匹狼という言葉があるぐらいだからな。つまり群れないぼっちは必然的に強いということになる。

 

そんなくだらないことを考えつつ俺はカエルに向かって魔法を打つ用意をし始めた。

 

 

 

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人間、1人で生きていくことはとても難しい。

 

「うぉぉぉおぉお!」

 

カエルから全力ダッシュで逃げながらそんなことを頭の片隅で思った。

 

一体なぜこんな状態になっているかというと、あの後とりあえず近くのあのカエルに向かって中級魔法でも打ってみるかと思い、『ティンダー』を使った、あと『レベルブースト』を使ったものの中級魔法が出ず、戸惑っているところ近くにいたカエルが、俺の存在に気付き今の状態に至ったわけだ。

 

「くそっ!なんででないんだ!『ティンダー』ッ!『レベルブースト』ッ!」

 

「くそ、いったいどうなっ…「パク」

 

魔法を打とうと振り向いたのがいけなかったのか案外近くまで近づいていたカエルに食べられてしまった。

 

カエルに飲み込まれる中で「あっ、カエルの中っていい感じにあったかいな」という現実逃避した考えが浮かんできた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

死にもの狂いでカエルから脱出した俺は、現在アクアに回復魔法をかけてもらっていた。

 

「いったい、カエルと戦って何をしたら火傷なんてするのかしら」

 

「おっしゃる通りです…」

 

俺はカエルに飲み込まれた後、どうにかして脱出しようとカエルの中でティンダーを唱えてレベルブーストを使いまくっていたところいきなりティンダーの火がライターレベルの火ではなくカエル一匹を、飲み込むほどの大きさになりそれのおかげで腹から脱出できたのはいいものの、右半分がほぼ火傷状態になり、近くにいた冒険者に助けてもらって、ギルドまで運んでもらい今に至る。

 

ちなみに制服は燃えてしまったので、今はカズマが使っていたという作業着を借りている。そろそろ装備も買わなくちゃな。

 

そうして俺はアクアに火傷を直してもらいつつ、今日わかった能力についての情報を整理してみる。

 

まず1、なぜ、中級魔法が使えなかったか、これはおそらく俺がこの世界の中級魔法を知らなかったからではないかと思う。爆裂魔法が使えた時の状況と、中級魔法が使えなかった状況を比べるとこのぐらいしか考えられない。俺は爆裂魔法を使う前に一度めぐみんの、爆裂魔法を見ている。しかし今回の中級魔法に至ってはまずどんな魔法があるのかも知らない状態で使おうとした、そのせいで魔法が発動しなかったのだと思う。

 

その2、急にティンダーの威力が上がったこと。考えてみると俺の能力『レベルブースト』は、ある要素からその要素を含むものに変化させる能力だと、エリスは言っていた。つまり剣を変化させて聖剣や、魔剣、ボロい剣に出来るという話だったが、ならなぜレベルブーストという名前なのか、それなら物質変化とかの方がしっくりくる気がする。つまりこのレベルブーストという能力の本来の使い方は剣を聖剣などに変えるのではなく、魔法などの威力をあげるのが本来の使い方と考えると、ティンダーの威力が急に上がったのも納得がいく…気がする。

 

まぁ、とにかく今日のことでわかった。人間1人で生きていくのは存外に難しい、とりあえずあとでめぐみんに中級魔法と、上級魔法について聞いておこう…

 

 

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カエルに食われ大火傷を負ったあの日から3日ほど経った日のお昼過ぎ、俺はギルドで羊皮紙を見つめながらこの3日間ダクネスにカエル狩りを手伝ってもらいつつ、わかった自分の能力についてまとめていた。

 

レベルブースト

 

能力1、ある一つの要素の強化。例えば耐久性をあげたり、剣の鋭さをあげたり、爆発の威力を高めたりなど、この強化には制限が無いが、どれぐらい威力を上げるかは自分で調節しなくてはいけないため、注意が必要。一度調節に失敗してダクネスの剣の鋭さを上げすぎて鞘に収まらなくなってしまったという事件が起こった。

 

能力2、ある一つの要素から、その要素を持つものに変化させる。これは自信が想像できるものまたは、知識があるものに限る。しかし想像さえ出来ればどんなものにも変化が可能。エクスカリバーを再現できた時は心が躍ったが、エクスカリバーを打つととんでもない魔力消費に加え、たった一発で剣が耐えきれず折れてしまうというとんでもないコスパの悪さでエクスカリバーはお蔵入りになった。そして、上記の知識があるものとは、文献や人から聞いたものでもその知識があれば再現可能。

 

能力3、この能力は生物には効かない。

 

能力4、体の一部が触れない限り能力は、発動しない。

大火傷を負った次の日に、クリスに魔王を倒せる可能性があるとかいうスキルを教えてもらった時(ちなみにこのスキルとはスティールという、相手の持ち物を奪う魔法でクリス曰く、これを使えば魔王の武器を奪える可能性があるからもしかしたら魔王を倒せる【かも】しれないねなんていう屁理屈を言われた。)ついでに潜伏と、敵感知というスキルを教わったのだが、このスキルの強化を行うことができなかったこと、それと、めぐみんの杖を借りて魔法を打った時に中級魔法や、上級魔法を打てなかったことから俺の能力は強化する対象に直接体に触れなければならないということがわかる。

 

能力5、重ねがけはできない。

つまり、耐久性を上げた剣を聖剣に変えることはできない。逆も然り。

 

能力6、変化させた物は壊れなかったとしても24時間で元に戻る。

 

「っと、これぐらいかな」

 

羊皮紙に能力についてまとめ終わった俺はコーヒーを飲みつつ今まで書いたことを見直す。

 

「もしかしたらまだあるのかもしれないが、とりあえずこれぐらい分かれば十分だろう。」

 

と呟きつつ俺は今日は体を休めるために銭湯に行ってゆったりするかな…と考えているといきなり町中にアナウンスがなった。

 

『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で町の正門に集まってください!』

 

この世界に来てから全然ゆっくりできてないな…と思いつつ俺は、やる気の出ない自分に鞭打って町の正門へ向かった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

町の正門についた俺は、カズマ達の姿を見つけ歩み寄る。

 

「おい…カズマこれはどういうことだ…」

 

と、俺の質問に真剣な顔でカズマが答えてくる。

 

「さっきのは緊急アナウンスっていて町の危機の時に使われるんだ。つまりこの町にヤバイのが来てるってこと」

 

その言葉に返事をする前に俺はカズマのいう意味を理解した。

 

ドーン!という雷の音と共にこんなことになっている元凶が現れる。

 

 

デュラハン

 

 

それは人の死を宣告し、絶望を与えるとされる騎士で言わずと知れたアンデッドモンスターだ。

 

俺や他の冒険者達はその凄まじい威圧感に呆然と立ち尽くした。

 

すると、デュラハンは左脇に抱えた自分の首を俺たち冒険者に差し出した。

 

差し出された首からくぐもった声が放たれる

 

「…俺は、つい先日この近くの城に越してきた魔王の幹部のものだが…」

 

すると鎧全体がプルプルと震えだすと

 

「まままままま、毎日毎日毎日毎日っっ!おお、俺の城に、毎日欠かさず爆裂魔法を撃ち込んでくる頭のおかしい大馬鹿は、誰だぁぁぁぁー!!」

 

魔王の幹部は、今まで我慢していたものが切れたかのようにとんでもない怒りを爆発させた。

 

 

 

 




比企谷八幡

レベル7
スキルポイント7
取得スキル 初級魔法、潜伏、敵感知、窃盗(スティール)

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