由比ヶ浜悠斗を含め、奉仕部員はなにかと問題を抱えている。 作:オロナイン斎藤。
『お兄ちゃんへ!
お昼ご飯食べ終わったらテニスコートに来てね!
ゆいより
G.S.
私も奉仕部に入ったよ!』
「...は?」
翌日の昼休み。俺は昼食をとるために部室へ向かうと黒板にデカデカと書かれた文字を見て思わず拍子抜けしてしまった。
ていうかG.S.ってなんだよ。きっとP.S. って書きたかったんだろうけど間違えたのか、はたまた中途半端な知識で書いたのか。
どっちにせよ浅はかだなぁ...うちの妹。だがそこがいい。うちの妹超可愛い。
しかもご丁寧に
『にゅうぶとどけ
私はほーし部に入部します!
v(。・ω・。)イェイ♪
2年F組
由比ヶ浜結衣』
とか書かれた紙が黒板の右下に貼ってあるし...奉仕はともかく入部届くらいは漢字で書いてください。さすがにお兄ちゃんは恥ずかしいですよ。
...飯はあっちでも食えるし、とりあえずテニスコートに向かうか。
「せーんぱい!」
テニスコートへと向かう道中で聞き覚えのある甘ったるい声に呼び止められた。振り返るとそこにはやはりというべきか、一色いろはが立っていた。
「おう、いろはか」
突如現れた後輩に対して無難に返事をすると何故か不満そうな顔をしている。え、なんで?
「む、こんなに可愛い彼女が声をかけたっていうのに相変わらず先輩は反応薄いですね」
「自分で可愛いって言ってる時点でもうあれだろ」
可愛いってのは否定しないけどこいつ自分で自分のこと可愛いって言っちゃうからなぁ。まぁそんな自信家ないろはすも素敵だと思います、はい。
「にしてもこんなところにいるなんて珍しいですね!もしかして私のこと探してました?」
「いや、それはない。生徒会副会長はお仕事で忙しいのでそろそろ行ってもよろしいでしょうか」
「お弁当を持ってるってことはお昼まだですよね?一緒にランチとかどうですか?」
「人の話聞いてる?」
学校で昼食のことをランチって言ってるやつ初めて見たぞ。丸の内のOLかよ。
「今日は生徒会ないってめぐり先輩から聞いてますよ」
「おぅふ...」
めぐりめ...余計なことを...今度会ったらくすぐりの刑だな。なにそれ超楽しそう。むしろ個室で一週間くらいイチャイチャしすぎて逮捕監禁罪で捕まっちゃうまである。捕まっちゃうのかよ。
「あ、本当になかったんですねー」
「貴様謀ったな!」
どうやらカマをかけられていたらしい。やだ、いろはすってば超策士!
それと同時に俺とめぐりんのイチャイチャルートが途絶えてしまった。絶望しかねぇなオイ。
「そんなわけなんで行きましょう。屋上でいいですか?」
「いやいや屋上は立入禁止だろ」
「ふっふーん。実はあそこの鍵壊れてるらしくて開いてるみたいなんですよ。学校の屋上でランチとか憧れるじゃないですかぁ」
「屋上の鍵壊れてんのか。申請出しておかないとな」
結局出し忘れてそのままほったらかしってのがオチだろうけど。
「なんで普段適当なのにそういうところだけキッチリしてるんですか...もしかして私とお昼食べるの嫌なんですか?」
「いや別に嫌というわけではないんだが、ほら、結衣ちゃんに呼ばれてるから」
「うわでたシスコン」
「ばっか、お前あんな妹いたら愛でるしかねぇだろうが」
「うわぁ...」
「お前のその顔久しぶりに見たぞ...」
いろはが俺を見て本気で引いていた。マジで傷つくのでその顔はやめてください。
「まったく、先輩は私と結衣先輩どっちが大事なんですか?」
「結衣ちゃん」
「...ところでなんですけど、先輩は私と結衣先輩どっちが大事なんですか?」
「なんでもう一回聞いたんだよ...」
まさかの再審要求。どうやら不服だったらしい。
まるで『私と仕事どっちが大事なの?』とか言われている気分である。
『そんなのお前の方が大事に決まってんだろ愛してるぜ』で、えんだああああああああいやああああああ(熱唱)で終わりなんだろうけど選択肢が悪かったないろはちゃん。
というかそんなどちらが大事なんて決められるわけがないでしょうに。
...とか言ってる割には結衣ちゃんと即答した俺がいるわけだが。まぁ、あれだ、条件反射ってやつだな。多分。
「どうせ先輩のことだから私よりも結衣先輩を選ぶとは思ってましたけど...。でも、もう少し悩んでくれたっていいじゃないですかぁ...」
彼女の瞳が潤んでいた。演技だとは思うが、そこには一抹の不安が含まれているようにも見え...ないな。これ絶対に演技だわ...。
にしても三年生の俺が一年生のフロアにこうも長居しているとなると、周囲からの視線が痛いので今すぐにでも立ち去りたいのだが...しかし今にも泣きそうな(演技をしている)少女を放って去るほど俺は鬼ではない。
「...んーあれだ、お前も来るか?結衣も喜ぶだろうし」
「いや、わたし的には先輩と二人きりがいいんですけど」
さっきまで目が潤んでいた彼女だったが既にケロッとしていた。やはり演技だったらしい。
「じゃあ放課後な」
「それってもしかしてデートですか?」
「まぁ...そういうことだな」
「でも今日は部活終わるの遅いですよ?」
「どうせ部室で寝てるだけだから構わん。終わったら部室に来てくれ」
「いつも思うんですけどそれって部活としてどうなんですかね...」
そんなこと言われてもなぁ...。文芸部と似たようなもんだろ。多分。いやそれだと文芸部に失礼か。うちの学校に文芸部ねぇけど。
「まぁいいです。先輩との放課後デートを取り付けることもできましたし、りょーかいです!行ってよし、です!」
「そりゃどうも」
あざと可愛らしく敬礼をする彼女に適当に返事をして俺はテニスコートへと向かった。
やっふぃろー!(奇声)
そんなわけで早くも11話です。
今回も戸塚とテニプリしなかったけど次回はするよ!多分!
かくいう私はテニプリ全くわかりません。戸塚...じゃなかった、手塚ゾーンくらいしか知らない。わりとマジで。
今回は珍しく更新予定日に更新できましたぜ旦那!
私ってばやればできる子なんですね。巷で噂のYDKってやつですね知ってました(慢心)
しかし文章量が少なめだったってのがなんとも。
そういえば何話ぶりかわからないけど、いろはす出てきましたね。もしかして次回も放課後デートすんのかこいつら。またスタバかな?お?
とかいっちゃって私は人生でスタバは2回しか行ったことないわけですが。
...はぁ...制服デートとかしてみたい人生だった...。
次回更新予定は3月24日です。
多分遅れるよ!今回更新できたのはたまたまだよ!
よろしくです