サモンナイト ー生贄の花嫁ー   作:ハヤクラ派

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考えてる構想と実際書いてる内容が一致してない…
8割ノリで書いてるせいだよなぁ…
大体4割オリジナルやわ

※後半部分書き直しました、気に入らないなら投稿はするべきではなかったと反省


第4話 悪魔竜の爪

――人は変わってゆく…でも変わる前の自分はどこに行くのだろう――

 

 

彼、ハヤト・シンドウは今までで一番混乱していた

 

ニャーニャーニャーニャーニャー

 

けたたましく聞こえるネコの鳴き声。それだけなら別に気にしないだろう。

 

「いっぱい…つれたね…」

「…うん」

「…うれしくないの?」

「いや…うれしいよ」

 

チラリとクーラーボックスのほうを見るとアルバとフィズが遊んでいる

 

「すっげぇ!今日はお肉食べられるな!」

「ニャン魚なんていつ以来かしら!」

「・・・・・・」

「…ん?」

「ああ、兄ちゃんのところだとネコと魚は合体してなくてねちょっと困惑してるんだ」

「…いぬもいるよ?」

「サイですか」

 

釣り師、ハヤト・シンドウ。リィンバウムに来て一番理解できない事態だった

 

 

孤児院の広間ではハヤトと子供たちを除くフラットのメンバーがそろっていた

 

「…あの、どうでしょうか?」

 

リプレに着付けてもらい上半身は赤い着物をまとい胸はポッチが付いてる布が着けてあり、ベルトは布を巻くタイプで白いスカートを履いているクラレットの姿があった

 

「うんうん。よく似合っとるぞ」

「これならお前も、立派にこの街の住人だぜ」

「一応リクエスト通りに作ってみたけど、寸法はどう?ゆるかったりしない?」

「はい、大丈夫ですよ。…あの」

「あ、ハヤトのこと?なんか釣りに行くって言ってたから子供たちとレイドと一緒に釣りに行っちゃったわよ」

「そうなんですか…」

「もしかして…、一緒に行きたかったの?」

 

リプレの一言に顔を真っ赤にしてクラレットは否定し始めた

 

「そ、そんなことないですよ!普段は一緒に行ってましたし。毎回一緒ってわけにはいきませんから」

「へぇ~、普段は一緒に行ってるんだぁ」

「あ、あうー」

 

そんな話をしながら服の着付けは終了した。そのあとクラレットとリプレは家事をしはじめた。

洗濯、部屋の掃除などをしてお昼の準備をし始めたときリプレはクラレットに一言頼んだ

 

「さてと…、お昼作るからたぶんアルク川にいるみんなを呼んでくれないかしら?」

「じゃあ、行ってきますね」

 

クラレットはまだこの世界の料理に馴れてはいない、適材適所というやつだ。

そして玄関に近づくとそこには今から出かける半裸の男、エドスの姿が見えた

 

「エドスさん、お出かけですか?」

「おお、仕事だよ。建物用の石材の切り出しをたまに手伝ってるのさ。稼ぎはしれとるがな」

「石の切り出し… 大変なお仕事なんじゃないですか?」

「まあ、そうかもな。しかし、どんな仕事にしても、それなりに苦労はあるさ」

「たしかにそうですね」

「リィンバウムでは、専門の技術を持っている人間が重宝がられていてな…、ほんの少しだが、給金も高くなるのさ。ワシは石工の見習いだったことがあるんで、それを活用してるってわけだ」

「なるほど…、引き留めてすいませんでした。行ってらっしゃい」

「おお、行ってくるな」

 

二人で玄関を出て直ぐにわかれる、そしてクラレットはアルク川へと向かっていった

 

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そのころアルク川ではハヤトたち居た、座りながら釣りをしてるようで膝にはラミが人形を抱きながら収まってた

レイドはその近くの木で剣の手入れをしている。フィズとアルバは川近くで遊んでるようだ

ちなみにクーラーボックスの蓋を閉じたため鳴き声は聞こえない… 耳すませば聞こえるが

 

「腕の具合はどうかな?」

「結構よくなりましたよ。メイメイさんの薬が効いたようです。すっごい苦かったですけど」

「ははは、確かに一晩中渋そうにしてたな、だが効き目はよかっただろう?」

「良薬は口に苦しってやつですね」

「それは?」

「俺たちの世界のことわざで親の言うことはあなたのことを思って言ってくれた言葉って感じの意味ですよ。親限定じゃないですけど」

「…リプレママがわたしたちをおこるのとおなじ?」

「そうだな、悪いことをしたら叱るって意味だな」

「・・・」〈コクン

「ことわざか…君の世界は不思議な世界だな。話に聞く限り平和そのものだ」

「少なくとも俺の住んでた国は平和でしたよ。ほかはよくわかりませんが」

 

平和な国、確かに平和だったけどそのせいで今は苦労してる。バノッサの戦いの時もズタボロにされたし、もう少し戦えるようにならないとなぁ…

 

「…レイドさんは剣の手入れをしっかりするんですね」

「ああ、習慣みたいなものさ。自分の命を預けるものだからね」

「レイドさんは強いよな、うろ覚えだったけどオプテュスを下がらせたんですから、俺たちとはレベルが違う気がしますよ」

「ははは、正式な剣術を学んでるかどうかの違いだけさ、君の身体能力もかなりのものだと思うがな」

「あれは…ズルしてるだけですから」

「…おにいちゃん、ズルしてるの?」

「うん、この世界に来てから妙に力が湧き出ててな。クラレットはそうでもないって言ってたからたぶん向こうの世界出身のせいじゃないかな」

「そうか…それでは宝の持ち腐れだろう、少しくらいなら型を教えてあげようか」

「ほんとですか!?助かりますよ」

「まあ、私ぐらいの剣の腕では教えるのも限界があるがね」

「そんなことことないですよ!」

「ちゃんとした理由があるんだよ。昔、私が騎士団にいたころに私の腕ではおよび持つかいない人がいたんだよ。そのあまりの剣撃の重さに【断頭台】と呼ばれるほどだった…」

「(この人にそこまで言わせるなんて、相当にすごい人なんだろうなぁ…)」

 

世間話をしていると遠くから「ハヤト―」と声が聞こえてくる、そっちを向くと小走りで近づくクラレットの姿が見えた

俺の腕からラミが飛び出してクラレットに近づいてゆく、フィズとアルバも気づいたようだ

 

「おねえちゃん…」

「ラミちゃん、迎えに来たよ」

「あれぇ!?お姉ちゃん、どうしたのその服?」

「ふふ、リプレに作ってもらったんですよ?」

「すごい!綺麗だよお姉ちゃん」

「ありがとう、フィズ。あ、ハヤトどうですか?」

 

クラレットは笑顔でその場でくるりと回転する、少し前の彼女に戻ったため行動が自然体になっていた

 

「・・・・・・」

「ハヤト兄ちゃんどうしたんだ?」

「あ~、うん、綺麗…だよ?」

「…あ、はい、ありがとう…」

 

ハヤトの顔が赤くなりそれを見たクラレットも顔が赤くなって二人とも直視できないまま時間が流れていった

 

「…クラレット、迎えに来てくれたのかい?」

「は、はいっ!そうですお昼ご飯出来ました!!」

 

正気に戻りクラレットはレイドに返事をする、少々落ち着いていないようだが

 

「そういえばハヤト、大漁ですか… え?」

 

ハヤトの周りにはバケツ3つと宝箱5個そして蠢くクーラーボックスがあった

 

「このクーラーボックスって何「あ、開けちゃダメ!」『ニャーニャーニャーニャ』…ふぅ~、慣れない家事で疲れてしまったんですね。私」

「現実逃避しそうだよな…」

 

そんなことが起こりつつハヤトたちはクラレットと一緒に孤児院へと帰宅した、ちなみに宝箱の中は錆びた鎧が入ってました

 

 

孤児院に入り各々に分かれる、俺とクラレットは釣りの成果を渡しに台所に向かうとリプレが何やら机の上の物体と格闘をしていた

 

「リプレ、いま戻りましたよ?」

「あ、うん…おか…えり…」

「パンを…こねてるんですか」

 

パンがとてもおいしいと思ったが手作りだったのかとハヤトは思った、そしてそのパンを作るのに随分と苦労をしてることにも

 

「こういう力仕事なら、俺がやるぜ」

「いいのよい、そんな」

「そうですよ、ハヤト。パンをこねるのは専門作業なんですから」

「そうなのか?」

「パンがふっくらと膨らませるには生地に空気をよく混ぜないといけないんですよ。ですからこねるときに気を付けないといけないんです」

「へー」

「はい、じゃあリプレ。私が変わりますよ?」

「そう、じゃあ頼もうかしら」

 

普段から一緒に家事をしてるクラレットなら平気かもしれないと思いリプレは交代した

 

「ん…!思ったよりも…っ!硬いですね。私の知ってる生地とやっぱり違うんですね…!」

「そうなの?うちじゃ結構普通なんだけど」

「やっぱり世界が違うと素材も結構変わるもんなんだな」

 

クラレットが生地と奮闘してるとハヤトの持ってきたクーラーボックスにリプレが目をやる

 

「あ、そうそう釣りの成果はどうだったの?」

「え?あーうん、釣れたよ?」

 

ボックスを開けるとまたニャン魚が『ニャーニャー』言ってるがそれを見てリプレの顔が笑顔に包まれた

 

「すごい!ニャン魚をこんなに釣れるなんてさすがね!どう料理したらいいか迷っちゃいそう。ご苦労様、きっとみんなも喜んで食べてくれるわ」

「…わーい、楽しみだなー」

 

ハヤトは考えるのをやめることにした、これがこの世界の普通なんだ。そう思うことにしたのだ

 

 

お昼を食べ、ハヤトがレイドと剣の稽古を始めてるときクラレットは暇だった、

リプレはニャン魚の下ごしらえをしてるが、まだ見慣れてないためクラレットは辞退したのだ

 

「…はあ、なんか暇になっちゃいましたね。でもあれの完成形見ないで調理するのは…ネコ、好きですし」

「よお、クラレット。なんか暇そうだな?」

 

クラレットが黄昏ているとそこにガゼルが現れる、何やらニヤニヤしてるが企んでるときはいつもにやけてる気がする

 

「はい、ちょっと落ち着いたので暇になってしまい…」

「ふっふっふ、だったら俺に付き合ってもらうぜ!」

「付き合うですか?どこかにお出かけでも?」

「薪が切れちまったんで取りに行くんだ。付き合うよな?」

「はい、ご一緒させていただきますね」

「よっしゃ!」

 

ガゼルと一緒に薪拾いに出かける前にクラレットはハヤトに挨拶しようと庭のほうに顔を出す、そこでは汗を流しながら剣を動かすハヤトがいた

 

「剣には大まかに守りの型と攻撃の型の二つがある、君に教えるのは守りだ。まずは身を守ることを優先するんだ」

「はい!」

 

道場から持ってきたと思われる刃がない鉄の剣をレイドと打ち合っていた、実力差は素人目でもしっかりわかるがハヤトの動きがだんだん良くなっていく

 

「(…才能はかなりあるな、それに染まってない分とても覚えが早い。だが一度覚えると癖になりやすくなるかもしれんな)」

「レイドさん、どうですか?」

「ああ、型通りの動きなら問題ない。打ち込み方を変えるから返しをしっかりとな」

「はい!」

「ハヤト兄ちゃんすっげぇ、レイドと打ち合うなんて!」

 

ハヤトもすごいがやっぱりレイドさんは指南役の資質がある気がします、初心者のハヤトをあんなに動かせれるんですから

そう思って見つめていると後ろから待ちきれないのかガゼルが姿を現した

 

「お、やってるなハヤト!」

「あ、クラレットにガゼル、どうしたんだ?」

「今から薪拾い行くからクラレット借りるぜ」

「え?じゃあ俺も…」

「いや、ハヤトはここで稽古を続けててください。レイドさんもいつも時間があるわけでもありませんし」

 

その言葉を聞きしばらくハヤトは考えていたが、答えを出して口にする

 

「そうだな、じゃあガゼル、クラレットのこと頼んだぜ。レイドさんお願いします!」

「ああ、ではいくぞ!」

 

再び剣の打ち合いを始めるハヤトに目をやりながら私たちは孤児院から出て行った

 

 

私とガゼルさんが外へ向かうために門に向かいがなぜかガゼルさんは外壁のほうに向かってゆく

 

「あの、町の外に出るのなら、門はこっちでしたよね?」

「ちっちっ…、アレを見ろよ」

 

外壁の方を確認すると砲弾か何かで崩れている大穴があった

 

「こんな穴があったなんて…」

「あそこから出た方が楽だろ?いちいち門兵にも見られなくて済むしな」

 

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私たちは森に向かうため道を歩きながらガゼルさんは話してくれました

あの大きな穴はずっと昔の戦争で空いた穴だそうで、修繕などをしないでずっとほったらかしだそうです

 

「ってなわけでな、戦争の時に壊れた壁がほったらかしになってるのさ」

「…それでみんな外に出るときはあそこを利用してるわけですね?」

「まあな、この街のスラムは、みんな壊れた壁のそばにあるんだぜ。外敵が襲ってきたときに一番やばい場所だからだれも住みたいとは思わねぇんだよな」

「そんな危険なら布でもかぶせて隠せばいいのに…、そういえば私もあの穴を通った気がします」

「本当か?今まで知らなかった見てえだがよ」

「考え事してて気付かなかったみたいですね。でもそれなら空いてて良かったです。皆さんに会えましたし」

 

森に入る前に少し止まりガゼルさんは荒野の方を指さした、あっちは確か私が来た方向だった気がする

 

「あっちにお前の最初に来た場所があるんだよな?」

「はい、召喚術の儀式が行われてたはずです。すぐにその場を離れたのでよくは調べてませんが」

 

ガゼルさんは少しばかり考えてるようだった、6秒ぐらいしてニカっと笑いながらこちらを見る

 

「…なあ、行ってみるか?」

「え!?」

「明日にでもみんなに声かけてよ、何か手掛かりがあるかもしれねぇだろ?」

「た、たしかに召喚術の名残が残ってれば手掛かりはつかめますが…」

「じゃあ決まりだな!」

「で、でも危険です!私は呼びだした召喚師達が居たりなんかしたら…」

「レイドたちにも頼むし危険ならすぐに逃げれば平気だろ?町からも近いんだすぐに駆け込めば何とかなるさ」

「・・・・・・」

 

私はガゼルさんの言葉に反論できなかった、彼は善意で言ってくれている、迷惑をかけた私たちを助けてくれるのだ。でも確かに危険だが名もなき世界へのゲートの名残が残っていればもしかしたら帰れるヒントが得られるかもしれない

 

「わかりました。明日みんなで行きましょう、でも、危険だと思ったらすぐに逃げることをお願いしますね」

「ああ、決まりだな」

 

そのあと薪拾いを始めた、薪なんてキャンプなどでしか集めたことないので苦労しました

大きすぎるや濡れすぎているなど色々とご忠告をいただけましたし。そのおかげか随分な量がたまり私たちは帰ることに

 

「おい、重くねえか?」

「大丈夫ですよ。ガゼルさんこそ私よりも随分持ってるみたいですけど平気ですか?」

「さすがに女にそこまで持たせられねぇよ。リプレじゃねえんだしよ」

「ふふふ、リプレに言っちゃいますよ」

「うひ~、それはだけは簡便ってやつだ。アイツは手加減してこねえんだからよ」

「それだけ気を許してるんですよ」

 

そんな話をしながら森から出ようとすると私は何かの人影を確認した

 

「…?いまだれか」

「おい、どうしたんだ?」

「いえ、今、森の奥で誰かいたような気がして…」

「たぶん狩人じゃねえか?この森に居たはずだからよ」

「そうですね、じゃあ行きましょうか」

「おう」

 

特に気にせず私たちは街へと戻ってゆく、だがその狩人らしき人がこちらをジッと見つめてることには気づかなかった

 

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私たちが孤児院に戻り湿った薪と乾いてる薪を分けて家の中に入る、もう日は落ちてご飯が出来ているようだ

机に盛られてるのはかなり豪勢でお肉と魚が乗っていた、だが私はこの料理の元を知ってるためハヤトと同じで苦笑いだった

 

「「いただきます」」

「…そういえば、ちょっと気になってたんだけど、その【いただきます】ってなんなの?」

「ああ、俺たちの世界の食事前の挨拶だよ。やらないとクラレットが怒るんだよな…」

「当たり前ですよ、作ってくれた人と食材を用意してくれた方へのご挨拶なんですから」

「…いた、だきます」〈ペコ

「じゃあオイラも!いただきます!」

「あたしも、いただきます!」

 

ラミに続いて子供たちが食事の挨拶をしてゆく、それを見た大人たちも挨拶をした。ガゼルは何故か渋っていたが最後にはしてた

思いのほか魚が美味かったらしく二人は驚いたが、美味しければいいという考えだったので、そこまで気にしなかったようだ

最後に御馳走様という食事を終えたときの挨拶を教え、みんなそれをしてから解散となった、大人はそのまま広間に残っていた

 

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大人たちの話す内容は明日、クラレットが来たと思われるクレーターに何か手掛かりが残されてないか調べるために行かないか?という内容だった

 

「でも、クラレットの言ったように危なくないかしら?」

「だけどよ、手掛かりはねえんだろ?だったら多少の無茶ぐらいはするべきじゃねえのか?」

 

メリットとデメリットを上げて話し合う、ほとんど行くことが決まってるが再確認も兼ねて彼らは話していた

 

「そういえばお前さんが来たときの場所はもう見たのか?」

「はい、ハヤトが現れた場所は先日確認しました。でも殆ど事故に近かったせいであんまり…」

「となると、やはり行くべきだろうね」

 

年長者であるレイドの一言で周りが少し強張る、一番慎重な彼が勧めるのだから理由があるはずだ

 

「その儀式跡地なら間違いなく何かしらの手掛かりがあるはずだ。それと騎士団にいたころの話だが君たちの居た世界、おそらく名も無き世界だがその名前の通り殆どの情報が知られてない世界だ。普通に情報を調べるだけでは生きてるうちに帰るのは難しいだろう」

「クラレット、それは本当なのか?」

「はい、召喚術はそれこそずっと昔から存在する術です。それなのに名も無き世界の情報がないとなると、やはり多少の危険は必要かと」

 

クラレットとレイドの言葉にハヤトは覚悟した。クラレットとの約束で必ず戻ると決めてたがその困難な状況に少し面を食らってしまった

 

「でも、外には…」

「ああ…外にゃあ【はぐれ】も出るしなぁ」

「【はぐれ】?」

「ま、化け物ってやつだ」

「ば、化け物!?」

 

聞きなれない単語を聞いてハヤトは気にするがその言葉をクラレットは訂正する

 

「全部が全部化け物ってわけじゃないですよ。【はぐれ】は召喚師の横暴から逃げ出した召喚獣の成れの果て、召喚師が召喚獣を召喚して、その後死亡してしまったり、まれにサモナイト石が砕けてしまう場合でも起こるのですが元の世界に返れなくなるんです。私はたぶん前者、ハヤトは後者ですね」

「召喚獣たちも召喚術の犠牲者ってことなのか…」

「ま、そのせいなのか人間を恐れててな、滅多なことでは出くわさんよ。心配せんでいい」

「だが、用心するに越したことはない。それなりの準備をしてから行くとしよう。支度が済んだら、明日の昼過ぎに玄関に集合だ」

 

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俺とクラレットはその後、部屋へと集まって明日の事を話していた。レイドさんからもらった剣を手入れしながら俺はクラレットに話を聞いていた

 

「なあ、召喚獣ってどんなのがいるんだ?そういえば俺まだ見たことないんだ」

「そうですね…、四界と呼ばれる四つの世界がこのリィンバウムの周りにはあるんです。鬼妖界シルターン、機界ロレイラル、幻獣界メイトルパ、霊界サプレス、そして場所のわかっていない世界、名も無き世界です。ハヤトこれを見てください」

 

クラレットは荷物から5色の石を取り出す。指の間に収まるぐらいの宝石のようだ、クラレットのペンダントや杖についてるのよりは少し鈍い色をしている

 

「これは?」

「これはサモナイト石です。それぞれの世界につながるゲートを開いて誓約に従って召喚獣を呼び出すことができるんです」

「へぇ…これが、うわっ!なんか光ってる!?」

 

ハヤトが緑の石を持つと鈍い光を放ち始める

 

「ハヤトには獣属性の適性があるんですね」

「適性?」

「はい、見ててください?」

 

クラレットは石を二つ持つと光を放ち始めた、紫色と緑色の石だ

 

「私は霊属性と獣属性の適性があるんです。霊属性のほうが光が強いのがわかりますか?」

「うん」

「属性は一部特化していて人によっては二つの属性を有することができるんです」

「全部を使うことはできないのか?」

「…さすがに全部の属性を使うのは無理ですね。よくて二つ、ホントにまれですが三つが限度でしょう」

「この色の無い石は何の属性なんだ?」

「無色は…属性はありません、知識さえあればだれでも扱えますし、たぶんですけど名もなき世界への通じてると思ってたんですけど…」

「え、この石が俺たちの世界の石なのか?」

「私はその石でハヤトたちの世界に来たんですけど、その石で召喚できるものが隕石や剣や鍋や土台に水晶、どう考えても向こうの世界のものじゃないんです」

「わけのわからない世界の石か…」

「その石で帰ろうにも危険すぎて、それこそ最終手段ですね」

「んー」

 

その言葉を聞きながら俺は自分の属性が気になり始めてサモナイト石に手を伸ばした、意識を込めながら触ると光るそうだ。意思を込めサモナイト石に触ってゆくと予想をしないことが起き始めた

 

「……クラレット、なんか全部光ってるんだけど」

「えっ!なんで…こんなことって!?」

 

彼女は口に手を当て思案する、なぜ光ったのかそういえば彼を召喚したときも全てのサモナイト石が反応してたような気がする。砕けたのは一つだけだったが、そのことから一つの予想を導き出した

 

「もしかして、名も無き世界の住人は全ての属性が…?」

 

そのことを口にした瞬間恐ろしくなった。もしそんなことが広まってしまえば名も無き世界の住人を召喚するために研究が大幅に進むかもしれない、人を人が誓約で縛り道具にする。その考えがクラレットの頭をよぎった

 

「ハヤト、基本的に一つの属性しか使わないようにしてください」

「なんでだ?いろいろ使えた方が便利じゃないか」

「もし、心無い召喚師が全ての属性を使える名も無き世界の住人の存在に気づけば危険です。ですから…」

 

クラレットが真剣な顔をし、ハヤトに頼み込む、それを見て軽い気持ちだったが事の重大さにハヤトは気づいた

 

「そうだな、フラットのみんなにも危険が及ぶかもしれないからな。じゃあ気を付けるか」

「はい、このことはまだフラットのみんなにも秘密にしておきましょう。これ以上迷惑をかけるわけにはいきませんし」

「ああ、じゃあそろそろ寝るか、ところでクラレット?」

 

既に寝巻に着替えてるクラレットがこちらを見る、リプレの服の御下がりで少し手直ししたものらしい

 

「なんですか?ハヤト」

「いや、もうずいぶんとフラットにも慣れてきたし。そろそろ別の部屋で寝ないか?」

 

そう、彼らはいまだ同じ部屋で寝泊まりしてるのだ。元々は心寂しいと思い同じ部屋にしてたのだが、そこは男女、気が緩んで色々と問題も起こり始めてたのでハヤトとしては別々の部屋に分かれたかった

 

「ダメですよ。いざという時のために一緒にいないと」

「いや…だからさ年頃の男女が一緒の部屋で寝るのは」

「と、とにかくダメなんです!」

 

クラレットは結構頑固だ。その上、現実主義者でロマンチストと中々かみ合わない性格の持ち主だ。こういう時に理屈を立てても結局押し切るのでほぼ彼女の言葉が通ってしまう

 

「それにもう遅いですし、この話はまた明日ということで、それでは、おやすみなさい」

 

そう言い切ると2段ベットの上の段に入って横になってしまう、夜だから確かに迷惑をかけれないよな

 

「わかった…じゃあ、おやすみな、クラレット」

「おやすみなさい、ハヤト。でも私はここを離れませんから」

「・・・・・・」

 

横になりながら上を見る、上にはクラレットが横になってることを考えると顔が赤くなる、たまに寝息も聞こえるし寝言なんて聞いたそばにはほとんど眠れないんだよな

そんなことを考えてるとだんだん俺の意識は沈んでゆき眠りにつく

 

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次の日、俺たちは準備が整い、少し遅めの朝食を食べて玄関に集まっていた

全員が準備の確認をしている、クラレットは3つほどのサモナイト石を持っていた

 

「その石は、サモナイト石か。既に誓約済みのようだね」

「はい、今回行くクレーターのその場の召喚師の方々から頂いたものなんです」

「死体からかっぱらったやつだろ、見かけの割に結構やるじゃねぇか」

 

ガゼルが軽い口調で答えるが、それを聞いてクラレットは少し沈んでいた

 

「おい、ガゼル。あんまりクラレットをいじめるんじゃないぞ」

「ああ、悪かったなクラレット」

 

エドスに注意されてガゼルはクラレットに謝る、ちょっと前だったら不貞腐れていただろう

そんな会話をしているとリプレと子供たちが玄関にやってくる

 

「男だけで集まって、何をするつもりなの!」

「あの、フィズ。私もいるのですが」

「お姉ちゃんはいいの!どうせみんなで女の子が絶対に行けない楽しい場所にいくんでしょ!」

「俺たちはクラレットが最初にいた荒野に行くだけなんだから、そんなに面白くないぞ?」

「そうだぞ、おめえなんかが行ってもあぶねぇだけだぞ」

 

ガゼルとハヤトでフィズをなだめようとするがフィズは納得してないようだ

 

「ふーんだ!信用できるもんですか!身の潔白をしょーめいしたかったら、あたしも連れてくことね!」

「…仕方ないなぁ」

「ハヤト、ダメですよ。もしもが起こったら危ないじゃないですか」

「…、だそうだよ?」

「…ケチッ!!」

「こらこら、あんまり迷惑かけるんじゃないの」

 

そんなフィズを引っ張り下げリプレが前に出てくる

 

「みんな気を付けてね。留守のことは任せて行ってらっしゃい」

「兄ちゃんたちが出かけてる間は、オイラがここを守る!留守は任せてよ!」

「きをつけて、ね」

「じゃあ行ってくるよ」

 

俺たちが孤児院を出て外壁に空いてるらしい穴から外に出るため道を歩いていると目の前から見知った顔が歩いていた

 

「あらら、ご無沙汰ぶりね。旅人さん、元気にしてる?」

「メイメイさん、おはようございます!」

「ハヤト、この女性は誰なんだ?」

「路地裏に占い屋を営んでるメイメイさんだよ。前に少し世話になったんだ」

「にゃはははは、といっても今は休業中なんだけどね。あなた達、今からどこかに?」

「はい、ちょっと荒野まで、私の来た場所に何か戻るためのヒントがないかと思いまして」

「んー、まあちょっとぐらいならいいかな?今日、荒野行くとちょ~っと大変なことになるかも」

「なんだよ、またお得意の占いか?」

「そうよー、まあいいことも起きるみたいだし。行くといいかもしれないわね。ま、頑張りなさいな、にゃはははは!ばいばーい」

 

そう伝えると笑いながらメイメイさんは街中へと消えていった

 

「なんというか、掴めない女性だのう」

「しかし、サイジェントに長くいるがあのような女性は見たことがないな」

「まあ、召喚獣ですしね…」

 

何げない会話の中でクラレットが爆弾発言をかました

 

「あ、あいつ召喚獣だったのか!?」

「え、あれ?皆さん気づいてなかったんですか?」

「俺も気づかなかったよ。メイメイさんはほんとに召喚獣なのか?」

「シルターン風の格好であそこまで占いが出来て、普通持ってないような道具を持ってるんですから気づくと思ってたんですけど」

「…先入観というものか。召喚獣=怪物という考えで行動していたようだ」

「そっか、よく考えると俺もクラレットも召喚獣だもんな」

「そうでしたね」

 

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俺たちがそれから穴を抜けて荒野に向かった、はぐれには出会わなかったみたいでよかったよ

それから荒野でクラレットの来たと思うクレーターを探すがなかなか見つからなかった

 

「・・・・・・・」

 

クラレットが時たま後ろを確認する様子がハヤトの目に入った

 

「どうしたんだ、クラレット?」

「それが、先ほどから誰かに見られてる気がして…」

「誰か、つけてきてるのか!?」

 

その言葉にガゼルたちも反応して集まった

 

「お前もかよ、実はよ、俺もさっきから嫌な感じがしてんのさ」

「おいおい、そりゃ本当か!?」

「はっきりしたことまではわからねぇ。いろんな気配がごっちゃになった感じがする」

「メイメイさんの占いの件もあるし、用心したほうがいいな」

「ああ、相手の出方を見るしかないな…、全員気を引き締めていこう」

 

私たちをつけている人がもしあの人たちの息のかかった連中ならみんなが危ないかもしれない、だけどサイジェントに引き返すにしてももうかなりの距離が離れてしまった、

とにかくこのまま召喚跡地まで何とか行かなければいけない、今は後ろを気にしつつそのことを考えないと・・・

 

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私がそう考えながら歩いていると見覚えのある風景が目につき始めた、召喚儀式跡地である

 

「クラレット、ここかい?君が初めて来た場所は」

「はい、私はちょうど中心部分で倒れてたんです」

「ひゃあ~…、でっかい穴ぼこだなぁ」

「これだけ地面を大きくえぐりとるなんて、人の力じゃ絶対無理だぜ」

「クラレット、この図形のあとみたいなのは?」

「霊界サプレスの術式ですね。それにかなり四散してるようですけどサプレスの魔力が残ってるようです」

「サプレス…って天使とか悪魔がいる世界だったけ?」

「はい、そうですよ。ハヤト」

 

クラレットとレイドが図形を調べ始めてるようだ、ガゼルは穴の中を調べるといって中に降りてった。俺はエドスと周囲を調べることにした

 

「んー、おかしいなぁ」

「やっぱりおまえさんも変だと思うか?」

「うん、クラレットの話だと何人か人が死んでたらしいんだよ。なのに」

「そいつらが見当たらないのはなぜだ?」

「はぐれが持って行ったとか?」

「ここらへんで人が死んでもはぐれが巣に持ち帰るとかはないはずだ。それにもってくにしても引きずった跡ぐらいあるはずだろ?」

「じゃあ、まさか…」

「誰かが後始末をしたと考えるのが自然だろうな…」

 

そういえばクラレットが何かに怯えてる姿を度々見た覚えがある。さっきも後ろを気にしてる時も怯えていた、まさか・・・

 

「なあ、エドス。実は…」

「おーい!ちょっと来てくれ!!」

「ガゼルの声だ…、タイミング悪いなぁ」

「まあ、空気は読まないからな。しかしさすがは本職だな、何か見つけたらしいぞ」

 

穴から出てきたガゼルが何やら手に物を持ってるようだった

 

「どうした?」

「これ、なんだと思う?」

「ッ!?」

 

エドスが尋ねガゼルはその手から何かを取り出した、それは獣の爪のようだったが、それを見たクラレットの様子が変わった

 

「ガゼルさん!その爪を見せてください!!」

「な、なんだよ!?わかったからそんな近づくなよ!」

 

ガゼルからほぼひったくってクラレットはその爪を見ていた、かなり真面目なようである

 

「クラレット、その爪は何なんだ?」

「詳しいことは…、わからないんですけどおそらくドラゴンの爪ではないかと、形状からして幼いころ見た気がします」

「ドラゴンだって!?」

「ドラゴンって…あのおとぎ話とかのか!」

「はい、サプレスの魔力をかなり纏っていますので、たぶん霊界サプレスの悪魔竜のものかと」

 

つまりは召喚獣の爪で名前からして悪魔のドラゴン、俺はびっくりして開いた口がふさがらなかった、ガゼルは恐ろしいものを持ってしまったため持っていた手を服で拭いていた

 

「なんでそんなもんがこんなところに落ちてるんだ?」

「みなさん、触媒というのをご存知ですか?」

「確か、召喚術の誓約を交わすときに必要な道具だったね」

「はい、召喚術を使う時にサモナイト石とその触媒を所持して合わせることで誓約と召喚を執行できるんです。身近なものでは小石やネジ、ランプなどでも」

「じゃあ、この爪はその触媒ってやつなのかよ?」

「周辺に漂うサプレスの魔力、それと爪から発せられるサプレスの強大な魔力、おそらくこの爪の主かそれに連なるものを召喚しようとしたのではないかと」

 

クラレットの言葉でそれぞれが無言になり爪を凝視している。ただ調べに来ただけでまさかここまで事態が大きくなるとはここにいる全員思ってなかったようだ

それに、召喚師らしき遺体も消えていたということはこれを召喚しようとした組織はまだ健在ということでもあった、沈黙が続いていたがそれを破ったはガゼルだった

 

「そいつがやべぇってのはわかったけどよ。なんでお前が召喚されたんだ?」

「あ…」

 

クラレットは無言になってうつむいている、たぶん身に覚えがあるのだろう、そう俺は思って声をかけた

 

「クラレット、無理しなくてもいいからな。いまはこの爪の主が危険だったてことでいいじゃないか」

「そうだな、とりあえず君を召喚した組織が危険だってことは間違いない様だ」

「・・・すいません」

「ヘっ、別に気にしなくてもいいぜ。お前がいいやつだってのは間違いないんだからよ」

「それで、クラレット。その爪はどうするんだ?」

「はい、埋めたいので協力してもらえますか?」

 

 

俺たちは1メートルほどの縦穴を掘っていた

 

「しかしよ、なんで埋めるんだよ。川とかそこらへんに捨てちまえばいいじゃねぇか」

「この爪自体、強力なな魔力を保有してるんです。捨てる場所を考えないともしかしたら何か原生物に悪影響を与えるかもしれませんし」

「持って帰るとかはどうだ?」

「…家に子供たちがいなかったら持ち帰ってましたけど、あの子たちの精神に悪影響を与えるかもしれませんので…、本来ならもっとしっかりした場所に処分したいんですけど」

「つまりそれほど厄介な品物ってことか…、クラレット掘れたぞ?」

 

その言葉を聞きクラレットは穴の中に爪を落とす、そして穴は埋められカモフラージュされて隠された

 

「それでは、今日のところは帰りましょうか、厄介なものも見つけられましたし」

「ああ、無駄だとは思うが一応騎士団のほうに連絡をしとくよ。もちろん君たちのことは黙っておくよ」

「レイドさん、ありがとうございます」

「構わないよ、君たちは事情が事情だからね」

「じゃあ、みんな帰るか、リプレも心配してるだろうし」

「…っていうがな、どうも、タダじゃ帰れそうにないぜ?」

 

ガゼルの顔が強張りながらサイジェントのほうを見ると物陰から人が姿を現した

 

「今更気づいたところで手遅れなんだよ!このアホどもがッ!!」

「バノッサ!?」

 

その男は俺を殺しかけたバノッサだった、そのうえ周りの物陰からオプテュスが出てくる、前よりも数が多かった

 

「よぉ、ズタボロになったくせに随分元気そうじゃねぇか」

「まだ左手が変な感じがするよ。ところで、何の用だバノッサ!!」

 

俺は剣を抜き構える、この男の剣は恐ろしく早いことは前回で承知済みだった

俺のあとにガゼルたちも武器を構える、クラレットも手にサモナイト石を握り杖を構えていた

 

「随分と攻撃的じゃねぇかよ」

「女を人質に取るようなやつ相手に容赦はしないからな!」

「まあいい、お前ら、これを見ても俺様に武器を向けれるか?…カノン!」

「あ、出番ですか?バノッサさん」

 

バノッサが声を荒げると物陰から少年が顔を出した、優男というのを体現したような風貌の少年だ

 

「そこのお兄さんお姉さんには、初めましてかな?ボクはカノンっていいます。一応バノッサさんとは義兄弟なんですよ」

「バノッサの…義兄弟!?」

 

のんびりとした口調の中にバノッサの義兄弟という言葉が出て俺は驚いた、人は見かけによらないようだ

 

「何してる、カノン!さっき捕まえたアイツを見せてやれ!!」

「はいはい…、ほら、いい子にしてね」

 

優しい口調で岩陰から何かを引きずり出す、それは孤児院で留守番してるはずのフィズだった!

 

「いやあぁっ!離してえぇっ!!」

「フィズ!?どうしてここに…」

 

涙目になりながらカノンに取り押さえられているフィズが俺たちに助けを求め手をのばしている、俺の剣を握る力が緩む

 

「どうしたもこうしたもねえよ、お前らの後ろをつけてたのさ、コイツは」

「じゃあ、さっきの色々の気配は…」

「親切に俺様達が保護してやったってわけだ、お礼の言葉一つもねぇのか?」

「子供を人質にするとは…恥を知れ!!」

 

バノッサの軽い口調にレイドが歯ぎしりをしながら吠える、それを見るとバノッサは上機嫌になり笑っていた

 

「おいおい、なんだその態度は?カノンはああ見えて力はめっぽう強いんだ。ちょいと加減を間違えりゃ…クククッ、そうして欲しくねぇのなら、さっさと武器を捨てやがれ!!」

「…くそっ!」

 

俺は剣から手を離し、剣は地面に倒れる。ガゼルたちも武器を手放したようだ

それを確認するとオプテュスの連中が俺たちに襲い掛かってくる

 

「おらっ!」

「ぐあっ!!」

「…くっ!」

「剣がなきゃ、騎士様もただのオッサンだぜ!」

 

俺も見覚えのある奴に殴られていたがガゼルやレイドはそれ以上だった。普段が普段のためオプテュスの恨みは大きいのだろう

 

「クックックッ、ざまあねえな」

「ねえ、バノッサさん、もうここらでやめときません?」

「あァ?」

「ボク、こういうのって好きじゃないんですよ。気分が悪いです…」

「何言ってやがる、これからじゃねェか?」

「でも…」

「レイド…ううっ、ガゼル…っ!あたしがいうこと聞かなかったせいだ…」

 

オプテュスに何もできずに全員がなすがままにされている、そんな状況をフィズは見て後悔してた

もし、自分が我慢して後をつけなければこんな事にはならなかった。今反省してももう何もかもが遅かった

そんなフィズの泣いている顔をカノンは見ていて、耐えられなくなり近くにいたほかのメンバーにフィズを押し付ける

 

「ボク、もう嫌ですよ。先に帰りますからね」

 

そう伝えると少しつらそうな顔でカノンがバノッサから離れていった

 

「…まあいい、好きにしやがれ」

 

------------------------------

 

ハヤトが私を庇いながらオプテュスに殴られ蹴られてる、さすがにオプテュスも女の私を襲おうとは思ってないようだ。

あるいわ、最後の楽しみに取っておいてるのかもしれない、そんな予感を感じてるとバノッサさんがこっちに近づいてくる

 

「さてと、おい女、手前ェには少しばかり聞きたいことが」

「あなたに話すことなんてありません!」

「俺様が聞いてんだよ。答えなきゃあのガキがどうなるかわかってるのか?」

「ううっ!お姉ちゃん!」

 

フィズがオプテュスのメンバーに抑えつけられてその顔が痛みで歪んでいる、それを見るクラレットはバノッサさんをさらに睨めつける

 

「あんな小さい女の子を人質に取って、あなたには良心がないんですか!?」

「ちッ!うるせェ!!」

 

バノッサさんはクラレットの頬をはたき彼女を地面へと倒す、そして胸倉をつかみ自分に近づいて睨み返した

 

「いいか、もう一度聞く。俺様が聞いてんだよォ!手前ェは黙って質問に答えればいいんだ!それともガキの足をつぶしてからのほうが分かりやすいか!?」

 

このままじゃフィズに被害が及ぶ、そう考えた私は静かに頷いた

 

「おい女、手前ェはひょっとして召喚師なのか?」

「…あなたには関係ありません」

「大ありだぜェ?もしそうなら、手前ェには助かる道があるってことになるんだ」

 

バノッサさんの提案に私は驚いた、ここまでした私たちに交渉を持ちかける・・・、

でもこの状況で交渉するということはきっとろくでもないことに違いないと気づいていた

 

「俺様に召喚術を教えろ」

「あなたに、召喚術を!?」

「そうすりゃ、今までのことは水に流してやる。さァ!どうなんだッ!?」

「……ガゼルさんたちは許してくれるんですか?」

「クラレットだめだ!!」

「その男は約束など守るつもりなどない!召喚術が使えるようになれば恐ろしいことになるぞ!」

「うるせェ、黙ってろ!!決めるのはこの女だァ!!」

「わ、わたしは・・・・・・」

 

ハヤトとレイドさんが私に思いとどまるように叫んでいる。

でも、ここでバノッサさんの言葉を聞かなければフィズやみんながどんな目にあうか考えたくない。

召喚術は誓約を刻んだ石さえあればだれでも使用することが出来る、無属性とはいえ召喚術は脅威だ。

もしバノッサさんがそれを手にに入れれば…。私はどうすれば・・・

 

 

――何をしてるんだ――

 

 

「え!?」

 

 

――お前の中にある力はそんなものだったのか?――

 

 

「だ、誰なんですか!?」

 

 

――その程度の男、お前なら簡単に消せるだろ?――

 

 

「・・・いやぁ・・・」

 

私の中から聞こえる声、懐かしくそして思い出したくない声。その声が囁く・・・

 

 

――さあ、見せつけてやれ!お前の力を解き放つんだ…――

 

 

「やめて…話しかけないでぇ…!」

 

私の中のナニカが暴れだす、その声に従い無理やり自分の魔力が膨れ上がってくる

 

 

――贄として創られたその力で敵を殺せ!!――

 

 

「いやあああああぁぁぁーーーー!!!」

「ぎゃあァッ!?」

 

クラレットの体が眩い光を放ち目の前にいたバノッサを弾き飛ばす、

そしてその光は周りのオプテュスのメンバーを攻撃し始めた

その光景に誰もが恐怖を抱いた。まるで生きてるように光がオプテュス達を攻撃してゆくのだ。

その中でレイドだけはチャンスを逃さなかった

 

「今しかない…エドス!」

「おうっ!お前ら…フィズを返せぇぇーーーー!!!」

 

先ほど手放した斧を手にフィズを押さえ付けている男を吹き飛ばしエドスはフィズを救い出す。

ガゼルたちもオプテュスの連中を蹴散らし全員集まった

 

「みんな無事かっ!?」

「無事だがよ、クラレットのあれはなんだんだっ!?」

「クラレット!!!」

「待て!今の彼女に近づくのは危険だ!!」

 

俺はレイドさんの言葉を無視してクラレットに近づく、すると光がこちらを認識したのか攻撃してきた。すぐさま身を翻し後ろに下がる

 

「クラレット!もういいんだ、フィズは助けたんだ。もう大丈夫だ!」

「ああぁぁぁァァァアああーーーー!!!」

 

こちらの言葉が通じないのか光はどんどん強くなり始めるすると先ほど埋めていたはずの爪が穴を突き破りクラレットに近づいてゆく

 

「なっ、あれは!!」

「さっき埋めた、爪じゃねぇか!!」

 

その爪がクラレットに近づいていく、その光景を見た俺は恐ろしい悪寒を感じた、それに抗うようにクラレットに突っ込んでゆく!

 

「クラレット、やめてくれ!もう俺たちを苦しめるやつはいないんだ。だからもうやめるんだ!!」

 

頭を両手で抑え苦しむクラレットに俺は駆け寄る、光が俺を攻撃するがそれを掻い潜り彼女を抱きしめた

 

「もういい、もういいんだ!必ず俺が守るから、だから戻ってきてくれクラレット!!」

 

俺が必死に呼ぶとクラレットの放つ光が収まってゆく。クラレットは顔をゆっくりと上げこちらを見つめた。

光の宿ってない虚ろな瞳で俺の頬に手を添えて口を開いた

 

「…は…やと…」

 

 

 

 

 

 

 

その時の私は何も意識できなかった。ただ近寄るものが敵で自分を邪魔するものは消せばいいという感情で頭が埋め尽くされる。

それが当たり前だと思い【私】が【私】に変わっていく、いや戻っていってるのだろう。

苦しむのならこの流れに身を任せればいい、そう思い私は意識を落としてゆく・・・

 

 

―…ら…ッ…―

 

声が聞こえる、意識を落とそうとしていた声が自分の意志とは別に上がってくる

 

―も…丈夫…!――

 

その声は私の心の一部だった。【私】が生まれてずっと聞き続けた愛しい人の声・・・

そして次に感じたのは温もりだった、その温もりを【私】が感じると【私】は再び心の奥へ沈んでいく。

・・・私は返事をするようにその愛しい人の名を口にした、それが当たり前なのだから

 

「ハヤト…」

 

 

 

 

 

 

クラレットは俺の名前を呼ぶと意識を失い、俺の体に身を預けた。

周辺に目をやるとあまりに異常な光景だった。

クラレットの光はバノッサをはじめとした、オプテュスの連中を吹き飛ばしていた。

彼女の周りは地面がえぐれ、暴れまわったような傷跡が残っていた。

そして彼女に近づいていた爪は再び地に落ちていた

 

「よかった、本当によかった…」

 

もし、あそこでクラレットを呼び止めなきゃ俺は彼女を失うところだった。

この世界に来てからクラレットは不安定だとは気づいていてたけど、まさかここまでなんて思わなかった。

彼女を抱きしめていると、レイドさんたちが近づいてクラレットの状態を確認する

 

「大丈夫か?ハヤト」

「ああ、俺もクラレットも今のところは大丈夫だ」

「あいつらがまた動き出す前にずらかるぞ!」

 

ガゼルは俺を立たせ、俺はクラレットを俗にいうお姫様抱っこの形で彼女を抱えサイジェントに走っていく、

それに続いてレイドさんとエドスも急いでその場を離れた。

オプテュスの面々やあの爪が気になるが今はこの場から離れるのが先決だ。

 

 

俺たちがサイジェントの外壁付近に辿り着く、ここまで来ればとりあえずは安心だった

 

「ここまで来れば、大丈夫のはずだ。エドス、フィズの様子は?」

「寝ちまってるよ。あの光景が余程答えたみたいだな」

「ハヤト、お前は大丈夫なのかよ。あの光をいくつか貰ってただろ?」

「俺は平気だよ…、ただ剣を落として…」

 

あの時、クラレットを守ることを意識してたせいで剣を忘れてきてしまった…

そんな俺にレイドさんは苦笑しながら宥めてくれた

 

「剣よりも彼女のほうが大事だったんだろ?それならそれでいいさ。剣は替えが聞く、だけど人の命は替えなんてないからね」

「レイドさん、ありがとうございます」

「さてと…、リプレの言い訳考えとかないとかねぇとな」

 

------------------------------

 

寝息をたてるクラレットを感じながら道を歩いてゆく、やがて孤児院の姿が見えてきた。

孤児院の入り口付近にアルバの姿が見える、アルバは俺たちを確認したようでこちらに駆け寄ってきた

 

「みんなお帰り、実はフィズがいなくなって…!」

「ああ、安心しろ。フィズはここにいるぞ」

「ああ~、フィズの奴、やっぱり兄ちゃん達に追いかけたんだな!」

 

寝ているフィズに腹を立てるアルバ、それをレイドが静止、言伝を頼む

 

「リプレを呼んできてくれないか?実はクラレットが倒れてしまったんだ」

「えっ!?姉ちゃんが!」

 

フィズを見ていたアルバがこちらを見て驚く、クラレットとも仲がいいためか心配してるようだ

 

「わかった、リプレ母さんを呼んでくるよ!!」

 

アルバが家の中に駆けこんでいく、それに続いて俺たちも孤児院のなかへと入っていった

アルバから話を聞いたリプレがベットの準備をして、リプレはクラレットを同じ部屋に寝かせた

そして俺たちは広間に集まって傷の手当てを始めた、その中でも俺の傷は酷かった。

打ち身だけではなく、あの光を受けた部分がかなり青くなっていたからだ。

仕方なくメイメイさんの丸薬をみんな口に含んでいた、みんな渋顔だ…

 

「リプレ、ラミとアルバは?」

「うん、クラレットのそばから離れたくないみたい。クラレットも熱が出てるみたいだし、何があったの?」

「何があったか…、それは私たちが聞きたいぐらいだよ」

 

レイドがリプレにその状況を話した、それを聞いたリプレはなんとなく納得してたようだ

 

「あ~、やっぱりそうなったんだ…」

「やっぱりって、お前わかってたのかよ」

「ホラ、メイメイさんが言ってたじゃない。死相が出てるって」

「あ!?」

 

メイメイさんの占い、朝もあったがホントに当たっていた。

もし俺が関わらなかったらきっとクラレットは遠いところに行っていたかもしれない…

 

「あの占い、当たってたのか…、だけどよ、あれは何なんだ。あれも召喚術なのか?」

「クラレットが触媒の話をしてたのを覚えてるか?」

「ああ、あの爪のことだろ?」

「詳しくは彼女が説明したとおりだ。だがもしかしたらあれが召喚の儀式だったのかもしれない」

「じゃあ、あのままほっといたら大穴が出来てたのかよ!?」

「最悪、彼女の言った通りあの爪の悪魔竜とやらが出てきたかもしれない…」

「・・・・・・」

 

レイドさんの言葉を聞いて俺は自分を信じて良かったと思った。

もしあそこでクラレットを助けなかったらきっと取り返しのつかないことになっていたはずだったからだ

 

「とにかく、今はオプテュスの報復を気を付けたほうがいい、彼女に問い詰めるのも禁止だ。わかったなガゼル」

「なんで俺に言うんだよ。そこまで考えなしじゃねぇよ」

「悪いが、今回のことはお前さんが聞いてもらえるか?クラレット自身のことだから身内が聞くなら彼女も気が楽だろう」

「わかったよ、みんなありがとな」

 

あんな事をしでかしてしまったのにみんな俺たちに気をかけてくれる、本当にいい人たちだ。

そう感謝しながら俺はクラレットの寝ている部屋にやってきた。

どうやらフィズが起きたようで辛そうな顔でこちらの様子をうかがっていた。

 

「お兄ちゃん…、あたしのせいで…、おねえちゃんが」

「フィズ…」

「あたし、お兄ちゃんたちが何か楽しいことすると思って…それで」

「…なあ、フィズは反省してるんだろ?」

「…うん」

「なら、あとはみんなに怒られて許してもらうだけだな、みんな家族なんだ。フィズを嫌いにはならないよ」

「おねえちゃんも…?」

「クラレットがフィズを嫌いになると思うか?ラミとアルバはどうおもう?」

 

話題を振られた二人がこちらを見てしっかりと答えた

 

「…おもわない、よ」

「おねえちゃんはやさしいから怒られるぐらいだよ」

「フィズはどう思う?」

「………」

 

俺はまだ勇気の持てないフィズの頭を優しく撫でながら抱きしめた

 

「確かあんなことがあったけど、もともとはオプテュスのせいだろ?だったらフィズのせいじゃないさ。クラレットもきっと少し眠れば目を覚ますさ。フィズももう少し休みな、ああいう状況じゃ自分の思ってるよりも疲れが出るもんだから」

「…うん」

 

そう伝えるとフィズが横になる、アルバとラミはここでクラレットの看病を続けるようだ。

その姿に笑顔を浮かべ俺は部屋から出てゆく、すると部屋の外にはリプレがいた。

 

「驚いた、結構お兄ちゃんできるのね」

「そりゃぁ、12年お兄ちゃんしてるからな、リプレママ」

「も、もう!そういうのいいの!!」

 

リプレは赤面しながらも笑顔でいる、何よりフィズたちが無事でよかったと思ってるようだった

 

「今日はごめんなさい、留守は任せてなんて偉そうなこと言ってたくせにフィズの面倒も見られなかったもの…」

「リプレ…」

「まあ、なんて過ぎたことクヨクヨしてても仕方がないわね。できること、一生懸命やっていきましょ!」

 

そう自分を叱咤すると扉を開け部屋へと入ってゆく、しばらくしてフィズの泣き声が聞こえてきた

やっぱりリプレはお母さんだなぁ…

 

------------------------------

 

その日クラレットを覚まさなかった、熱は収まったようだがそれでも起きなかったのである

とりあえず自分たちの部屋に移動させリプレに頼み寝巻に着替えさせてもらった

明日にはいつものクラレットが見れることを願いながら俺は眠りについた

 

「明日にはいつものクラレットでいてくれよ…」

 

 

私が目にうっすらと太陽の光が入ってくる、目を開けるとそこはいつも寝ているベットだった

あれは全部夢だったのかと考えるが私はそれを否定する、あれは紛れもない現実のはずだ。

 

「……っ!フィズ!ハヤト!!」

「みんな無事だよ」

 

ベットから身から身を出して下を確認すると、椅子に座ってるハヤトの姿が見えた

 

「ずっと起きないから心配したよ。でもよかったまだ朝ご飯も出来てないみたいだから少しのんびりするといいよ」

「…あの、あの後、何があったんですか?」

「…クラレット、覚えてないのか?」

「はい、確かバノッサさんの提案を考えていて…それから、誰かの声を聴いたんですけど」

「声?」

「はい、聞き覚えがあるんですけど、どうしても思い出せなくて…、あの後何があったんですか?」

 

俺はクラレットに話した、あの時クラレットから光が噴出して、見境なく周りを攻撃したこと。

そのあと埋めたはずの爪が再び地上に現れ、クラレットに近づいていたこと、

クラレットが熱を出して眠り続けたことを話した。

 

「…私が、そんなことを…」

「何か分かったことはあるか?」

「熱を出して寝てたのは魔力の使い過ぎです。暴走したのは…すいません、わからないんです」

「わからない?」

「はい、魔力が意思を持って周りを攻撃するなんて…、それにみんなも巻き込んで…」

 

まるで自分自身を怖がっているように、震えているクラレットの頭に手を乗せ優しくなでる

その行為に少しばかり顔を赤くするが次第に震えは止まり、落ち着いてゆく

 

「落ち着いた?」

「はい、すごく落ち着きました…」

「どんな時でも守るって約束したからな、俺も強くなるよ。だからクラレットも負けるなよ」

「はい、ハヤトも負けないでくださいね」

 

お互いが再び笑顔になり、俺はクラレットとの約束を守ることが出来た

彼女は手に付けているミサンガを優しくなで負けないで行こうと心に刻んでいた

だが、それでもクラレットに話しかけた声、そしてあの力、召喚術を欲するバノッサ

俺たちの周りにはまだまだ問題が山ほどある、それを考えるとやはり不安になるのだった

 

 

 

------------------------------

 

 

 

少し時間は遡る、深夜。荒野でクラレットが暴走した場所に一人の男が立っていた

 

「・・・・・・・」

 

男は無言で謎の爪を拾い上げ懐にしまう、そしてサイジェントの街のほうを見てつぶやいた

 

「もう少しだったが、邪魔が入ったな、あの男、ハヤトといったか…」

 

男は思考の海に意識を沈め考え込んでいた。そんな男に黒尽くめの人物が近づく

 

「どういたしますか、邪魔ならば今夜にでも始末いたしますが?」

「まだいい、奴は名も無き世界の住人。そして全ての属性を操れる資質を持っているはずだ」

 

男はクラレットを確保するよりもハヤトを観察することを優先したのだ

 

「あいつは召喚術をまだ使ってはいない。もし使うのなら我々とは異なる術式かもしれない。それは組織の発展につながるはずだ」

「確かに…、その通りです」

「【餓竜の悪魔王】を召喚してからが始まりではない。それを使役し、そこから始まるんだ。まだ準備も完全ではない、急がなくても問題はないはずだ」

 

そう伝えると男は黒色のサモナイト石を取り出し、召喚術を行使する詠唱すら必要とせず現れたそれは巨大な飛行機械のようだ

 

「今から【ゼラム】に向かう、父上には奴らは観察するべきだと伝えておけ」

「はっ!了解いたしました。ソル様」

 

ソルと呼ばれた男は飛行機械に搭乗し夜の空へと消えてゆく、

そして黒尽くめの男もサイジェントへと姿を消していった、荒野に残されていたのはクラレットの残した傷跡のみであった…

 

 




ソル兄様登場(搭乗)
謎の爪はゲームで登場するキーアイテムでテテを召喚できるんですけど
これ、入手するとカルマ値上がるそうなんです。
魔王を呼ぼうとしてた組織の用意したキーアイテムと予想しております(実際は知らない)

あとアレはクラレットに入ってるため彼女が今回、力を使いました。
彼女の場合、精神が不安定というか誘導されたため危なかったです。
まあ、メイメイさん曰く死亡フラグの塊ですから、そこはハヤト君に頑張ってもらうってことで。

しかし原作2話目か…、ハヤトが弱い気がする、強化イベ書かんと…

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